世界初のチタン製コッヘルを誕生させた老舗メーカー「VARGO(バーゴ)」
バーゴとはチタン製のギアを多く扱う、アメリカのアウトドアブランド。軽量かつ頑丈な製品はユーザーからの信頼も厚く、世界初のチタン製コッヘルを誕生させたメーカーとしても有名です。
近年ウルトラライト(U.L)の登山スタイルがブームとなっている中、超軽量✕タフなギアを扱うブランドとして改めて注目を集めています。
「チタニウムトライアドマルチフューエルストーブ」ってどんな製品?
そんなバーゴが2004年に初めてストーブを開発し、以降バーゴの代名詞となっているのがこの「チタニウムトライアドマルチフューエルストーブ」。
あのモンベルも実店舗で取り扱うなど、アウトドア界でも高い評価を得ている商品です。
基本的な性能はこちら。
価格 | ¥6,160(税込み) |
サイズ | D89×H30mm |
重量 | 30g |
素材 | チタン |
タンク容量 | 44ml |
燃焼時間 | アルコール20分、固形燃料12分 |
火力については、500ccの水を約5,6分で沸かすことが可能(公式HP情報)。それだけの火力があればアウトドアシーンでも十分活躍してくれるアイテムと言えます。
さらに洗練されたデザインも人気の理由の一つ。他ではあまり見られない6つの爪が付いた特徴的なボディが多くのハイカーの心を掴んできました。
「チタニウムトライアドマルチフューエルストーブ」の3つの特徴
ここからは「チタニウムトライアドマルチフューエルストーブ」の詳細機能について、3つのポイントでご紹介します。
①「6本の爪」が大活躍!
「チタニウムトライアドマルチフューエルストーブ」の一番の特徴といえば、上下に付属された6本の爪。この爪がたくさんの役割を果たしてくれるんです!まずはその代表的な使い方からご紹介。
(1)ゴトク代わりに
アルコールストーブは基本的に直接コッヘルなどが置けないため、別途ゴトクを用意する必要がある商品が多いですが、本製品ではそれが不要。3本の爪を立てるだけでゴトクの役割を果たしてくれます。
(2)ストーブの固定に
アルコールストーブの小さな本体の上で、熱々のお湯を沸かすのはちょっと怖い……。そんなときは下側の3つの爪の地面に差し込めばOK。アルコールストーブ自体が安定するため、やや重めなクッカーをのせてもしっかり支えてくれます。ただ当然ではありますが、爪を差し込める柔らかい地面や芝などではない地面限定です。
(3)燃料がボトルに戻しやすい
ストーブ内に余った燃料は冷やしたあとでボトルに戻す必要がありますが、それも爪を伝って戻せば簡単。タンクが44mlもあると燃料が余ることは意外に多いので、戻しやすいのは使い勝手でも嬉しいポイントです。
②実は複数の燃料が使用可能
「マルチフューエル」という名前の通り、アルコール以外にも「固形燃料」と「ジェル状の燃料」も利用可能です。使い方は本体を裏返して、凹み部分に燃料を乗せるだけ。
基本的には液体アルコール燃料を使うことが多くなると思いますが、気温が低くアルコールの付きが悪いことが予想されるされるときは固形の燃料も持っていくなど、状況に合わせた使い方ができるのがこの製品の嬉しいポイントです。
③軽量 ✕ 頑丈 ✕ コンパクトの三拍子
上の写真は「バーナー本体」「ライター」「固形燃料」をスタッキングした様子。これだけでバーナーセットが完成します。これだけコンパクトにまとめられるのは爪を折りたたむことができる本製品だからこそ。
さらにチタンで作られていることから、重さは30gしかないため、携行性にも優れています。
実際にフィールドで使ってみた!
公式情報によると、500ccのお湯が5~6分で沸くとのことでしたが、この結果は気温や風によってだいぶ変わってしまうもの。
そこでちょっと冷え込み始めた山での性能はどうなのか?10月中旬の尾瀬ヶ原で、実際にフィールドテストをしてみました。
【条件】
燃焼時間は?→ほぼ公式通り
まずは燃焼時間から。公式では20分となっていますが、今回は……
19分27秒
ほぼ公式通りの結果となりました。極端に風や強かったり、温度が低かったりしなければある程度安定した時間燃焼してくれそうです。
沸騰にかかる時間は?→やや時間がかかる結果に
次に沸騰にどれくらい時間がかかるかを調べるため、200,300,400,500ccの4パターンで沸騰時間を調査。ちなみに公式によると500ccなら5~6分で沸かせられるとのことでしたが、結果はいかに‥!
<沸騰までかかった時間>
200cc | 4分37秒 |
300cc | 6分32秒 |
400cc | 8分30秒 |
500cc | 10分39秒 |
結果、500ccで10分39秒かかったため、公式の約2倍の時間がかかることとなりました。
やはりアルコールストーブの特性上どうしても気温などの外部環境に影響は受けやすく、公式ほどの火力を発揮できないタイミングも多そうなことがわかりました。
よって気温・水温共に低いときに大量のお湯が欲しい場合には相性は△。ゆったり待てる時や、コップ一杯分程度のお湯が欲しいときのほうが相性はいいと言えます。
これは本製品の特徴というよりも、アルコールストーブ全般の特性のため仕方なくはありますが、使うと決めた時点で「ゆったり気長に待つ」「むしろその時間を楽しむ」という心構えは必要そうです。
その他使って気づいたポイント
本燃焼までに時間がかかる
この製品でよく言われることではありますが、火をつけてから本燃焼に至るまでやや時間がかかります。そんなところもこのアルコールストーブらしい「味」とも言えますが、疲れているときはやや面倒に感じてしまうことも。
より早く本燃焼を始められる方法はないか?
VARGOに問い合わせてみたところ……このような回答が。
押し出された炎がアルコールを温めてくれるので、より早く着火してくれるのです。


上の写真のように、炎の熱が下のストーブを温めてくれるようです。本燃焼までの時間が気になる、という方は是非試してみてください!
クッカーの底サイズは10~16cmがベター
一緒に使うクッカーのサイズはどれくらいが良さそうか、底サイズが7.5cm(シェラカップ)、10cm、16cmの3サイズを試してみましたが、10~16cmくらいがベターな結果に。
10cmより小さいと爪の間にクッカーを挟むことになり、利用は可能でしたが若干安定性が不安でした(一番左)。10cm以上だとしっかり爪に乗せることができるので安定感は高め(真ん中と右)。
16cm以上でももちろん使えますが、大きすぎると火力が足りなくなり、安定性も落ちてしまうため、16cm以下くらいが良さそうです。
はじめての方にもオススメしたい「チタニウムトライアドマルチフューエルストーブ」
「チタニウムトライアドマルチフューエルストーブ」をご紹介してきました。若干のクセはあるものの、ゴトクが不要だったり、安定性が高かったりと、意外と初めてアルコールストーブを使う方にも使いやすいアイテムになっています。
ガスバーナーであっという間にお湯を沸かせるのもいいですが、あえてゆったりと湯を沸かして、より濃密な山の時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
今回紹介した商品
VARGO(バーゴ) トライアドマルチフューエルストーブ
価格 | ¥5,720(税込み) |
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サイズ | D89×H30mm |
重量 | 30g |
素材 | チタン |
タンク容量 | 44ml |
燃焼時間 | アルコール20分、固形燃料12分 |