持ちやすいハンドルだからこその“機能性”もありました!

デザインとは、見た目のよさだけを意味するものではありません。“使いやすさ”も含まれます。ゼインアーツのデザインのよさは、見た目と使いやすさを高次元で具現化している点にあります。
チタニウムポット&マグのハンドルがまさにソレです。
上画像の通り、2本のハンドルを合わせると、中央で接して固定感を生みます。そして上部の外側(持ち手側)が広がっているので、親指を乗せると線ではなく面で支えることができ、重さを分散して食い込みを防ぎ、軽さを感じさせます。
ハンドル外側で合わせるタイプが多いなか、よく考えられた工夫です。

さらに、ハンドル内には指1~2本分にフィットする幅があり、下部には重さを軽く感じさせる中指または薬指を掛ける凹み=カーブが採用されています。これにより、ストーブの火が回って熱くなりがちなハンドル下部に指を掛けずに済み、安全です。
0.3mm厚のチタン製クッカーやアルミクッカーの多くには、ハンドルに伝わった熱を和らげるためのラバーが装着されています。
一方でゼインアーツのチタニウムポット&マグは、ラバーを採用せずとも、このハンドル形状、本体0.4mm厚のチタンの熱伝導率の低さゆえに、クッカー側面まで火が回らないように火力調節すれば、湯沸かし直後でもハンドルを素手で持つことも可能にしています(当然ですが、用心する注意深さは必要です)。
山コーヒーのドリップが、上手にできます!

軽く持て、熱さを感じにくいハンドル形状は、アウトドア道具だけでなく、山コーヒー道具も求道する私に、ドリップを試す興味を搔き立てました。
チタニウムワイドマグ450で約350mlの湯を沸かし、チタニウムマグ350に300mlのコーヒーを落とします。
チタニウムワイドマグには、上画像でもわかる通り、確認しやすい位置=ハンドルの対面に200、300、400mlのメモリが切られています。これを参考に350mlを量れ、コーヒー2杯分の豆25gを用意すれば、約300mlのちょうどよい濃さと美味しさのコーヒーを抽出できます。
しかもチタニウムワイドマグは浅いので、傾けて湯を注ぎやすく、握りやすいハンドル形状が、細い湯をつくるのに効果を発揮。この2つのマグの組み合わせは、山コーヒー道具として、なかなかに使いやすいものです。
これらに、私がドリップの注湯を細く、自在に扱うために使っている楽歩京都の「森乃雫」をプラスすれば、この山コーヒー道具は極上になります。

ところで、昼間でも気温10℃以下となる秋、冬、春の山。シングルウォール、つまり保温機能のないカップにドリップすると、どうしてもヌルいコーヒーになりがちです。
そのため、湯を注ぐ側のカップを火に掛けながらドリップして湯温が下がらないようにしたり、抽出したコーヒーがヌルかったら、火に掛けて少し温めて飲んでいます。
チタニウムワイドマグ450、チタニウムマグ350は、シェラカップ同様に、直火に掛けることができる小型クッカーでもあるので、低温時対応のコーヒードリップを可能にしてくれます。
そして、この2つをスタッキングして装備しておけば、ラーメンをつくったチタニウムポット950で湯沸かしをしなくてよいので、ラーメン風味のコーヒーを飲まずに済みます。
スタッキング性は、試行錯誤が必要です!

ここまでよい点ばかりを挙げてきた、チタニウムポット&マグ。悪い点……という訳ではありませんが、割り切り、試行錯誤が必要なことがあります。
それは、スタッキングです。
上画像の通り、外側からチタニウムポット950、チタニウムワイドマグ450、チタニウムポット600、チタニウムマグ350の順番で、4つのポット&マグをすっきりとスタッキングができます。上画像では収納袋に入れていませんが、各ポット&マグには収納袋が装備されていて、それぞれを袋に入れてスタッキングすることもできます。山行時には、カタカタ音を防げるでしょう。

4つのポット&マグをスタッキングした場合、最内は径の小さいトレイルマグ350となるので、110ガス缶は収納できません。代わりに、上画像の通り、ストーブ本体、ライター、折り畳みカトラリーを収納できました。
ガス缶は、入るけれど……

110ガス缶を収納したい場合は、チタニウムマグ350はスタッキングから外し、チタニウムポット600内に入れることになります。でも、上画像の通り、ストーブ本体までも収納する高さはありません。

250ガス缶を収納したい場合は、チタニウムポット950のみの使用であれば、スタッキング可能です。しかし、この場合もストーブ本体は入りません。
というようなスタッキング性なので、私ならガス缶は別途携行して、クッカーを重ね、ストーブ等を入れて持ち運ぶことを選択することになりそうです。タテ型ではなく、寸胴型で直径が大きく、高さがないクッカーなので、割り切りが必要です。
アルコールストーブとの相性は?

最内に入るチタニウムマグ350は、トランギアの「アルコールバーナー」やエバニューの「Ti アルコールストーブ」を入れられるサイズです。
五徳は、エバニューの「AL ストーブ用チタン十字ゴトク」は入らず、「T0.3 triveTi」なら入ります。またミュニークの「X-メッシュストーブ(ラージ)」も入ります。なのですが……。
エバニューのTi アルコールストーブならX-メッシュストーブ(ラージ)にチタニウムマグ350を載せられますが、トランギアとの組み合わせだと載りません。
ちなみに、エバニューの「AL ストーブ用チタン十字ゴトク」は、チタニウムマグ350に入りませんが、チタニウムワイドマグ450には平置きできるので、チタニウムポット600やチタニウムマグ350を重ねてスタッキング可能です。
またエバニューの「BLUENOTE⁺stove」なら、五徳不要。直径12cmまでのクッカーとの相性がよく、最大のチタニウムポット950の直径は12.1cmなので、コレをストーブに選択するのもアリです。
気になる存在、チタニウムワイドマグ450

今回、チタニウムポット&マグの4つをいろいろと使って、コレを使いこなせるように試行錯誤すると、山メシ能力がかなり鍛えられるなぁと感じたのが、「チタニウムワイドマグ450」です。
直径11cm×高さ6cm、重量60g、容量450ml。チタニウムポット&マグの中で、唯一のヨコ型。
フタは装備されていませんが、アルミホイル等で代用すれば、チキンラーメンがジャストサイズで入り、ちょっと濃いめの350mlの湯量で頂くことができます。400mlでもよいのですが、溢れます……。
なみなみとなってしまいますが、400mlの湯を沸かし、半分はフリーズドライ食品、半分はコーヒーや紅茶などの温かな飲み物に使えます。
プチ鍋も、開口部が広く、浅いヨコ型だからこそ、安定感と余裕を持って楽しめます。

容量がもし400mlだったら、または形状がタテ型だったら、チタニウムワイドマグ450のマルチな才能を発揮させるのは、一部のギアマニアだけだったでしょう。容量が450mlで直径11cmなので、使いこなすハードルが下がり、フツーの人に寄り添う、失敗や不都合の少ない山メシの相棒になってくれます。
なんてことを考えながら、チタニウムワイドマグ450にスタッキングするなら、どんな感じになるだろう?と、パパッと組んでみたのが、上画像です。
エバニューの「Ti アルコールストーブ」と「AL ストーブ用チタン十字ゴトク」、ユニフレームの「カラカト」、シートゥサミットの「X-シール&ゴーS(廃番)」、ライターブロ マイクロ(マルチツール)を装着したBICのミニライター。
このセットの重量は235g。容量が400mlだったら、これらのアイテムは入りません。
チタニウムワイドマグ450のサイズは、感心するレベルで絶妙です。
手持ちのクッカーを見直して、新たな使い勝手を体験してみて!

登山には、いろいろな楽しみ方があります。軽さを重視した装備で長い距離を歩き、街にはない色、景色に包まれたい山もあるでしょう。または街から近い山に出向いて、凛とした空気のなかであったかいラーメンを食べ、お茶をして、ゆっくりとした時間を過ごしたい山もあります。
そうしたいろいろな山の楽しみ方に、組み合わせを変えて、最適なセットを組めるのが、ゼインアーツのチタニウムポット&マグです。調理=炒める、焼くことには不向きですが、煮る、または湯を沸かすことができるだけでも、冷涼な山では、満足度の高い食事を生み出してくれる、使いやすさが際立っています。
なにより、山でラーメンな私は、チタニウムポット950をラーメン専用クッカーとして購入することを真剣に検討します。
それでは皆さん、よい山旅を~~~!
