二度と撮れない!谷川岳・幻の氷柱登攀映像は世界初公開!

谷川岳の幕岩Cフェースにできる、”幻の氷柱”をご存知ですが?2017年2月27日、初登攀から実に33年ぶり2回目の登攀に成功しました。今回は世界初公開となる、マウンテンワークスによるシーラカンス登攀映像、そして登攀者の独占インタビューを公開!

アイキャッチ画像提供:マウンテンワークス(写真は、トレーニング中の賀門尚士さん。シーラカンスではありません。)

厳しい環境の中、ドローンを飛ばして捉えた登攀映像は、世界初公開!

滅多にない当たり年となった今年の冬の谷川岳。33年前に登攀されて以来、第2登がされていなかった幻の氷柱「シーラカンス」へ2017年2月27日、賀門尚士さんと成田賢二さんが登攀成功しました。 初登者”宮崎秀夫”さんの貴重なコメントも収録された本動画。まるで日本とは思えない迫力ある映像は高度な技術と経験を持つ屈指のクライマー、そして山という極めて厳しい環境の中、ドローンやゴープロの高い撮影技術を持つマウンテンワークス協力の元、奇跡の記録に成功しました。

今年の谷川岳は当たり年だった。遂に現れた”幻の氷柱シーラカンス”

みなさんご存知の通り、谷川岳は総勢800名以上の死者がでている通称・魔の山

谷川岳が魔の山と恐れられるのは、一つの山での死亡事故者数が、世界一で800人を超えるところからきています。事故の多くは、バリエーションルートのある一ノ倉沢や幽ノ沢で起こっています。一方一般コースである天神尾根は、ロープウェイもあり、初心者でも安心して登れる美しいエリアです。夏には花々が登山者を楽しませてくれます。

その複雑な地形と気候が、冬になると幻の氷柱を生み出す

シーラカンスは谷川岳南面、オジカ沢の幕岩にかかる氷柱です。初登攀されたのは、1984年3月で、宮崎秀夫氏・松本正城氏によってなされました。今から33年も前のことになります。それから意欲あるクライマーに注目されてきました。しかしなかなか氷柱が形成されない為、「幻の氷柱」と呼ばれるようになったのです。


なぜ第2登に33年もの月日を要したのか

高度な技術が必要なだけじゃない。そもそも氷柱自体が”形成”されにくい

提供:マウンテンワークス(写真は、トレーニング中の賀門尚士さん。シーラカンスではありません)
シーラカンスは難しさもさることながら、なかなか形成されにくい氷柱です。年によっては影も形もない事がよくあるのです。また氷柱が岩壁基部までつながり、氷の状態がよい事がほとんどないのが「幻の氷柱」と呼ばれる所以で、33年も空白の時が流れたのです。

2017年2月27日、賀門尚士さんと成田賢二さんが1回のトライで成功

提供:マウンテンワークス(写真は、シーラカンス登攀中の賀門尚士さん)
今冬は谷川岳の当たり年でした。谷川岳にはシーラカンスの他に、めったに形成されない、一ノ倉沢の烏帽子奥壁大氷柱などが基部までつながりました。新進気鋭の賀門氏とベテランの成田氏が、心技体を整え、恐怖と困難に打ち勝ち、33年ぶりの快挙を成し遂げたのです。クライマーの私にとっても、垂涎物の登攀劇でした。

登攀成功の鍵は、天候を見越した未明出発

彼らは未明に麓を出発し、明るくなるのと同時に登攀を開始しました。日が差して気温が上昇すると、氷の状態が悪く危険になるので、彼らはそれを見越して早朝に登攀を始めたのです。

あまりにもクレイジーすぎる。二度目はきっとない

確保をするためにアイススクリューにぶら下がっていると、スクリューが下を向いてきてしまうくらい悪い氷なのであまりにもクレイジーすぎてきっと二度目はないというのが正直な感想です。今まで挑戦された記録を見ると、昼になってから取りついていますが、陽が当たると途端に氷の状態が悪くなるので、明るくなると同時に取りついたのが良かったと思います。そして今年は氷結状態がとてもよかった。まさに10年に1度あるかないか。初見ではありましたが、そのチャンスを伺っていたのが1回のトライで登れた理由かと思います。コメント:登攀者・賀門尚士さん

まだまだ登り足りない。一回しかない人生だから・・

まだまだ登ってみたい山、岩は沢山あります。1つ1つ経験を積んでいきたいです。そして、なぜ登るのか。これは単純にそれが面白いと思っているからです。1回しかない人生だから人とはちょっと違うこともしてみたいとも思っています。コメント:登攀者・賀門尚士さん

未登の壁を求めて

提供:マウンテンワークス(写真は、トレーニング中の賀門尚士さん。シーラカンスではありません)
アルパイン(アイス)クライマーは、ハイエナのように日本や世界の岩壁・氷壁の空白地帯を嗅ぎ回り、貪欲な登攀モチベーションをもって、新しいルートにチャレンジする生き物です。日本には冬季未登の氷柱や岩壁がまだ残っており、時には欧州やヒマラヤの山々より困難な環境であったりします。そこで培われた登攀能力が、今世界の山で日本人が輝かしい登攀を成し遂げている礎になっているのです。

Climbing Coelacanth is crazy!!
シーラカンス登攀はまさにクレイジー!!


本記事・著者紹介

提供:山田祐士
山田 祐士:社団法人日本アルパインガイド協会認定 アスピラントガイド。高校山岳部に入部してから現在まで、20年以上に渡って山登りを続け、マッターホルン登頂。山岳映像制作や遭難救助など山に関わる山岳企画会社”マウンテンワークス”の取締役でもあり、自らも山岳ガイドとして多くの登山者をガイドしている。

取材にご協力頂いた皆様

【シーラカンス第2登】2017年2月27日

【登攀者】賀門尚士・成田賢二

【撮影協力】宮崎秀夫・ハチプロダクション株式会社マウンテンワークス

【取材協力】山田祐士

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山田 祐士
山田 祐士

社団法人日本アルパインガイド協会認定 アスピラントガイド 1978年、北海道生まれ。 高校山岳部に入部してから現在まで、20年以上に渡って山登りを続けています。 大学に入ってからは、アルパインクライミングやフリークライミングに没頭していました。 冬の谷川岳や穂高が好きなフィールドです。 谷川一ノ倉沢や幽ノ沢、穂高のバリエーションルートのガイドが最も得意です。 また、海外登山も好きで、マッターホルンなどの登頂経験もあります。 趣味は山で淹れる珈琲です。 皆さまに最新の登山情報をお送りするべく、日々勉強をしています。

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