お箸といっても、いろいろなタイプがあるんです
山での食事で、なにかと重宝するお箸。特にあたたかいラーメンやプチお鍋を頂く際には、フォークやスプーンよりもお箸のほうが使い勝手がいいと思うのです。でもアウトドアブランドから出ているお箸を集めてみると、素材や長さ、成型タイプか分割タイプかと、それぞれに違いがあります。
箸の使いやすさを知るために、こんなテストをしてみました!
そこで『使いやすい箸はどれだ?』の疑問を解決すべく、それぞれの特長を知るために3つの使い勝手を試してみることにしました。
- 1:お箸の基本性能を知る、小豆つかみ
- 2:ラーメンの麺をすくい、食べてみる
- 3:ソロ用の定番、深型クッカーとの相性は?
結果は、『お箸なんて大した違いがないのでは?』という先入観を払拭する、それぞれの特長がよく表れたものとなりました。ブランド別にまとめてみたので、是非購入の参考にしてみてください。
①螺旋に切られて持ちやすい、竹素材のトゥーゴーウェア
トゥーゴーウェア クラシック バンブー カトラリーセット
素材は軽く、熱にも強いバンブー=竹。持ち手部分は螺旋に切られていて、持ちやすくて使いやすい形状になっています。プラスチックのカトラリーの代替アイテムとしてつくられたアメリカのブランドのお箸です。
ナイフ、スプーン、フォークもセット。ケースは紛失防止に役立つカラビナ付き。しかもリサイクル素材でつくられたもので、エコを標榜するブランドらしさを感じます。
①小豆つかみ:◎
螺旋に切られた持ち手が効果を発揮。力の加減をしやすく、小豆はなんなくつかめました。先端部分がもう少し細ければ、さらに繊細な力加減が可能になりそうですが、アウトドアでは万が一の破損を防ぐため強度を優先したのでしょう。
②麺つかみ:◎
麺の方はというと一気にたくさんつかむ事ができ、重さがかかっても持ち手が螺旋で角が取られているので、指にもやさしいです。口当たりもやわらかく、バンブー素材の自然さで違和感なし。普段使いもしたいくらいです。
③深型クッカーとの相性:△
お箸の長さが17.8cmなので、深さ10cmの深型クッカーだと底にお箸を当てるとちょっと窮屈。もう少しだけ長さがあると、とても使いやすいくてよいお箸なのですが、これもコンパクトな携帯性を重視したのでしょう。
トゥーゴーウェア クラシック バンブー カトラリーセット
長さ:17.8cm
重量:約50g
カラー:インディゴ、ヒジキ、アガベ、カイエン、パンプキン、フレンチロースト、アボカド、メルロー、マルベリー
②お箸に適した素材、鉄木を使ったユニフレーム
ユニフレーム fanカトラリー solo
キャンプ用品のイメージが強いユニフレームですが、登山で使える道具もいろいろあります。このお箸もそのひとつ。硬さ、耐水性でお箸の素材として最適の鉄木を使用し耐久性抜群。色味も渋く、自然の風景によく馴染みます。
カラトリーセット
スプーンとフォークとセットになっており、キャンプでの使用がメインでつくられているのですが、お箸だけを山用として使ってみるのをオススメします。とはいえセットで定価1200円とコスパも◎。
①小豆つかみ:◎
普段、家で使っているお箸よりも使いやすいんじゃないかと思う程で、小豆もなんなくつかめます。手の馴染みもよく、力加減の調節も上手にできます。
②麺つかみ:◎
持ち手は太め、先端部は細く、麺をしっかりすくい上げることができます。口当たりも申し分なく、ラーメンの美味しさをさらにアップしてくれているとさえ感じました。
③深型クッカーとの相性:◎
お箸の長さが22.5cmあるので、深型クッカーでも余裕を持って使えました。分割できないのでクッカー内に収納したり、コンパクトに持ち運べませんが、手ぬぐい等で包んで、バックパックのポケットに収納すればよいでしょう。
③キャプテンスタッグのお箸は超軽量チタン製
キャプテンスタッグ チタン製 箸-HASHI-
チタン製のカップやクッカー等を多く手掛けるキャプテンスタッグ。お箸もチタンでつくってくれました。手に持ってすぐに実感できる軽さは特筆もの。荷物の重さを少しでも減らしたいので、山用にぴったりです。
お箸と同色のアルミ製のケースも付属します。硬いチタンのお箸なので破損することはまずあり得ませんが、衛生面を考えると、標準装備のケースに収納できるのはありがたい仕様です。
①小豆つかみ:△
金属製のお箸の宿命でしょうか・・・ツルツルと滑ってしまい思うように小豆をつかめません。また、軽さはうれしい機能といえますが、重心が持ち手側にないように感じ、力加減が難しい感じがしました。
②麺つかみ:△
お箸の長さが23cmと長く、軽さも手伝って、菜箸で麺をすくう感じに近いです。またちょっと先端部が太いので、ラーメンよりもお箸の主張が強い口当たりです。
③深型クッカーとの相性:◎
上記した通り、菜箸のようなお箸なので深型クッカーの深さはまったく気になりません。大人数の山行時の調理用のお箸、つまり菜箸としての便利さを強く感じました。
④軽さのアルミ合金と口当たりのよい黒檀をつないだモンベルの野箸
モンベル スタックイン 野箸
分割してコンパクトサイズにできる、その名も野箸。高密度で硬く、丈夫な縞黒檀を先端部に採用。持ち手は軽いアルミニウム合金。見た目に高級感があり、しかも山で使う機能もしっかり考えられた、逸品です!
収納時の長さは13.5cm。ソロ用クッカーでも上蓋が小クッカーになるタイプなら、内部に収納できるサイズです。お箸の重量は15g、標準装備のケースも含めた総重量は25g! ラーメンお箸派には、うれしいスペックです。
アルミの持ち手は中空で先端部を収納でき、ねじ込み式でガタつきがありません。また使用時の接続も収納の際と同じねじ込み部分を用いる秀逸なギミックで、道具好きにはたまらない仕様になっています。
①小豆つかみ:〇
持ち手が軽く、先端部が天然木で重さがあるため、重心が先端部になります。箸先は細く小豆をつかみやすいのですが、重心が持ち手側にないので、力の入れ具合にちょっと慣れが必要です。
②麺つかみ:◎
小豆はやや苦戦しましたが、麺をすくうことは問題ありません。縞黒檀の口当たりも気持ちよく、箸先も細いので麺を邪魔せず、美味しく頂きました。
③深型クッカーとの相性:〇
長さは21cmあるので、深型クッカーでも問題なく使えるはずなのですが、持ち手のロゴが刻印された部分の凹みを意識して短めに持ってしまい、少しだけ窮屈さがありました。
⑤コンパクト収納で邪魔にならない、ロゴスのカトラリーセット
ロゴス メタルカトラリー箸セット
コスパ、アイデアにすぐれたキャンプ用品が評判のロゴス。このお箸はカトラリーのセットのひとつで、収納サイズ12cmとコンパクトさを重視したもの。持ち手はステンレス、先端部に木材を使用し分割できます。
折り畳み式のスプーンとフォーク、収納ポーチもセット。カトラリーは、いずれもコンパクトになり、総重量も70gなので、山へも躊躇なく持って行けます。
お箸は持ち手部分に先端部を収納。接続は簡単に行えるボタン式。簡単すぎて少し不安だったが、使用に問題なし。
①小豆つかみ:△
箸先が太めなのと、重心が先端部の方にあるため、小豆をつかむのにやや苦労しました。もう少し箸先が細くなっていれば、使いやすいと思うのだけれども・・・。
②麺つかみ:△
持ち手が細いからか、麺をすくうのに少し力が必要。箸先の太さも、口当たりで主張強め。しかし空腹の勢いにまかせてガッ~とラーメンをすするのにはぴったり!
③深型クッカーとの相性:◎
コンパクトさを優先させている割に、お箸の長さは20㎝で深型クッカーから麺をすくうのに問題なし。お箸、スプーン、フォークのすべてがクッカー内に収められるので、ラーメン以外にも重宝しそうなセットです。
⑥世界から賞賛されたスノーピークのお箸の進化版!
スノーピーク 和武器
1996年に初代・和武器は発売。アウトドアでお箸を使う便利さ、そしてエコ意識を自然好き、山好きな人々に根付かせました。現在の和武器は持ち手が四角く転がりにくくなり、重心のバランスもよく、使い勝手が向上しています。
和武器は長さの違いでMとLをラインナップしています。Mは20.5cm/収納サイズ11.3cm、Lは22.5cm/収納サイズ12.2cm、どちらもポリプロピレン製の収納ケース付きで、ケースに入れると14.3cmの長さです。
ステンレス製の持ち手は中空で、竹素材の先端部を中に収納する分割タイプのお箸です。初代の収納部のキャップはやや外れやすかったのですが、きっちり閉まるように改善。接続はネジ式でしっかりと固定されます。
①小豆つかみ:◎
接続部に段差がなく、手をつかむものに応じて上下しやすく、箸先も細いので小豆をつかむのにまったく苦労しません。本体はLで27g。お箸を持っている感覚があることが、細かい作業をしやすくしているようです。
②麺つかみ:◎
持ち手部に適度な太さがあることで、麺をすくう際の指使い、箸先の扱いをとてもラクに行えます。先端部は竹素材、しかも細いので麺の感触を邪魔しません。
③深型クッカーとの相性:◎
使用したのはLサイズの和武器。22.5cmと長さも十分なので、深型クッカーでも窮屈さを感じません。ちなみにLは男性用、2cm短いMは女性用。手の小さな女性はMサイズが扱いやすい長さだと思います。
ラーメンには、やっぱりお箸がいいんです!
小豆つかみ | 麺つかみ | 深型クッカーとの相性 | 携帯性 | |
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トゥーゴーウェア | ◎ | ◎ | △ | × |
ユニフレーム | ◎ | ◎ | ◎ | × |
キャプテンスタッグ | △ | △ | ◎ | × |
モンベル | 〇 | ◎ | 〇 | ◎ |
ロゴス | △ | △ | ◎ | ◎ |
スノーピーク | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
今回、全6ブランドのお箸をいろいろと試してみましたが、ひとつだけ選ぶとすれば、クッカーに収納できる分割タイプ、軽くて、先端部を持ち手部にねじ込むギミックが秀逸なモンベルの野箸が気に入りました。
そして今回撮影はしていませんが、実はフォークでもラーメンを食してみました。カップヌードルはデフォルトがフォークですし。ただ、やっぱり麺をすくえる量が少ないし、多くすくおうとするとパスタのようにフォークに巻かなくてはならないし・・・麺をすすることをしない欧米文化の食べ方かなと再確認。
やはり、山でラーメンを食べるならお箸です!皆さんも自分なりの基準でベストを選んで、山であったかくて美味しいラーメンを味わってください!!