唐松尾根でも絶景に出会えるはずが……。
福ちゃん荘に到着後、ここからは「唐松尾根」と呼ばれる尾根を歩きます。地形図上の1811mのピークを過ぎる頃には樹々の背丈が低くなり始め、いよいよ展望が期待できる雰囲気に。
足を止めて背後を振り返ると、眼下には銀色に輝く大菩薩湖が。眺めの良さに大石さんから「綺麗ですね」と笑みがこぼれます。
ただ残念だったのは、富士山が厚い雲に隠れて見えなかったこと。天気が良ければ富士山の絶景を背負いながらの登山となるのですが、今回はその雄姿を見せてくれませんでした。
思い出の大菩薩嶺へ
唐松尾根を歩きながら展望が開けてくると、ほどなくして主稜線に飛び出ます。合流地点にあるのが「雷岩」。ここから北へ向かうと大菩薩嶺、南にあるのが大菩薩峠です。
大菩薩嶺の標高は2057m。山頂で記念撮影を行っていると「実はちゃんと登った最初の山は大菩薩嶺だったんです」と嬉しそうな大石さん。図らず思い出の山に、再登となりました。
フィルムの魅力は”削除できないドキュメンタリー”
大石さんはプライベートでも登山を楽しんでいますが、実は写真を撮りたいから山に登る一面もあるのだとか。そして、愛用の機材はフィルムカメラ。デジタルカメラも試したことはあるものの、最終的にはフィルムカメラに戻ったと言います。どんなところにフィルムカメラの魅力を感じるのでしょう?
「スマートフォンやデジタルカメラだとすぐに削除してしまうような写真も、フィルムカメラだと、なぜかドキュメンタリーみたいに味が出るんです。一見失敗のように見える写真にも個性がでるので、あぁ、こんな写真も撮ったなと、見返して思い出が蘇ることもあります」。
「それと、現像の楽しみもありますよね。どんな写真ができあがるのか、ワクワクする感覚はフィルムカメラならでは。撮影枚数がなくなったフィルムを現像に出すと、最初のほうに撮った写真が古いもので、そこでも過去の記憶を思い出す。そんな楽しみもありますね」。
感覚が鋭くなる非日常の世界
大石さんには、被写体としての山の魅力についても伺いました。
「山の中にいて、たとえば一本の木に光が当っているのを見ると、綺麗だなって思うんです。でも、これが街でも同じことが言えるかというと、難しい。公園で似たような風景に出会っても、きっと反応しないと思うんですよね」。
「そう考えると、山は日常とは違う世界で、そこにいるだけで感覚が鋭くなる気がします。それが山を被写体として捉えたときのおもしろいではないでしょうか」。
動きのある被写体を撮り、単焦点を愛用
歩きながら、ふとした瞬間にカメラを構えてシャッターを切っていた大石さん。撮影で心がけていることがあるか訊いてみました。
「稜線や山頂からの眺めはあまり撮らず、どちらかと言うと、山の中で見つけた動きのある被写体を撮るのが好きですね。一緒に登っている仲間の表情だったり、枝ぶりが立派な樹木だったり、歪な形をした雲とか」。
「あと、フィルムは撮影可能枚数が少なく限られているので、構図はすごく考えます。ワンシーンで1〜2回くらいしかシャッターを切りません。意外とそれでもちゃんと撮れていることが多いですよ」。
「それともうひとつ、ズームを使わないことでしょうか。レンズは単焦点を愛用しています。単焦点だと手元で画角を調整できないので、自分の足で動いて構図を見つける。これも写真のおもしろさですね」。
真冬の気温で太陽のありがたみを実感
山頂での記念撮影後、雷岩まで戻り、今度は大菩薩峠に向かいます。今回のコースではこの区間がハイライト。展望が良く、富士山を真正面に捉えながら、のどかな尾根歩きが続きます。
ただ、当日は予想以上に雲がかかり、風が強く気温も低い。富士山の展望はなく、冷たい風に吹かれてのちょっと厳しいハイキングとなりました。
それでも、時たま太陽が顔を出すと日向はとても暖かく、日光を浴びると幸せな気分に。そんな太陽のありがたみを実感できるのも、日常とは違う山の世界だからこそかもしれません。
介山荘からは林道経由で下山
今回のコースは介山荘から主稜線を外れて、林道をたどって下山します。樹林帯に入ると先ほどまでの冷たい風も感じなくなり、大石さんに安堵の表情が。
陽光が射し込む林道の光を楽しみつつ、ところどころでシャッターを切りながら上日川峠へ戻りました。

着用したのはスイスの復活ブランドROGER EGGER
今回大石さんが着ていたのは、スイス発の伝説的ブランド「ROGER EGGER(ロジャーエーガー)」。復活を願う声によって、2022年春夏からいよいよ本格的に再始動。
創業時のスピリットに現代のテクノロジーを融合させた、デザインと機能を兼ね備えたアウトドアウェアを展開。商品ラインナップも充実してきています。
ゼビオグループのスポーツ用品店「スーパースポーツゼビオ」や「ヴィクトリア」、「エルブレス」、オンラインショップで購入できます。
CLIMASENSOR RAIN JKTについて
耐水圧25,000mm、透湿性25,000g/㎡・24hrsを誇る防水透湿素材「CLEMASENSOR」を使用した、3層構造のアウターシェル。ハリのある生地感と大きめのフードで、本格的な雪山でなれけば積雪期のアウターシェルとしても活躍します。
この日は風も強く極寒だったので、大きめのフードが大活躍。ファスナーの赤のアクセントも好みです。

SUPRE EXTRA FINE MERINO WOOL UNDERWEAR
EVO WOOL MENS LS CREWNECK TEEについて
メリノウール100%で作られるベースレイヤー。生地の厚みは一年中活躍するライトウェイト。ソフトな肌触りで着心地が良く、ウール独自の保温性、調湿性、防臭機能が、オールシーズン山での行動を快適にします。
一年通して使いたい1着ですね。

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HIGH LOFT BOA FLEECEについて
毛足の長いハイロフトフリース素材を使った、抜群に暖かいサーマルジャケット。ダメージを受けやすい肘から袖口にかけてはポリエステル素材で補強するなど、機能面にもこだわりが。メインファスナーを完全に閉じると顔まで覆うことが可能です。
高級感もあり、街着としても良さそうですね。

SHIELD TECH GLOVEについて
空気含有率が95%以上の物質「エアロゲル」を添加した素材を使い、優れた断熱性を備えています。手のひら側の指の付け根部分は、人工皮革を配置してグリップ力を向上。ワンカラーで仕上げた日常から使いやすいデザインも魅力です。
もちろん暖かさもしっかりキープしてくれて、使い勝手の良い厚みだなと実感。

SHIELD TECH NECK GAITERについて
SHIELD TECH GLOVEと同じ、エアロゲルを添加した素材を使った断熱性に優れるネックゲイターです。肌面は起毛しており保温性も備えています。山から街まで使いやすい落ち着いたデザインが◎
カラーバリエーションもたくさんあって、コーディネートに合わせて選ぶのもありですね。

今回行ったコースは……
最高点の標高: 2034 m
最低点の標高: 1593 m
累積標高(上り): 501 m
累積標高(下り): -501 m
コースの所要時間
約3時間25分(行動時間)
上日川峠(25分)→福ちゃん荘(60分)→雷岩(10分)→大菩薩嶺山頂(10分)→雷岩(30分)→賽ノ河原(10分)→大菩薩峠(35)→富士見山荘跡(5分)→福ちゃん荘(20分)→上日川峠
アクセス
上日川峠駐車場までのアクセス
公共交通機関:JR中央本線「甲斐大和」駅下車、栄和交通「大菩薩上日川峠線」乗車ー上日川峠下車
クルマ:中央自動車道 勝沼ICから約40分。
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