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夏のレジャーに潜む熱中症リスク|正しい対策と応急処置

山の熱中症対策、「水だけ」では不十分。登山前の「朝食抜き」も危険?医師が教える備え

夏の屋外レジャー経験者の約4割が熱中症を経験・目撃していることが、大正製薬の調査で明らかになりました。登山においても水を持つだけでは十分とはいえません。出発前の体調管理から電解質補給、応急処置まで、医師が勧める夏山の熱中症対策を紹介します。

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目次

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約4割が熱中症を経験・目撃。夏山は「対策しているつもり」が危ない

大正製薬が実施した調査によると、夏の屋外レジャー経験者の42%が、自身または同行者に熱中症のような症状が出た経験があると回答しました。

※大正製薬「夏の屋外レジャーにおける熱中症・事故対策に関する調査」 対象:直近5年以内に夏季の屋外レジャーに出かけたことがある全国の20代〜60代の男女484名(2026年6月実施)

「夏の屋外レジャーにおける熱中症・事故対策に関する調査」

一方で、持参するものは「水・お茶」「スポーツドリンク」「帽子」など基本的な備えが中心で、経口補水液やアイススラリーなど、熱中症リスクを意識した対策はまだ十分に浸透していないことも明らかになっています。

夏の屋外レジャーに熱中症対策として持参するもの
夏の屋外レジャーにあたり、熱中症対策として意識していること

登山では体調を崩してもすぐに避難できないケースも少なくありません。水分補給だけでなく、電解質補給や体温管理まで意識した準備が大切です。

熱中症対策は「家を出る前」から始まる

熱中症対策
出典:PIXTA

熱中症や救急医療に詳しい医師・三宅康史先生によると、熱中症は現地に着いてからや自覚症状が出てから対策するものではなく、出発前の準備が重要だといいます。

暑さ指数(WBGT)や熱中症警戒アラートを確認し、少しでも体調に不安があれば、予定の変更や短縮も検討しましょう。

出発前には、次のポイントを確認しておくと安心です。

  • 暑さ指数(WBGT)や熱中症警戒アラートを確認する
  • 睡眠不足や体調不良がないかチェックする
  • 11〜15時の暑い時間帯をできるだけ避ける
  • 水分補給や休憩のタイミングを決めておく
  • 「体調が悪くなったら引き返す」と同行者と共有する

「せっかく来たから」と無理をすると、熱中症は短時間で悪化することもあります。安全に楽しむためにも、行動ルールを事前に決めておくことが大切です。

水だけでは足りない?見落としがちな3つの熱中症対策

登山時の水分補給
出典:PIXTA

朝食を抜かず、出発前にエネルギー補給を

起床時の体はすでに軽い脱水状態に傾いています。朝食では、水分・電解質・糖質・たんぱく質をバランスよく補給することが理想です。時間がない日や食欲がない場合は、ゼリー飲料を活用するのも有効とされています。

水分は「のどが渇く前」に補給する

のどの渇きを感じた時点で、体内では脱水が始まっていることがあります。長時間歩く登山では、水だけでなくポーツドリンクや経口補水液などで電解質も補給しながら、こまめに飲むことが大切です。

体の内側から冷やす対策も取り入れたい

近年は、アイススラリー(液体と細かな氷の粒子が混ざったシャーベット状の飲料)や凍らせたゼリー飲料を使って、深部体温の上昇を抑える方法にも注目が集まっています。

登山口までの移動中や長い休憩時などに取り入れると、暑さ対策の選択肢が広がります。

めまい・頭痛は要注意。知っておきたい応急処置

めまい・立ちくらみ
出典:PIXTA

熱中症は、初期症状の段階で適切に対応できれば重症化を防げる可能性があります。めまいや立ちくらみ、頭痛、吐き気、強い倦怠感などの症状が現れたら、「少し休めば大丈夫」と無理を続けず、すぐに行動を中止しましょう。

熱中症が疑われる場合は、次のように対応することが基本です。

  • 涼しい場所へ移動する
  • 衣服をゆるめる
  • 首・脇の下・足の付け根などを冷やす
  • 水分と電解質を補給する(自力で飲める場合)

一方、次のような症状がある場合は、重症化している可能性があります。

  • 呼びかけへの反応がおかしい
  • 自力で水分が飲めない
  • まっすぐ歩けない
  • 嘔吐を繰り返す
  • けいれんがある
  • 応急処置をしても回復しない

このような場合は、無理に水分を飲ませず、速やかに医療機関を受診するか、救急車を要請しましょう。 登山では救助まで時間がかかることもあるため、「様子を見る」のではなく、早めに行動することが大切です。

下山後も油断禁物。「時間差熱中症」に注意

熱中症は登山中だけでなく、帰宅後や夜になってから頭痛や倦怠感、吐き気などの症状が現れることもあります。下山後の飲酒や長風呂は脱水を進めることもあるため注意が必要です。

「無事に下山したから大丈夫」と油断せず、水分・電解質を補給しながら十分に休養をとることも、夏山を安全に楽しむための大切なポイントです。

熱中症総合研究所 所長/帝京大学医学部 救急医学講座 客員教授医師 三宅康史先生

熱中症総合研究所 所長/帝京大学医学部 救急医学講座 客員教授医師 三宅康史先生

救急医学、集中治療医学、脳神経外科、外傷学、災害医学、医学教育のエキスパート。東京医科歯科大学医学部卒業。帝京大学医学部救急医学講座教授、帝京大学医学部附属病院救命救急センター長などを歴任。

現在は熱中症総合研究所 所長/帝京大学医学部救急医学講座 客員教授。日本救急医学会 救急科専門医・指導医・評議員、日本集中治療医学会 集中治療専門医、日本外傷学会 評議員、日本脳神経外科学会 専門医、評議員などの資格・役職を有し、救急・集中治療領域を中心に幅広く活動。熱中症、外傷、災害医療、救急医療体制などに関する知見も豊富で、テレビ番組などメディアでの解説実績もある。