登山用のTシャツは、汗処理がキモ!
「アウトドアで着るならば、コットンではなく、化学繊維素材(以下、化繊)のウェアを選ぶ」のは、登山界では広く知られた知識。これは化繊が、速乾性や汗処理能力、耐久性など、非常に山向きな機能を備えている素材だからです。コットンなどの乾きにくい素材だと、汗で濡れたままになり体を冷やしてしまうため、汗を吸ってすぐに乾く素材が重宝されています。
では、化繊で作られたTシャツにはどのような種類があるのでしょうか。ダウンを中心に幅広いアウトドアウェアを手掛ける日本ブランド「ポールワーズ」の開発担当者に伺ってみました。
登山ウェアに「ポリエステル」が使われるワケ
ポールワーズ:現在、化繊として出回っている生地の大半は、ポリエステル生地を使っています。 なかには、伸縮性を出すためにポリウレタンを混ぜたり、 調湿性を付加するためウールを混紡するものもあります。
つまり、登山用の化繊Tシャツの主要な素材は、ポリエステルというわけです。一体どのような特徴があるのでしょうか。
ポールワーズ:まず、水を吸いにくいのがもっとも大きな特徴です。繊維が水分を含みにくい分、速乾性が期待できます。縮みや型崩れが起きにくく、さらに大量生産しやすいため価格を抑えることもできます。
実は、同じ「ポリエステル」でも性能が違う
しかし、ポリエステル100%と表記されているものは、一概に特徴が同じTシャツとは言い切れません。「ポリエステル」とひと口に言っても、じつはいろいろな種類があるそうです。
ポールワーズ:同じポリエステルでも、糸の太さや繊維の断面形状、また編み方によって、 さまざまな特徴を持った生地に仕上げることができます。 さらに、生地に薬剤による後加工を施すことで、撥水(はっすい)性や 吸湿性を与えることも可能です。
ちなみに、ポールワーズの化繊Tシャツには、『EXフレックス(エックスフレックス)』という独自開発したポリエステル生地を採用しています。
化繊のTシャツを選ぶときは、ポリエステルであることだけではなく、その性能にも注目することが大切になってきます。
通常のポリエステルと異なる、EXフレックスならではの特徴
「EXフレックス」最大の特徴は、通常のポリエステル素材のような汗の乾きやすさに加え、高いストレッチ性と耐久性があること。そのため動きやすくてハードに使えます。
さらに、Tシャツには珍しく、岩や枝などに引っかかりにくい機能(耐スナッグ性)も併せ持っています。
ポールワーズ:『EXフレックス』は密度をぎゅっと詰めてポリエステル糸を編み上げることで、通常よりも高い耐久性と伸縮性を実現しています。
セーターを想像するとイメージしやすいかと思いますが、編み目が細かい=固い、編み目が大きい=伸ばしやすいですよね。でも、EXフレックスは編み目が細かいのにストレッチ性があるという、相反する機能を併せ持っているのがスゴイところ。
肉眼ではわかりづらいですが、写真のように「EXフレックス」と通常のポリエステル生地の拡大写真を並べてみると、その目の詰まり具合が明らかに違うことがわかるでしょう。