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このヘッドバンドはなんだ!?

新発売といっても、より明るいか、照射時間が長くなったか、軽いモデルになったんだろうと思っていたら、なんだか特徴的な形のヘッドライト。これまでの常識を覆すアイデアが盛り込まれたモデルでした。
そこで早速、南八ヶ岳のファストパッキングでテストしてきました。
今回テストしたモデルは『アイココア』。ちなみにアイコとアイココアは基本的には、同じヘッドライト。大きな違いは、電源に同社のリチャージャブルバッテリー『コア』を標準装備しているかしていないかです。
斬新過ぎる「流線型」の樹脂製ヘッドバンド

ヘッドライトのヘッドバンドといえば、ゴム製のものがほとんどですが、このアイココアのヘッドバンドは、細くソフトな樹脂製。それが頭部に流線型で配されています。
このヘッドバンドは同社特許取得済みの”エアフィットヘッドバンド”と名付けられたもので、資料には
汗と雨に強いセミリジット構造の疎水性ヘッドバンド。頭との接地面を最小限にした薄いデザインにより、動きのあるアクティビティ中も通気性が保たれます
とあります。
装着してみると、エアフィット=空気のような装着感は、伊達ではありません。
また下りのトレイルを小走りしたり、大きな動きをした時にライト部がブレることもあり、長時間装着し続けた時にヘッドバンドを巻いている頭部に締め付け感が出てきて、ストレスになることも・・・。
もちろん、多くの他のヘッドライトも同じ構造なので、「付けています」感覚は当たり前といえるでしょう。
「付けている」のではなく、「掛けている」感覚

ライト部は薄く、ヘッドライトを装着しても不思議なほどに重さを感じません。
例えれば、フィット性の高いスポーツサングラスを掛けている時のように、掛けているのだけれども掛けていることを忘れる装着感。
そう、ゴム製ヘッドバンドだと「付けている」感覚なのだけれども、このエアフィットヘッドバンドは「掛けている」と表現するのが正しい装着感なのです。
装着感の軽さの理由は後頭部側にアリ

逆Ω型に配されたヘッドバンドは、耳の後ろから後頭部の曲面にフィット。後頭部に位置するバッテリーパックと共に、バンドが面でしっかりとブレを抑えてくれている感覚です。

これが地味ながらとても機能的なんです。
ゴム製ヘッドバンドだと、いちいち頭から外してスライダーで長さ調節し、さらにライト本体の位置を調節して、意外と手間がかかります。面倒なので、キツいまま、ユルいままにしがちですが、これならヘッドライトを頭に装着したまま調節ができ、まさにストレスフリー!

ブレにくいどころか、まったくブレなかったのには驚きました。
スイフトRL、NAO+から受け継いだアイデア?

ゴム製ヘッドバンドの後頭部側が二股に分かれるデザインで、高いフィット性を装備していましたが、このヘッドライトも幅広の面でブレを抑制していました。
『アイココア』へと通じるヘッドバンドのアイデアは、このモデルからも感じられます。

ヘッドバンドに、アイココアに採用された細いゴム製調節ストラップを装備。
超強力ライトだけに重量はありますが、『NAO+』から『アイココア』が受け継いだ装着性へのこだわりも多そうです。
明るさ3段階をボタンひとつで操作

『アイココア』は、リチャージャブルバッテリー『コア』を使用することで、最大照射力500lm、最長照射距離100m、最長照射時間は100時間を誇ります。
単4電池×3本でも点灯し、その場合は最大照射力350lm、最長照射距離80m、最長照射時間100時間。これは『アイコ』も同様です。

消灯状態から短くボタンを押すとその都度明るくなり、4回目のボタン押しで消灯。再点灯すると、また弱からの点灯になります。
当初は、消灯時の明るさを記憶してくれるといいなぁとも思いましたが、”強で山小屋まで歩いてきたのを忘れて、夜中に山小屋内で点灯した際に強で再点灯!”その明るさに慌てた経験を踏まえれば、大した手間ではないので、弱から順に点灯する方がいいとも言えます。
それに電源ボタンひとつで操作するシンプルさも嬉しいポイント。昨今増えている複数ボタンで操作する高機能ヘッドライトと比較して、すぐに必要な光を点灯できるメリットは大きいですね。
用途に応じた適切な明るさ

上の写真が弱の明るさを撮影したものですが、実際にはこの写真よりも近距離は明るいです。食事をつくる時なら、明る過ぎない明るさがいいですよね。

合計7個のLEDライトによって、均一でムラのない光が『アイココア』のよさ。他のヘッドライトの100lmの明るさよりも、見やすく、明るく感じられたことも特長です。

しかし足元も同時に広く照らされるので、頭を大きく動かしたり、ライト部の角度を調節する必要を感じられませんでした。トレイルの分岐等を見つけたい時に、心強い明るさです。
山での使用シーンが考えられた使い勝手

頭部にヘッドライトを装着して仲間と食事や談笑をしていると、ヘッドライトの光で相手の顔を照らして眩惑させてしまうことが、多くあります。
しかしヘッドライトを首から下げて手元を明るく照らすようにしていれば、作業もでき、話をしていても相手を眩しくすることがありません。細かい機能ですが、使える機能です。
収納袋は、なんとランタンシェードに!


ちなみに誤点灯防止のロックは、他にライト下部の電源ボタンを4秒長押しでも可能。ロック解除は3秒長押し、または短押し連続4回です。

しかし収まると同時に、スリットからツメが外れることが何度もありました。
取り出した際にすぐに使用状態にできるメリットか…とも思いましたが、誤点灯防止のロックが外れたことになるので、袋の上から電源ボタンを長押ししてロックする必要がありそうです。誤点灯防止のロック方法は、そのために2通り用意されているのでしょう。


ヘッドライトは、頭に装着して使うだけの道具ではなく、実際の登山シーンではランタンとしても使うこともあります。そんなハイカーの現実に則した、機能だと思いました。
最近は聞かなくなった言葉ですが、ユーザーの効率がアップする機能を多く搭載した「ユーザビリティ」の高いヘッドライトです。
『コア』にするか『アイココア』にするか・・・

標準装備する『アイココア』で定価¥9,800、コアが別売りとなっているモデルが『アイコ』で定価¥7,300。どちらのモデルも電源に『コア』(定価\3,200)と単4電池×3本が使用できます。
電池込みの重量は、コア使用時は79g、乾電池だと90g。

乾電池の方が照射時間は長いですが、電池の消耗によって明るさが早めに失われます。一方、コアは乾電池よりも明るさを一定に保って照射する特性があります。
『アイココア』を手に入れて、コアバッテリーをメイン・乾電池をサブとして使い、長期山行では就寝時にコアモバイルバッテリーからUSB充電して使うのがベストでしょう。
コアの特徴:低温に強く、USB充電が可能、乾電池よりも照射力が強く明るい
山小屋&テント泊の強い味方

山小屋&テント泊のハイキング、装着感の軽さを活かしてファストパッキングやクライミングで使用するのが最適です。
なにより、この『アイココア』の登場によって、今後ハイキングで使用するヘッドライトに、明るさや照射時間、軽さに加えて、装着性のよさが基準に加わり、ヘッドライトのバンドはゴム製という常識が覆されたことを、道具好きとしては多いに喜びたい!
それでは皆さん、よい山旅を!

ペツル
アイココア ¥12,100(税込)
アイコ ¥9,020(税込)
『コア』を電源に使用時のスペック
・最大照射力:500lm
・最長照射距離:100m
・最長照射時間:100時間
・重量:79g
単4電池使用時のスペック
・最大照射力:350lm
・最長照射距離:80m
・最長照射時間:100時間
・重量:90g