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【山専用ボトルに挑戦状!?】 SIGGの本気「アルパインスター」が、サーモスを超える性能を発揮したので報告します!(2ページ目)

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わずかな“差”を生んだ理由を深掘りしてみました

撮影:ポンチョ[左:アルパインスター、右:ジェムストーン]

上画像の左が今回紹介しているアルパインスター、右がジェムストーンです。今回のテストでサーモス山専用ボトルの保温力を越えたアルパインスターと、過去のテストで及ばなかったジェムストーンの違い、または同じところはどんなところでしょう。

それを考察することで、アルパインスターの特長が見えてきます。

①シリコン製プロテクターによる断熱

撮影:ポンチョ

まず外観の違いは、アルパインスターには底部とボディにシリコン製のプロテクターが装備されていること。

シリコンは断熱性の高い素材です。アルパインスターではサーモスやモンベルのように着脱できるプロテクターではなく、固定式で、その面積もワイドです。ということは、このシリコン製プロテクターが、外気温の影響を軽減していることが考えられます。

シグはそのような公表をしていませんが、しかしシリコン製プロテクターの機能は、耐衝撃性や滑り止めだけではないと想像できます。

②ボトル口径を約3ミリ絞っている

撮影:ポンチョ[左:アルパインスター、右:ジェムストーン]

ボトル本体の口の直径にも違いがあります。

上画像右はジェムストーンで口径は43ミリ、左アルパインスターは40ミリです。ボトルに湯を入れた際に熱が逃げるのはこの口部から。それが3ミリ細く絞られているので、わずかな差ですが、熱が逃げにくくなったことが考えられます。

ちなみに、モンベル、サーモスともにボトル口径は43ミリです。次の項目で紹介するボトル内部の構造にアルパインスター、ジェムストーンともに変更がないとしたら、口径を細くしたことが、アルパインスターの保温・保冷力アップの主要因になるでしょう。

一方で、かなり細い口なので、保冷時にブロックアイスを入れにくいというマイナス面はあります。しかしそれも、氷を割って入れればよいだけです。

撮影:ポンチョ

ところでアルパインスター、ジェムストーンともに、上画像の中栓と呼ぶ口部をふさぎ、湯または水を注ぐためのパーツが、断熱仕様か否かは公表されていません。

しかしモンベル、サーモスは中栓に断熱仕様を施しているので、シグも同等、それ以上の保温性を実現していることから、断熱仕様になっていると想像します。中栓の中心部にステンレスが採用されているので、そこに真空層をつくって断熱効果を生んでいると思われます。

また2つを並べて比較できていませんが、ジェムストーンの中栓よりも、アルパインスターの中栓のほうが口径に合わせて細くなっているだけでなく、長くなっています。これ、間違いなく、保温・保冷力アップに作用しています。

③ステンレス真空二重構造+銅コーティング採用

提供:スター商事

ボトル本体の内部構造に、アルパインスター、ジェムストーンの違いはないようです。ともに、上イラストのようなステンレス真空二重構造を採用。内側のステンレス壁には銅コーティングが施され、赤外線を反射。湯または水の温度を保つ仕様になっています。

もしまったく同じ構造だとすると、①シリコン製プロテクター、②ボトル口径の絞りが、やはり保温・保冷力アップに機能したといえます。

構造は同じでも、なんらかの仕様変更を行っているかもしれません。その場合は、真空層や銅コーティングをより強化したと思われます。

いずれにしても、アルパインスターのモンベル、サーモス同等、またはそれ以上の高い保温力は、チョイスする大きな動機になります!

保温力の高さだけではない、シグの機能性!

アルパインスターの機能性は、保温力だけではありません。

使ってみて感じたのは、注ぐ機能に長けている点です。

撮影:ポンチョ

上画像は、普通に注いだときの湯の太さです。

撮影:ポンチョ

そしてこの画像は、湯を細く注いだときです。

この細い湯、多くのサーモボトルでは、調節が難しかったり、湯がヨレてしまって、注ごうと思ったところとは異なる場所に湯が落ちてしまったりするんです。

でも、アルパインスターはほぼ狙った場所に、細い湯を注げます

細い湯を注げる……、それがわかると、試してみたいことがあるんです!

アルパインスターは、コーヒードリップが得意!

撮影:ポンチョ

細い湯を注げるアルパインスターは、コーヒードリップが上手くできます!

今回のテスト結果を踏まえれば、湯温83℃は、深入りの豆をドリップするのにちょうどよい温度から、やや低めですが、山では贅沢は言えません。もし寒さが厳しくて低い温度になってしまったら、少しの湯をストーブで沸騰させて、ボトルに戻してあげればいいのです。それでも、水から湯沸かしするよりも、短時間、燃料節約で、適温の湯を得られます。

こうしたことが、サーモボトルのよさであり、保温力の高いアルパインスターのよさといえます。

細い湯を注げるのは、中栓の注ぎ口の形状によります!

撮影:ポンチョ[左:サーモス山専用ボトル、右:アルパインスター]

アルパインスターがなぜ細い湯を注げるかというと、中栓の注ぎ口の形状に理由があります。

上画像左はサーモスの中栓です。中栓の湯が通る溝はやや細め、栓の上部の湯が出る傘のような部分が大きく、広くなっています。この形状は、湯を太く、多く注ぐのに適していますが、細く注ごうとすると左右にヨレてしまいます。画像はありあませんが、モンベルもこのサーモスと似た形状のため、湯がヨレます。

上画像右はアルパインスターの中栓です。湯が通る溝はやや太く、傘はその溝の太さのまま。しかも浅い形状です。この形状は、湯を太く、多くも注げ、反対に細く注いだ場合に、湯のヨレがほとんど起きません。ヨレる前に、湯が傘から離れるからです。

撮影:ポンチョ

ですが、ボトル内に残っている湯量が50ml以下で細く注ぐと、わずかにヨレます。湯がボトルから注がれる圧力が低下するからでしょう。

とはいえ、450ml以上のコーヒーをドリップするということは、3カップ程度の量となります。ボトル満水の500mlから1~2カップ分をドリップする360mlなので、問題ありません。

開閉の回転も少なく、ストレスフリー

撮影:ポンチョ

最後に、意外とストレスになる、カップと中栓の開閉をお知らせします。

アルパインスターは、カップ、中栓どちらも、3/4回転で開閉できます。ジェムストーンよりも口径が細くなった分、回転数が少し増えています。

ですが、使う人にもよりますが、2~3アクションでカップを開閉でき、中栓から湯を注げます。これが5アクションくらいになると、「たくさん回さないと開かない、閉まらない……」という印象になるのですが、アルパインスターはストレスがありません。

撮影:ポンチョ

ストレスがないということでいうと、底部のプロテクター装備も、軽量化を重視すればなくてもよいかもしれません。しかし地面に直接置いたり、誤って落下させてしまった際に傷がつきにくく、滑り止め機能とともに、装備されていてよかったなぁと感じるポイントです。

新たな高機能サーモボトルとして、活躍必至!

撮影:ポンチョ

今回は、季節柄、保温力のテストしか行っていませんが、アルパインスターはサーモボトルの2大巨頭、モンベル/アルパインサーモボトル、サーモス山専用ボトルの保冷力を、カタログスペックでは上回っています

これまで、多くのサーモボトルが2大巨頭の性能に追いつくことができませんでしたが、シグ/アルパインスターは遂に追いつき、追い越す性能を装備しました。きっと、今後はこのボトルの愛用者を山で多く見ることになりそうです。

コーヒー好きの私も、山コーヒーセットに加えたい性能とデザインに、すっかり魅了されました。サーモス山専の他にも、数本のサーモボトルをすでに所有しているので、改めて断捨離して、厳選。そのなかにアルパインスターを入れることになるでしょう。

ついに、サーモボトルにも変化のときが訪れたようです。

それではみなさん、よい山旅を!

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