アイキャッチ画像:ポンチョ
笑’sのチタン製スパウト「そそぐ君」がお手頃なので、どんなものか使ってみた!
「スパウト」や「スキッター」って、なんのことだかわかりますか?
クッカーやカップの縁に取り付けて、コーヒードリップの際に注ぐお湯を細く、さらには点滴のように落とせる道具、“注ぎ口”です。

上画像がその注ぎ口で、焚火道具で知られる「笑’s」が手掛けたチタン製スキッター/スパウト『そそぐ君』(¥1,496)です。
笑’s(ショーズ)は、板金加工会社がはじめたアウトドアブランド。高いプレス加工技術を用いた焚き火台が人気で、実用性に長けた道具を多く手掛けています。その実用性を軽量コンパクトな注ぎ口として具現化してくれたのが、チタン製でたったの2g!のそそぐ君なんです。
Amazonが、私におすすめする道具としてアップしてきて、手頃な価格でもあり、しかも笑’sがつくったのなら使ってみようと、ポチっとしたのでした。
取り付け方法は、簡単!!

そそぐ君を手持ちのチタンカップに取り付けた状態です。クッカーに取り付けることもできますが、注ぐ湯量が多くなってしまわないように、コーヒー道具で知られるリバーズの「ウルトラライト ハイカーマグS」に取り付けてみました。
黄色の矢印部がそそぐ君ですが、なかなかいい雰囲気です。

取り付け方法は、中央の板と左右の板でカップの縁を挟み込むだけ。カップ、クッカーによっては、緩かったり、キツかったりします。そんなときには……。

つまんで、開き具合を調整します。上画像では左右の板側をつまんでますが、左右差を出さないように、中央の板の角度を変えた方が、上手くいきます。
実にアナログですが、それは柔軟性でもあり、取り付けられるカップ、クッカーの幅を広げています。
もっとも相性がいいのは……?
私が持っているカップ、クッカー等、全20アイテムに装着して使ってみました。その結果を厳選してお知らせしましょう!
一番注ぎやすかったのは、シェラカップ

上記した挟み込み部分の調節が必要ですが、縁にしっかりとフィットさせると溢れたり、液だれすることもなく、注げたのが、エバニューの「チタンシェラカップFD」でした。カップの縁から注がれる湯の流れが、そそぐ君と好相性のようです。

カップから流れ出た湯が、そそぐ君の上面中央を通り、静かに細く湯を注げました!ただし、ちょっとしたコツが必要で、それは後述します。
注ぎ口付きポットだと、イマイチ……

湯沸かしするなら注ぎ口のついたポットがいいだろうと、エバニューの「Ti ティーポット500」に取り付けてみました。
ポット内の湯量が半分以下なら上手く注げるのですが、半分以上の湯量で注ぐと、ポットの注ぎ口からの湯の勢いや圧力が高くなるからなのか、液だれしてしまいます。
ポットの半分の湯量は250mlでコーヒー一杯分には十分な量なので、それでも問題はないといえばないのですが……家族や友人分のコーヒーを淹れるときにポタポタやりながらドリップしてたらカッコ悪いなぁ……って思います。
縁が幅広めのクッカーとの相性がイイみたい!

エスビットの「チタニウムポット750ml」に装着した状態です。
容量750ml前後の、110ガス缶とストーブ本体を収納できる他のクッカーにも装着してみたのですが、エスビットのように縁が少し幅広のものが、上手く注げました。縁が細かったり狭かったりすると液だれや溢れが起きやすくて、そそぐ君装着の調整に手間取ってしまいます。
一度、フィットさせることができれば、次からは問題なくなるとは思いますが、それでも“縁細め”はキビしいです。
幅広の縁で思い出したのがジェットボイル。私が所有しているスタッシュは、エスビット同等に相性よしでした!ジェットボイルを持っている方は、是非試してみてください!

で、縁が幅広がよいなら、250ガス缶とストーブ本体を収納できるSOTOの「アルミクッカーセットM」の大クッカーはどうだろうか?と試しみると、コレが一番イイんじゃないか!という美しい注ぎができました。
ですが、満水容量1ℓのクッカーとそそぐ君との見た目のバランスは、ちょっと大袈裟に思えます。4~5人分のコーヒーをドリップするキャンプならアリかもしれませんが、きれいに注げるとしてもソロハイクではナイかなぁって思います。
サーモボトルはどうか?と試してみると……

私、山コーヒー好きのため、サーモボトルもたくさん持っています。コーヒーをボトルに入れて持っていくのもよいのですが、サーモボトルに入れていった湯でドリップしたら、とてもスマートだと思うんです。
そこでそそぐ君を、サーモス山専、ゼインアーツ等々、手持ちのサーモボトル10本に装着してみたところ、SOTOの「チタンボトル300」だけが上手く装着できて、美しく注げました。口の厚さ、ネジの溝が内側に切られていることが、フィットする理由のようです。
300mlの湯量はひとり分にちょうどよく、ドリップしたコーヒーをサーモボトルに戻して冷めるのを防げるのもよいです。ストーブを組み立てて、湯沸かしして、その間にミルで豆を挽いて、ドリップしてって、時に大変なことをしているなぁって思います。だからときには、挽いた豆を一杯分持ってきて、サーモボトルの湯でササッとドリップするのもよさそうに思います。
いろいろ装着してみて、わかったこと

そそぐ君を、いろんなカップ、クッカーに装着してみて、しっかり構造を理解して使う必要があると感じました。
なんにも考えずにジャジャッと湯を注ぐと、上画像のようなこともあり得ます。

そそぐ君の公式ホームページには、装着の仕方についての解説はないんです。掲載されている画像を見ると、上画像のようにそそぐ君を縁にぴったりとフィットさせて装着しています。
このぴったりフィットで問題ない、液だれしないカップ、クッカーもあるのかもしれません。でも……

上画像のように、そそぐ君の取り付け部の中央の板と縁に隙間をつくった方が、多くのカップ、クッカーでは液だれがしにくくなりました。
なぜなのか、よ~~く観察してみたところ……

カップ、クッカーの傾きを抑えて細く湯を注ごうとしたときに、中央板と縁の隙間が狭いと、その小さな隙間や押し出されたサイドから液だれが発生します。
でも隙間を少し開けて細く注ぐと、毛細管現象と表面張力によって、そそぐ君の下面を湯が伝って流れていくんです。上画像の黄色矢印部分が、伝っている湯です。

でも、勢いよく湯を注いでしまうと、表面張力よりも、湯の流れる勢いが勝ってしまって、上画像のようになってしまいます。

カップ、クッカーの縁の幅が広い方がよいというのも、この毛細管現象と表面張力をうまく起こせるからだと思います。
縁が細いと、そそぐ君の裏面を湯が伝うことなく、クッカー側面側に落ちていって液だれになるようです(上画像の黄色矢印ではなく、赤色矢印の方へ流れてしまう)。
面倒くさい?不便?いえいえ、楽しいんです!

そそぐ君と縁の隙間のつくり方は、カップ、クッカーによって異なります。シェラカップは少し、リバーズとエスビットはちょっと広め、SOTOのチタンボトル300はグイっと押し込んでという感じでした。
自分がドリップに使うカップ、クッカーの装着加減を見つけて、覚えてしまえばいいんです。
この一連の作業、山でコーヒードリップをしない人にとっては「不便な道具」に思えるでしょう。

でも、わざわざ山でコーヒーをドリップして飲みたいという人にとっては、「楽しい道具」です。だって、自分にしか、上手く扱えない道具なんですから!
是非、自分なりの組み合わせ、使い方、楽しみたい山を見つけてください。飲むだけでなく、淹れることも含めて味わい深いコーヒータイムを過ごせます!

あっ、ちなみに、ココまでそそぐ君の装着位置は、カップ、クッカーのハンドルの延長線上、水平で使っている画像を掲載しています。でも、上画像のようにハンドルと直角の位置に装着するのもよいかもしれません。
私は湯を真っ直ぐにそそぐ君に流し込みたいので、水平位置にしていますが、自分のやりやすい位置を試行錯誤するのも、また楽しいです。
それでは皆さん、よい山旅を!!
笑's チタン製スキッター/スパウト『そそぐ君』
| サイズ | 約35mm×約32mm×約17mm |
|---|---|
| 重量 | 約2g |
| 材料 | 0.5mm厚Titanium |
