夏山にはないリスク、まだまだあります

寒さ以外にも、雪があることで「登山道を見失って遭難しやすい」「滑落しやすい」「雪崩に遭いやすい」などのリスクが雪山にはあります。すばらしい景色を前に達成感や感動を味わい無事に下山するためにも、こうしたリスクに対する知識を深めておきましょう。


小さな違和感や不安は、すぐに伝えよう
リスクが多くある雪山だからこそ、小さな違和感や不安はすぐにガイドや仲間に伝えることも大切だという馬目さん。


靴擦れは意外なリスク。事前のサイズ合わせをしっかり
実際に雪山に入ると起こりうるリスクもあります。一つは疲労。体力が落ちれば、通常なら問題ないルートもリスクが高まります。そして、注意をしておきたい意外なリスクが、靴擦れ。事前のサイズ合わせも大切ですが、違和感を感じたら痛くなる前に絆創膏を貼るなど対処が必要です。


トイレが気になっても、血行不良にならないようにしっかり水分をとる
山行の距離が長くなればなるほど、気になってくるのがトイレ問題。トイレが近くなることを恐れるあまり、水分を摂る量を減らしてしまうと、末端への血行が悪くなって、凍傷のリスクが高まるという悪循環に!勇気をもって、トイレに行きたいと感じたらすぐに意思表示をしましょう。

山を選ぶ基準は?自分に合った山はどう選ぶ?
目指す山を選ぶ際にはまず、ビギナー同士で行くのか、ベテランと行くのかによって異なります。YAMA HACK編集部として雪山初心者におすすめなのは、ベテランやプロガイドと一緒に行くこと。それを前提に、馬目さんが考えるステップアップの流れを教えてもらいました。
転んでもケガしないような山を選ぶ
滑落したら命を落とす危険があるような場所では、ガイドとロープで繋がっていても、足を滑らせてしまったら危険であることに変わりはありません。まずはアイゼンやピッケルなどの道具に慣れるために、転んでも大ケガをするリスクが低い、樹林帯が多い山やなだらかな稜線などを歩くのがおすすめです。

雪山デビューを飾るなら、初冬の新雪期からがおすすめ
「雪山」と一口にいっても、時期によって雪のコンディションはまったく異なります。大きくわけると、11月末~12月の新雪期、1~2月の厳冬期、3~5月中旬頃の残雪期の3つ。それぞれの時期によって、見える景色はもちろんのこと、歩くうえで考慮すべきリスクも変わります。

<時期別の雪の特徴と山行のポイント>

アイゼンやピッケルを使えるかどうかが行き先を決める!
山を選ぶうえで、自分自身の体力を適切に判断することも需要です。同じ距離を歩いても、アイゼンを装着していたり、防寒着なども増えて重さがアップしたバックパックを背負っていると、夏山と比べて疲労感が増すことは間違いなし。自分の体力を把握するためにも、短い距離からルートを設定してみましょう。
そしてなにより、ガイド同伴の有無に関わらず、アイゼンとピッケルを使えるかどうか、つまり滑落の危険性がある場所でも転ばずに通過できる技術があるかどうかで、歩けるルートの選択肢は異なります。