実は日本で最も遭難者が多い山は「高尾山」?
普段のハイキングや日帰り登山で、「標高が低いから大丈夫」「装備は最小限で大丈夫」と考えてしまった経験はありませんか?
実は、日本で最も山岳遭難者数が多い山は、都心からのアクセスも良く親しまれている高尾山なのです。

登山者や観光客の増加に伴って増えてきたのが山岳遭難事故である。警察庁が毎年発表している「山岳遭難の概況等」という統計資料には、2023年分より「主な山岳別遭難状況」というデータが加えられるようになった。
23年の統計によると、高尾山の遭難者数は133人で、富士山の97人、穂高連峰の80人よりも多かった。24年の統計でも、高尾山は131人で、富士山の83人、穂高連峰の66人を抜いて、やはり最多であった。
(『低山遭難 : 「まさかの遭難」から生きて帰った人たち』 p207より)
東洋経済新報社より2026年7月22日(水)に発売された新刊『低山遭難 「まさかの遭難」から生きて帰った人たち』では、こうした標高1,200メートル以下の「低山」に潜む危険性が詳しく紐解かれています。
低山といえど山は山であり、山特有の、あるいは低山ならではのリスクがそこかしこに存在する。それを認識せず、「標高の低い山=安全な山」という先入観を持って低山に登ろうとした結果、ケガを負ったり、呆気なく命を落としてしまったりするのは、あまりに悲しい。
そうした現実を知ってもらい、低山での遭難事故防止の一助になればと思い、本書を執筆した。
『低山遭難 : 「まさかの遭難」から生きて帰った人たち』 「はじめに」より
生還者のリアルな証言から学ぶ、低山ならではの知られざるリスク
本書では、身近な低山を舞台に起きたリアルな遭難事故と、そこから生還した人々の生々しい体験談が紹介されています。
- 長野県・石尊山: 秘湯探しでクマに遭遇
- 東京都・奥多摩・本仁田山: 日帰りの装備で5日間遭難
- 東京都・高尾山: なんでもないところで転倒、骨折
また、滑落や道迷いだけでなく、危険生物との遭遇確率が圧倒的に高いことも低山ならではのリスクです。
危険生物との遭遇確率は低山が圧倒的に高い
低山のリスクとして挙げておきたいのが危険生物である。本書ではクマとハブの被害事例を検証しているが、危険生物――マムシ、ヤマカガシ、ハブなどの毒ヘビ類、スズメバチ、イノシシなど――が活発に活動するのは高い山よりも主に低い山のほうだ。クマは北アルプスなどの高い山にも出没しているが、人身被害は里山や低山、あるいは人里などで多発している。
もともと低山はこれらの生物の生息エリアであり、登山というのはそこへ人間がずかずかと入り込んでいく行為ともいえる。彼らは基本的に人間を恐れており、自ら好んで攻撃を仕獲けてくるわけではない。人が被害に遭うのは、多くの場合、彼ら自身や彼らのテリトリーを守るために立ち向かってきた結果である。
(『低山遭難 : 「まさかの遭難」から生きて帰った人たち』 p25より)
「まさか自分が」を防ぎ、無事に帰宅するための知識と教訓が詰まった一冊です。

【8月19日開催】著者・羽根田治氏による刊行記念トークイベント
本書の刊行を記念して、著者の羽根田 治(はねだ おさむ)氏によるトークイベントが開催されます。
羽根田氏はフリーライターであり、長野県山岳遭難防止アドバイザーも務める山岳遭難取材の第一人者。『これで死ぬ』『ドキュメント遭難 山岳遭難の教訓』など多数の著書を手掛けています。
イベントでは、長年の取材から見えてきた「まさかの遭難」から生きて帰った人たちのエピソードや、安全に山を楽しむためのポイントが語られます。定員40名の事前予約制となっていますので、気になる方はお早めにご確認ください。
イベント概要
- イベント名: 『低山遭難』発売記念 ノンフィクションライターが語る「まさかの遭難」から生きて帰った人たち
- 日時: 2026年8月19日(水) 19:00~20:00(※時間は前後する可能性あり)
- 場所: 誠品生活日本橋 イベントスペース「FORUM」(COREDO室町テラス2階)
- 定員: 40名(事前予約制)
- 参加費: 2,870円(税込) 〈参加費 1,000円+書籍代 1,870円〉
※書籍(税込1,870円)は開始時刻までに同店レジにてご購入ください。
※参加費(税込1,000円)は事前決済となります。
東洋経済新報社 低山遭難 : 「まさかの遭難」から生きて帰った人たち 羽根田 治(著)
目次
- 第1章 本当は怖い低山
- 第2章 秘湯探しでクマに遭遇――長野県・石尊山
- 第3章 廃道探検で滑落――神奈川県・西丹沢 山神径路
- 第4章 日帰りの装備で5日間遭難――東京都・奥多摩 本仁田山
- 第5章 急斜面に迷い込んで遭難――滋賀県・比良山系 神璽谷
- 第6章 沢歩きでハブ咬傷――沖縄県・比地川
- 第7章 なんでもないところで転倒、骨折――東京都・高尾山
- 第8章 山の怪であわや遭難――東京都・奥多摩 ズマド山
- 巻末 登山用語集
