分離型ガスストーブは重い?かさばる?
登山での調理に欠かせない携帯型ストーブ(バーナー)。さまざまな燃料を使うストーブがある中、現在では手軽さからOD缶(ガスカートリッジ)を使うガスストーブが主流です。
分離型は高い安定性がメリット、重くてかさばるのがデメリット
ガスストーブには、OD缶の上に燃焼部を接続する「一体型」、OD缶にホースを接続して燃焼部を別に置く「分離型」の2種類があり、以下のようにメリット・デメリットがあります。
分離型 | 一体型 | |
メリット | バーナー位置が低く、脚が広がり安定している | 脚部がないため、軽量でコンパクト |
デメリット | ホース・脚部があるため重くなりコンパクト性に欠ける | バーナー位置が高く、安定性が悪い |
軽量コンパクトな分離型が誕生!
今回紹介する<SOTO(ソト)>FUSION Trek(フュージョントレック)は分離型のガスストーブ。従来の分離型のメリットは大きなクッカーでも安定して使用できる事ですが、その分、重くてかさばるというのがデメリットでした。
しかし、フュージョントレックは、分離型なのに軽量コンパクトというのが特徴。実際に試して使用感を紹介します。
軽量性と安定性を両立!フュージョントレックの特徴は?
フュージョントレックは軽量コンパクトながら高い安定性を持つガスストーブ。しかし、それ以外にもさまざまな特徴があります。ここからは細かく見ていきましょう。
200gを切る軽量性とコンパクト収納
フュージョントレックは182gと軽量。さすがに一体型ほどではありませんが、3本のゴトクを折りたたむとかなりコンパクトになります。
付属の収納袋に入れても、18cm角の大きめのクッカーにスッポリ入りました。
2アクション!組立簡単
組立はとても簡単。「①OD缶に接続」して「②ゴトクを開く」2アクション。収納する場合は、この逆です。
細かい作業は無いので冬山登山用の厚手グローブをしたままでもOKでした。
不整地でも使える3本脚
ゴトクと一体化した3本の脚でしっかりとバーナーやクッカーを支えます。
脚の先は小さめなので、石が多い河原でも置き場に困りません。「キャンプ場でストーブ置き場を探して一苦労」なんてことも少なくて済みそうです。
クッカーを安定させるゴトクのすべり止め
安定した火力の「マイクロレギュレーター」搭載
フュージョントレックは「マイクロレギュレーター」搭載なので、冬でも長く安定した火力を保ちます。
ガスカートリッジを使う場合、低温環境やガスの連続使用による気化熱によって、ガスの圧力が低下することがあります。その場合、ガスの火力が弱くなってしまい、お湯がなかなか沸かないなんてことに。その圧力の変化を調整するのがマイクロレギュレーターです。
耐風性に優れるバーナーヘッド
風を防ぐこともストーブの火力を安定させるポイントです。フュージョントレックのバーナーヘッドは、短い火足で300個以上の炎口と、すり鉢形状により、高い耐風性を持っています。
OD缶側で安全に火力調整
フュージョントレックの火力調整用ツマミはガスカートリッジ側。一体型のようにバーナー直下ではないので安全です。しかも長く大きいので、厚手グローブをしていてもつかみやすくなっています。
点火には別途ライターなどが必要なので注意
3本ゴトクの安定感は?大小のクッカーを載せてみました
フュージョントレックの特徴を見てきましたが、実際にクッカーを使い、安定性やお湯の沸き具合、使用感を確認しました。
使用したクッカーは以下の3種類。
・シェラカップ(200cc)
・小型クッカー(500cc)
・大型クッカー(1.5リットル)
なお、記事内に沸騰するまでの所要時間を記述していますが、気温や風、そのほかの諸条件で変わります。試した日は気温6℃、ときおり北風が吹き付ける寒い日中です。
シェラカップ 200cc
筆者は冷めたスープやコーヒーを温める時、シェラカップを直接火にかけます。
フュージョントレックはバーナーヘッドが大きく、ゴトクの間が広いので、底面直径7.8cmのシェラカップが載るか不安でしたが、なんとか載りました。ただし、ちょっとズラすと落ちてしまいそう。
チタンのシェラカップに200ccの水を入れましたが、沸騰するまで約1分30秒、あっという間でした。
小型クッカー 500cc
ちょっとした調理やカップ麺のお湯など、ソロでの行動でよく利用するチタン製クッカーに500ccの水を入れ沸かしてみました。
底面直径12cmのクッカーを載せてもゴトクが余り、とても安定感があります。
4分で沸騰。煮込み料理を想定して、お玉でお湯をかき混ぜてみましたが、全体が揺れるような気配はなし。安定性に不安はありません。
大型クッカー 1.5リットル
本格的に調理する場合や、複数人で使用する時に使う1.5リットルのアルミクッカー。さすがにストーブがクッカーに隠れて見えません。
安定感に不安は無く、底面横幅15cm(対角18cm)の重いクッカーをしっかりと支えています。
沸騰するまで約10分。ここまでシェラカップ、500ccクッカーと連続して使っているので、OD缶の圧力は少し下がっているはず。それでもマイクロレギュレーターのおかげで、予想時間内に沸騰しました。お玉でかき混ぜましたが、クッカーのハンドルを持たなくても不安はありません。
SOTO「フュージョン」との違い、使用シーンは?
SOTOには、同じ分離型ストーブとして「フュージョン」があります。2モデルの違うポイントをまとめてみました。
フュージョントレック SOD-331 | フュージョン ST-330 | |
外形寸法 | 幅430X奥行140X高さ100mm(使用時・本体のみ) 幅110X奥行60X高さ100mm(収納時) | 幅350×奥行120×高さ90mm(使用時・本体のみ) 幅150×奥行75×高さ90mm(収納時) |
ゴトク | 160mm(外径)、62mm(内径)、3本 | 165mm、4本 |
重量 | 182g | 250g |
発熱量 | 3.5kW(3,000kcal/h) | 2.6kW(2,200kcal/h) |
使用時間 | 約1.3時間(SOD-725T 1本使用時) | 約1.5時間(ST-760 1本使用時) |
ガスカートリッジ | OD缶 | CB缶 |
点火方式 | 無し | 圧電着火方式 |
付属品 | 収納ポーチ | – |
税込価格 | 9,900円 | 9,900円 |
大きく違うポイントは以下の4点です。
1.ゴトクの数(脚の数)
2.重量
3.発熱量
4.使用するガスカートリッジ
登山で使うならフュージョントレック
フュージョンは4本ゴトクで脚も4本、フュージョントレックに比べれば安定性は上です。ただし、接地面が広がり、4点が平行である必要があるので、使用する場所を選びます。トレックは重量が軽く、コンパクトなOD缶を使用、火力の大きさ、3本脚による不整地での使いやすさを考慮すると、
・山岳など様々な厳しい環境で使うならフュージョントレック
・キャンプ場など、ある程度安定した場所で使うならフュージョン
と言えるでしょう。
際立った火力と安定感!煮込み料理に重宝しそう
2021年12月のリニューアルで発熱量アップ
2021年12月出荷分から、ガス噴出口がトリプルからシングルジェットに、発熱量が3.3kW(2,800kcal/h)から3.5kW(3,000kcal/h)へパワーアップしています。もともと高い発熱量がさらに高くなりました。
SOTO公式|フュージョントレック SOD-331