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-50℃を生き抜く北極冒険家がたどり着いた、レイヤリングの極意とは?(2ページ目)

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極地=常に分厚いダウンを着ているわけではない

荻田さん
photo by yasunaga ogita

-50℃の世界とは、一体どれほどの寒さなのか。日本で生活していると想像もつきませんが、実は数値だけでは判断できないようです。

「気温の感じ方は絶対値ではなく、相対的に感じるもの。気温はあくまで数字で、気温が低い=寒いではないんですね。体が環境に慣れてさえいれば、-30℃でも今日は暖かいなと感じることもあります。たとえば、春先に20℃の日があると暖かいなと感じるけど、夏に20℃になった日は寒く感じますよね。それと同じ感覚で、-35℃が暖かく感じる日もあります」

保温よりも冷ますことが重要

日本の山に登るときは、気温がウェア選びの基準の1つとなりますが、極地では気温はあくまで数字に過ぎないという荻田さん。彼にはウェア選びで大事にしている独自の基準があるそうです。

「極地を歩くためのウェア選びで最重要事項は、『効率的な体温調節ができるか』ということ。温めることももちろん大切ですが、行動中にいかに体を冷やすことができるかがより大切になります。寒い場所で活動するには、必ずしも暖かいウェアが必要というわけではないんですよ」

-50℃でも汗冷えは大敵

ソリを引く荻田さん

photo by yasunaga ogita

「100kg以上のソリを引きながら歩くと、-50℃だろうが人間は汗をかきます。汗をかき過ぎると、気温が低いからジャケットの中で汗がどんどん凍って体を冷やしてしまう。なので、汗をかかない程度に効率的に体を冷やせるウェアがとても重要になるんです」

レイヤリングの基本は日本の山と変わらない

極地でのレイヤリングはよほど特別なものかと思いきや、じつは私たちが普段山に登るときのレイヤリングと大差はありません。行動中のウェアは、ベースレイヤーにフリースやウール素材のミドルレイヤーを重ね、その上にアウターシェルを重ねるそうです。

「この3枚の組み合わせが基本なのは、日本の山と同じです。停滞時用にダウンジャケットも持っていきますが、テントの中ではアウターシェルを脱いだ状態で過ごします。極地だからといって、特にたくさん重ね着をしているわけではありません。

ベースレイヤーは吸水速乾性に優れた化繊のアンダーウェアがベストです。靴下もパンツもTシャツも、山と同じで着替えません(60日間も!)。まあ、寒いので不快感はないし、乾けばサラッとしたもんですよ(笑)」

試行錯誤のミドルレイヤー

ミドルレイヤー選びは非常に難しく、南極か、北極か、行く場所や時期によってもセレクトを変えています。

「中綿が入っているものやソフトシェルは、極地のミドルレイヤーとしてはあまり機能しないので持っていきません。吸い上げた汗を拡散する前に生地が凍ってしまうので、氷の塊を着ているような状態になってしまうんです。それで試行錯誤した結果、毛足の長いフリースが有効でした。吸い上げた水分が毛先で凍ってくれるので、パパッと払えば落とすことができます」

また、極地には向かない防水透湿性素材のアウターシェルを、あえてミドルレイヤーとして着ることもあるそうです。

「内側に着ると、ウェア内は暖かいから透湿性が機能するわけです。それで、アウターとの間に汗を蒸散させて、そこで全て凍らせておいて払い落とすという方法を思いついたんです。やってみたら、これもすごく機能しました」

防水透湿性のシェルは、極地では使えない

カタログ抜粋

POLEWARDS 2015 SPRING & SUMMER カタログより抜粋

極地と日本とで、唯一大きな違いがあるのがアウターレイヤー。極地では雨が降らないので、防水性は必要ありません。さらに-20℃以下になると防水透湿フィルムが働かなくなるため、一般的な防水透湿性のシェルは機能しないのです。

「初めて極地に挑戦した時は、普通の雪山と同じように市販品の3レイヤーのアウターシェルを着たのですが、すぐにボロボロになってしまいました。汗が透過する前に中で凍ってしまうので、フィルムが浮いて剥離を起こしてしまったんですね。テントで脱いだジャケットを振ると、毎日かき氷1杯分くらいの氷の塊がザーッと出てくるような状態でした」

北極での経験から生まれたコットン製のアウターシェル

そのような経験から、荻田さんはポールワーズと共にアウターシェルの開発に乗り出します。彼らが導き出した回答は、なんとコットン素材100%のアウターシェルでした。

「デザイナーが目をつけたのが、ベンタイルというコットンを高密度に折った素材でした。風はしっかり防ぐけど、寒い中でもちゃんと透湿してくれる。暖かいジャケットではありませんが、効率的に体温調整をすることを重視した造りになっています」

コットンの固定概念を覆す

アウトドアの世界でコットンはご法度とされていますが、それは日本の山においてのこと。荻田さんはコットンの短所ではなく、長所に目をつけました。

「織物なので気温が低くても通気して、ジャケット自体が水分を吸収します。それなら、汗処理は乾燥した外気の中で着ながら乾かしてやればいいのではないかと思いつきました。南極は白夜でずっと太陽が出ていて、風も強く、すごく乾燥している。つまり、洗濯物を乾かすには最高の環境なわけです。この発想の転換がうまくハマって、このジャケットを着始めてから汗の処理がすごく上手くいくようになりました」

冷やした空気を入れたり、暖かい空気を貯めたりするためにシルエットはゆったり。ベンチレーションをかなり大きく設け、スライダーを3つ付けて細かい温度調整ができるようにしています。この空気の層を潰さずに生かすために、ソリを引くためのハーネスは外ではなく、中に着用する形にしました。

「20年近くやってきて、『もうちょっとこういうのがあったらいいのに』を具現化したのが、このジャケットです。同じような発想で、登山用のウェアもザックとシェルを同時に開発したら、面白いものができるような気がしますね」

荻田さんが開発したこちらのコットンジャケットは、荻田さんとのコラボモデル(Ogita Adventure Walk Jacket)としてポールワーズで商品化されています。北極で着ることはないにしても、実際に着てみると細部から荻田さんのこだわりが肌で感じられるはずです。

そして今年、ポールワーズとの新たなコラボ商品が誕生したそう。さっそく見せていただきました。

コラボTシャツを通じて、冒険家の活動を応援してみよう

カラー展開は、ブラック、ブル-、ベ-ジュの3色展開。UVカット、消臭機能、ストレッチ機能の備わった快適な1着。

極地のウェアを一緒に開発してきた荻田さんとポールワーズですが、新しい取り組みとして、「極地の物語を着る」をコンセプトにしたTシャツがこの春リリースされました。

北極に住む白熊が墨を塗られている様子は、アーティストの井上奈奈さんが描き下ろしたもの。このデザインは、荻田さんが北極での冒険中に知ったイヌイットの逸話がモチーフになっています。

キョクチコラボTEEはこちら

先ほどから背景に写っていたイラストも、実は井上奈奈さんの作品です。こちらは荻田さんの経験を題材にした絵本『PIHOTEK (ピヒュッティ) 北極を風と歩く』(講談社刊)のワンシーンを集めたもので、もともとこの本があったことがきっかけで、今回のコラボTシャツ作りの話に繋がっていたそう。

日本極地研究振興会ロゴ

また、このTシャツの販売売上の1%は、荻田さんが理事を務める日本極地研究振興会」に寄付され、極地を守る活動や次代の教育のために使われます。Tシャツを手にすることで、荻田さんや彼に続く若き冒険家たちの活動をサポートすることにも繋がるという取り組みです。

自分だったらこのTシャツを“どう使うか”。
冒険家になった気持ちで、ぜひ考えて使ってみてください。

キョクチコラボTEEはこちら

<商品情報>

カラ-: ブラック、ブル-、ベ-ジュの3色展開
サイズ: S,M,L,XL
上代: 6,930円(税込)
※ストレッチ、UV、消臭機能付き

 

<販売店舗>
冒険研究図書店、ス-パ-スポ-ツゼビオ、L-breath、銀座 蔦屋書店
※銀座 蔦屋書店では2023年5月1日~5月31日までフェアを開催

 

<販売期間>
4月下旬〜9月末を予定

 

 

ー荻田さんに会える本屋ー
冒険研究所書店
神奈川県大和市福田5521−7桜ヶ丘小澤ビル2階
046-269-2370
10:00-19:00 月曜定休
https://www.bokenbooks.com

 

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