テント泊縦走登山に挑戦!気になる疑問をガイドが解決【振り返り編】

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YAMAHACK 編集部

YAMA HACK運営&記事編集担当。登山をきっかけに自然の力に魅了される。山で飲むコーヒーが大好き。何かあれば必ず山に行き、心身共に整える。山について新しい視点を与えられるような記事作りを心がけて日々執筆活動を行う。

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初めてのテント泊縦走登山を、THE NORTH FACEが応援します!

仮 憧れのテント泊縦走登山。いつか挑戦してみたいけれど、実際に計画するとなると不安や疑問がいっぱいですよね。そこで今回、ステップアップを目指す登山者を応援し続けてきた<THE NORTH FACE>と登山ガイドの渡辺佐智さんのサポートのもと、北アルプステント泊縦走に初挑戦する女性チームに準備段階から密着。その様子を全4回の連載にてお届けします。

連載4回目の【振り返り編】では、今回の山行をしっかりと見直します。どんな反省点や改善点があるでしょうか。

山行の振り返りこそレベルアップへの近道

テント泊縦走中の登山者
自分のとった行動がどんな結果に結びついたのかを客観的に見直す時間は、登山においても重要です。今後のさらなるステップアップのために、以下3つのポイントで振り返ってみましょう。
 
①計画面
②準備面
③実践面

①計画面|スケジュールと体力のバランスは問題なかった?

テント泊装備の大型ザックを背負って登る登山者
体力に見合った計画になっていたのか、予定通りに行動できたのかを見直し、次回の山選びや行動計画の参考にしましょう。
渡辺ガイド
渡辺ガイド
2人とも思っていたより体力があるなと感じましたが、テントを背負って2泊3日のロングルートに初挑戦してみてどうでしたか?

重い荷物を背負って3日間歩き続けるのは初めてだったので、計画と準備は万全とはいえ、不安でした。

でも、渡辺ガイドの先導もあって、景色を楽しみながら、会話ができるくらいのペースで無理なく歩けました。
吾妻
吾妻


強い日差しの中をサングラスをして歩く登山者
頑張りすぎない、でも少し挑戦でもある行程でした。

荷物を軽量化できたこと、歩くペースや休憩のタイミングなど、準備と実践で学んだいろんな要素が組み合わさって、無理なく歩くことができたのだと思います。

長距離・長時間の山行では特に、バテないためのペース配分や、心拍数が上がりすぎないペースで歩くことが大事だなと改めて感じました。
荻原
荻原

苦手なところも再認識

最終日に膝が痛くなってしまったことは反省点です。

もともと下山は苦手だったので、渡辺ガイドに教えてもらった膝に負担がかからない歩き方を実践して、トレッキングポールも使っていましたが、それでも終盤に痛くなってしまい……正直辛かったです。ちょっと悲しくもなりました。

筋力も強化しなければと感じています。
吾妻
吾妻


下山
ただ、ここまで長い距離を歩いたことがなかったので、「今の自分はこの内容までやれるんだ」と気づけたことはよかったです。

次はこの気づきを活かして、自分の歩ける距離や標高差で登山計画をしようと思います。
吾妻
吾妻

行程中、いかに自分のマネジメントをするかが重要

霧の中を歩く登山者
ロングコースになればなるほど、水分やエネルギーの補給の仕方が、体調に大きく関わってくるなと感じました。

1日目は曇天で歩きやすい気候だったこともあって、あまり水が減っていなかったんです。テント場で少し頭痛がしたのは水分不足ですね。
荻原
荻原

渡辺ガイド
渡辺ガイド

補給したい水分量を考えると、私の場合は30分で3~4口を目安にしています。 こまめに飲むと、体がしっかり吸収してくれますよ。
 
行動中の水分補給が足りていなかったと感じたら、翌日の体調を整えるためにも、テント場についてから必要とされる水分量(※)を摂るようにしましょう。
 
※行動中の脱水量(ml)=体重(kg)×行動時間(h)×5(脱水係数)

ただ水分を摂ればいいというわけではなく、自分に必要な水分量と、その摂り方が大事なんですね。
荻原
荻原

自分の都合ではなく、山の都合で決行の判断を

事前の情報収集はこまめに行い、天候も毎日のように確認していました。

梅雨の悪天候で山行を別日程に振り替えることになったときは残念でしたが、実際に危険な天候だったようなので、延期の判断でよかったなと思います。
吾妻
吾妻



山行前に「ザ・ノース・フェイス グラビティ 白馬」のフィールドインフォメーションデスクで、登るエリアの天気や登山道の状況を教えてもらえたのもありがたかったです。
荻原
荻原

渡辺ガイド
渡辺ガイド
その地域に詳しい方々から、リアルタイムなフィールド情報を山行直前に現地で手に入れらるのはすごく貴重です。白馬エリアに行く際は、立ち寄ってみるといいですね。




現地での状況判断&振り返りに“記録ノート”をフル活用

登山の山行記録ノート
計画を立てるときに作った“記録ノート”のおかげで、予定コースタイムや休憩場所、これから歩く登山道の特徴や注意箇所を行動中にサッと確認できました。
吾妻
吾妻

実際の通過時刻や、気づいたことを書き込んでおいたら、行動の振り返りもしやすかったです。

2日目は、絶景の写真撮影に夢中になりすぎて序盤が1時間押し、でも後半でだいぶ巻き返しているな、とか。撮影する時間を決めたり、見越して計画を立てたり、今後改善できるところです。
荻原
荻原

②準備面|装備の過不足はなかった?

吾妻さん
持っていったのに使わなかった道具や、足りなかったアイテムはなかったでしょうか。もし忘れ物をしたなら、忘れないようにする工夫も考えてみましょう。
目立った過不足はありませんでしたが、UVカットのアームカバーなどを持っていたらよかったなと思いました。2日目に10時間以上稜線を歩いて小屋に着いたとき、特に日に当たっていた右腕だけ見事に焼けてしまっていて。

日焼け止めを朝に一回塗っただけで、途中で塗り直しをしなかったのもよくありませんでした。
吾妻
吾妻

山に合わせた対策も忘れずに

日焼けした腕に冷却シートを貼る
稜線をずっと歩くのと、樹林帯を含む道を歩くのでは、日差しのレベルが全く違うなと痛感しました。

渡辺ガイドに冷却シートを貼ってもらったおかげで酷くならずにすみましたが、危うくヤケドみたいになるところでした。
吾妻
吾妻

冷却シートを持っていると、いろんなときに役立つと知って、早速ファーストエイドキットに入れました!
荻原
荻原

荷物は増えるが、あると便利なものも

岩場を登る登山者
今回、装備に取り入れてよかったのはハイドレーション。でもボトルも持っていくべきか悩んで……事前に渡辺ガイドに相談して、ボトルも用意することにして正解でした。
吾妻
吾妻

渡辺ガイド
渡辺ガイド
ボトルも持っていた方がいいですね。万一ハイドレーションが水漏れしたときの予備になりますし、食事の準備や水汲みで使ったり、水以外の飲み物でリフレッシュもできますから。

早朝、寝起きで体を動かすときにも、保温ボトルがあると白湯が飲めて重宝します。


保温ボトル
ボトルに入れておいた湯で朝ごはんを作ったり、調理の時短にもなりました。
吾妻
吾妻

渡辺ガイド
渡辺ガイド
持っていくかどうかを悩んだときは、その道具が持つ利点を踏まえつつ、軽量化とコンパクト化との兼ね合いで考えてみましょう。

見直しを繰り返すことで、過不足のない装備に

行動食でエネルギー補給
フリーズドライで食料の軽量化はできていたのですが、持っていく量については改善すべき点がありました。足りなくなるのが不安でつい多くなり、非常食を除いても結構余ったので、今回の消費量を参考値にしつつ、いつ何を食べるかの献立を今後は細かく設定しようと思います。
荻原
荻原

渡辺ガイド
渡辺ガイド
山行ごとに過不足の見直しを繰り返して、適切・適量な装備にブラッシュアップしていきましょう。

安全のための装備をしっかり準備

雪渓を登る登山者
現地状況を事前に確認したときに、登山道の残雪状況から、前爪のあるアイゼンとピッケルが必要だと判明したときは「荷物が重くなる……」と思ってしまいました。でも安全のためには仕方ないなと。

再設定した山行日程では残雪はすっかり少なくなっていて、日々状況が変わる中で、こまめな情報収集の大事さを改めて感じました。
荻原
荻原

渡辺ガイド
渡辺ガイド
装備も天候も「山に合わせて登る」というのが大前提

自治体や山小屋のHP、直近の山行レポートなどでルート状況を確認したり、複数の情報から天気の変化を予測したりと、安全に登山を楽しむために、山行当日までにやるべきことはたくさんあります。

③実践面|山行を通しての“気づき”は?

白馬大池テント場
楽しいだけでなく、つらいことや危険な面も併せ持つ登山は、状況に応じた判断の連続。そんな山行のなかで、どんなことを感じたでしょうか。



コロナ前は、「2人以上の場合はできるだけ1つのテントを共同で」というのがマナーでしたが、コロナ禍にあって、1人1テントがほとんどでしたね。

テント場も今は完全予約制のところが多いですし、登山で求められる対応もずいぶんと変わってきた印象です。
吾妻
吾妻

渡辺ガイド
渡辺ガイド
ソロテントは、共同テントに比べてコミュニケーションが少なくなります。体調はどうか、食事をしっかりとれているかなど、お互いに意識して話すようにしましょう。

またコロナ禍で、全体的に“自身の体力を判断する力”が落ちています。疲労は、道迷い・転倒・滑落に繋がりますので、自分たちを客観視して判断できるといいですね。

コロナ禍の登山では、常に考え続けることが大事

北アルプス朝日小屋
渡辺ガイド
渡辺ガイド
女性チームの挑戦ということで、朝日小屋のオーナーが女性であることも、今回のコースを選んだ理由のひとつです。名物おかみ・清水ゆかりさんのパワフルさに元気をもらえたのではないでしょうか?

明るく生き生きとされていて素敵でした。清水さんの気さくな人柄もそうですが、小屋内の受付の雰囲気からも、コロナ禍でも「安全に登山を楽しんでほしい」という想いや“おもてなし精神”のようなものが自然と伝わってきました。
荻原
荻原




 
朝日小屋の売店で買える富山名物の「ますの寿司」。おだやかな酸味が美味しい
経営上の問題が起きている小屋も多いと聞きます。宿泊人数を減らしたり、さまざまな感染対策をしたりと大変な中で、温かく迎えてくださって頭が下がります。
荻原
荻原

渡辺ガイド
渡辺ガイド
コロナ禍では、状況が随時変わります。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置により、急に登山自粛要請が出ることだってあります。

いつどこのエリアや山に行くのか、食料や装備をどうするべきか。的確な状況判断は、元来、登山で必要な能力です。

コロナ禍での登山に対して、みなさんいろんな想いや考えがあると思いますが、計画や準備から実際の山行まで、あらゆる情報を収集して、複合的かつ客観的に判断しましょう。

初挑戦は経験者と一緒に

登山者
楽しく安全に2泊3日を終えられたのは、いつも以上に計画と準備がきめ細やかにできていたことはもちろんですが、仲間と絶景が大きな支えになったなと感じています。
荻原
荻原

今回は渡辺ガイドやザ・ノース・フェイスのみなさんがサポートしてくださいましたが、はじめての挑戦のときに経験者がいると安心感がありますよね。
吾妻
吾妻

渡辺ガイド
渡辺ガイド
1人では考えもしなかったことに気づけたり、分からないことを仲間に教えてもらったりもできますからね。


登山者
膝を痛めたりトラブルはありましたが、一緒に挑戦する仲間がいたからこそ頑張れた気がします。
吾妻
吾妻

山仲間が身近にいないっていう声もよく聞きますが、まずはガイドツアーに参加するのもアリだなと。特に長期縦走では、ソロより断然心強いです。
荻原
荻原

やはり絶景の持つパワーは半端ない

鉢ヶ岳・雪倉岳への稜線を歩く登山者
なんだかんだ、つらくても絶景を見ると、来てよかったって思うんですよね。ヘトヘトになったときの方が感動が大きかったりして。
荻原
荻原



今回のルートは終始、いろんな高山植物が咲いていたので、いっぱい元気をもらえました。渡辺ガイドが持っていた図鑑と照らし合わせて、たくさんの花の名前を覚えられてよかったです。
吾妻
吾妻

渡辺ガイド
渡辺ガイド
名前を知っていると、出会ったときの喜びが増しますよね!

1日目に見た花の名前を2日目にはすぐに言えるようになっていて、山行の中での成長が著しくて感心しました。

今回の挑戦でたくさんのことを吸収して、またひとつステップアップしているはずです。

振り返りでの“気づき”をおさらい

挑戦を通しての“気づき”が、着実なレベルアップに繋がります。より安全に登山を楽しむために、そして新たな目標に挑戦するために、よかったことも反省点も有効活用しましょう。


達成感もひとしお! 挑戦を終えて

ハイタッチをする登山者

吾妻
読者代表 吾妻 梨花
 
自分で応募しておきながら、最初は「本当に大丈夫だろうか? 最後まで歩ききれるだろうか? 迷惑はかけないだろうか?」という不安がありましたが、渡辺ガイドやザ・ノース・フェイスの方々から、計画から準備まで丁寧に教わり、おおむねの不安を解消して山行に臨むことができました。
 
普段の自分の計画の立て方では不十分だった部分や計画時の参考にできる指標など、今回学んだことは挑戦後の登山にも活かされています。
 
3日間山にいると、たくさんの素晴らしい景色や朝昼晩の山の表情を見ることができ、感動の連続。壮大な景色の中に自分がいる感覚は忘れられません。
 
そして、一緒に歩いたみなさんとも時間を共有し、色々なお話を聞かせてもらって、学ぶことがたくさんありました。とても楽しかったです。
 
自分ひとりでは、なかなか挑戦しにくい2泊3日の縦走ですが、たくさんの方々にサポートしていただき、無事にゴールすることができました。下山口に到着してみんなでハイタッチをしたとき、正直ちょっとウルッとしていました(笑)。
 
とても有意義な経験となり、レベルアップできたと感じています。貴重な機会をいただき、ありがとうございました!

 

荻原
YAMA HACK編集部 荻原 枝里子
 
久しぶりのテント泊縦走。たくさんの高山植物を眺めながら、大好きな稜線歩きを堪能することができました。
 
山のさまざまな表情を見ることができたのも、長い時間を山の中で過ごしたからこそ。2泊3日、しかもテント泊となると腰が重くなりがちですが、「もっと山に行きたい」「テント泊で自然にどっぷり浸かりたい」という気持ちを再燃させてくれた山行になりました。
 
いつもはソロが多いので、仲間と挑戦することの魅力も体感。みなさんが積み上げてきた知識や技術、山との向き合い方から学ぶことも多く、また、独自の計画や準備では至らない点を見直すことができ、実りある3日間でした。
 
挑戦を通しての私たちの気づきが、誰かの挑戦のお役に立てば幸いです。

 

渡辺ガイド
登山ガイド 渡辺 佐智
 
やっぱり縦走はグループでわいわい行くのが楽しいですね。心動かされたことをその場で共有できるのは、しみじみいいなぁ、と思います。今回は個性あるメンバーから私も刺激をもらいました。
 
登山は判断の積み重ねですから、他の人がどういう材料を元に何を決めているのか、考えを聞いてみるといいと思います。また、得意不得意もそれぞれ違いますから、お互いに補うことで見えることも変わってきます。
 
コロナ禍で単独登山が増えていますが、自分のことだけを考える登山ばかりでは視野も狭くなります。安全対策ができたらぜひ、グループで計画してみてください。一人の場合と違って調整など時間はかかりますが、かけた分だけいい登山になります。メンバーも自分も育てて、みんなでいい登山を続けていきたいですね。

 

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