このヘッドバンドはなんだ!?
2020年10月に、登山用ヘッドライトのトップブランド「ペツル」社から、『IKO CORE(アイココア)』と『IKO(アイコ)』が新発売されました。
新発売といっても、より明るいか、照射時間が長くなったか、軽いモデルになったんだろうと思っていたら、なんだか特徴的な形のヘッドライト。これまでの常識を覆すアイデアが盛り込まれたモデルでした。
そこで早速、南八ヶ岳のファストパッキングでテストしてきました。
今回テストしたモデルは『アイココア』。ちなみにアイコとアイココアは基本的には、同じヘッドライト。大きな違いは、電源に同社のリチャージャブルバッテリー『コア』を標準装備しているかしていないかです。
斬新過ぎる「流線型」の樹脂製ヘッドバンド
まず、このアイココアの特長は「ヘッドバンド」。
ヘッドライトのヘッドバンドといえば、ゴム製のものがほとんどですが、このアイココアのヘッドバンドは、細くソフトな樹脂製。それが頭部に流線型で配されています。
このヘッドバンドは同社特許取得済みの”エアフィットヘッドバンド”と名付けられたもので、資料には
汗と雨に強いセミリジット構造の疎水性ヘッドバンド。頭との接地面を最小限にした薄いデザインにより、動きのあるアクティビティ中も通気性が保たれます
とあります。
装着してみると、エアフィット=空気のような装着感は、伊達ではありません。
電池込みの重量79gという軽さもありますが、例えば同社定番モデルの『ACTIK CORE』は重量75gですが、ヘッドバンドがゴム製・ライト部にバッテリーを装填しているため、装着した際に頭の前側が重く、「ヘッドライトを頭に付けています」という感覚が強く出ます。
また下りのトレイルを小走りしたり、大きな動きをした時にライト部がブレることもあり、長時間装着し続けた時にヘッドバンドを巻いている頭部に締め付け感が出てきて、ストレスになることも・・・。
もちろん、多くの他のヘッドライトも同じ構造なので、「付けています」感覚は当たり前といえるでしょう。
「付けている」のではなく、「掛けている」感覚
しかし『アイココア』は違います。
ライト部は薄く、ヘッドライトを装着しても不思議なほどに重さを感じません。
例えれば、フィット性の高いスポーツサングラスを掛けている時のように、掛けているのだけれども掛けていることを忘れる装着感。
そう、ゴム製ヘッドバンドだと「付けている」感覚なのだけれども、このエアフィットヘッドバンドは「掛けている」と表現するのが正しい装着感なのです。
装着感の軽さの理由は後頭部側にアリ
装着感の軽さの理由は、樹脂製ヘッドバンドの後頭部側の形状とバッテリーパックの配置です。
逆Ω型に配されたヘッドバンドは、耳の後ろから後頭部の曲面にフィット。後頭部に位置するバッテリーパックと共に、バンドが面でしっかりとブレを抑えてくれている感覚です。
加えて、『アイココア』の後頭部に配されているゴム製調節ストラップ。バッテリーパック上部のボタンで長さを調節し、装着感を変えられます。
これが地味ながらとても機能的なんです。
ゴム製ヘッドバンドだと、いちいち頭から外してスライダーで長さ調節し、さらにライト本体の位置を調節して、意外と手間がかかります。面倒なので、キツいまま、ユルいままにしがちですが、これならヘッドライトを頭に装着したまま調節ができ、まさにストレスフリー!
また重いバッテリーパックが、頭の前側よりも動きの幅が少ない後頭部に配置されることで、頭を激しく動かしても影響を受けにくい仕様に。
ブレにくいどころか、まったくブレなかったのには驚きました。
スイフトRL、NAO+から受け継いだアイデア?
このブレのなさで思い出したのが、昨年テスト&レポートしたヘッドライト『スイフトRL』。
ゴム製ヘッドバンドの後頭部側が二股に分かれるデザインで、高いフィット性を装備していましたが、このヘッドライトも幅広の面でブレを抑制していました。
『アイココア』へと通じるヘッドバンドのアイデアは、このモデルからも感じられます。
さらに同社フラッグシップモデルの『NAO+』という700lmの明るさを誇る超強力ヘッドライトは、前にライト、後頭部にバッテリーパックを『アイココア』と同じく分離して配置するモデル。
ヘッドバンドに、アイココアに採用された細いゴム製調節ストラップを装備。
超強力ライトだけに重量はありますが、『NAO+』から『アイココア』が受け継いだ装着性へのこだわりも多そうです。