アイキャッチ提供:赤岳鉱泉山岳診療所
八ヶ岳で唯一の山岳診療所が、新たな一歩を踏み出しました。

2024年12月、「赤岳鉱泉山岳診療所」が“一般社団法人”として法人化。
診療費無料で登山中のケガや体調不良に対応してきた診療所が、なぜ法人化に踏み切ったのか?
その背景と、診療所の未来に向けた取り組みをご紹介します。
登山者の「もしも」に備えて。法人化の理由とは?

赤岳鉱泉山岳診療所は、2021年にスタートしたボランティア医療チームが運営する山岳診療所です。
高山病や凍傷、外傷などに現地で対応してきたその活動は、まさに登山者の“命綱”。
運営を支えるのは、国際山岳医や山岳看護師を中心とした専門家たち。
行政や大学病院ではなく、有志によって運営されてきました。
しかし活動を続けていくには、医療資材の確保、人材育成、救助隊との連携体制など、安定した組織づくりが欠かせません。
そのため、今回の法人化は「山岳医療の未来を守るための一歩」でもあるのです。
① 登山者の安全を支える、持続可能な診療体制へ

赤岳鉱泉山岳診療所では、登山中の体調不良やケガにその場で対応できる“山の救急所”として、南八ヶ岳の重要な拠点になっています。
さらに、山岳遭難救助隊と連携し、緊急時の対応にも取り組んでいます。
現在赤岳鉱泉診療所では、すべての診療を無償で行っています。これは「診療費が理由で受診をためらって、事故が悪化する事態」を防ぐためです。
その一方で、診療体制を維持するには安定的な資金が不可欠。そこで新たに「賛助会員制度」を設けて、持続可能な運営体制の構築を目指します。
② 山岳医療体制の強化と人材育成

現状では、診療所で登山者の命を守るため活動してくれている医療従事者はすべてボランティアで、十分な報酬をお渡しできていないことも。
将来的には、報酬の支払いを含む無理のない体制への転換も視野に入れています。
また、登山医学に関心を持つ医療者向けに、年2回(春・秋)「山岳医療ワークショップ」を実施。
現場での実地体験を通じて、多くの人に山岳医療の現実を知ってもらい、担い手の裾野を広げていきたいと考えています。
③ 医療連携と知見の共有で、山岳医療を次のステージへ

赤岳鉱泉山岳診療所は、日本で唯一冬季も稼働する山岳診療所です。氷点下20℃という極限環境下での診療記録は、医療データとしてきわめて重要な価値を持ちます。
これらのデータは、年次報告書として一般公開されており、登山医学の研究や教育に寄与するものです。
今後は、山岳救助隊や地元の病院と協力しながら、山岳医療における新たな連携モデルの構築も目指しています。
また、登山者向けの講習会や情報発信などを通じて、山でのリスクを“自分で判断できる登山者”を増やすことも目標のひとつです。
将来的には、こうした活動が他山域での診療所設立モデルとなることも目指しています。
「賛助会員制度」で活動を応援できます

赤岳鉱泉山岳診療所では、法人化を機に新たに「賛助会員制度」を設けました。
山での無償診療を継続するためには、皆さまからのご支援が不可欠です。
山が好きなすべての方に、安心して登っていただけるよう、一緒にこの体制を支えていただけませんか?
年会費(1口あたり)
・法人・団体会員:50,000円/年
・個人会員:10,000円/年1
ご支援金の使い道
・医療機器・医療資材の整備
・山岳医・山岳看護師の育成
・登山医学・山岳医療の研究と教育活動
賛助会員の特典
・年1回、活動報告書を送付
・公式ウェブサイトへの企業・団体名掲載(希望制・個人会員を除く)
▼申し込み・問い合わせ先
Eメール:membership@kousenmtclinic.com
「安心して登れる山」を未来につなぐために

赤岳鉱泉山岳診療所の活動は、登山者一人ひとりの命を支える、なくてはならない存在です。
安心して山を楽しめる環境を未来につなぐために、ぜひ支援をご検討ください。