「生身で感じた地球の素晴らしさ」を撮影できるのが魅力

山本さんがモーターパラグライダーでの撮影をするのはなぜでしょうか。
自分の目で見て、生身で感じて感動した瞬間を切り撮ることができるのが、ヘリやドローンでの撮影にはない醍醐味だと思っています
画面越しでもなく、窓越しでもなく、人が自身で飛んで直接見たものだからこそ、「人の熱を感じる写真」になるのだとか。
ヘリやドローンでも綺麗な写真は撮れますが、自分が生身で浮いているわけでないので守られている感があるし、そこに感情を込めづらいと言います。
空を飛ぶための道具がシンプルであればあるほど、本質に近づけるような気がすんです。モーターパラグライダーの場合、シンプルに飛べる代わりに、高度を5,000m上げるためには1時間近く時間がかかるので、どっちがいいというものではないんですが…。
その過程も含めて、自分の生身で感じた地球の素晴らしさを撮影できることが大きな魅力だと信じてやっています
アフリカ最高峰から始まった空撮プロジェクト

「人の熱が伝わる」というモーターパラグライダーでの空撮。7大陸最高峰を撮影する壮大なプロジェクトを挑戦したのは、この数年、心境に大きな変化があったことがのきっかけ。
いろいろな場で写真を発表するうちに、たくさんの人から反響をいただきました。
そうするうちに、僕が見てきて感動した地球の景色を、もっとたくさんの人に見てもらって共有したい、そして写真家としてもう頭1つ抜きん出てみたいと考えるようになったんです。
キリマンジャロで大変な思いをしても「なんとかなるだろう」

そのために思いついたのが、世界7大大陸の最高峰全てを上空から撮影するという前人未到のプロジェクトです。
2019年に企画をスタートしたものの、コロナ禍や不運な事故が重なり、1座目となるアフリカ最高峰・キリマンジャロの撮影がやっとできたのは昨年のことでした。
実際にやってみて、キリマンジャロでこんなに大変だったら正直、残りはどれだけ大変なんだろうと思い知らされました。
でも、不思議とできるイメージが湧いてくるんですよ。なんとかなるだろうと。そう思える限り、やり続けようと考えています。
山を撮るのは、「地球ってすごい!」と感動できるから

学生時代から山登りが好きだったこともあり、撮影対象には山を選ぶことが多い山本さん。
地形的な変化の面白さがあるからか、シンプルに「地球ってすごい!」と感動できる景色は山であることが多いですね。
特に火山は地球の息遣いが感じられて、好きな撮影対象です。国内で言えば、富士山はもちろん、秋田駒ヶ岳も上から撮影するのにすごく魅力的な山でした。
自らの足で登ってから上空からの撮影を行う

最近は、残雪期の劔岳を撮影するにあたって、ガイドを伴って自らの足で山を登り、下からの山を体感したうえで上空からの撮影を行なったそう。
一度歩いておくと、その山や地形の特徴が頭に入るので、あとで上空から撮影しやすい。
「あそこの登り、しんどかったな」とか、すごく山を立体的に感じられます。緊急時の着陸場所が確認できるなど、いろいろなメリットがあります。
ちなみに、残雪の劔岳はビレイ(ロープで安全確保)してもらいながら、アイゼンとピッケルフル活用でガチガチの雪渓を登ったそう。
「あんなに危ないことをして、山の人はちょっと頭のネジが飛んでますね…」と言いますが、それはお互い様ではないでしょうか…。
高度5,000mまで飛べる特殊な機材で挑む
軽やかに風に乗り、自在に空を舞うモーターパラグライダーですが、実際にどのような撮影方法なのでしょうか。
モーターパラグライダーは、モーターと上昇気流の力を利用して空を飛びます。
通常は高度数100mくらい、高くても2,000m以下までを飛ぶのですが、私は高度6,000mくらいまで飛べる特殊な改造をしたモーターを使っています。
必要な機材の重さはなんと50kg以上!

モーターはパラグライダー専用のもので、200〜300cc程度と中型バイクくらいの大きさ。
プロペラとモーターのフレームやハーネスなどは極力軽量化された最新のものを選んでいますが、それでも総重量は40kgほどとかなりの重さです。
山本さんの場合、撮影機材も加わるので50kg近い装備を背負います。

さらに、上空は高度が上がるほど気温が下がるため、真夏でも防寒着が必須。
重たい装備を背負って厚着もしたうえで、離陸するためにはパラグライダーを操作しながら走らねばなりません。
「まあ、一度飛んでしまえば、重さは関係なくなりますけどね」と笑いますが、撮影現場に行くまでだけでもかなり過酷な体力勝負のお仕事です。
過酷なシーンでも頼れるギアをポールワーズと共同開発

今回の挑戦に先駆けて、山本さんが撮影に挑むような過酷な環境でも安心して使えるタフな仕様のスマホケースとカメラバッグを、アウトドアブランド「ポールワーズ」と共同開発しました。
このギアは一般発売もされ、売上の一部は山本さんが世界7大大陸最高峰に挑む活動の資金として使われるプロジェクトです。
モバイルバッテリー収納可能なスマホケース

GPSや飛行記録を録るために重要な役割を果たすスマホは、撮影の必需品。
表面の素材には、摩擦に強いポリカーボネートを混ぜた210デニールのリップストップナイロンを用い、裏面には耐水圧2000mmのポリウレタンコーティングを施して、急な天候変化にもしっかり対応してスマホを守る仕様です。

長時間のフライトもカバーできるよう、本体とモバイルバッテリーをそれぞれ収納できる2部屋構造を採用しています。
バックパックのショルダーハーネスにも付けられるので、ログを録りながら歩く登山者にも使いやすいケースに仕上がっています。
片手で開閉できるバックルのカメラバッグ

スマホケースと同じ、高い耐久性を誇る素材を採用したカメラバッグも山本さんのこだわりが細部にまで詰まっています。
フライト時はパラグライダーを操作しながら、片手でカメラを構えるため、ケース本体の入り口に片手で開閉できるマグネットバックルを採用。

大口径のレンズも収まるサイズ感ですが、付属の詰め物を使うことで、短めのレンズや小さめのカメラもピッタリ収めることができます。
こちらも、バックパックに接続することができるので(写真のカラビナは別売り)、本格的な登山写真を撮りたい方には非常に便利な仕様となっています。
スマホケース、カメラバッグともに9月下旬発売予定。ポールワーズの公式サイトで発売。
公式サイトでは商品開発秘話も公開中です。
夢に見ていた「飛ぶこと」を職業にした男

山本さんが空に憧れた原点は、幼少期に見ていた夢にありました。
幼い頃からなぜか空を飛ぶことに憧れがありました。ウルトラマンに変身して、自由自在に家の近所を飛び回る夢が、僕の原体験なんです。
憧れを持ったまま大人になって、初めて体験したフライトで今まで夢で見ていた景色が現実とリンクし、「自分はこれをやるために生まれてきたんだ!」と確信。
この瞬間に、空撮写真家として生きていくことを決めたそうです。
思わず挑戦を応援したくなる山本さんの魅力

山本さんの作品は、どこの誰とも似ていない特別なものです。
山岳氷河の後退の問題がよくわかる素晴らしい作品だとか、地球環境の変化を知らせるメッセージ性の強い作品だとか、彼の写し出す世界にはさまざまな社会的価値と評価が寄せられています。
しかし、ご本人に会って感じるのは、そういった小難しい話抜きに、自分が地球の素晴らしさを感じた瞬間の感動を、写真を通して多くの方々に伝えたいというシンプルな思いです。
僕が心が動いた瞬間の写真を見て、皆さんにも自分もその場にいることを想像してもらえたら最高ですよ

子どもの頃に見た夢を現実に変え、生き生きと真っ直ぐに語る強い眼差しが魅力的な方でした。その純真無垢な活動と挑戦の今後に、皆さん注目していきましょう。
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