武将や先人の足跡を辿ると魅力倍増!低山トラベラー大内征さんの「山の愉しみ」by ROGER EGGER
歴史や旅、グルメなどのさまざまな「山の楽しみ」を教えてもらいながらコースを歩きます。今回は低山トラベラーの大内征さんと一緒に、昔ばなしあり、森林歩きあり、絶景の展望あり、景勝地ありと見どころ満載の羅漢寺山へ。人里に近く歴史が色濃く残る低山には、またひと味違った楽しみ方が。復活したばかりのスイスの伝説的ブランド「ROGER EGGER」のウエアで歩きながら、低山歩きの魅力を教えてもらいました!

制作者
YAMAHACK 編集部
YAMA HACK運営&記事編集担当。登山をきっかけに自然の力に魅了される。山で飲むコーヒーが大好き。何かあれば必ず山に行き、心身共に整える。山について新しい視点を与えられるような記事作りを心がけて日々執筆活動を行う。
YAMAHACK 編集部のプロフィール
山登りはグルメ、旅、歴史をプラスするともっと楽しい

山ごはんを作って食べたり、山小屋のオリジナルグッズを集めたり、景色の写真を撮ったり、旅を楽しんだり……。登山の魅力は山歩きだけではなく、人それぞれに+αの愉しみ方があります。
この連載「あの人の『山の愉しみ』」では、毎回さまざまなゲストにおすすめの山をあげてもらい、一緒に歩きながら+αの楽しみ方を教えてもらいます。
今回の「山の愉しみ人」は…

低山トラベラー・大内 征さん
人や自然の営みとのかかわりから見た低山の魅力を発信。2016年よりNHKラジオ深夜便「旅の達人~低い山を目指せ!」レギュラー出演中。著書に『低山トラベル』シリーズ(二見書房)、『低山手帖』(日東書院本社)など。常任理事をつとめる日本トレッキング協会や自由大学、YAMAPなどで講座も開催中。BSP「にっぽん百名山」では東京都の雲取山、山梨県の王岳・鬼ヶ岳を案内した。
もともと歴史小説や寺社仏閣が好きだった大内さんは、登山を始めて、特に里山や低山が歴史と深く結びついていることに気づき、感動。
以来、日本各地の低山を巡り歩いて旅するようになったそう。今回、選んでくれた山は気軽に登れる低山ながら見どころ、聞きどころ満載の山です。
隠れた名低山。高い山が好きな人も気に入る羅漢寺山

大内さんがおすすめしてくれた羅漢寺山は、「日本一の渓谷美」とも言われる山梨県の昇仙峡をふもとに擁する山嶺の総称。主峰の弥三郎岳とパノラマ台(金剛峰)、展望台(鷲ヶ峰)の三峰を合わせて羅漢寺山といいます。
今回は、南側の長潭橋(ながとろばし)から登り始め、羅漢寺山の南西に隣接する白山(しろやま)、白砂山(しろすなやま)の山頂を踏んで、標高1058.3mの弥三郎岳山頂を目指します。パノラマ台から昇仙峡ロープウェイで下りた後は、昇仙峡の滝や奇石を楽しみながら、スタート地点まで戻ります。

出典:御岳古道トレッキングマップ(甲斐市)
ゴツゴツした岩肌の露出したかっこいい山容、気持ちのいい樹林帯歩き、南アルプスや富士山を望める5つの山頂、昇仙峡の渓谷美、そして山岳信仰や合戦といった歴史的背景など、とにかく見どころ満載!
金峰山へ続く「御嶽道」。長潭橋の登山口からスタート

昇仙峡天神森の市営無料駐車場に車を停めるか、「昇仙峡口」バス停でバスを降りて、長潭橋からいざスタート!
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登山口には、クマやイノシシ、シカなどが街に下りてしまわないように、柵がしてあります(写真2枚目)。開けて通った後は、必ず元通りに閉めておきましょう。
登り初め、しばらくは静かな樹林帯の中の歩きやすいトレイルを進みます。春は新緑、秋は紅葉を楽しめるので特におすすめ!
「御嶽道」とは?先人が歩いた道を辿る
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しばらく歩いていくと、「御嶽道(みたけみち)」という標識が出てきました。大内さんが伝えてくれたのは、この道の「歴史」です。
この北にそびえる日本百名山の金峰山は、奈良県吉野の金峯山(きんぷせん)から修験道の本尊である蔵王権現を迎えたことに始まると言われています。別名を甲州御岳山というので、そこに通じるこの道を「御嶽道」と呼ぶわけです。
「みたけ」と呼ばれる山は各地にあります。そのいわれも教えてもらいました。
吉野の金峯山では、修験道の開祖の役行者(えんのぎょうじゃ)の感得により蔵王権現という神さまが現れました。その蔵王権現を祀った山のことを『金峰山』や『御岳(みたけ)』と呼びます。『みたけ』と名前のつく山は全国にいくつもあるんですよ。
今回のコースは金峰山へ向かうルートのだいぶ手前の部分ですが、先人たちが金峰山を目指した道を辿っていきます。