3つのテクノロジーが「歩行」と「登はん」を両立

そんなX ULTRA ALPINE GORE-TEXの大きな特徴は、この3つ。
- あらゆる地形に対応する4種のラグパターン
- 縦方向に可動しやすい蛇腹式シャーシ
- アプローチシューズのような前足部分
これまでのX ULTRAシリーズには見られない革新的な構造により、「歩行性」と「登はん性」の両立を実現しました。詳細を見ていきましょう。
あらゆる地形に対応する4種のラグパターン

アウトソールにはサロモンのオリジナルソール「Contagrip® Alpine(コンタグリップ アルパイン」を採用。
同社のソール史上、もっとも粘り強くグリップするラバー素材が使われています。
そこに役割の異なる4種類のラグパターンを組み合わせることで、岩場での最大限のグリップを確保しながら、あらゆる地形に対応します。
蛇腹式シャーシが足をサポート

X ULTRAシリーズといえば、足の捻じれを抑えるために内蔵された「アドバンスドシャーシ」がおなじみ。
これまでのシリーズはかかとをU字に囲って配置されていましたが、本作は一味違った設計に。

X ULTRA ALPINE GORE-TEXに採用されているのがオレンジ色の「エッジングシャーシ」。シャーシとはアウトソールとミッドソールの間に組み込まれた樹脂製の補強剤のことで、本作は前足側に配置されているのが特徴です。

提供:アメアスポーツジャパン株式会社
この図のように、エッジングシャーシの前足部分には横溝が入っています。それにより縦方向への動きは向上させつつ、横方向のブレを抑制。
岩場までのアプローチが楽になり、不安定な岩場でも的確な足運びをサポートしてくれます。
アプローチシューズの要素をプラス

前足部分に着目すると、シューレースはつま先に近い位置から始まっていて、その先は耐久性の高いラバー素材のラウンドカバーで覆われています。
普段から岩稜をよく歩く方は“おっ!”と思われるかもしれませんが、これは「アプローチシューズ」と呼ばれる、岩場を得意とするシューズに見られる特徴です。

ラウンドカバーは岩肌に先端をぶつけた場合も、足指やアッパーの損傷を保護。X ULTRA ALPINE GORE-TEXのつま先は90度にそり立っているので、岩のちょっとした引っかかりにも足を置きやすい設計になっています。
また先端近くまで配置されたシューレースにより、つま先までをしっかり締め込むことが可能。これにより的確なフィット感をもたらします。
X ULTRA ALPINE GORE-TEXは、一足で歩き切れる堅実なシューズだった!

とはいえ、シューズの実力は山で使ってみないと見えてこないものです。
こうしたX ULTRA ALPINE GORE-TEXの特徴的な機能が、フィールドでどのように作用するのでしょうか?
梅雨の晴れ間を狙い、岩稜好きなライターがその実力を試してきました。
ライター 橋爪勇志

1988年生まれの信州出身。登山好きな母に連れられ、幼少期からアルプスを歩いて育つ。20代半ばから登山熱が再発。厳冬期のアルプスやバリエーションルートなど、自らを追い込むハードな登山に情熱を注いできた。
現在はゆるめのバリエーションルートやファストハイク、雪山、子どもとのハイキングなど、一年を通して山を楽しんでいる。
私はさまざまな登山スタイルを楽しんでいますが、特に好きなのが”岩稜“です。
こういった山では好んでアプローチシューズを履いてきましたが、気になっていたのが「ソールが硬くクッション性が少ないので、長時間歩行だと足が疲れる」という点でした。

今回試したX ULTRA ALPINE GORE-TEXは、このアプローチシューズの短所を高い次元でカバー。岩にも強く歩行性にも優れた、一足で最初から最後まで歩き切れるハイキングシューズでした。
橋爪勇志
どんな地形にもしっかりグリップしてくれるので、樹林帯やガレ場もサクサク。岩場ではカチッと決まってくれます。
フィット感やクッション性も申し分なく、山のスタートからゴールまで、一足で山の変わりゆく地形に対応してくれる心強さを感じました!
軽量でスピード感のある登山を好む方や、岩にも強くて歩きやすいシューズが欲しい人などにはぴったりだと思います。
どんな地形にもキュッとグリップする

フィールドでまず際立ったのが、岩や土、ぬかるみなどのさまざまな地形で発揮された安定したグリップ力です。
滑りそうな地面も安心して歩ける

歩いた登山道は大きめの石や倒木が多く、さらに前日の大雨もあってゆかるんでおり、あまりコンディションの良い環境ではありませんでした。
大きな段差を乗り越えたり、斜めになった不安定な石に足を預けることもあり、正確な足置きが求められましたが、そういった場面でもしっかりグリップが効くので、大胆に歩ける安心感がありました。
地面に吸い付くようなラグパターン

こういったシーンで活躍したのが、アウトソール前足側にある特徴的な丸いラグパターン。これは他のX ULTRAシリーズにはない形状です。
タコの吸盤のようにみえますが、機能も見た目の通り。まるで石や岩に吸い付くように、接地面に対して粘りのあるグリップがはっきりと感じられました。
橋爪勇志
滑りそうな石でもキュッと吸い付く感覚です。歩いていて気持ちよかったですね!
ただし、濡れた倒木やヌメりのある石はどうしても滑る場合もあったので、過信しすぎないことも大切です。
ちょっとした出っ張りでも登れる

傾斜のある岩場では、アウトソール前足部分にあるフラットなラグパターンが効果を発揮。岩場によくある小さな足場にも先端が引っかかり、サッと立ちこむことができました。
こうしたアウトソールの形状は「クライミングゾーン」と呼ばれ、地面とソールの接地面積を広げることで摩擦力を最大限に活かす構造になっています。
ぶつけやすい先端部分もしっかり保護

先端のラウンドカバーはプロテクションもバッチリ。岩に足先をぶつけた場合も足やアッパーへのダメージを軽減し、爪の割れなどのケガから守ります。
つま先を乗せやすい

角度が90度に反り立った先端は、岩のわずかなスタンスにも体重をかけやすく、思わぬ引っかかりが起こりにくい設計に。岩場ではとてもうれしい機能でした。
エッジングシャーシで立ち込み時も安定

エッジングシャーシが前足側に組み込まれていることで、ソールはほどよい剛性が生まれており、立ち込む際も一般的なハイキングシューズとは比にならないほど安定していました。
テクニカルな岩稜には向いていないかも

しかし、注意したいのがソールの硬さです。一般的に岩場向けの登山靴は、つま先側に力をかけられるように硬いソールが特徴ですが、X ULTRA ALPINE GORE-TEXはそれらと比べると柔らかく屈曲性があります。
そのため、立ち込み後に体重を支えるためには、かかと側の筋肉を使う必要があり、その体勢を保持することは難しかったです。場合によってはバランスを崩し、滑落の原因にもなりかねないので、こういったウィークポイントも理解しておくことも大切です。
橋爪勇志
そう言った意味で、波線ルートやバリエーションルートのような、クライミング要素のあるテクニカルな岩場は向いていないと感じました。
あくまでも“岩に強いハイキングシューズ”として認識しておきましょう。
足出しがスムーズ。だからサクサク歩ける

平地ではX ULTRAシリーズらしい、心地よく軽やかな歩きやすさが印象的でした。
実測したX ULTRA ALPINE GORE-TEXの重量はメンズモデル27cmで424g(片足)。ハイキングシューズとしてはやや重めですが、岩稜に対応するローカットシューズとしては一般的な重さです。
最初手に取った時は「少し重いかな?」と感じていましたが、足を通せばその重さは気にならなくなり、今にも走り出せそうなほどサクサクと足を進めていけました。
足にフィットするホールド感

これはシューズに足を入れた瞬間から感じていたことですが、スタートからゴールまで続く、包み込まれるようなフィット感が好印象でした。
X ULTRAシリーズのアッパーといえば、ギザギザとした形の「センシフィット」が特徴的でしたが、本作はそれがアッパー内側に圧着されており、スッキリとした見た目に。
足の甲部分の横ブレを防ぐ「Active Support」機能は健在で、シューレースをキュッと締めれば、横面からほどよい圧が伝わり、足がしっかりホールドされていることがわかりました。
クイックレースが手軽すぎる!

シューレースは人気の「クイックレース」仕様。紐を引っ張るだけで、素早く自在に調節ができます。紐はシュータン部分に収納できるので、紐が岩などに引っ掛かかる心配もありません。
橋爪勇志
つま先に近い位置までシューレースを締め付けられるので、前足側に無駄なあそびがなく、岩場でも的確な足運びができました!
縦方向の足出しがスムーズ

下りや横方向への移動など、シューズ内の揺れが大きい場面で感じたのは「横ブレ」の少なさ。
着地時にかかと側のアウトソールがブレーキをかけてくれるとともに、エッジングシャーシにより靴の中で横ブレが抑制されていることが伝わりました。
橋爪勇志
ローカットシューズながらも足首周りのサポートは手堅いです。
足の動きに対してねじれが抑制されている感覚があり、足を捻る心配なく歩けました!
さすがのクッション性!1日歩いても疲労感が少ない

アプローチシューズによる足の疲労感が気になっていた私にとって、嬉しかったのがX ULTRA ALPINE GORE-TEXのクッション性。
撮影を含めて7時間半ほどの登山でしたが、足裏が痛くなることはなく、また下山後も脚に疲労感が残ることはありませんでした。

これはクッション性の高いEVAフォーム「エナジーセルミッドソール」の効果が大きいでしょう。ソール全体はハイキングシューズとしては硬めながらも、衝撃がしっかり緩和されていることが感じ取れました。
橋爪勇志
距離が長く高低差の大きい高山はもちろんですが、岩場のあるような低山でも活躍してくれそうです!
GORE-TEXだから、水たまりやぬかるんだ地形も安心

アッパーの中層には言わずと知れた防水透湿素材「GORE-TEX」を採用。今回、靴が泥だらけになるようなぬかるんだ地形を歩き続けましたが、それでも靴の中はドライ!
足の蒸れも排出してくれるので、梅雨の蒸し暑い時期でも快適な履き心地が続いていました。
橋爪勇志
X ULTRAシリーズではおなじみのGORE-TEXですが、改めてその信頼性を実感しました!
山では雨が降っていなくても水たまりやぬかるんでいる場所を歩くことも多くあり、ときには沢の渡渉もあります。
そういったシーンでも濡れを気にせず歩けるのは大きなメリットですね。
足首のサポート力が高い「ミッドカット」もおすすめ

写真左から ブラック(ウィメンズカラー)、ベージュ(メンズカラー)、ネイビー(メンズカラー)
ミッドカットモデルも展開。メンズはベージュとネイビーの2色、ウィメンズはブラックの1色です。
例えばテント泊装備のような重い荷物を背負うときや、ローカットシューズに慣れていない方は足首がサポートされたミッドカットがおすすめです。
街にもなじみやすいカラーバリエーション

写真左から ベージュ(メンズカラー)、ネイビー(メンズカラー)、ホワイト(ウィメンズカラー)
ミッドカット、ローカットの共に、メンズがベージュとネイビーの2色、ウィメンズはホワイトの1色を展開。オレンジの差し色が効いたデザインになっています。
これ一足で最初から最後まで。
山の変わりゆく地形に対応する堅実なシューズ

レビューの結果をお話しすると、岩稜を伴う行程の長い山を一足で最初から最後まで歩き切れる、タフで手堅いハイキングシューズでした。
例えば槍ヶ岳や穂高岳などの3,000m級の山は、長い林道歩きから始まり、土や小石の混ざった道、ガレ場、そして山頂へと続く岩場など、一つのルートでも山の地形は大きく変化しています。
そういった環境の変化が大きい山でも、X ULTRA ALPINE GORE-TEXはそれぞれの地質にうまくフィットし、快適で安全な登山をサポートしてくれると感じました。

X ULTRA ALPINE GORE-TEXはこんな人におすすめ
- アルプスのような高山で、軽量でスピード感のある登山を楽しんでいる人
- 岩場メインではないけど、岩にも強くて歩きやすいシューズが欲しい人
- 槍ヶ岳や穂高岳などの岩稜の山を目指す人
X ULTRA ALPINE GORE-TEXは、ある程度の山を歩き慣れた、初級者以上の方と相性の良いハイキングシューズだと思います。
これまでのX ULTRAに比べ、岩場での機能がパワーアップした「X ULTRA ALPINE GORE-TEX」。多くの地形をカバーしてくれるシューズで、この1足があれば、様々な山で活躍してくれそうです。
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