美しすぎる張り姿!中国発のテントブランド<THE FREE SPIRITS>を試し張り

2021/12/01 更新

中国ブランドのテントというと、安価でそれなり、時にはアレレなものが多いイメージかもしれません。でも世界の名だたるハイエンドブランドが製作を依頼する自社工場を持っている〈THE FREE SPIRITSー自由之魂ー〉のテント。その実力やいかに!?


アイキャッチ画像:ポンチョ

生地の知識と熟練の縫製技が織りなす美しさ

TFS創業者のワン ジガン氏
撮影:ポンチョ
中国の山東省青島市で2011年に創業した<THE FREE SPIRITS-自由之魂->。ブランド名の由来は、2009年中国人登山家が登った四川省の山「スーグーニャンシャン)」の新ルートからだそう。英語表記の頭文字を取って<TFS>とも呼ばれています。

創業者は、上の写真の王 吉剛(ワン ジガン)氏。中国のテント工場「青島帆布」で18年間テント製作を手掛けた後、「いつかは世界一と言われるようなテントブランドとなりたい」と独立したそうです。

品質にこだわり、自社工場をつくったブランド

TFSの中国語表記のロゴ
撮影:ポンチョ
当初、自身がデザインしたテントを中国国内のいくつもの工場に生産依頼してみたものの、納得のいく工場に出合えず……。そこで品質に妥協しない工場を持って自社生産する一大決心をしました。

すると独立前からのワン氏の仕事を知るハイエンドアウトドアブランドや品質の噂を聞きつけたブランドが、TFSの自社工場にテントを始めとした縫製製品の生産を委託するようになったそう。間もなく、ハイブランドのテントの企画・設計・開発・生産、つまりテントづくりのすべてを行なうODM生産工場として、業界屈指の評判を得ることに至りました。

世界随一のシワのないテント

シワのない美しい本体は驚くべきレベル!
撮影:ポンチョ
TFSの品質の高さを物語るのが、テントのシワのない美しさ、そのシルエットだといいます。

今回、TFSの日本展開を手掛ける輸入元からテントを借りて実際に張ってみたところ、驚きました! ポールをセットしペグダウン。テンションコードを引いて、当たり前に張っただけで、本体に歪みやシワは皆無。いや、本当に美しくて、しばらく見惚れてしまいました!

上の写真、スチーマーを当ててシワを伸ばしたり、写真のフレーム外で引っ張ったりなんてしていません。ただフツーに張って、この張りなんです。

美しさは品質の高さ
撮影:ポンチョ
すべてがピンとしているということではなく、前室やファスナーのカバーなど、畳みジワが出る部分もあります。

でも、本体部分のフライはピン!と張っていて、初めて設営しても、「あれ、なんかキレイに張れないなぁ」なんてことがありません。

この美しい張りは、ワン氏が長年テントの設計を学び、生地の特徴を理解した裁断によって実現しているといいます。

例えば部位ごとに繊維の方向までも考慮して最適な生地を裁断、ノビの異なる生地の特性を考慮した微妙なサイズ調整も行なうそうです。

THE FREE SPIRITS ザ・フリー・スピリッツのテントパンゴリンプロ
撮影:ポンチョ
加えてTFS工場で働くベテラン縫製士が熟練の技を注入。
関わるすべての職人の品質に対するこだわりが、世界随一のシワのない美しいテントとして形作られます。

「いつかは世界一」というワン氏の目標は、美しさに限ればすでに実現できているでしょう!

TFSのラインナップは、4つのカテゴリーに分かれています

TFSのテントは4つのシリーズで構成
※TFS日本公式サイトの画像を編集
さて、TFSの日本公式サイトで発表されているテントは全部で12張り。それらは4つのレーベルに分けられています。

BLACK LABEL:TFSのスタンダードとなるテント。生地やポールなどの素材を、主に品質の安定した中国トップサプライヤー製品で構成したコストパフォーマンスに優れたシリーズ。

BLUE LABEL:ライトウェイトなテント。軽量さを追求し、生地やポールなどの素材を世界のトップサプライヤーの軽量な部材で構成したシリーズ。

RED LABEL:アドベンチャーにも対応するテント。特に耐久性の高い生地・構造を採用した冒険者に捧げるシリーズ。最高級の生地で構成し、重量比世界最高水準の強度を持ちます。

WHITE LABEL:ベースキャンプに使用する大型テント。ポールにDAC社、YUNAN社製品を採用することで、軽量さと強度を兼ね備えたシリーズ。

日本の山岳環境、登山者の好みに合わせたテントも多い

日本の山で使用するならブルーかレッドレーベルがいい
撮影:ポンチョ
TFSには、いわゆるファミリーテントのような、コスパと大きさ重視のテントはなく、1~2人用の小型テント、しかも山岳用が中心です。また4つのレーベルのうち、登山に積極的に活用したいのは、「BLUE」と「RED」です。とはいえスタンダードな「BLACK」が登山で使えないという訳ではありません。それに日本で販売されるモデルは、軽量化を強化、インナーテントもメッシュではなくモノフィラメントパネルを採用するなど、日本の山岳環境、登山者の好みに合った仕様のものが多くあります。

山岳用テントには珍しいナチュラル系カラーも特長

ナチュラルなテントカラーがキレイ
撮影:ポンチョ
山岳用テントというと、そのカラーは青、赤、黄の、しかもビビットなものが中心です。遭難時など、それらエマージェンシーカラーが役立つからですが、しかしテント内で過ごす時に安らぎを重視したい場合もあります。だから緑もメーカーによっては用意されていますが、それでも落ち着きを感じられる発色のものは少ないです。

テント内は和める色合いで落ち着く
撮影:ポンチョ
しかしTFSで目立つテントカラーは、ナチュラル系です。

赤系もありますが、発色は渋め。今回借りた「パンゴリン プロ 3S」はススキの穂のような茅色(かやいろ)、「ゴロミティー」はグレーがかった深緑の山鳩色。

テント内に入ると、その色合いは美しく、疲れた身体、緊張した精神を和らげてくれるように思えます。美しさの追求は、張りだけでなく、テントカラーからも感じられます。

ダブルウォール・自立型山岳テントの「PANGOLIN PRO」

TFS随一の美しさを誇るパンゴリン プロ
撮影:ポンチョ
パンゴリン プロ ※2021年12月中旬より発売予定
価格:¥48,070(税込) 
重量:1,280g(3シーズン)、1,300g(4シーズン)

日本の山岳環境、そして日本の登山者の好みにもっともフィットするであろうテントがコレ。モデル名は、「センザンコウ」という動物名。そのフォルムが、テントとよく似ているからでしょう。

その美しい佇まいは、TFSのなかでも随一。重量は超軽量とまではいえませんが、山岳テントとして必要十分な軽さです。

インナーテントはモノフィラメントを採用した3シーズンもでると、ナイロン製の4シーズンモデルから選べる
撮影:ポンチョ
インナーテントは、軽量な撥水モノフィラメント製パネルの3シーズン用と、保温性に優れたナイロン+メッシュパネルの4シーズン用を選べます。3シーズン用でも気温10℃くらいまで快適に過ごせる設定なので、夏山中心の使用であれば問題ありません。

インナーテントやジッパー部までナチュラル系カラーで統一
撮影:ポンチョ
インナーテントの生地、ジッパー部は、レインフライ同様の茶系。特に濃い茶のジッパー部はテントのデザイン、カラーによくマッチしたもので、こうした点からもこだわりの強さを感じられます。

Y字ポールが生む曲線がたまらない!

双Y字ポールは設営簡単
撮影:ポンチョ
テントポールは、ハイエンドブランドがこぞって使用するDAC社製。軽量性を重視したNFLというモデルを採用。1本ポールの双Y字型で、インナーテントの四隅に固定するバックルは、ポールエンドをカチッとはめ込む仕様で、設営がラクです。

ポールの曲線もキレイ
撮影:ポンチョ
インナーテントに装備されたフックをポールに吊り下げて設営。よく吊り下げ式は、袋状のスリーブにポールを通すタイプよりも設営がラクと言われますが、吊り下げ式でも中にはフックを掛けるのにかなり力が必要なものもあります。
でも、これは、スムーズ!

室内空間は1人使用なら十分な広さ
撮影:ポンチョ ※イラスト:TFS
室内幅は出入り口側で130cm。成人男性2人使用では窮屈かもしれません。でも、カップルなら問題なし。ひとりで使うなら快適! ただし、カタログ値210cmの奥行きは、身長174cmの筆者でジャストに感じられたので、大柄な人は対角線に寝るなどの必要がありそうです。

前室部分のギミックがおもしろい!

前室フライはパカッと大きく開けられる
撮影:ポンチョ
前室の奥行きは、65cmあってシューズや荷物を置くには十分。でもフライの高さがないので煮炊きをするには注意が必要そうです。

ただし、フライの出入り口部分は、ジッパーでパカッと開けられる構造なので、晴天時なら空を眺めながらごろ寝することが気持ちよさそうです。

前室フライをアップしてタープ状に使用可能
撮影:ポンチョ
また出入り口部分のジッパータブが4つ備わっていて、左右から開けて、フライの端をトレッキングポール等で持ち上げれば、タープ状に使用することもできます。先ほど前室での煮炊きは注意と書きましたが、このフライをタープ状に低く張れば、風雨を抑えつつ、前室で煮炊きできるでしょう。少し手間ではありますが……。

こうしたギミックは、長辺側の横開きのテントでは時々見かけますが、短辺側が出入り口のテントではかなり珍しい仕様。ストイックな山岳用というだけでなく、さまざまなアウトドア・アクティビティでも活用したくなります。

本体サイドの張り綱が美しさを生む!

美しいだけではなく、機能美といえるテント
撮影:ポンチョ
さて、いろいろ試してみて、なんでこのパンゴリン プロは美しいのだろうと考えた時、目に留まったのが本体サイドの張り綱でした。この張り綱、引くことでレインフライに張りが生まれます。

さらにこの張り綱部分はインナーテントとも連結するストラップが備わっていて、テント内空間を広げています。そして、風の影響を受けやすいY字ポールテントに、強度をもたらします。張り綱部分の下のレインフライのスソ部分は、傘のような形状で、張りをさらに強くし、インナーテントへの風雨の吹き込みも抑えてくれます。

なるほど、パンゴリン プロは、ただ美しいだけでなく、機能美を備えたテントだったのでした。

前室付き1人用シングルウォール「GOROMITY」

TFSの強度自慢のテント、ゴロミティ
撮影:ポンチョ
ゴロミティ ※2021年12月中旬より発売予定
価格:¥66,000(税込) 
重量:1,580g
テント生地に防水透湿素材を使用した、インナーテントを持たないシングルウォールテント。多くのシングルウォールテントは軽さを求めて作られますが、このゴロミティは、厳しい山岳環境にも耐える強度と使い勝手のよさを装備させたテントです。

間もなく完成ということで、今回紹介している仕様は、その途中段階のサンプルです。でも、その機能性の高さは、完成品に大きな期待を持ちたくなるレベルです。

ボトム生地は40Dと厚みがあって丈夫
撮影:ポンチョ
ボトムには強靭な40D TPUラミネート生地を採用し、フットプリントなしでも安心して使用可能。

実際に触ってみると、なるほど確かに、最近の軽量化追求テントにはない、しっかりとした厚みがあります。UL系テントの多くで、ボトムに穴を開けてしまう……ということが増えている昨今、コレは本当に安心感があります!

X字+リッジポールが生む強度と前室空間

ポールはX字+リッジポール
撮影:ポンチョ
装備されるポールは2本です。中央の樹脂パーツを支点にX字に広がる1本ポール。そして支点部分でX字ポールを横断するように配するリッジポール。どちらもDAC社製の強度に長けたNSLというポールを使用しています。

中国ブランドのテントでは、無名ブランドのジュラルミンポールであることが多いですが、TFSはハイブランドと同じポールです。

リッジポールによって生まれた前室
撮影:ポンチョ
さて、リッジポールによって広がったルーフ部分によって、一枚布のシングルウォールテントでは稀少な、前室を装備することができています。

シングルウォールテントは、軽量さや設営の早さを重視。前室を持たないものが多くあります。でも前室がないと、出入りの際にテント内に雨が吹きこんだり、シューズもテント内に入れる必要が出てきて、なにかと不便です。

ゴロミティは設営を素早く行なえる上に、前室も装備。シングルウォールテントのよさはそのまま、短所を改善しています。

片側出入り口、片側荷物置き場という割り切り

出入り口と反対側の後室にも荷物を置いて、アクセス可能
撮影:ポンチョ
特筆すべきは、前室と反対側の空間です。こちらモノフィラメントパネルにジッパーが備わり、出入りはできませんが、そのジッパーを開いてバックパック等の荷物を置き、荷物の取り出しなどのアクセスが可能です。でも、実際に使ってみると、下部分だけでももう少し開けばいいのになぁ、という感じではありました。

必要以上に重くならないように、しかし快適さは失わずという試行錯誤が見られますが、前述の通りコレはサンプル。完成品では仕様が変わっているかもしれません。

シングルウォールテントながら前室を装備
撮影:ポンチョ
重量1580gは、1人用テントとしては、ちょっと重めです。室内空間は高さはあり圧迫感はありあませんが、横幅は必要最小限。しかし前室、そして荷物置き場となる後室を備え、強度を誇るゴロミティは、アウトドア道具らしい質実剛健さを感じるテントでした。軽さだけが、正義じゃないんです!

「美しい」は、ストレスフリー

美しいはストレスフリーと思えたTFSのテント
撮影:ポンチョ
今回、TFSのテントを初めて設営してみてわかったこと。
それは、これまで使ってきた多くのテントで「まぁ、テントって、こういうモノだよね」という、諦めに似た感情でした。美しいと評判のテントも使ったこともありました。でも、それらは設営が難しかったり、大変だったり……。

逆に設営はとても簡単にできるのだけれども、フライに張りがなく、テント内に入るとフロアに大きなシワが出ていたり……。

しかしTFSのテントは違いました。簡単に張れるのに、美しい。しかも実用的なアイデアも盛り込まれ、道具としての楽しさもあります。美しさはストレスフリー、しかも使う人をワクワクさせるものなのだと初めて知った、テントでした!
是非、山で使ってみたい!

それでは皆さん、よい山旅を!

THE FREE SPIRITS-自由之魂-|公式サイト

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THE FREE SPIRITS ザ・フリー・スピリッツのテント
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ポンチョ

「細かすぎるライター」としてアウトドア道具のレビューが評判。道具のカテゴリーは登山、ランニング、自転車、キャンプはもちろん、趣味の料理に使う家電やコーヒー道具までと幅広い。低山ハイクとヨガをMixしたツアー・イベント『ちょい山CLUB』の案内人でもある。

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