実際の使用感レビュー!シーン別にチェック
インテグストーブの特徴がわかってきたところで、実際の使用感を確かめるべく、フィールドでチェックしてみます!
【火力は?】他モデルと比べてチェック
フィールドは300mほどの低山。外気温は約10℃、風は時折そよぐ程度の穏やかな環境です。
フェムトストーブ II、ウルトラバーナー、インテグストーブでそれぞれ最大火力にし、300mlの水が沸騰するまでにかかる時間を計測しました。

撮影:筆者
結果:インテグストーブが最も早い結果に!
| モデル | フェムトストーブⅡ | ウルトラバーナー | インテグストーブ |
|---|---|---|---|
| 時間 | 2:01 | 2:04 | 1:45 |
どのバーナーも2分前後であっという間に沸騰しましたが、一番早かったのが「インテグストーブ」。火力だけで見ると「ウルトラバーナー」の方が高いはずですが、インテグストーブの方が15秒ほど早く沸騰する結果となりました。
この差が出た要因として考えられるのが、インテグストーブはすり鉢状バーナーヘッドのおかげで風の影響を受けづらかったのに対し、ウルトラバーナーは炎がやや流されていた様子が見られたこと。

撮影:筆者
後日、炎を目視で確認した結果、やはりウルトラバーナーの方はやや風に流されやすい様子でした。インテグストーブも流されていましたが、バーナーヘッド(火口)が大きいため、流されてもなお鍋底を捉えることができていました。
無風な環境下であれば結果が変わった可能性もありますが、山において全く風がないというのも珍しいもの。屋外の吹き抜けの空間において、インテグストーブは非常に優秀なモデルと言えそうです。
【耐風性は?】他モデルと比べてチェック
先ほどは微風下でのテストでしたが、今回はより風の強い環境で各バーナーの実力をチェックしてみました。
自然下では風の強さにムラが出やすいため、風速約5m/sを再現できるハンディファンを使用し、安定した風環境を再現。この状態で、各モデルが300mlの水を沸騰させるまでの時間を比較してみました。

撮影:筆者
結果:インテグストーブが最も早く沸騰!耐風性の高さが際立つ結果に
| モデル | フェムトストーブⅡ | ウルトラバーナー | インテグストーブ |
|---|---|---|---|
| 時間 | 8:42 | 8:57 | 5:03 |
いずれのバーナーも風の影響を強く受け、沸騰までに倍以上の時間がかかる結果になりました。
ただその中でも早かったのがインテグストーブ。他二つのバーナーが8分以上かかったのに対し、インテグストーブは5:03で沸騰させることができました。
すり鉢状のバーナーヘッドが風を防いでくれるため、微風のみならず比較的風がある状況でも、素早い加熱を実現してくれそうです。
【連続使用では?】長時間使用での火力をチェック
連続で燃焼し続けると気化熱によりガス缶が冷え、火力も低下する「ドロップダウン現象」をお伝えしましたが、その点インテグストーブは、プリムスで初めてレギュレーターを搭載。連続で使用した場合でも安定的な燃焼が期待できます。
そこで今回は、300mlの水を3回連続で沸騰させ、火力の変化(=沸騰までの時間)をチェックしました。

撮影:筆者
結果:やや火力は低下したものの、大きな変化はない結果に!
| 燃焼回数 | 1回目 | 2回目 | 3回目 |
|---|---|---|---|
| 時間 | 1:47 | 2:01 | 2:01 |
1回目は1分47秒で沸騰した一方で、2回目、3回目は2:01と若干時間を要する結果となったものの、10秒強しか変わらない結果となりました。ガス缶に触れてみると、触っていられないほどキンキンに冷えていたため、間違いなくガスが気化しにくくなっているはず。
そんな中でも、1回目と殆ど変わらない火力を維持してくれているのはレギュレーターの力が大きく寄与してくれているようです。寒冷地や長時間の調理など、火力の安定が重要なシーンでは、大きな安心材料になりそうです。
どう選ぶ?インテグストーブ・ウルトラバーナー・フェムトストーブⅡの違い
ここまでインテグストープと他モデルを比較してきましたが、それぞれどんな特徴があるのか改めてまとめてみます。
| モデル | フェムトストーブ II | ウルトラバーナー | インテグストーブ |
|---|---|---|---|
| 写真 | ![]() | ![]() | ![]() |
| 重さ | 64g | 116g | 100g |
| 火力 | 2.5kW / 2,100kcal/h | 4.2kW/3,600kcal/h | 3.3kW / 2,840kcal/h |
| 特徴 | 約64gの最軽量モデル | 火力が最も高く、複数人を想定した調理も可能 | 火力・安定性・軽量性のバランス◎ |
| 注意ポイント | ・他モデルより火力が弱め ・五徳が小さく3本のためやや不安定 | ・他モデルより重い ・寒冷地ではやや火力が安定しない場合も | ・ウルトラバーナーよりは最大火力が弱い ・フェムトストーブ IIより重い |
| こんな人におすすめ | 軽量装備を重視する人 | 天候・気温が安定した場所で火力を重視したい人 | 風が強い日や寒冷地など、どんなシーンでも安定した火力を求める人 |
火力&安定性を求めるなら「インテグストーブ」

軽量性、コンパクトさ、火力のバランスが高いのが今回ご紹介したインテグストーブ。火力はウルトラバーナーに劣るものの、耐風性能が高く、高い燃焼効率を誇るバーナーヘッドと、ゴトクの高さが採用されているため、少ない燃料で素早く加熱が可能なことが今回のテストでも確認できました。
レギュレーターが唯一搭載されているモデルで、プロパンを含むハイパワーガスと組み合わせれば秋冬登山でも心強いモデルとなりそうです。
プリムス インテグストーブ
| 出力 | 3.3kW / 2,840kcal/h(IP-250T使用時) |
|---|---|
| ガス消費量 | 220g/h(IP-250T使用時) |
| 燃焼時間 | 約62分(IP-250T使用時) |
| ゴトク径 | 148mm |
| 収納サイズ | 7.3×10.1×4.7cm |
| 本体重量 | 100g |
軽さ重視なら「フェムトストーブ II」

撮影:筆者
軽量性を重視するならプリムスの最軽量モデル「フェムトストーブ II」がおすすめ。わずか64gで本体もコンパクト。小さめのクッカーにも収納することができます。火力もやや弱めと思いきや、1人分のお湯作りであれば他のバーナーとも大きな差のない性能を持っていることが今回わかりました。
ただ風に弱く、安定性はやや低めなことに注意。ソロ登山で軽量装備を目指したい方におすすめです。
プリムス フェムトストーブ II
| 出力 | 2.5kW / 2,100kcal/h (Tガス使用時) |
|---|---|
| ガス消費量 | 170g/h |
| 燃焼時間 | 約80分(IP-250ガス使用時) |
| ゴトク径 | 大 120mm / 小 80mm |
| 収納サイズ | 5.4 x 7.4 x 2.7cm |
| 本体重量 | 64g |
高火力なら「ウルトラバーナー」

撮影:筆者
3,600kcal/hと高火力モデル。最大火力にした時にゴーと響く音に火力の高さを感じさせます。1人のみならず、複数人のお湯や料理を準備したい人におすすめです。
火力が高い分、重量は116gとやや重め。またバーナーヘッドはやや風の影響を受けやすいことが今回わかったため、風のある環境下で使用する場合は防風対策を取ることがおすすめです。
プリムス ウルトラバーナー
| 出力 | 4.2kW/3,600kcal/h(T型ガス使用時) |
|---|---|
| ガス消費量 | 245g/h |
| 燃焼時間 | 約55分(IP-250タイプガス使用時) |
| ゴトク径 | 大148mm/小90mm |
| 収納サイズ | 7.5×8.8×3.0cm |
| 本体重量 | 116g |
どんな環境でも頼れる、オールラウンドバーナー!

撮影:筆者
インテグストーブの性能を詳しく見てきました。コンパクトさや火力単体では他のモデルに軍配が上がる部分もありますが、汎用性の高さと火力の安定性のバランスが抜群なのがこのモデルの大きな魅力です。
強風・寒冷地・高山といった過酷な環境でも使いやすく、シーンを選ばないオールラウンドさがあるため、初めてストーブを選ぶ初心者はもちろん、買い替えを検討している方にもおすすめできます。
どんな山行でも活躍してくれる相棒として、ぜひインテグストーブをチェックしてみてください!
