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自分で決めて、ひとりで山に登る自由

自分で決めて、ひとりで山に登る自由

第1回

ひとりで山に登るということ。すべての道具をザックに詰め込み、一歩一歩足を進める。登るのも戻るのも「自由」。そこにあるのは自立した登山者としての「自分」。山頂からの「やっほー!」に返ってくるこだまは、「よくやったね」のご褒美がわり。ひとりで登る山は、きっと新しい発見に満ちている。

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ひとり登山って、自由で気まま?それとも不安?

「ひとり登山」と聞いて思い浮かぶ言葉は、「自由」と「自己責任」。
「自由」の部分を思い浮かべると、楽しくなるけれど、「自己責任」という言葉が不安な気持ちを呼び起こし、その思いを閉じ込めてしまう。

でも友人と登っている人も少し思い出してほしい。その登山計画は誰が立てたもの? 
ここで「いつも友人に任せてしまっているな」とはっと気付いた人は、ようこそ、ひとり登山部へ。

何が楽しそうで、何が不安なのか。ひとつずつ、そのかたちがわかれば「ひとり登山」も「みんなで登山」も実は同じだって気づくはず。

ひとりでじんわりする「楽しさ」

ご来光を眺め、白い息を吐きながら飲むコーヒー。
「こんにちは!」と見ず知らずの登山者のかけ声がうれしく感じる瞬間。
地図を読んだとおり、等高線の間隔が狭いと急登だと実感したとき。
誰もいない登山道で雷鳥と2人っきりになって、目があった。
予定よりも早く無事下山できて、ほっとしたときの安堵感。
家に帰って、ザックから荷物を出し、山での時間を振り返る。

ひとりでドキドキする「不安」

クマに出会わないかと、ひとりきりの登山道で熊鈴を5割増で鳴らしてしまう。
遠くで雷鳴が聞こえ始め、黒い雲が見えた。
靴ずれしはじめたかも、おなかが痛いかも。いつもより身体の変化に過敏になる。
道が3本に分かれている分岐路。
鎖場やはしごを目の前にしたとき。
どんどんほかの登山者に追い抜かれていく。
周りが寝静まったテントで、ひとりを感じたとき。

こんなふうにひとり山で過ごすときに頭を流れていく、いろんな喜びや不安。
それは「ひとり登山」のベテランでも同じ。ただひとつ違うのは、どんなことに対しても、自分で判断して行動できるかどうか、ということ。

でも難しく考えなくても大丈夫。
ひとつひとつポイントを押さえていこう。

成功のコツは、逆算プランニング

登山でいちばん大事なこと。それは「無事下山する」ということ。
当たり前だけど、そこから山行計画を立ててみよう。

夏なら19時まで明るいけど、冬は16時過ぎには日が暮れる。日没の時間や帰りの交通に間に合う時間、そこからスケジュールを逆算して行こう。「何かあったらどうしよう」と心配なひとは余裕を見て、早めに下山時刻を決めておくと安心。

ここからはスケジュールを逆算。登山地図のコースタイムを参考に自分のペースを考え、下り→昼休憩→登り→登山開始時刻をイメージしながら設定していく。途中の休憩時間もとっておこう。

「私はゆっくりだから、コースタイム×1.5で」と逆算したら、出発が日の出前になってしまった!という人は、もう少しコースタイムが短い山を選び直してみよう。

「速いから、コースタイム×0.8で!」という人も、初めて登る山なら余裕を見ておいて損はなし。ひょっとしたら思いがけず高低差や歩きにくい道で難儀するかもしれないから。

ひとり登山は「自分がどんなペースで歩けるのか」と真摯に向き合うこと。登山は競争ではないから、ゆっくりな人はゆっくりでもいい。

例えば、北アルプスの燕岳。
日帰りでさくさく登る人もいれば、小屋泊でのんびり歩く人もいる。もちろん速い人が今日はのんびり山で1泊してご来光をみよう、というのも素敵な選択。

無事に下山する。これが「ひとり登山」の責任。
そのためには、何となくのスケジュールで登り始めるのではなく、面倒くさくても逆算スケジュールをしっかり立てよう。

逆算スケジュールが立てられたら、次はザックに何を詰め込むか。山にコンビニはないから忘れ物しないように!

Illustrations: Yuriko Hori(TENT SAUNA PARTY)
edit & text: Rie Muraoka(YAMA HACK)

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