登山で成功するかしないか

地図とGPSとの付き合いかた

地図とGPS

持っていくものが揃ったら、次はひとり登山の「仲間」を用意しよう。パートナーの名前は「地図」と「GPS」。紙の地図とスマートフォンと言い換えてもいい。彼らはほかの道具と違って、いろいろな情報を与えてくれる心強い仲間。

「あれ?スマホのアプリも地図だし、この2つ同じじゃないの?」と思った方。桃太郎だって「動物3匹」ではなく、「猿、鳥、犬」を連れていました。仲間の役割をちゃんと知って連れていくことから、冒険は始まるのですよ。

地図

「Hey、地図くん!」ー情報の詰まったアナログアシスタント

まずは「地図くん」の紹介。彼は山の地形に関する情報のエキスパート。ただ問題はちょっと無愛想。「Hey、地図くん!」と呼ぶだけで、疑問に答えてくれるAIアシスタントみたいにはいかない。

地図くんと仲よくなるには「地図の読み方」をまず知らないといけない。読み方は自力でも本や雑誌で調べることができるし、なんなら「地図読み講座」に参加してみるのもいいかもしれない。

地図がきちんと読めるようになると、紙に書かれた「等高線」がぐぐーーっと盛り上がって、3Dに見えてくる!という面白い能力(?)が自分に備わる。「うん、ここは急な登りだな」「なるほど、登山道はこういうルートで作られているのだな」と、道を作る人の気持ちがわかるようになれば大したもの。

また地図くんの特長は「広い範囲を見る」ことができること。スマホの地図では指で拡大縮小しないといけないのが不便。登山計画を立てる段階で、行程の全体を把握しイメージしておくことは、行き当たりばったりを防ぐにはとても有効な手段だからだ。

特に初めてのひとり登山の仲間で選ぶなら、昭文社の『山と高原地図』のように、ちょっとおしゃべりな地図くんがおすすめ。主要な登山ルートに対して、「標準コースタイムはこれくらいだよー」「ここは落石注意だよ!」「水場まであとちょっと!」などなど、地図上から登山のヒントをいっぱい教えてくれている。AIならぬアナログアシスタント。

山に行く前に、地図くんとMTG。登山中で迷ったら、地図くんと相談。これはぜったいに外せない。

GPSくん

「あなたの現在地はこちらですよ」ー宇宙から届くGPS信号

地図くんが山の情報を教えてくれる仲間だとしたら、「GPSくん」はあなたがいまいる場を教えてくれる仲間。手元にいるけど、ずっと上から見ていて「君はここにいるよ!」と教えてくれる。

GPSくんは登山アプリでも大活躍しているけど、ちょっと誤解されやすいかもしれない。便利になったGPSくんはカーナビみたいにおしゃべりもしてくれるけど、カーナビみたいに使うと「うんうん道を外れていないな」「みんな歩いてる軌跡の上だから大丈夫!」と、ちょっと油断してしまいがち。

自分のアタマで考えることを、GPSくんに完全におまかせにしてしまっていると、いざ道迷いをしたりしたときに、考えたことなかった……なんてことになりかねない。

だから気になったときにGPSで現在地を確認して、大きな地図でどのあたりなのかを確認していくと、地図読みもできるようになってくる。

あと、GPSくんはアプリの地図にも使われていて、現在地もわかる心強い仲間だけど、電池が切れると何の役にも立ってくれないという欠点もあるのでご注意を。山で写真を撮って、SNSにアップしているうちに電池が切れてた!なんて笑えない。

よき仲間(道具だけど)の性格を知ってお供にすることは、とても心強い。特に初めての山では「地図でどんな場所か知っておく」「山のどこにいるかを確認する」は、遭難原因ナンバーワンの道迷いを防ぐうえでも大切なことだから。

登る登らないは、山のご機嫌が最優先

登山休暇

「この休みでぜったい山へ行こう!!!」
事前の計画は、ひとり登山の基本中の基本。荷物はしっかり準備したし、地図くんで予習もしたし、バスも予約したし、体調だって完璧。何より、ほかの予定をすべて調整して、この山行のためにフォーカスしてきたのだから。

でもその「完璧さ」が自分をがんじがらめにしてしまって、重要な判断をあやまらせることもある。それが実はいちばん怖いこと。

天気予報は雨

天気予報は雨、でも休みは取った

週末の休みに向けて、水曜あたりからそわそわ。初のひとり登山。でも天気の週間予報は微妙な雲行き。降水確率80%……。

誰だって「いやいやいやいや、週間予報だし、天気予報はコロコロ変わるし……」と自分の都合のいいように思いたいもの。

そして、金曜の夜。窓の外は雨。明日の山の天気を調べると、雨のち曇り。「きっと大丈夫、せっかく準備したんだし、行くしかない!」

でも「行くしかない!」というのは、本当に正しい判断だろうか?「今回は諦めようかな……(不安)」と思う気持ちは、何パーセントあるだろう。

ひとは希望と絶望なら、希望に賭けたくなるもの。アタマの中で考えて、希望に賭ける前に一旦「何が不安か?」を書き出してみるのも、判断を補正してくれるのに有効だ。「雨の中、6時間歩けるかどうか」「山頂についてもガスってそう」……不安の輪郭がはっきりすることで、希望に賭けていいのかどうかを再度見直してみよう。

ご機嫌な山

山はいつでもそこにある(ドーン!)

もし重大な遭難事故に遭ってしまったら、二度と山に登ることができないかもしれない。もちろん、そういう「挑戦」が必要な登山はあるかもしれない。でもそれはトレーニングをしっかり積んで挑戦するものであって、普段の山登りで命を賭けるなんて割りに合わない。

登山を中止したときに思い出してほしいのは、「山はいつでも変わらずある」ということ。毎年雑誌が「アルプス特集」を夏に組むのは、アルプスが変わらずそこにあるとわかっているから。そして、毎年みんなが登るとわかっているから。

悠久の時間が流れる大きく自然の中に、小さな人間がザックをかついで飛び込む。それが登山というもの。人間の都合ではなく、山がご機嫌なときにそっと入らせてもらう。その気持ちを「いま行くべきかどうか?」を決めるときに忘れないようにしたい。

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