泊まるのは、大朝日岳山頂避難小屋
大朝日岳の山頂直下にある大朝日岳山頂避難小屋。頂上まで登り15分、下り10分の場所に位置するため、天気が良い日には小屋を出てすぐ頂上からの夕焼けやご来光が見られる絶好のロケーション。
宿泊人数は最大100名の二階建ての立派な小屋。二階はさらにロフトのようになっていて上部でも寝ることができます。トイレも完備(使用時は協力金を支払う)で、宿泊時の管理協力金は1500円。水場はないので、途中で汲みましょう。
避難小屋を管理する大江山岳会会長の木村さん。基本的には無人の避難小屋だけれど、夏の間の週末には管理人が駐在することも。
避難小屋泊、利用のルールやマナーは?
調理は小屋の中でも可能。ステンレスの台が用意されているのが特徴で、必ずその上で調理するのがルール(ただし、匂いの強いものは小屋の外で!)。当たり前ながらゴミはしっかり持ち帰り、汚さないようにきれいに使用しましょう。
自作の山ご飯、地元グルメを楽しむ東北山行の醍醐味
さて、ウエアを着替えて一通り荷物の整理が終わったら夕食タイム。せっかく東北に来たなら、地元食材で地元の郷土料理に挑戦です!
山形名物「ひっぱりうどん」を作ってみた
山形の郷土料理、ひっぱりうどんは茹でたうどんを各々が鍋から引き上げて(ひっぱり上げて?)、独特なつけダレに絡めて食べるというもの。寒いなか熱々で食べて身体を温めるために、みんなで鍋を囲んで、鍋から直接麺をひっぱるのだとか。
つけダレの基本は納豆とサバ缶と甘めのお醤油。そこへ薬味のネギなどを足したら、完成という簡単なもの。納豆のパックや鯖缶なら山に持っていきやすくて作りやすいです。栄養満点で喉越しも良くて、おいしい!
山形の芋煮は牛肉で醤油味
鈴木夫妻が作ってくれたのは、これぞ山形の郷土料理の代表格!芋煮!各家庭によって味が少しずつ違うのだそう。ほくほくの里芋に牛肉、ネギにきのこなど具材たっぷり。ほっこり温まる味で幸せ〜。ご馳走様でした!
山の上で飲む地酒はおいしい
酒好きにうれしいのが、地元スーパーに並ぶ目移りするほどの日本酒のワンカップの種類。大きい瓶は飲み切れないけれど、ワンカップなら楽しめて持ち運びやすい。地酒もまた東北旅の魅力です。
名産リンゴとおやつは行動食に
山麓の朝日町は日本有数のりんごの名産地で、袋をかけずに栽培する「無袋(むたい)ふじりんご」発祥の地としても有名です。甘みと酸味のバランスが絶妙なので、山の行動食に取り入れてみては?
大江町のドライフルーツは無添加で果物の甘みがギュッと凝縮しています。キャンディー状に小包装されていて持ち運びに便利!
大江町左沢にある庄司豆腐屋は、にがり以外地元産を使用するというこだわりの豆腐を作っているところ。そんな庄司豆腐屋のおからを使ったクッキーはザクザクとした食感に優しい甘さ。バターや白砂糖、乳製品、卵不使用のシンプルな材料で作られていて、たんぱく質たっぷり。オリジナルブレンドのコーヒーを合わせれば贅沢なコーヒータイムに。
山の中で、バーナーで湯を沸かして飲むコーヒーのおいしいこと!
そんなおいしいコーヒーを淹れるときはもちろん、山行に不可欠な水も地元ゆかりの水「月山自然水」をチョイス。水場で水補給するまではこれで喉を潤していました。稜線で遠くに望んだ月山の雪解け水は、PH7.1とほぼ中性でミネラルを適度に含んだ軟水。すっと飲める口当たりのいい水です。
稜線と紅葉にさよなら。のんびりと帰途へ
2日目の帰りは、小朝日岳まで昨日と同じコースを戻ります。そこから鳥原小屋方面へ下るとどんな景色が待っているか楽しみです!
ちらっと拝めた?大朝日岳からの朝日
夜中に窓の外を覗くとほんの少し見えた星空。早朝、期待を胸に早朝に起きて小屋を出たものの、あたり一面真っ白。今日は朝日は見られないかと思いつつ、祈りながら山頂へ。
強く吹く風に乗って雲が大移動を繰り返し、ほんの一瞬、朝焼け見えました!ほんのりピンク色に色づく空。眼下に広がる雲の大海原。これが見たかった!
帰りは鳥原山経由で
明るくなると雲が上がり、大朝日岳の山頂はすっぽり覆われてしまったけれど、少し標高を下げると次第に霧がなくなってきました!
昨日よりもずっと明るくて、紅葉も鮮やか。雲が切れて青空もちらほら。今日もいい1日になりそうです。
小朝日岳から鳥原方面の最初の下りは急勾配。少し足場の悪い急坂を下れば、あとは安心です。いくつもの花が咲く稜線から、木々のトンネルを通り抜けて鳥原山へ。初日の登りに比べれば、多少の登り返しはなんのその。
「あんな高いところから下りてきたのか〜!」と振り返りつつ足を進ませました。
鳥原山展望台からは小朝日岳を眺めて、ちょっと名残惜しい気分。
意外なところで湿原に遭遇
鳥原山から下っていくと、急に現れた湿原!初日のルートとは全く違う雰囲気で、違う山に来たかのよう。いろいろな表情を見せてくれるから下山も最後まで飽きません。
鳥原小屋で休憩
下山の途中でちょっと鳥原小屋へ寄り道。メインの登山道から少し外れた静かな森の中にあります。
こちらもピカピカの床と清潔な雰囲気の二階建て。更衣室もあって快適そうです。近くに水源があるため、トイレはなんと水洗!
日程に余裕があれば、あえてここに泊まるのもありかもしれません。
そして、無事下山
鳥原小屋からの下山路は再び樹林帯。ブナの森もまた綺麗で心地よい雰囲気です。
おしゃべりしながら歩いているとあっという間に登山口に到着。お疲れ様でした!
山形に稜線歩きができるこんないい山があった!
標高は高くないものの、ひとたび稜線に出れば雄大な姿と絶景を見せてくれる朝日連峰。しっかり登りごたえがあって、山でのご馳走や避難小屋泊も楽しんで、すっかり体も心も満たされた3日間。
例年よりも少し色付きが早かったのか、紅葉が見られたのはうれしい誤算!もっと一面が染まるらしく、また来年見てみたい!でも夏の真っ盛りもきっと最高。あぁ、残雪のマダラ模様も見てみたい。
一度でも足を運んでみれば、みんなきっと懐の深い東北の山の虜になるはず!
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