“付ける”より“掛ける”ヘッドランプ。ペツルの『IKO CORE』は軽い装着感とユーザビリティがスゴい!

2021/10/12 更新

2020年10月に発売されたクライミングギアのトップブランド「ペツル」の『IKO CORE(アイココア)』。ヘッドバンドに樹脂製バンドを採用し、デザインだけでなく着用感も、既存のヘッドライトとはまったく異なるもの。まったく新しいタイプのヘッドライといえる『アイココア』をテスト&レポートしてみました。


アイキャッチ画像:PONCHO

このヘッドバンドはなんだ!?

撮影:PONCHO
2020年10月に、登山用ヘッドライトのトップブランド「ペツル」社から、『IKO CORE(アイココア)』『IKO(アイコ)』が新発売されました。
新発売といっても、より明るいか、照射時間が長くなったか、軽いモデルになったんだろうと思っていたら、なんだか特徴的な形のヘッドライト。これまでの常識を覆すアイデアが盛り込まれたモデルでした。

そこで早速、南八ヶ岳のファストパッキングでテストしてきました。

今回テストしたモデルは『アイココア』。ちなみにアイコとアイココアは基本的には、同じヘッドライト。大きな違いは、電源に同社のリチャージャブルバッテリー『コア』を標準装備しているかしていないかです。

斬新過ぎる「流線型」の樹脂製ヘッドバンド

撮影:PONCHO
まず、このアイココアの特長は「ヘッドバンド」。
ヘッドライトのヘッドバンドといえば、ゴム製のものがほとんどですが、このアイココアのヘッドバンドは、細くソフトな樹脂製。それが頭部に流線型で配されています。

このヘッドバンドは同社特許取得済みの”エアフィットヘッドバンド”と名付けられたもので、資料には

汗と雨に強いセミリジット構造の疎水性ヘッドバンド。頭との接地面を最小限にした薄いデザインにより、動きのあるアクティビティ中も通気性が保たれます

とあります。

装着してみると、エアフィット=空気のような装着感は、伊達ではありません。

撮影:PONCHO
電池込みの重量79gという軽さもありますが、例えば同社定番モデルの『ACTIK CORE』は重量75gですが、ヘッドバンドがゴム製・ライト部にバッテリーを装填しているため、装着した際に頭の前側が重く、「ヘッドライトを頭に付けています」という感覚が強く出ます。

また下りのトレイルを小走りしたり、大きな動きをした時にライト部がブレることもあり、長時間装着し続けた時にヘッドバンドを巻いている頭部に締め付け感が出てきて、ストレスになることも・・・。

もちろん、多くの他のヘッドライトも同じ構造なので、「付けています」感覚は当たり前といえるでしょう。

「付けている」のではなく、「掛けている」感覚

撮影:PONCHO
しかし『アイココア』は違います。
ライト部は薄く、ヘッドライトを装着しても不思議なほどに重さを感じません。

例えれば、フィット性の高いスポーツサングラスを掛けている時のように、掛けているのだけれども掛けていることを忘れる装着感。

そう、ゴム製ヘッドバンドだと「付けている」感覚なのだけれども、このエアフィットヘッドバンドは「掛けている」と表現するのが正しい装着感なのです。

装着感の軽さの理由は後頭部側にアリ

撮影:PONCHO
装着感の軽さの理由は、樹脂製ヘッドバンドの後頭部側の形状とバッテリーパックの配置です。

逆Ω型に配されたヘッドバンドは、耳の後ろから後頭部の曲面にフィット。後頭部に位置するバッテリーパックと共に、バンドが面でしっかりとブレを抑えてくれている感覚です。

撮影:PONCHO
加えて、『アイココア』の後頭部に配されているゴム製調節ストラップ。バッテリーパック上部のボタンで長さを調節し、装着感を変えられます。

これが地味ながらとても機能的なんです。

ゴム製ヘッドバンドだと、いちいち頭から外してスライダーで長さ調節し、さらにライト本体の位置を調節して、意外と手間がかかります。面倒なので、キツいまま、ユルいままにしがちですが、これならヘッドライトを頭に装着したまま調節ができ、まさにストレスフリー!

撮影:PONCHO
また重いバッテリーパックが、頭の前側よりも動きの幅が少ない後頭部に配置されることで、頭を激しく動かしても影響を受けにくい仕様に。
ブレにくいどころか、まったくブレなかったのには驚きました。

スイフトRL、NAO+から受け継いだアイデア?

撮影:PONCHO ※スイフトRLのゴムバンドの構造も、後頭部を面で押さえる
このブレのなさで思い出したのが、昨年テスト&レポートしたヘッドライト『スイフトRL』。
ゴム製ヘッドバンドの後頭部側が二股に分かれるデザインで、高いフィット性を装備していましたが、このヘッドライトも幅広の面でブレを抑制していました。
『アイココア』へと通じるヘッドバンドのアイデアは、このモデルからも感じられます。
提供:アルテリア
さらに同社フラッグシップモデルの『NAO+』という700lmの明るさを誇る超強力ヘッドライトは、前にライト、後頭部にバッテリーパックを『アイココア』と同じく分離して配置するモデル。
ヘッドバンドに、アイココアに採用された細いゴム製調節ストラップを装備。
超強力ライトだけに重量はありますが、『NAO+』から『アイココア』が受け継いだ装着性へのこだわりも多そうです。


明るさ3段階をボタンひとつで操作

撮影:PONCHO
さて、ヘッドライトの肝心な機能、明るさについては、どうでしょうか?

『アイココア』は、リチャージャブルバッテリー『コア』を使用することで、最大照射力500lm、最長照射距離100m、最長照射時間は100時間を誇ります。

単4電池×3本でも点灯し、その場合は最大照射力350lm、最長照射距離80m、最長照射時間100時間。これは『アイコ』も同様です。

撮影:PONCHO
明るさは、弱、中、強の3段階。これらをライト部分下部の電源ボタンひとつで操作します。
消灯状態から短くボタンを押すとその都度明るくなり、4回目のボタン押しで消灯。再点灯すると、また弱からの点灯になります。

当初は、消灯時の明るさを記憶してくれるといいなぁとも思いましたが、”強で山小屋まで歩いてきたのを忘れて、夜中に山小屋内で点灯した際に強で再点灯!”その明るさに慌てた経験を踏まえれば、大した手間ではないので、弱から順に点灯する方がいいとも言えます。

それに電源ボタンひとつで操作するシンプルさも嬉しいポイント。昨今増えている複数ボタンで操作する高機能ヘッドライトと比較して、すぐに必要な光を点灯できるメリットは大きいですね。

用途に応じた適切な明るさ

撮影:PONCHO
装備される明るさの「弱」は、近距離を広く照らすワイドビームで6lm、照射距離10m、照射時間100時間。テント内、テントサイトや山小屋内で使用にちょうどよい明るさです。

上の写真が弱の明るさを撮影したものですが、実際にはこの写真よりも近距離は明るいです。食事をつくる時なら、明る過ぎない明るさがいいですよね。

撮影:PONCHO
明るさ「中」は、100lm、照射距離は45m、照射時間9時間。広く照らすワイドと遠くを照らすスポットの光がミッスクされ、ナイトハイク時に使用すれば、足元から前方までをしっかりと見せてくれます。

合計7個のLEDライトによって、均一でムラのない光が『アイココア』のよさ。他のヘッドライトの100lmの明るさよりも、見やすく、明るく感じられたことも特長です。

撮影:PONCHO
明るさ「強」は、500lm、照射距離100m、照射時間2時間30分。スポットビームが強くなり、遠くまで見通せます。
しかし足元も同時に広く照らされるので、頭を大きく動かしたり、ライト部の角度を調節する必要を感じられませんでした。トレイルの分岐等を見つけたい時に、心強い明るさです。

山での使用シーンが考えられた使い勝手

撮影:PONCHO
樹脂製ヘッドバンド、そして角度調節できる薄型のライト部は、首から下げて使用することも想定されているようです。
頭部にヘッドライトを装着して仲間と食事や談笑をしていると、ヘッドライトの光で相手の顔を照らして眩惑させてしまうことが、多くあります。

しかしヘッドライトを首から下げて手元を明るく照らすようにしていれば、作業もでき、話をしていても相手を眩しくすることがありません。細かい機能ですが、使える機能です。



収納袋は、なんとランタンシェードに!

撮影:PONCHO
樹脂製ヘッドバンドは、ソフトな素材とはいえどうやって収納するのだろう?と思っていたら、独特の収納方法と、専用の収納袋が備わっていました。このギミックが、また秀逸!

撮影:PONCHO
まず収納の際には、ライト下部のスリットに、バッテリーパック下部のツメを入れます。するとコンパクトな形状に折り畳める上に、誤点灯防止のロックが掛かります。

ちなみに誤点灯防止のロックは、他にライト下部の電源ボタンを4秒長押しでも可能。ロック解除は3秒長押し、または短押し連続4回です。

撮影:PONCHO
収納袋は巾着タイプで、開口部のストラップを引くことで、折り畳んだヘッドライトがちょうどよく収まる仕様に。
しかし収まると同時に、スリットからツメが外れることが何度もありました。

取り出した際にすぐに使用状態にできるメリットか…とも思いましたが、誤点灯防止のロックが外れたことになるので、袋の上から電源ボタンを長押ししてロックする必要がありそうです。誤点灯防止のロック方法は、そのために2通り用意されているのでしょう。

撮影:PONCHO
収納袋は、点灯したライト部だけに被せればランタンシェードとしても使えるので、ヘッドライトとランタンの2つを持つ必要がなくなります。

撮影:PONCHO
ランタン時には、テーブルや床の上に立てて置くことも、また吊して周囲を明るく照らすことも可能。
ヘッドライトは、頭に装着して使うだけの道具ではなく、実際の登山シーンではランタンとしても使うこともあります。そんなハイカーの現実に則した、機能だと思いました。

最近は聞かなくなった言葉ですが、ユーザーの効率がアップする機能を多く搭載した「ユーザビリティ」の高いヘッドライトです。

『コア』にするか『アイココア』にするか・・・

撮影:PONCHO
さて、冒頭でもお知らせした通り、『アイココア』と『アイコ』の違いは、同社のリチャージャブルバッテリー『コア』を標準装備しているか否か。

標準装備する『アイココア』で定価¥9,800、コアが別売りとなっているモデルが『アイコ』で定価¥7,300。どちらのモデルも電源に『コア』(定価\3,200)と単4電池×3本が使用できます。

電池込みの重量は、コア使用時は79g、乾電池だと90g。

提供:アルテリア
このグラフは、乾電池とコアの照射能力を比較したもの。
乾電池の方が照射時間は長いですが、電池の消耗によって明るさが早めに失われます。一方、コアは乾電池よりも明るさを一定に保って照射する特性があります。

『アイココア』を手に入れて、コアバッテリーをメイン・乾電池をサブとして使い、長期山行では就寝時にコアモバイルバッテリーからUSB充電して使うのがベストでしょう。

コアの特徴:低温に強く、USB充電が可能、乾電池よりも照射力が強く明るい

山小屋&テント泊の強い味方

撮影:PONCHO
『アイココア』は、他にもバッテリーの残量を色で示すインジケーターや、ペツルのヘルメットに装着可能等々、山で使う際に役立つ機能を装備しています。
山小屋&テント泊のハイキング、装着感の軽さを活かしてファストパッキングやクライミングで使用するのが最適です。

なにより、この『アイココア』の登場によって、今後ハイキングで使用するヘッドライトに、明るさや照射時間、軽さに加えて、装着性のよさが基準に加わり、ヘッドライトのバンドはゴム製という常識が覆されたことを、道具好きとしては多いに喜びたい!

それでは皆さん、よい山旅を!

撮影:PONCHO

ペツル
アイココア ¥12,100(税込)
アイコ     ¥9,020(税込)


『コア』を電源に使用時のスペック
・最大照射力:500lm
・最長照射距離:100m
・最長照射時間:100時間
・重量:79g

単4電池使用時のスペック
・最大照射力:350lm
・最長照射距離:80m
・最長照射時間:100時間
・重量:90g

ペツル|アイココア・アイコの詳細はこちら

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ポンチョ

低山好き、道具好き、写真好きライター。登山、ランニング、自転車、キャンプ、旅をテーマに雑誌、WEBで企画、執筆。低山ハイクとヨガをMixしたツアー・イベント『ちょい山CLUB』を妻と共に主催する山の案内人。

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