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『たった5つでこんなに楽になるの?』プロ直伝!バックパックの背負い方(2ページ目)

背負う前に知っておきたい、バックパックのこと

まずは、バックパックについての知識を付けましょう。


なんとなくバックパックについているストラップを引っ張るのではなく、背負い心地を調整するための4つのストラップやベルトの名称と役割を覚えましょう。どうしてそれを調整するのかを理解することは、正しい背負い方の第一歩です。

バックパックのストラップ名称
撮影:筆者

【ロードリフターストラップ
バックパック上部とショルダーハーネスを繋ぐストラップ。バックパックを上半身にひきつけて、背中へのフィット感を高めます。それにより バックパックの荷重を背中全体に分散し、肩の負担を軽減。 スタビライザー、ショルダースタビライザーと呼ばれることもあります。

【チェストストラップ
左右のショルダーハーネスをつなぐストラップ。ショルダーハーネスを肩からズレないようにしたり、行動中のバックパックの横揺れを軽減する役割があります。

【ショルダーハーネス
バックパックを背負うための肩紐。バックパックを体に引き寄せてフィット感を高めながら、肩や上半身に荷重を分散させる。ショルダーベルトやショルダーストラップとも呼ばれています。

【ヒップベルト
バックパックの重さを支える重要な腰ベルト。下半身に荷重を乗せることでバックパックが安定し、肩にかかる負荷も軽減します。ウエストハーネス、ヒップハーネスとも呼ばれることも。

たった5つの手順でOK!軽くなる背負い心地を体感しよう

正しい背負い方をしたバックパック
撮影:YAMA HACK編集部

横井さんに教わった5つの手順で背負ってみました!

正しい背負い方といっても、ポイントを掴めば、なにも難しいことはありません。

教えてもらったポイントは動画も挿れているので、自然とできるようになるまで練習してみましょう。

「バックパックの正しい背負い方」5つの手順

【1】 ストラップをすべて緩めてから背負う
【2】 ヒップベルトで骨盤を包むように締める
【3】 ショルダーハーネスが体にフィットするように調整
【4】 ロードリフターストラップを引いてバックパックを体に寄せる
【5】 チェストストラップは水平に留める

調整方法などを間違えた背負い方とも比べたところ、背負い心地の違いは明らか!

正しい背負い方は、バックパックの重さがしっかりと腰に乗っているためか、手で持ち上げたときほどの重さを感じません。また、肩などのどこか一点に重さを感じることがなく、バックパックと体全体が一体になったような感覚で、背負い心地も軽く、動きやすくなりました!

ここからは、ひとつひとつの手順を詳しくみていきましょう。

【1】 ストラップをすべて緩めてから背負う

バックパックのストラップは緩める
撮影:YAMA HACK編集部

実は大事なのが、この始めの手順。

ヒップベルトやショルダーハーネスなど、バックパックを背負うときに調整するストラップ類をすべて緩めましょう。

着用しているウェアや、その日の体調によってフィット感の調整が変わるため、毎回リセットしてあげることが大事!

カモシカスポーツ本店の横井さん

横井さん

ショルダーハーネスに付属しているバックル(留め具)を手前に引くと、ストラップがサッと簡単に緩みますよ。

【2】 ヒップベルトで骨盤を包むように締める

ヒップベルトは骨盤で締める
撮影:YAMA HACK編集部

バックパックは「腰で背負う」というほど、ヒップベルトの調整は大切。でも、分かりにくいのがヒップベルトを締める位置。腰の上で締めるとよく言いますが、具体的にどこなのか……。一般的には、肋骨の下からお尻の下までを腰部というため、人によって腰の位置の認識はかなり違います。


正解は、骨盤です。骨盤を中心にして、包み込むようにヒップベルトを締めます。行動中にヒップベルトが骨盤からズレないように、ギュッとストラップをしっかり引きましょう。

【簡単に分かる骨盤の位置の探し方】

カモシカスポーツ本店の横井さん

横井さん

脇の下から脇腹に沿って指を下ろしていくと、骨の出っ張りに当たります。そこが骨盤です。

当たった骨盤を指で押さえながら、ヒップベルトが中心になるように包み込むと、正しい位置でヒップベルトを装着できます!

ヒップベルトのよくあるNG例 『締める位置がズレている

ヒップベルトを締める位置を間違えたNG例
撮影:YAMA HACK編集部

ヒップベルトの位置がズレていると、体に余計な負担が掛かって痛めてしまうことに……。上の写真は、骨盤より下の間違った位置で締めてしまっています。

骨盤よりも下でヒップベルトを締めると、脚の可動域が制限されて歩きにくくなり、脚がしびれてくることも。また、ウエストで締めていると、腰骨に重たいバックパックの荷重がほとんど乗っかって、腰や骨盤が痛くなるので注意しましょう。

【3】 ショルダーハーネスが体にフィットするように調整

ショルダーハーネスのストラップを正しく引く
撮影:YAMA HACK編集部

はじめに調整したヒップベルトの位置がズレないようにショルダーハーネスを引いて、背中と肩のフィット感を調整しましょう。

肩にバックパックの重さが掛かってきて、ストラップをスムーズに引けなくなるまで、引いてください。肩が圧迫されて動きにくくなるため、引っ張り過ぎにはご注意を!

【ショルダーハーネスをスムーズに引くコツ】

カモシカスポーツ本店の横井さん

横井さん

ショルダーハーネスのストラップが、バックパック本体へと伸びている方向(斜めうしろ方向)に沿わせて引くと、スムーズに調整できます。

ショルダーハーネスのよくあるNG例 【ちゃんと引けていない】

ショルダーハーネスのストラップを真下に引っ張っている方を見かけることがありますが、これではほとんど調整できません。もう引けないなと、そのままの状態で登ると、バックパックが前後左右に暴れ放題で疲れる原因になります。

ヒップベルトにコンプレッションベルトやスタビライザーがある場合

ヒップベルトのコンプレッションベルトなど
撮影:YAMA HACK編集部

50Lや60Lサイズの大型バックパックなどには、ヒップベルトにコンプレッションベルトやスタビライザーが備わっているモデルもあります。

ショルダーハーネスのあとに調整することで、バックパック下部と腰のフィット感をより高めてくれます。ストラップとヒップベルトの間に隙間がなくなる程度に引きましょう。

【4】 ロードリフターストラップを引いてバックパックを体に寄せる

ロードリフターストラップを正しく引いて三角形に
撮影:YAMA HACK編集部

ロードリフターストラップ、バックパック上部、ショルダーハーネスで三角形ができるくらいを目安に、ストラップを引きましょう。

【ロードリフターストラップの引き具合の目安】

カモシカスポーツ本店の横井さん

横井さん

ゆっくり引いて「バックパックが寄ってきたな」と、ストラップに少しテンションを感じるくらいが、ちょうどいい引き具合です。

直接見ることができないため、調整が難しいストラップでもあります。はじめは鏡を見ながら調整すると、適正な長さで引ける感覚を掴みやすくなりますよ。

ロードリフターストラップのよくあるNG例 【ギュッと引き過ぎてしまう】

ロードリフターストラップのNG例
撮影:YAMA HACK編集部

ロードリフターストラップを引きすぎると、上半身に荷重が偏ってバランスの悪い背負い方に……。

ショルダーストラップも無理に引っ張られ、フィット感が悪くなるだけでなく、荷重のバランスが崩れて肩の痛みの原因にも。さらに、バックパック背面のクッションも潰れてしまうため、風が抜けにくく、汗による蒸れ感も高まって不快な背負い心地になってしまいます。

【5】 チェストストラップは水平に留める

チェストストラップを正しく留める

いよいよチェストストラップで仕上げです。

チェストストラップの適正な上下の位置は、鎖骨と脇の付け根の中間ほど。左右が水平になるように調整しましょう

位置を調整できたら、ショルダーハーネスを肩幅に合わせるように、チェストストラップを引きます。ストラップを引きすぎて胸が苦しくなってしまったら、パーツを手前に引いて調整しましょう!

【上下の位置を調整できるチェストストラップ】

カモシカスポーツ本店の横井さん

横井さん

多くのバックパックのチェストストラップは、上下にスライドさせて位置を調整できます。モデルによってはクリップなどで調整できるものもあるので、上下の位置は必ず調整しましょう。

チェストストラップのよくあるNG例 【捻じれて付けてしまっている】

チェストストラップのNG例

自分では胸元が見えにくいために、チェストストラップが捻じれて留まっている、なんてことも。まっすぐ留まっているか、目で見て手で触って確かめましょう。

チェストストラップの位置が首に近いと、転倒したときなどに首を締めてしまうキケンもあります。最後まで抜かりなく、バックパックを正しく背負う仕上げをしましょう。

教えて!登山中の3つの疑問

登山中にふと思った疑問を横井さんに聞いてみました。

Q1:バックパックを背負うたびに、5つの手順が必要?

バックパックを下ろして休憩中の登山者
出典:PIXTA

カモシカスポーツ本店の横井さん

横井さん

はい、5つの手順で背負い方を毎回調整してください。バックパックの中身が減ることによる重量変化や、自分の疲れ具合によって、その時のちょうどいい背負い心地が変わってきます。

毎回は少し手間に思うかもしれませんが、バックパックを下ろすときにストラップを全部緩めるクセをつけておくと、5つの手順の調整を背負うときの習慣にできますよ。

Q2:登山中に、バックパックの重さで肩や腰が痛くなったら?

登山中に肩や腰に痛みを感じる登山者
出典:PIXTA

カモシカスポーツ本店の横井さん

横井さん

たしかに、重いバックパックで長時間登っていると肩や腰が痛くなってきますよね。

肩が痛い場合は、ショルダーハーネスを緩めて腰への荷重を多くします。腰が痛い場合は、ウエストハーネスを緩めて肩への荷重を多くしてあげます。痛くない方で背負って、痛い方は休ませてあげるイメージですね。痛みが治まってきたら、また正しく背負いましょう。

Q3:バックパックのサイズで、背負い方の手順は変わる?

大型バックパックを正しく背負う登山者
出典:PIXTA

カモシカスポーツ本店の横井さん

横井さん

背負い方に違いはありません。バックパックのモデル次第では、備わっているストラップに違いがあるかもしれませんが、基本的には同じ手順で背負ってもらえれば大丈夫です!

バックパックを正しく背負って、登山を快適に!

バックパックを正しく背負う登山者
出典:PIXTA

たくさんありすぎて分かりにくかったバックパックのストラップ。その役割や手順などの基本知識をしっかり理解すれば、重たい荷物でもより快適に背負えることが分かりました。

5つの背負い方の手順を踏まえながら、ちょうどいい背負い心地を探っていきましょう。バックパックの背負い心地が軽くなれば、登山中の視界も開けて、きっとこれまでよりも山が楽しく安全になりますよ!

【教えてくれた登山専門店】

提供:カモシカスポーツ

カモシカスポーツ 山の店・本店

〒169-0075
東京都新宿区高田馬場1–28–6・2F
営業日:定休日なし
営業時間:平日 11:00 – 19:30 土日祝 11:00 – 19:00

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