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歩きやすさが違う!ガチガチではないけど柔らかすぎないシューズのススメ

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登山靴を選ぶときに気になるのが、「軽さ」と「安定性」のバランス。どちらも大事だけれど、両方を満たすのは意外とむずかしいですよね。
トレッキングシューズは安定感に優れる一方で少し重ため。逆に、トレランシューズは軽快そのものですが、岩場ではちょっと心もとない場合もあります。
「軽いのに安定性もある」そんないいとこ取りのシューズがあったら最高なのに!と思ったことがある人も多いはず。
そこで今回は、「軽さ(=ライト)」と「安定性(=スタビリティ)」を兼ね備えたシューズを「ライト&スタビリティシューズ」と名付け、その条件にハマる5モデルをピックアップしてみました。
「サポートはほしい。でも重たい靴は避けたい……」、そんなわがままを叶えてくれる一足を探している人は、ぜひチェックしてみてください!
快適に歩ける!ライト&スタビリティシューズの選び方
選ぶ上で大切なのは、「軽さ」と「サポート力」のバランス。まずは、その見極めポイントを紹介します。
重さの狙い目は400g前後!程よい重量が生む安定感

撮影:筆者
登山靴の「軽さ」と「安定性」をちょうどいいバランスで両立させたいなら、目安になるのが片足400g前後のモデルです。
一般的なトレッキングシューズは片足500〜600gほど。重たい荷物を背負っても安定感はありますが、そのぶん重量があるため、長時間歩くと足の上げ下げでじわじわ疲れがたまってきます。
一方、トレランシューズは片足300g台と非常に軽く、テンポよく歩けるのが魅力。ただ、ソールが柔らかいモデルが多く、岩場では不安定になりがちです。
そんな2つのシューズの強みをバランスよく取り入れてくれるのが、片足400g前後のシューズ。
このゾーンのモデルは、軽さをしっかりキープしつつ、ソールにはねじれを抑えるプレートや適度な硬さのある素材を採用し、アッパーには耐久性の高い生地を使っているものが多いのが特徴です。その結果、「軽いのに安心して歩ける」という絶妙なバランスを実現しているんです。
岩にぶつけても安心!足を守る保護性能

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登山中によくあるのが、岩の角や木の根に「ガツン」とぶつけてしまう場面。疲れて足が上がらなくなってくる後半ほど、こうしたトラブルは起こりやすいですよね。
そんなときに安心なのが、つま先をラバーで補強したモデルや、シューズ全体をぐるりと守るランドラバー付きのタイプ。衝撃を受け止めてくれるので、痛みはもちろん、思わぬケガのリスクも減らしてくれます。
補強がある分重量は少し増えますが、歩行時の安心感は段違い。不安な方はよりしっかり保護してくれるタイプを選ぶとよいでしょう。
「防水性あり」だと山でも安心

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天候が変わりやすい山では、防水素材を採用したモデルだと安心。突然の雨に対応できるのはもちろん、朝露でしっとり濡れた登山道でもストレスなく歩くことができます。
真夏や日帰りメインの登山なら、通気性を重視した非防水モデルも快適ですが、「足を濡らしたくないな……」と思う方には、防水モデルがおすすめです。
履き比べてみた!おすすめライト&スタビリティシューズ5選
ここからは、筆者がピックアップした「ライト&スタビリティシューズ」を5モデルご紹介。実際のフィールドで履き比べを行い、軽さと安定性のバランス、歩き心地、使い勝手などを細かくチェックしました。各モデルの特徴や適した使い方も合わせて解説していきます。
| モデル名 | メレル|モアブ スピード 2 ゴアテックス | スポルティバ|アキラ II GTX | ザ・ノース・フェイス|オフトレイルハイク ゴアテックス | サロモン|X ウルトラ 5 ゴアテックス | スカルパ|リベレラン 2 |
|---|---|---|---|---|---|
| 製品画像 | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
| 重量 | 約 370g (27.0cm/片足) | 約390g | 約415g(9インチ/片足) | 380g | 285g(42サイズ) |
| 特徴 | ・軽さと安定性のバランス ・山でも街でも違和感のないデザイン | ・適度な柔軟性で歩きやすい ・高いグリップ性能 | ・優れた堅牢性 ・岩場や荒れた路面での安定感 | ・歩きやすさと横ブレ防止を両立 ・脱ぎ履きが簡単 | ・圧倒的な軽量性 ・ファストハイクやトレランにもおすすめ |
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【1】メレル|モアブ スピード 2 ゴアテックス

メレル/モアブ スピード 2 ゴアテックス
重さ:約 370g (27.0cm/片足)
サイズ:25.0cm~30.0cm
メレルの名作ハイキングシューズ「MOAB(モアブ)」をベースに、トレランシューズの軽やかさをミックスした一足。
400gを切る軽さでありながら安定性も高く、まさに「ライト&スタビリティ」を代表するような一足です。
程よい硬さを持つソール&耐久性の高いアッパー

ソールには程よい硬さがあり、手で押し込む程度ではほとんどしなることもありません。

アッパーには耐久性の高い素材が使われ、つま先もラバー補強されているため、岩場でも安心して歩けます。
クッション性に優れるミッドソールとTPUプレートで疲労を軽減

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このシューズの一番の特徴は、クッション性に優れるEVAフォーム「フロートプロ™」を採用したミッドソール。前モデルよりも6mm厚くなり、歩行時の衝撃をしっかり吸収してくれます。

撮影:筆者
実際にフィールドで使ってみると、その性能を実感。大きな段差を降りるときでも衝撃をほどよく吸収してくれるため、長時間歩いても足裏や膝の疲れをしっかり軽減してくれました。

撮影:筆者
さらに、シューズのねじれを防ぐためにソールに内蔵されている軽量TPUフットプレート「フレックスプレート」も秀逸。踏み込んだ際に足がねじれないようにサポートしてくれるため、捻挫の予防や疲労軽減にもつながると感じました。
グリップ性能の高いVibram社のアウトソール

撮影:筆者
アウトソールには、Vibram社の高グリップラバーを採用。ラグの高さは4mmと高すぎず低すぎずのちょうどいい設定で、山道ではしっかり噛みつきつつ、平地では引っかかりすぎずスムーズに歩けます。
山でも街でも違和感のないデザイン

撮影:筆者
そして嬉しいのが、山でも街でも違和感なく履けるデザイン。「山っぽさ」が強すぎないため、そのまま街に下りても違和感ゼロ。山と日常をシームレスにつないでくれる万能さがあります。
筆者
軽量さと安定性のバランスがとても優秀な一足で、特にクッション性を重視したいという方にぴったり。
日常使いもしやすく、コストパフォーマンスの高いシューズです。
メレル モアブ スピード 2 ゴアテックス®[メンズ]
| 重さ | 約 370g (27.0cm/片足) |
|---|---|
| サイズ | 25.0cm~30.0cm |
メレル モアブ スピード 2 ゴアテックス®[ウィメンズ]
| 重さ | 約 300g |
|---|---|
| サイズ | 22.5cm~25.5cm |
【2】スポルティバ|アキラ II GTX

撮影:筆者
スポルティバ/アキラ II GTX
重さ:約390g
サイズ:38~47(EU表記)
トレイルランナーやファストハイカーに大人気だったモデル「AKYRA(アキラ)」が、登山仕様にリニューアルされた一足。
もともとトレラン生まれのシューズだけあって、足さばきのしやすさは抜群。そこにクッション性・安定性・耐久性が加わり、登山にもにぴったりの一足へと進化しています。
柔軟性と耐久性のバランスがよいボディ設計

撮影:筆者
ソールの硬さは今回比較しているシューズの中でも柔らかめ。厚みはしっかり確保しつつ、土踏まず付近はあえて柔らかめに設計されているため、足の動きに自然と追従してくれます。
歩き出しが軽く、歩行性能の高さが際立つシューズです。

撮影:筆者
アッパーには、ゴムのような屈曲性とプラスチックのような耐久性を併せ持つ素材「KPU」を採用。つま先も硬めのパーツでしっかり保護されており、軽さと柔軟性を備えつつも、耐久性やプロテクションもしっかり確保されています。
グリップ力抜群の独自ラグパターン

撮影:筆者
特にすごいと感じたのが、このソール。独自のラグパターンを採用しており、高さのあるラグの一つひとつが地面をガッチリ捉えてくれます。

撮影:筆者
実際にフィールドで使ってみても、そのグリップ力には驚きの一言。路面をしっかり「噛む」感覚があり、スリップの心配もなく、岩場でもすいすいと歩くことができました。

撮影:筆者
ツルッと滑りそうな、樹林帯の湿った路面でも安心感は変わりません。シューズに柔軟性があるため、路面との接地面が増え、しっかり踏み込むことができます。
足がスイスイ前に進むつま先が上がったタイプ

撮影:筆者
さらに、つま先が上がった「ロッカー構造」も大きな特徴の一つ。足が転がるように前に進み、体重移動もスムーズなため、長い距離でもテンポよく歩けます。ファストハイクはもちろん、ちょっとしたランでも使いたい人にピッタリです。
筆者
歩き出しが軽く、歩行性能の高さが際立つシューズです。グリップ力が高いため、どんなシーンでも対応してくれる安心感もあります。
路面を気にせず、ファストハイクを含むさまざまな山行を楽しみたい方におすすめです。
スポルティバ アキラ II GTX [メンズ]
| 重さ | 約390g |
|---|---|
| サイズ | 38~47 |
スポルティバ アキラ Ⅱ ウーマン GTX
| 重さ | 約330g |
|---|---|
| サイズ | 36~43 |
【3】ザ・ノース・フェイス|オフトレイルハイク ゴアテックス

撮影:筆者
ザ・ノース・フェイス/オフトレイルハイク ゴアテックス
重さ:約415g(9インチ/片足)
サイズ:7~11(EU表記)
バリエーションルートも視野に入れた、耐久性と安定感が際立つ一足。岩場・ガレ場などのタフな地形でもしっかり踏み込める、頼もしさが魅力のシューズです。
タフさが際立つソールとボディ

撮影:筆者
ソールは手で押してもしならないほどガッチリとした作り。今回比較したシューズの中でも最も硬めで、着地時のブレを抑え、安定感をしっかり確保してくれます。

撮影:筆者
アッパーには耐久性で定評のある「CORDURAリップストップナイロン」を採用。側面までラバーで包み込むような構造になっており、ガシガシ使っても安心のタフさを備えています。
岩場での踏み込みが楽チン

撮影:筆者
堅牢なソールは、とくに岩場で力を発揮。足先に体重を乗せても沈み込みが少なく、急登でもしっかり踏みこめるため、登りやすさを感じました。突き上げ感も少なく、疲れにくいのも好印象です。
高さのある5mmラグが地面をしっかりグリップ

撮影:筆者
岩場以外の林道や土の路面ももちろん問題なし。5mmの高さのあるラグが地面をしっかり捉え、スリップの不安を感じさせません。
さらに、シューズ自体が堅牢なため、岩や木の根に足をぶつけてしまうようなシーンでも安心。整備された登山道はもちろん、やや荒れたルートまで信頼して踏み込んでいけるモデルです。
筆者
岩場や荒れた路面での安定感はピカいち。荷物が重くなってもしっかりサポートしてくれるため、幅広い山行で活躍してくれます。
「頑丈な一足がほしい」「バリエーションルートも含めてガンガン歩きたい」という人におすすめしたいモデルです。
ザ・ノース・フェイス オフトレイル ハイク ゴアテックス [メンズ]
| 重さ | 約415g(9インチ/片足) |
|---|---|
| サイズ | 25.0~29.0 |
ザ・ノース・フェイス オフトレイル ハイク ゴアテックス [レディース]
| 重さ | 約370g(8インチ/片足) |
|---|---|
| サイズ | 22.5~25.0 |
【4】サロモン|X ウルトラ 5 ゴアテックス

撮影:筆者
サロモン/X ウルトラ 5 ゴアテックス
重さ:380g
サイズ:25~31cm
サロモンの定番「X ウルトラシリーズ」の最新モデル。歴代モデルで積み上げてきたノウハウがぎゅっと詰め込まれており、軽さ・耐久性・安定性のバランスが特に高い一足です。
アッパーには、軽量ながら高い耐摩耗性を誇る「Matryx®(マトリックス)」を採用。軽いのにタフで、山でガシガシ使える心強い素材です。
履き心地抜群なソールとクッション性能

撮影:筆者
ソールは比較的柔らかめで、しなりの良さは「アキラ II GTX」に近い印象。この柔軟性のおかげで足運びがとてもスムーズで、「歩きやすい」と率直に感じる一足です。

撮影:筆者
また、足首まわりのクッション性が高いため履き心地も抜群。歩いていてストレスが少なく、長い距離でも疲れにくいフィット感があります。
怪我のリスクを軽減する高いサポート力

撮影:筆者
歩きやすいからと言って、サポートが弱いかと言えばそんなことは全くなし。ミッドソールの土踏まず部にコの字型に配置された「Advanced Chasiss(アドバンスドシャーシ・写真黄色部分)」と、そこからアッパーへと伸びる「Active Support(アクティブサポート)」が連動し、横ブレをしっかり抑えてくれます。
ローカットモデルでありながら足首が安定し、捻挫リスクをぐっと下げてくれる安心感は、このシューズの大きな魅力です。
濡れた林道でも安心のグリップ力

撮影:筆者
アウトソールには「Contagrip®(コンタグリップ)」と呼ばれる全地形対応型の独自ソールを採用しており、グリップ力も申し分なし。濡れた山道も不安なく進むことができました。
クイックシューレースでフィット感をワンタッチ調整

撮影:筆者
さらに嬉しいのが、紐を引くだけで締められるクイックシューレース。着脱がとにかく楽で、フィッティング調整も素早く行えるため、休憩や行動中の手間もぐっと減ります。
筆者
軽さ、歩きやすさ、サポート力、そして扱いやすさ。どれを取っても平均点が高く、弱点らしい弱点が見当たらない「万能型」の一足。
「とりあえず間違いないライト&スタビリティシューズが欲しい」という人におすすめできるモデルです。
サロモン X ウルトラ 5 ゴアテックス [メンズ]
| 重さ | 380g |
|---|---|
| サイズ | 25.0~31.0cm |
サロモン X ウルトラ 5 ゴアテックス [ウィメンズ]
| 重さ | 320g |
|---|---|
| サイズ | 22.0~25.5cm |
【5】スカルパ|リベレラン 2

撮影:筆者
スカルパ/リベレラン 2
重さ:285g(42サイズ)
サイズ:39~46(EU表記)
今回紹介する5モデルの中で、最も軽いのがこの「リベレラン 2」。スカルパの中ではトレランシューズに位置づけられる一足ですが、マウンテンブーツの要素も盛り込まれた、まさに「走れて歩ける」ハイブリッドモデルです。
安心感の高い硬めソールとラウンドカバー

撮影:筆者
マウンテンブーツの特徴を取り入れているだけあり、見た目に反してソールはしっかりした作り。手で押しても簡単にはしならない硬さがあります。

撮影:筆者
シューズをぐるっと囲むラウンドカバーも特徴的で、耐久性と保護性能をさらに高めてくれるポイント。
アッパーには耐久性の高いTPU素材を使用しているため、ハードな使用にも応えてくれるタフさがあります。
軽量かつフィット感抜群で、足さばきがとにかく軽快

撮影:筆者
歩いてみてまず驚くのが、その軽さ。他のシューズと比べても約100g軽いため、足取りが一段と軽快に感じられます。
軽いのにソールの硬さはしっかりあるため、岩場では安定感を発揮。グリップ力が高く、突き上げ感も少ないため、快適に歩くことができました。

撮影:筆者
さらに歩行中に感じたのが、足首まわりのフィット感の高さ。靴下のようにフィットする「ソックフィットシステム」のおかげで、足首周りの自由度が高く、軽快な歩き心地です。
ザレ場でも小石が入りにくく、途中で靴を脱いで取り出す手間がほぼないのも嬉しいポイントです。
フィット感の調整が手間にならないコード式シューレース

撮影:筆者
コードロック式のシューレースで調整が簡単なのも大きな魅力。岩場ではギュッと締めてフィット感を高め、平地では少し緩めてリラックス、といった細かな調整もサッと行えます。

撮影:筆者
トレランシューズということで軽く走ってみると、その性能をさらに実感。軽量なため足上げがラクなうえ、つま先まわりの保護性能も高いので、多少ぶつけても安心。その安心感が、足をどんどん前へ運んでくれました。
筆者
通常登山はもちろん、ファストハイクやトレランも視野に入れたい人にぴったり。
軽量性をしっかり確保しつつ堅牢性も合わせ持っているので、「走れるくらい軽く、それでいて頼れる一足が欲しい」という方におすすめのモデルです。
スカルパ リベレラン 2 [メンズ]
| 重さ | 285g(#42) |
|---|---|
| サイズ | 39~46 |
スカルパ リベレラン2 WMN [ウィメンズ]
| 重さ | 255g(#38) |
|---|---|
| サイズ | 36~40 |
軽快かつ安定して歩ける一足を見つけよう!

撮影:筆者
以上、5つのシューズをご紹介しました。一言で「軽くて安定感のあるシューズ」といっても、モデルごとにその特徴はさまざま。基本的にバランスの取れたシューズばかりですが、その中でも、軽量性を重視するのか、安定感を重視するのかによって、アイテム選びは大きく変わってきます。
ぜひご自身の山行スタイルや登山の目的に合わせて、ピッタリの一足を見つけてみてください!
▼今回紹介したシューズ一覧
【メンズモデル】
【レディースモデル】





