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生地の知識と熟練の縫製技が織りなす美しさ

創業者は、上の写真の王 吉剛(ワン ジガン)氏。中国のテント工場「青島帆布」で18年間テント製作を手掛けた後、「いつかは世界一と言われるようなテントブランドとなりたい」と独立したそうです。
品質にこだわり、自社工場をつくったブランド

すると独立前からのワン氏の仕事を知るハイエンドアウトドアブランドや品質の噂を聞きつけたブランドが、TFSの自社工場にテントを始めとした縫製製品の生産を委託するようになったそう。間もなく、ハイブランドのテントの企画・設計・開発・生産、つまりテントづくりのすべてを行なうODM生産工場として、業界屈指の評判を得ることに至りました。
世界随一のシワのないテント

今回、TFSの日本展開を手掛ける輸入元からテントを借りて実際に張ってみたところ、驚きました! ポールをセットしペグダウン。テンションコードを引いて、当たり前に張っただけで、本体に歪みやシワは皆無。いや、本当に美しくて、しばらく見惚れてしまいました!
上の写真、スチーマーを当ててシワを伸ばしたり、写真のフレーム外で引っ張ったりなんてしていません。ただフツーに張って、この張りなんです。

でも、本体部分のフライはピン!と張っていて、初めて設営しても、「あれ、なんかキレイに張れないなぁ」なんてことがありません。
この美しい張りは、ワン氏が長年テントの設計を学び、生地の特徴を理解した裁断によって実現しているといいます。
例えば部位ごとに繊維の方向までも考慮して最適な生地を裁断、ノビの異なる生地の特性を考慮した微妙なサイズ調整も行なうそうです。

関わるすべての職人の品質に対するこだわりが、世界随一のシワのない美しいテントとして形作られます。
「いつかは世界一」というワン氏の目標は、美しさに限ればすでに実現できているでしょう!
TFSのラインナップは、4つのカテゴリーに分かれています

BLACK LABEL:TFSのスタンダードとなるテント。生地やポールなどの素材を、主に品質の安定した中国トップサプライヤー製品で構成したコストパフォーマンスに優れたシリーズ。
BLUE LABEL:ライトウェイトなテント。軽量さを追求し、生地やポールなどの素材を世界のトップサプライヤーの軽量な部材で構成したシリーズ。
RED LABEL:アドベンチャーにも対応するテント。特に耐久性の高い生地・構造を採用した冒険者に捧げるシリーズ。最高級の生地で構成し、重量比世界最高水準の強度を持ちます。
WHITE LABEL:ベースキャンプに使用する大型テント。ポールにDAC社、YUNAN社製品を採用することで、軽量さと強度を兼ね備えたシリーズ。
日本の山岳環境、登山者の好みに合わせたテントも多い

TFSには、いわゆるファミリーテントのような、コスパと大きさ重視のテントはなく、1~2人用の小型テント、しかも山岳用が中心です。また4つのレーベルのうち、登山に積極的に活用したいのは、「BLUE」と「RED」です。とはいえスタンダードな「BLACK」が登山で使えないという訳ではありません。それに日本で販売されるモデルは、軽量化を強化、インナーテントもメッシュではなくモノフィラメントパネルを採用するなど、日本の山岳環境、登山者の好みに合った仕様のものが多くあります。
山岳用テントには珍しいナチュラル系カラーも特長


赤系もありますが、発色は渋め。今回借りた「パンゴリン プロ 3S」はススキの穂のような茅色(かやいろ)、「ゴロミティー」はグレーがかった深緑の山鳩色。
テント内に入ると、その色合いは美しく、疲れた身体、緊張した精神を和らげてくれるように思えます。美しさの追求は、張りだけでなく、テントカラーからも感じられます。
ダブルウォール・自立型山岳テントの「PANGOLIN PRO」

価格:¥48,070(税込)
重量:1,280g(3シーズン)、1,300g(4シーズン)
日本の山岳環境、そして日本の登山者の好みにもっともフィットするであろうテントがコレ。モデル名は、「センザンコウ」という動物名。そのフォルムが、テントとよく似ているからでしょう。
その美しい佇まいは、TFSのなかでも随一。重量は超軽量とまではいえませんが、山岳テントとして必要十分な軽さです。


Y字ポールが生む曲線がたまらない!


でも、これは、スムーズ!

前室部分のギミックがおもしろい!

ただし、フライの出入り口部分は、ジッパーでパカッと開けられる構造なので、晴天時なら空を眺めながらごろ寝することが気持ちよさそうです。

こうしたギミックは、長辺側の横開きのテントでは時々見かけますが、短辺側が出入り口のテントではかなり珍しい仕様。ストイックな山岳用というだけでなく、さまざまなアウトドア・アクティビティでも活用したくなります。
本体サイドの張り綱が美しさを生む!

さらにこの張り綱部分はインナーテントとも連結するストラップが備わっていて、テント内空間を広げています。そして、風の影響を受けやすいY字ポールテントに、強度をもたらします。張り綱部分の下のレインフライのスソ部分は、傘のような形状で、張りをさらに強くし、インナーテントへの風雨の吹き込みも抑えてくれます。
なるほど、パンゴリン プロは、ただ美しいだけでなく、機能美を備えたテントだったのでした。
前室付き1人用シングルウォール「GOROMITY」

価格:¥66,000(税込)
重量:1,580g
テント生地に防水透湿素材を使用した、インナーテントを持たないシングルウォールテント。多くのシングルウォールテントは軽さを求めて作られますが、このゴロミティは、厳しい山岳環境にも耐える強度と使い勝手のよさを装備させたテントです。
間もなく完成ということで、今回紹介している仕様は、その途中段階のサンプルです。でも、その機能性の高さは、完成品に大きな期待を持ちたくなるレベルです。

実際に触ってみると、なるほど確かに、最近の軽量化追求テントにはない、しっかりとした厚みがあります。UL系テントの多くで、ボトムに穴を開けてしまう……ということが増えている昨今、コレは本当に安心感があります!
X字+リッジポールが生む強度と前室空間

中国ブランドのテントでは、無名ブランドのジュラルミンポールであることが多いですが、TFSはハイブランドと同じポールです。

シングルウォールテントは、軽量さや設営の早さを重視。前室を持たないものが多くあります。でも前室がないと、出入りの際にテント内に雨が吹きこんだり、シューズもテント内に入れる必要が出てきて、なにかと不便です。
ゴロミティは設営を素早く行なえる上に、前室も装備。シングルウォールテントのよさはそのまま、短所を改善しています。
片側出入り口、片側荷物置き場という割り切り

必要以上に重くならないように、しかし快適さは失わずという試行錯誤が見られますが、前述の通りコレはサンプル。完成品では仕様が変わっているかもしれません。

「美しい」は、ストレスフリー

それは、これまで使ってきた多くのテントで「まぁ、テントって、こういうモノだよね」という、諦めに似た感情でした。美しいと評判のテントも使ったこともありました。でも、それらは設営が難しかったり、大変だったり……。
逆に設営はとても簡単にできるのだけれども、フライに張りがなく、テント内に入るとフロアに大きなシワが出ていたり……。
しかしTFSのテントは違いました。簡単に張れるのに、美しい。しかも実用的なアイデアも盛り込まれ、道具としての楽しさもあります。美しさはストレスフリー、しかも使う人をワクワクさせるものなのだと初めて知った、テントでした!
是非、山で使ってみたい!
それでは皆さん、よい山旅を!
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