悩みを解消してくれた2足目との、運命の出逢い
2021年の夏、知り合いに誘われて登山を始めた筆者。正直初めは登山にハマると思っておらず、本格的な登山靴ではなくタウンユースのローカットアウトドアシューズを購入していました。
しかし、登山にハマってさまざまな山を歩くうちに「過去の怪我が原因で足首への負担が不安」「より難易度が高い山や不安定な登山道でライトなシューズは心もとない……」と思うように。そんな悩みを解決すべくハイカットで多用途に活用できるシューズを探していると、運命の1足に出逢いました! それは……
強いグリップ力と柔軟性でマルチに使えるスポルティバの「TX5 GTX®」
TX5は、アプローチシューズと呼ばれる種類の靴が並ぶ「TX(トラバースX)」シリーズのひとつ。アプローチシューズの快適さや軽さを担保しながら、ハイキングシューズとして昇華させた性能であることが、TX5の特徴です。スポルティバの中では登山靴にカテゴライズされています。
アプローチシューズと登山靴のいいとこ取り!
TX5はアプローチシューズをベースに、スポルティバを代表する汎用性の高い登山靴「TRANGOシリーズ」の機能を融合。そのため、「履きやすさ」「ほど良い柔らかさのソール」はもちろん、しっかりとした「足首のホールド力」を兼ね備え、登山靴とアプローチシューズの“いいとこどり”のようなモデルとなっています。
また、TXシリーズのアプローチシューズは細身であるのに対し、TX5は母指球より前の部分が広く高くアレンジされています。さらに「TRANGOシリーズ」よりも足囲にややゆとりのあるつくり。そのため、スポルティバのシューズを履いて足幅が細めだと感じた方にもTX5は合うかもしれません。
ハイカットモデルとローカットモデルを展開
ハイカットモデルとローカットモデルがあるTX5。ハイカットは足首周りのホールド感、ローカットは軽快感に特化した形となっています。アッパーの素材や防水性能は同様です。
足首へのダメージに不安がある方は固定力の高いハイカット、軽量化重視でフランクな登山を楽しみたい方はスニーカー感覚で履けるローカットが活躍するでしょう。
筆者が選んだのはハイカットモデル。本記事ではハイカットモデルを中心にレビューします。
山をさらに楽しみたい方にTX5 GTX®をおすすめする理由
数あるシューズの中で、TX5を選んだ決め手は以下の3つ。
・安心して歩ける包容力と適度なフィット感
・どんなフィールドでもマルチに使える万能さ
・長年山靴を作り続けてきたからこその信頼性
この魅力についてご説明します。
安心して歩ける包容力と適度なフィット感
程よいクッション性と厚みのある履き口が、しっかりと足首を固定。また、甲部分にあるタンが足入れ部と繋がっていることで筒状になり、より足首全体を包み込んでくれる仕様になっています。

私は過去の怪我が原因で左足首が固いため、石や岩の多いラフなフィールドでは必要以上に足首に負担をかけがちでした。そのため、重要視していたのは足を守ってくれる安心感。店頭で試し履きをしたとき、「なんだこのフィット感!」と思ったことを今でも覚えています。 心配していた足首への負担や捻挫への不安も吹き飛びましたね。
どんなフィールドでもマルチに使える万能さ
TX5は、春・夏・秋と多彩なシーズンで活躍することはもちろん、さまざまな路面コンディションに対応するオールラウンダー!
使用しているのは圧倒的なグリップ力で定評のあるVibram®社のソール。天候に左右されずグリップ力を発揮する「メガグリップ」と、ブレーキ性能アップや衝撃吸収を可能とする「インパクトブレーキシステム(Vibram®社と共同開発)」というラグパターンを採用しています。
インパクト
ブレーキ
ラグの側面と配置が斜めになっていることで、より多くの箇所が地面と接し、高いブレーキ力を実現しています。登りでも下りでもしっかりと地面をつかみ、不整地でも安定しやすいことがポイント。また衝撃吸収性に優れ、快適な歩行をサポートします。

山靴を作り続けてきたからこその信頼性
登山初級者でも、ブランド名を知る人が多いスポルティバ。本格派でありながら王道を走り続けてきたブランドです。靴を作り続けて90年以上。その長い月日の間、アプローチシューズ、登山靴を作ることにより培われた技術力を集結し、TX5が誕生しています。

TX5 GTX®を使用して感じた良いポイント
いろいろな靴を試し履きし、その中から選んだTX5。約1年ほど使用していると、TX5の“良さ”がさらに分かってきました。
【ポイント1】安定感に加え、柔軟性もある
ハイカットだと足首がガッチリと固定されすぎてしまうのでは?と思う方もいるかもしれませんが、TX5は一味違います。
ホールド力はしっかりと発揮しながらも、3Dフレックスシステムを採用しているため動作への阻害感が少なく、ストレスフリーで登山を楽しむことができます。
傾斜地でもしっかりと地面に足を下ろすことができるため、スリップのしにくさも特徴です。
この技術により足首が柔軟に動くようになり、一般的な重登山用のレザーブーツに比べて接地地面が4〜5倍へと増加!衝撃をしっかりと地面に逃がしてくれるため、疲労軽減に繋がります。
【ポイント2】使い方次第で4シーズン通して履ける
3シーズン用のTX5。ワンタッチ式アイゼン用のコバはありませんが、ベルト式の軽アイゼンは取り付け可能です。厳冬期の冬山登山で履くことは難しいですが、残雪期の中低山程度であれば、活躍できるでしょう。
また、アッパーの内側には防水・透湿性のあるGORE-TEX®を採用しているため、足を濡らさず快適に歩けることも魅力。
とはいえ、雪山を想定した冬靴のように保温材が入っているわけではないため、環境に応じて厚手の靴下を着用するなどの冷え対策が必要です。
【ポイント3】自分の経験とともに変化するレザー
アッパーに使用されているのは、しっとりと柔らかいヌバックレザー。自分の足の形に馴染んでいくさまは、履くたびに自分の足を覚えてくれるような感覚です。また、使い続けると独特のツヤが生まれて表情が変わってくる面白さも。多くの人から愛されているシューズではありますが、「自分だけの1足」へと変化していきます。
少し悲しいのは、ソールが交換できないこと
TX5はソールの交換ができません。そのため、ソール交換が可能な登山靴に比べると、使用し続けられる期間は短め。散歩やキャンプなどでも活躍するシューズのため、愛着を持ってさまざまなシーンで長く履き続けたいと思いますが、そうもいかないことが難点です。
シーンに合わせて活用するのが吉
TX5は一般的な登山靴と比べて、ソールが柔らかめ。そのため、中低山への登山や、山小屋泊などの荷物を軽量化して行う登山に向いています。重い荷物を背負って行う長時間の登山や縦走にはあまり向いていないため、「テント泊にもチャレンジしたい!」「山で何泊も過ごして縦走したい!」という方は、スポルティバのTRANGOシリーズがおすすめです。
安心して足を預けられる唯一無二の相棒に
軽やかな履き心地、優れたホールド力、軽快に歩ける柔軟さなどを兼ね備え、さまざまなシーンで活用できるTX5。スポルティバの技術を結集させた1足です。

筆者と同じように「足首をしっかり固定したい」「多彩なフィールドで使用したい」という思いをお持ちの方には、“新たなシューズ選びの選択肢に入れて欲しい”と胸を張って言えるアイテムです。ぜひ一度お手にとってみてはいかがでしょうか?
LA SPORTIVA TX5 GTX®(メンズ)
価格 | 34,100円(税込) |
---|---|
重量 | 約530g |
ライニング | GORE-TEX |
LA SPORTIVA TX5 LOW GTX®(メンズ)
価格 | 30,800円(税込) |
---|---|
重量 | 約470g |
ライニング | GORE-TEX |
LA SPORTIVA TX5 GTX® (ウィメンズ)
価格 | 34,100円(税込) |
---|---|
重量 | 約480g |
ライニング | GORE-TEX |
LA SPORTIVA TX5 LOW GTX®(ウィメンズ)
価格 | 30,800円(税込) |
---|---|
重量 | 約380g |
ライニング | GORE-TEX |