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世界初のチタン製コッヘルを作った日本のメーカー「エバニュー」

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エバニューの創業は1924年で、実は100年近い日本の老舗企業。『もっともっと(増々)新しく』という想いをもとに、色々なスポーツ・レジャー用品を製造しています。特にアウトドアギアの分野では、世界で初めてチタン製のコッヘルを開発するなど、その技術力の高さで世界的な評価を得ている企業です。
クセが強め!?「BLUENOTEstove」を知る4つのポイント

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そんなエバニューから2022年に発売されたのが「BLUENOTEstove(ブルーノートストーブ)」。本体はアルミ製、かつコンパクトなためとにかく軽量。本体とプレヒート用の「Pre heating plate」のセットでも、別々でも購入することができるアイテムです。
基本スペックはこちら。

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- サイズ/本体:外径50× 高さ32mm プレート:外径62× 高さ7mm
- 重量/本体:13g プレート:7g
- 素材/アルミニウム
- タンク容量/15ml
BLUENOTEstoveはどんな商品なのか、4つのポイントからご紹介します。
①わずか20g!驚きの軽さ

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一番の特徴はその「軽さ」です。一般的な真鍮製のアルコールバーナーは100gほどある中で、BLUENOTEstoveの本体はわずか13g、プレヒートのプレートと合わせても20gしかありません。
同社から発売されているもう一つのストーブ「Tiアルコールストーブ(34g)」も軽量と有名ですが、それすらも上回る軽量さ。もはやザックに入れていても気づかないレベルです。
③ゴトク不要の「サイドバーナー式」

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本体はサイドバーナー式で、横の穴から炎が吹き出します。これにより、カップを直接載せることができるため、別途ゴトクを用意する必要がありません。ゴトクが必須のアルコールストーブも少なくない中で、持ち込むギアを最小限に抑えられるのは嬉しいポイントです。

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③燃料を無駄にしない「プレヒーティングプレート」

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アルコールストーブは燃料の量が限られているため、どれだけ早く「本燃焼」に入れるか、も大事なポイントです。
その点、「Pre heating plate(プレヒーティングプレート)」を使って燃料を温めておけばすぐに本燃焼がスタート。気温が低い場所でも安定して本燃焼に入ることができます。
燃料のタンクが小さいBLUENOTEstoveの弱点をしっかりカバーしてくれます。
④300mlのお湯が5分で沸く?高い燃焼効率

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公式サイトによると300mlの水を15mlの燃料で5分ほどで沸かすことが可能とのこと。これだけの火力があれば十分登山のフィールドでも使えそうですね。
本当に沸くかどうかについては、このあとフィールドで確認します。
使い方はこちら
■使い方手順
- プレヒートにアルコールを注入、着火
- 消えたら本体を着火
- すぐに本燃焼。直後からコッヘルを乗せてOK
- 手持ちのコッヘルなどをかぶせて鎮火
実際にフィールドで使ってみた!
300mlが本当に5分で沸くのか?そもそも実際のフィールドでの使い勝手はどうなのか?
実際にフィールドで確かめてみました。
本当に300mlが5分で沸く?
公式のスペック通り300mlの水が15mlの燃料で5分で沸くのかをチェックします。やや風があったためエバニューの風防「Ti9G Windshield」を使用。燃料はプレヒートした上で下記の条件の中でチェックしてみました。

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条件
- 気温:24℃
- 風:微風あり
- 水温:23℃
使用アイテム
ストーブ | BLUENOTEstove |
風防・ゴトク | Ti9G Windshield |
コッヘル | Ti 400FD Cup※蓋:mulTiDish |
結果 | 7分30秒で沸騰前に鎮火(87℃) |
気になる結果やいかに‥!?

撮影:筆者
検証の結果、残念ながら沸騰までいかず。
7分30秒燃焼し、87℃まであがったものの、100℃に到達する前に燃料切れとなってしまいました。
要因としては「風」が大きかったようで、風防はしていたものの、隙間から風が吹き込み、炎が流れてしまっていました。
ただ逆に言えば、風のある環境でも87℃のお湯は作れるということ。美味しいホットコーヒーを作るならちょうどよい温度ですし、カップ麺もギリギリ作れる温度ではあるため、求めたい火力のベースラインはクリアしてくれていると言えそうです。
こんなに使える!BLUENOTEstoveの活用シーン
300mlのお湯があると何ができそうか、下記でまとめてみました。

撮影:筆者
- パターン①:筒型カップラーメン1杯
- パターン②:アルファ米+スープ
- パターン③:コーヒー2杯
筒型のカップラーメンに必要なのは約300ml、容量的にはピッタリ作れそうです。アルファ米はおよそ160mlでできるため、お湯の余りでスープも一緒に。そしてインスタントコーヒーであれば一杯が160mlのため、若干濃いめですが二杯分を作れます。こう見ると、色々なパターンで活用できそうですね!
逆にこれは難しい

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器型のカップラーメンだと400ml前後必要なことが多いため、このようなときはタンク式のアルコールストーブやガスバーナーなどに頼ったほうが良さそうです。
使って気づいた3つのポイント
個性が強めな本製品ですが、実際に使ってみて気付いたポイントをご紹介します。
15mlが使い切れていい!

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アルコールストーブでちょっと手間なのが、燃料が余ったときには燃料が冷えるのを待ち、そのあと専用のボトルに戻す必要があるということ。早く動き出したい山の中では煩わしく感じてしまうことがあります。
その点BLUENOTEstoveは15mlしか入らないため、5分ほどですべての燃料を使い切ります。ボトルに戻す手間がなくなるため、後片付けが一気にスピーディーになりました。燃焼時間が短いという点は、逆に使いやすいポイントにもなっていました。
プレヒート・風防はあったほうがいい

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プレヒートなしだと本燃焼に時間がかかり、貴重な燃料があっという間になくなってしまいます。もちろん気温が高い時など、それほど影響がない場合もありそうですが、7gという軽さを考えれば、お守り的な意味でもPre heating plateは持っていったほうが良さそうです。
また、BLUENOTEstoveは特に炎が風に流されやすいため、風防は「必須」と考えるのが良さそうです。
相性のいいコッヘルは「Ti 400FD Cup」

コッヘル等を載せられる範囲が狭いため、底が広いフライパンだと安定感が悪くなり、逆に小さすぎると炎が横から逃げて燃焼効率が悪くなります。
色々試してみましたが、一番良かったのは同社のチタン製コッヘル「Ti 400FD Cup」。このコッヘルをシステムの中心に据えて開発されただけのことはあり、サイズ感がピッタリ。BLUENOTEstoveの力を最大限に引き出したい場合は本コッヘルと合わせて使うのが良さそうです。
特徴を活かせば広がる使い道!

撮影:筆者
以上BLUENOTEstoveをご紹介してきましたが、最後にオススメできる人とできない人をまとめてみます。
■こんな人におすすめ
- とにかく軽さ、コンパクトさを求めたい人
- 火の使用は最低限でいい人(コップ1〜2杯分のお湯づくりなど)
- 燃料の余り処理が面倒だった人
■こんな人は避けたほうがいいかも
- しっかり火を使いたい人(料理、お湯づくりなど)
→タンク型アルコールストーブ or ガスバーナーがおすすめ - 火力が欲しい人
→ガスバーナーがおすすめ
山登りをするすべての人にオススメできるタイプの商品ではありませんが、コンパクトさと軽量さは他のアルコールバーナーを凌駕します。
ややクセはありますが、上手に使うことで山での体験を更に濃密にしてくれること間違いないしの商品。ぜひ一度使ってみてください!
エバニュー BLUENOTEstove
サイズ | 外径50×高さ32mm |
---|---|
容量 | 15ml |
重量 | 13g |
素材 | アルミニウム |
エバニュー BLUENOTE⁺stove set
サイズ | 径50×高さ32mm、径62×高さ7mm |
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容量 | 15ml |
重量 | 20g |
素材 | アルミニウム |
あると便利なアルコールボトル
エバニュー ALC.Bottle w/Cup 30ml
サイズ | 34×33×高さ81mm |
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容量 | 30ml(10ml刻み) |
重量 | 10g |
素材 | ポリプロピレン、内ノズル:ポリエチレン |