マムートの「デュカンハイGTX」は一味違う登山靴? 別モデルと履き比べてみた!

2021/06/19 更新

2019年の発売からマムートの定番シューズにのし上がった「デュカンハイGTX」。最大の特長は、地面からの突き上げを軽減し推進力も提供するという独自技術「フレクストロンテクノロジー」を搭載している点です。その気になる性能を体感するべく、フィールドテストを実施。非搭載モデルと履き比べてみました。いったいどんな違いがあるのでしょうか?

撮影:筆者

マムートの定番人気シューズ「デュカンハイGTX」

デュカンハイGTX
「デュカンハイGTX」は、本格アウトドアメーカー・マムートを代表する登山靴。リリース直後から、搭載する画期的な独自テクノロジーが高く評価され、いまではすっかり人気シューズの一角を担う存在となっています。

最大の特長は「フレクストロンテクノロジー」

フレクストロンテクノロジー
提供:マムートスポーツグループジャパン
多くのユーザーから高評価を集める要因となったのが、「フレクストロンテクノロジー」という新技術。この技術により「デュカンハイGTX」のソールは、金属プレート(スプリングスチールソール)を内蔵しています。一体どんなメリットがあるのでしょう?

踏み込む力が拡散してグリップ力がアップ

フレクストロンテクノロジー
提供:マムートスポーツグループジャパン
スプリングスチールソールは剛性を高めるために波打つ形状に形成されており、踏み込む力が足裏全体へ拡散。グリップ力が向上します。

足裏のねじれを軽減して推進力を付与

フレクストロンテクノロジー
提供:マムートスポーツグループジャパン
さらに、地面からの突き上げと足裏のねじれを軽減し、プレートの反発力が推進力となって登山者の歩行をサポートするという画期的な技術なのです。

スゴそうなのは分かるけど、そこまで違いを感じるの?

フレクストロンテクノロジー
「フレクストロンテクノロジー」の特長は文章を読むだけでもイメージしやすいですが、その性能は本当に実感できるのでしょうか?

そこで、「フレクストロンテクノロジー」搭載の有無で履き心地に違いが現れるのか、フィールドテストを行いました!

別々のモデルを履いて違いをチェック! 気になる結果は……

デュカンハイGTX
左が「マーキュリーツアーⅡハイGTX」、右が「デュカンハイGTX」
今回は、同じくマムートの代表的な登山靴「マーキュリーツアーⅡハイGTX(フレクストロンテクノロジー非搭載)」と「デュカンハイGTX(フレクストロンテクノロジー搭載)」を履き比べ。片足ずつ履き、片道4時間の山道を往復してきました。

ユーシンロッジ
訪れたのは西丹沢にあるユーシンロッジ
1泊2日の沢登りのアプローチで履き比べたので、テントやマットといった基本装備にロープや登攀具が加わり、背負った荷物の重さは少なく見積もっても20kg以上。雪山登山を彷彿とさせる重装備でのテストとなりました。

「デュカンハイGTX」の真価は、総合評価で語るべし!

デュカンハイGTX
ソールの中央に見えるオレンジ色のプレートが「スプリングスチールソール」
フィールドテストの結果を先に伝えると、足裏の感覚は両者ともそこまで変わらず、正直「フレクストロンテクノロジー」搭載の有無のよる明確な違いを感じることはできませんでした。

ただし、「デュカンハイGTX」を履いた右足が地面からの突き上げを感じづらかったのは紛れもない事実。さらに、圧倒的に軽いと感じた軽快な歩行性能は今回のテストで際立ったポイントです。

「デュカンハイGTX」の真価は「フレクストロンテクノロジー」だけに注目するのではなく、アッパーの作りによる軽量性と優れた通気性、フィット感の良さも加味した、総合点で評価したほうがいいと感じました。

「デュカンハイGTX」は、運動量の多い中級登山者におすすめしたい!

実はテスト後に、もうひとつ抱いた感想があります。それは「デュカンハイGTX」が、山に歩き慣れていて歩くスピードが速いなど運動量の多い中級登山者におすすめしたい登山靴、であるということ。

その理由を「フレクストロンテクノロジー」以外の主な4つの特長を紹介しながら説明していきましょう。

①若干薄いパッドで足首を動かしやすい

デュカンハイGTX
「マーキュリーツアーⅡハイGTX」(左)と比べると「デュカンハイGTX」(右)のパッドは若干薄い
「デュカンハイGTX」は足首周りのパッドが比較的薄いので、足首が動かしやすいと感じました。ただし、足首回りのクッション性やサポート力はやや弱い印象。サポート力は「マーキュリーツアーⅡハイGTX」に軍配が上がります。

 
【足首の動かしやすさ】
デュカンハイGTX >>> マーキュリーツアーⅡハイGTX
 
【サポート力】
デュカンハイGTX <<< マーキュリーツアーⅡハイGTX

ライター吉澤
登山に必要な筋力をある程度身に付けた登山者は、比較的足首を動かしやすい「デュカンハイGTX」を履いたほうが軽快に歩くことができると思います。

逆に、足腰に不安がある人は「マーキュリーツアーⅡハイGTX」を選んだ方が無難と言えるでしょう。

デュカンハイGTX
渦巻状に巻き込む形状で、タンの内側部分は生地が重ならない
ちなみに、「デュカンハイGTX」の履き口は生地の折り返しが少なくなる「モノタン」と呼ばれる形状を採用しており、足首付近のストレスはゼロ。ホールド力も高いと感じ、快適な履き心地がありました。


②運動量が多くなってもメッシュのアッパーで蒸れにくい

デュカンハイGTX
アッパーに使われているメッシュのナイロン素材が優れた通気性を提供する
「デュカンハイGTX」のアッパーは、ところどころにメッシュ地を採用したナイロン素材で作られています。高い通気性があり、内部に生じる不快な蒸れが少ないように感じました。

マーキュリ―ツアー
アッパーの全体にラバーが使われている「マーキュリーツアーⅡハイGTX」は守られている履き心地
「マーキュリーツアーⅡハイGTX」は、従来からあるレザーを採用した登山靴。特別な通気性の良さを感じることはありませんでしたが、全体の剛性はこちらの方が上。
 
【通気性】
デュカンハイGTX >>> マーキュリーツアーⅡハイGTX
 
【全体の剛性(サポート力)】
デュカンハイGTX <<< マーキュリーツアーⅡハイGTX

ライター吉澤
運動量が多い人は「デュカンハイGTX」を履いたほうが蒸れを感じずに軽快に行動できると思われます。

逆に、一般的なコースタイムで歩く人は「マーキュリーツアーⅡハイGTX」のサポート力を得たほうが、快適に登山を楽しむことができるでしょう。

③軽量なナイロンアッパーが軽快な歩行をサポート

デュカンハイGTX
後日量ってみると「デュカンハイGTX」は片足538g
アッパーがナイロン素材で作られている「デュカンハイGTX」は重量も抑えられており、履いた感覚はまるでミッドカットやローカットシューズのよう。ハイカットに抱いていた”足枷のように重い”というイメージを覆してくれました。

「マーキュリーツアーⅡハイGTX」は片足608g。わずが70gの差でも足に感じる負担は大きい
一方、アッパーにレザーを採用した「マーキュリーツアーⅡハイGTX」は、「デュカンハイGTX」と比べると明らかに重たいと感じます。
 
【軽量性】
デュカンハイGTX >>> マーキュリーツアーⅡハイGTX

ライター吉澤
「デュカンハイGTX」は、歩くスピードが速いといった登山者におすすめ。履いたときに感じる軽さは大きなアドバンテージになるはずです。

とは言え、「マーキュリーツアーⅡハイGTX」の堅牢性も見逃せません。登山靴にサポート力を求めるなら、こちらから検討するといいでしょう。

④肝心なフリクション性はイーブン!

デュカンハイGTX
岩、土の上はもちろん、砂利が混ざる場所でもしっかりグリップしてくれた
登山靴の要ともいえるアウトソールのフリクション性能については、両者に違いを感じることはありませんでした。

デュカンハイGTX
左が「デュカンハイGTX」、右が「マーキュリーツアーⅡハイGTX」。デザインは違っても性能に大きな差は感じられなかった
いずれも溝の深いブロックパターンを備えており、土、岩、木道など、登山道に現れる様々な路面状況に対して、確実にグリップしてくれました。
 
【フリクション性】
デュカンハイGTX === マーキュリーツアーⅡハイGTX

ここも良かった!「デュカンハイGTX」の注目ポイント

「デュカンハイGTX」には、さらに特筆したい特長があります。簡潔に3つ紹介しましょう。

①アシンメトリーのシューレースでフィット感がいい

デュカンハイGTX
左の「マーキュリーツアーⅡハイGTX」と比べると、フィット感を調整できる範囲の違いがよく分かる
左右非対称のシューレースで、全体のフィット感を高めることが可能。さらに、つま先付近までフィット感を調整できる点も特長で、軽い荷物を背負って駆け足で歩くファストパッキングのような激しい動きにも対応します。

②3Dデザインで履いた瞬間に隙間なくフィット

デュカンハイGTX
中央部分が外側に膨らんでいる立体的な形状。くるぶしが痛くなりにくい
特に足首回りが立体的なデザインで作られており、よく見ると、くるぶしに当たるポイントが外側に膨れているのが分かります。靴を足に馴染ませるといった準備期間を必要とせず、履いた瞬間からほぼ隙間なく足にフィットしてくれました。

③金属のシューレースフックで激しい使用にも耐える

デュカンハイGTX
多角形の無骨なデザインも好印象。鈍い質感から力強さを感じる
シューレースフックには丈夫な金属のパーツが使われており、岩場が出てくるトレイルで激しく使っても、曲がる、折れる、という故障の心配がありません。メタルの輝きもいいアクセントになっています。

「デュカンハイGTX」は、山歩きがもっと軽快になるハイテクノロジーな登山靴!

デュカンハイGTX
最後に「デュカンハイGTX」を改めて評価すると、最先端の高機能を随所に搭載する、ハイテクノロジーが生んだ登山靴と言えるでしょう。「中級登山者におすすめしたい」と紹介しましたが、荷物が少ない日帰りハイキングなどで使うなら、これから登山を始める人にもおすすめできます。

なにはともあれ、一度足を入れてみても損はないはず。軽快な歩行性とフィット感の良さを自身の足で体験してください!

デュカンハイGTX

ITEM
Ducan High GTX® Men
サイズ:6.5 (25.0cm)~10.5 (29.0cm)
素材:Double Layer Engineered Mesh
ライニング:GORE-TEX Extended Comfort Footwear
ソール:Vibram Flextron
用途:Multi-day hikes / Trekking / Backpacking / Hiking / Fast Hiking


【メーカー公式サイト】デュカンハイGTX Men

ITEM
Ducan High GTX® Women
サイズ:4 (22.5cm)~7 (25.5cm)
素材:Double Layer Engineered Mesh
ライニング:GORE-TEX Extended Comfort Footwear
ソール:Vibram Flextron
用途:Multi-day hikes / Trekking / Backpacking / Hiking / Fast Hiking


【メーカー公式サイト】デュカンハイGTX Women

マーキュリーツアーⅡハイGTX

ITEM
Mercury Tour II High GTX® Men
サイズ:6.5 (25.0cm)~10.5 (29.0cm)
素材:ドイツ製terracare®レザー
ライニング:GORE-TEX Performance Comfort Footwear
ソール:Vibram® 4 Trek
用途:Mountain Hiking / Multi-day hikes / Trekking / Backpacking


【メーカー公式サイト】マーキュリーツアーⅡハイGTX MenMAMMUT

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吉澤英晃

群馬県出身。大学時代に所属した探検部で登山を開始。以降、沢登り、クライミング、雪山、アイスクライミング、山スキーなど、オールジャンルで山を楽しむ。登山用品の営業職を経て、現在はフリーの編集・ライターとして活動中。

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