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20年愛用の山行時の給水セット

失敗から学んで行き着いた、20年愛用のエバニュー『ウォーターキャリー』とラーケン『フツーラ』|定番道具のモノ語り#22

質実剛健、丈夫さが必要な機能である山道具。だからこそ発売から10年以上も変わらない道具や、10年以上問題なく使い続けられる定番の山道具があります。そんな山道具の中から、ライター・ポンチョが愛用してきたモノを紹介。

今回は第22回、エバニューの『ウォーターキャリー2L』、ラーケンの『フツーラ1.0』という、ソフトボトルとハードボトルを紹介します。穴開き&水漏れという小さな失敗から、この2つの組み合わせを山行時の給水セットとしました

それはどんな失敗だったのか?なぜ、この2つのセットにしたのか?失敗から、学ぶことの意義をまとめました。

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目次

アイキャッチ画像:ポンチョ

あなたはどんな失敗を山で経験していますか?

撮影:ポンチョ

経験から学ぶ、というのは、失敗から学ぶ、という意味合いが大きいようです。特に登山では、山での練習が実践となり、似てはいても、常に異なる状況がやってきます。

それに登山での失敗は、滑落や遭難へと広がる可能性があります。だから小さな失敗のうちに、それを防ぐ方法を想像して考え、リカバリーするのです。多くの大きな失敗は、小さな失敗の集合体として、現れるからです。

登山歴35年の私も、小さな失敗をしてきました。その小さな失敗のひとつが、ボトルからの水漏れでした。

約20年前、ソフトボトルが登場したときに

撮影:ポンチョ

2000年前後、ソフトボトルが日本に上陸しました。それまではアルミボトルか樹脂製のナルゲンボトルが主流でした。そこに、水がなくなったら丸めて折り畳める、ソフトだけども、人が踏んでも壊れないことを宣伝文句にした丈夫なソフトボトルが登場。ペットボトルを使いたくないアウトドア・ギア好きの多くが、すぐに使い始めました。

私もそんなギア好きのひとりです。平たい形状のため、当時広まりつつあったハイドレーションシステムに対応したバックパック内部のスリーブに収納することができました。

縦走で2Lの水を装備するのに、当時の私はサイドポケットにボトル2本を差して持ち運んでいました。でもソフトボトルなら、背中に近い安定した場所に収納でき、しかもその重量は50g以下と、アルミや樹脂製ボトルよりも100g以上軽量です。使わない理由はありません。

当時はコスパ重視でペットボトル数本をバックパックに収納する人もいました。でもテント前で煮炊きをする際に、ペットボトルが並んだ状態より、ソフトボトルがひとつが立っているシーンは、とてもスマートでした。

撮影:ポンチョ

そうして、すっかりソフトボトルを信用して愛用していた2005年頃。登山中に腰まわりに冷たさを感じました。大量の汗をかいたからかな?と思いましたが、どうも様子が違います。「もしや?!」と思い、バックパックのスリーブに収納したソフトボトルを確認すると、クッカーと擦れたであろう小さなが穴が開き、パッキングの圧で大半の水がなくなっていました。5年近く使用したため、劣化だったのかもしれません。幸い、山小屋でペットボトル飲料が売られていたので、それで事なきを得ました。

次の山行前に、新しいソフトボトルを手に入れて装備……したのですが、再び穴開き……。当時の私はファストハイクに興味を持ち、小さな容量のバックパックにギュウギュウに装備を押し込んでいました。おそらく、穴開きは、私のパッキングの強引さが理由です。このときは山小屋もなく、エマージェンシーキットに装備していたアルミテープで穴を塞ぎ、少ない水を少しずつ飲んで、無事下山しました。

以降、装備のさらなる軽量コンパクト化、ゆとりあるバックパックの選択といったパッキングの改善とともに、ボトルカバーを装備したソフトボトルに変更しました。それが上画像のエバニュー『ウォーターキャリー2L』とそのケースです。

予防と対策は、カバー装着とハードボトル使用

撮影:ポンチョ

エバニューのカバーは、凍結を防ぎ、保冷保温効果のある断熱材が封入されたものです。それがクッションとなり、収納した道具がソフトボトルに当たり、擦れても、穴開きの可能性はほぼありません。

とはいえ、そもそもウォーターキャリーも他のソフトボトルも、カバーを装着しなくても穴開きしない耐久性を装備しています。それでも、2回も穴開きさせてしまった私は、もう二度と水がない(少ない)というドキドキする状況になりたくないと考えて、必ずカバーを装着しました。

さらに携帯性のよいソフトボトル以外にも、穴開き、水漏れの可能性がほぼない、樹脂製のボトルかアルミボトルを装備して、二重の備えをすることも実践しました。

仮にソフトボトルに穴が開いて水漏れしても、樹脂製またはアルミボトルの水を予備にすれば、水枯れは防げるからです。

なぜ、そこまでする必要があるのか?

撮影:ポンチョ

カバーを装着したソフトボトルと、樹脂製またはアルミボトルを装備するようになって、約15年。その間、ソフトボトルの穴開きはなく、水漏れ、水枯れも経験していません。パッキングの変更も、上手くいったのだと思います。

もし、ソフトボトルの丈夫さを信頼し、パッキングの変更をしていなかったら、3度目の穴開き、水漏れを経験したかもしれません。そして、それが昨今の夏の酷暑と重なり、水場や山小屋まで距離があったら、熱中症になっていたかもしれません。それでも、「まぁ、大丈夫だろう」と過信してフラフラと歩いていたら、転倒や滑落した可能性もあったでしょう。

ソフトボトルの穴開き、水漏れは、小さな失敗ですが、それを予防、改善したから、つまり経験から学んだから、何事もなく、現在も楽しく登山ができています。

何事も起きない、起こさないというのは、理由があるのです。小さな失敗から学んだからこそ、大きな失敗を起こさずに済んでいるのです。だから、小さな失敗を根拠なく「今度は大丈夫だろう」とスルーしてはいけないのです。

それが、私が経験から学んだことです。

ソフトボトルは乾きにくいといわれますが……それよりも。

撮影:ポンチョ

さて、現在私が使用しているソフトボトルは、エバニューのウォーターキャリー2L。現在、3代目です。買い換えた理由は穴開きした訳ではなく、湿気が抜けにくい構造のため、10年使った頃に、内側が緑色に変色したためです。

SNS上では、ソフトボトル内部の乾きにくさが指摘され、その解決方法が示されています。でも使用前に水でゆすいだり、お湯で消毒すればよいので、私は乾きにくさを気にしていません。ですが、さすがに10年近く使って変色したら身体に悪そうなので、お役御免。十分に役目を果たしてくれました。

ところでその乾きにくい原因となっている細い口は、ペットボトルと同じ径です。キャップは本体と連結されているのでなくすことはありませんが、ペットボトルの口に装着できる携帯浄水器を使用できるのが便利です。実際、水場の水をそのまま飲んで、腹を下したことがあるので、危なさそうな山域の水場では浄水しています。

ちなみにウォーターキャリーのキャップはパッキン不要。経年劣化による口部分からの水漏れも、経験していません。10年使えた道具なので、劣化が見られたら、買い換えて使い続けたいと思っています。ですが、ウォーターキャリー用のカバーは販売中止になっています……需要がなかったとのこと……なので、今装備しているものを大事に使っていきます。

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