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日帰りでもっと長く歩きたい!いつもの登山をアップデートする方法って?

軽快にもっと長く歩きたい!いつもの登山をアップデートする方法をプロに聞いてみた

「日帰りでも、もっと軽快に長い距離を歩きたい」そんな望みを叶えるにはどうしたらいいのでしょうか。その方法のひとつとして、「ファストハイク」という登山スタイルがあります。ではどう始めたらいいのか、具体的に必要な準備についてミレーアンバサダーの方に聞いてみました。

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目次

この記事は、YAMA HACK×ミレーが、2つのマウンテンレジャーを【準備編】【実践編】の2本立てで紹介する連載企画です。今回はファストハイクの【準備編】として、ファストハイクにはどんな道具が必要なのか紹介していきます。

<テーマ1.>ファストハイク
・【準備編】軽快にもっと長く歩きたい!いつもの登山をアップデートする方法をプロに聞いてみた(★本記事)
・【実践編】足早に歩く「ファストハイク」に挑戦。体力消耗を抑えて、日帰りでもたっぷり山を楽しむコツとは?

<テーマ2.>山のふもとでテント泊して登山する「ベースキャンプ登山」
・【準備編】テント泊って大変でしょ?を覆す、いいとこ取りのベースキャンプ登山のススメ
・【実践編】テント泊初心者でもラクラク。山のふもとで泊まる「ベースキャンプ登山」が最高だった…

もっと軽快に、長い距離を歩きたい!

ハイキング
出典:PIXTA

せっかく登山に行くのなら、たっぷりの時間を山で過ごして、さまざまな景色を眺めたいもの。

だけど、忙しくて登山に長い時間を割けないし、週末に一泊二日で行けても、疲れが残って翌日の仕事がしんどくなることも。

目安のコースタイムよりもっと速く歩ければ、1日で長い距離も歩けるのに……。

それなら、ファストハイクがおすすめです!

トレラン
出典:PIXTA

一般的な登山より装備を減らし、身軽にスピーディに歩く「ファストハイク」なら、より長い距離の登山ができるので、日帰りで一泊二日の行程を歩くことだって可能になります。

プロに聞いた!ファストハイクを始めるには?

ミレーアンバサダー

では、一般的な登山者がファストハイクを始めるためにはどうしたらいいのでしょうか? ミレーアドバイザーで、ファストハイクにも詳しい遠藤 健太さんに教えていただきました。

ミレーアドバイザー 遠藤健太さん
大学時代よりトレイルランニングを始め、徐々にスカイランニングの世界へ。出身地新潟でスカイランニングを普及するため「Niigata Sky Club」を設立し、副代表として活動中。冬はSKIMOに取り組み、2019年世界選手権や2022年ワールドカップに出場し、多方面で活躍する。

ファストハイクは「軽量な装備で、速く歩く」

健脚者
出典:PIXTA

ーまず、登山とファストハイクは何が違うんでしょうか?

遠藤さん:大きく挙げられる2つの違いは、装備の軽さとスピードです。

コースにもよりますが、ファストハイクの荷物はザックを含めて3~5kgくらいに収めるといいでしょう。一般的な登山の装備より軽くなるので、登山自体のスピードも上がります。走るというより、早歩きするイメージですね。

日帰り登山では、5〜8kgくらいが一般的なので、荷物の重さはいつもの半分くらいにする必要がありそうです。

必要かどうかの考え方

トレラン

軽量化するためには、余計な荷物を減らさなければですが、どのように考えたらいいのでしょう。

―ファストハイクでは、不要な装備はどんなものが挙げられますか?

たとえば、トレッキングポールは必ずしも使わないので、削れる装備といえますね。マットやクッカーなども日帰りなら無くてもいいですし、食料も軽量化の対象になるでしょう。
ただ、山頂での料理やコーヒーを楽しみに登っているなら、無理に削る必要はないし、自分にとって譲れないアイテムは持っていったらいいと思います。

―逆に、絶対に削れない必携装備は何でしょうか?

ファーストエイドや、いざというときのエマージェンシーギア、レインウェアなどはファストハイクにおいても必携装備です。

ただし、むやみに装備を減らすことはリスクにもつながってしまいます。「自分にとって、これはいる・いらない」という判断力を持つためにも、経験値や知識を養っておきましょう。普段の登山から、自分にとって何が必要かを考えることが大切なんですね。

軽さと機能のバランスで道具を選ぶ

ファストハイク準備物

ここからは、ファストハイクに必要な道具選びについて、一般的な登山用品とも比較しながらアイテムごとに見ていきましょう。

登山用品を長年作ってきた「ミレー」が、最近ファストハイクやトレラン向けのアイテムの開発にも力を入れているということで、今回はミレーの商品を参考に考えてみます。

ミレー公式HPはこちら

背負いやすさもギリギリまで削ぎ落とす

サースフェーNX30+5(左)とワナカ30(右)

まずはバックパックについて。ミレーの定番中型ザック「サースフェーNX30+5」と、軽量バックパック「ワナカ30」を比較しながら、ファストハイクに重要なポイントを見ていきましょう。

ー通常の日帰り登山と比較して、容量はどれくらいがいいでしょうか?

遠藤さん:一般的な日帰り~1泊登山は30リットル以上のものを活用される方が多いと思いますが、ファストハイクなら20~30リットルの容量を目安に選んだらいいと思います。

ミレーバックパック
サースフェーNX30+5(左)とワナカ30(右)
ー機能面ではどんな違いがありますか?

サースフェーは、重い装備でも無理なく歩ける工夫がされています。しっかりした生地を採用したり、背面構造が背負いやすく設計されてたり、痒いところに手が届くような機能が随所に見られます。

対してワナカはファストハイク向きのモデルです。生地も軽いですし、ウェストベルトは軽量化に徹したスリムな作りになっています。

そして、発汗量の多いときも熱がこもらない背面構造になっていたり、ショルダーハーネスにドリンクホルダーが付属していたりと、ファストハイクに適した機能が搭載されています。

ただ、重いものを背負うのには向かないので、中に入れる荷物も軽量化が必要になります。

ワナカ30のように、機能を極力削ぎ落としたミニマルなデザインながら、アクティブな動きに適した機能が搭載しているものが、ファストハイク向きといえるでしょう。

ワナカ30

ドリンクボトルは、速い&軽量なものを

ソフトフラスク

水分補給をするための容器は様々な形状がありますが、ファストハイクではどんなタイプが適しているのでしょうか。

遠藤さん:スピーディに水分補給できて軽量な「ソフトフラスク」がおすすめ

ハイドレーションも補給は手早くできていいですが、荷物が多くなるとバックパックから取り出しにくく、給水のときは時間がかかってしまうのが難点です。

ー容量の目安はありますか?

行動時間にもよりますが、途中で給水できる水場があれば500mlのボトルを2本携行するのが良いでしょう。事前に水場の情報を得ておくことで、その分携行する量を減らしておけます。

給水場がないコースを行くときには、ハイドレーションも活用しましょう。また、一般的な登山では「登山中に必要な水分量=自重(体重+ザック)×5×行動時間」がひとつの目安になるので、こちらの計算式も参考にしてみてください。

行動食は、コンパクトで高カロリー

行動食
ファストハイクの行動食例:(右上から)おにぎり、スポーツ羊羹、一口わらび餅、菓子パン、各種エナジージェル

次は食料について。一般的な登山ではクッカーを持って簡単な調理をすることもありますが、ファストハイクではどんな行動食がよいのでしょうか。

遠藤さん:小さくて高カロリーなエナジージェルなどが軽くておすすめですよ。羊羹や一口わらび餅もコンビニで手に入り、カロリーもしっかり摂れます。おにぎりや菓子パンは少しかさばりますが、しっかりお腹に溜まるのでいいですね。

ーどれくらいの量を持っていきますか?

行動時間や行程、運動量によりますが、私の場合は150kcalのジェルを1時間に1個を摂取するくらいを目安に持っていきます。

普段の登山で自分がどれくらいのカロリーを摂取しているかを考えて、必要想定分の目安を計算しましょう。

ファストハイクの場合は、通常の登山のときより運動量がアップするので、それに伴いカロリー消費量も高くなります。そのため、普段の登山よりやや多めのカロリー量を準備しましょう。

必要最低限のファーストエイド

ファーストエイド
出典:PIXTA

ファーストエイドについて、必要なものと減らせるものをそれぞれ聞いてみました。

<必要なもの例>
ファーストエイド

ファーストエイドの装備例:(右から)消毒液、ポイズンリムーバー、1回分にカットした包帯、非伸縮タイプのテーピングテープ、消毒用の真水

遠藤さん:ファストハイクやトレランの場合、足を挫いて足首を痛めるケースが多いので、非伸縮のテーピングテープは持っておくといいでしょう。

私は、半袖・ショーツで肌の露出が多い分、擦り傷などの怪我のリスクも高いです。なので傷口を洗うための真水を300~500ml携行して、使わなかったら飲料にしています。

ポイズンリムーバー
出典:PIXTA

消毒液や包帯は1回分を小分けにして量を減らしています。あと、夏の低山などはハチなどに刺される危険性もあるので、ポイズンリムーバーも携行した方がいいですね。

<減らせるもの例>

遠藤さん:骨折や捻挫時に活用する「サムスプリント(※)」をファーストエイドに加えている方も少なくないかと思いますが、木の棒でも代用できます。(※アルミ合金の面にウレタンフォームを貼り合わせた副木)

量が調整できるものは、必要最低限の分だけ持っていく。そんなひと工夫が軽量化につながっていきます。

エマージェンシーギアは場所に合わせて使えるものを

エマージェンシーギア
エマージェンシーギア装備例:ヘッドランプ、エマージェンシーシート、コンパス、ホイッスル

ーエマージェンシーギアはどんなものを持っていきますか?

遠藤さん:エマージェンシーシートとホイッスルは必ず携行するようにしています。行動時間や気候、山域によってはツエルトも持っていってもいいかもしれませんね。

あとはヘッドランプも持っていきます。早朝や夜間にさしかかる場合はもちろん、いざというときのためにも必携装備にしています。

ー地図やコンパスは持った方がいいですか?

使えなければただの荷物になってしまうので、使いこなせることを前提にバックアップとして持っておくのがいいと思います。スピーディに行動するなら、GPS機能搭載のアウトドアウォッチや地図アプリが便利ですよ。

 
スマートウォッチ
出典:PIXTA

ただ道具を所持しているだけではなく、きちんと使いこなせる知識知識と準備が大切です。


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