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カハ 2 フロスト GTX

厚底のホカの防寒モデル「カハ 2 フロスト GTX」を履いて考えた、冬の低山ハイクシューズ

冬の低山登山に、どんなシューズを履いていますか?雪のない山であれば、春~秋に履いている防水透湿シューズを履いている人が、ほとんどかもしれません。でも、寒い山で防寒ウエアを着るように、防寒シューズを履いてみれば、寒さ、足元からの冷えをかなり軽減できます

厚底シューズで知られるホカの新作、「カハ 2 フロスト GTX」というウィンターハイキングシューズを履いてみて、その有用性を改めて実感しました!

目次

アイキャッチ画像:ポンチョ

“ウィンターハイキングシューズ”という冬用シューズ

カハ 2 フロスト GTX
撮影:ポンチョ

アウトドア用のシューズには、ウィンターシューズというカテゴリーがあります。これまでは、スキーやスノーボードをするゲレンデへのアプローチ、雪国での冬の防寒カジュアルシューズ、アウトドアではスノーシューで着用する防寒シューズの用途がメインの、保温材が封入されたモデルでした。

アウトドア用ではありますが、しかし登山用、トレッキング用、ハイキング用ではなかったんです。でも、それは安全のためにメーカーがそうした用途として販売しているだけで、登山ができない訳ではないだろうと、私はアッパーやアウトソールがしっかりとしたつくりになっているものを選んで、防寒対策として冬の低山ハイクに使っていました。

撮影:ポンチョ

そこに近年加わってきたのが、「しっかりと歩けることを重視」したタイプのウィンターハイキングシューズです。まさに私が冬のハイキングに求めていた、保温性があって、しっかり山も歩けるシューズです。

低温下でもしっかりグリップするアウトソールが開発されたことで多くのメーカーが手掛けはじめています。保温材が封入されている分、軽量性はやや損なわれていますが、そこは冬の登山で暖かい防寒着を着たときと同じです。

寒くなったら防寒着を着ますよね?では、シューズは??

カハ 2 フロスト GTX

ところでみなさんは、冬の低山ハイクでどんなシューズを履いていますか?

積雪した高所登山をするなら、防寒性が高く、12本爪のアイゼンを装着でき、爪を雪面に蹴り込んでも負けないソールの硬さのあるアルパインブーツでしょう。寒さ対策とスリップ防止に、当然の選択です。

では、高所ほどではないにしろ凍結箇所がある冬の低山では?

軽アイゼンやチェーンスパイクで凍結箇所に対応、凍結後のぬかるみや浅い積雪には無雪期でも履いている防水透湿トレッキングシューズでも問題ないと考えていますか?

ウィンターハイキングシューズは、安全のためにも機能するんです!

カハ 2 フロスト GTX
撮影:ポンチョ

確かに、3シーズン用のトレッキングシューズでも機能的には問題ありません。ですが、登山道が凍結する気温0℃、氷点下になってくると、分厚い冬用ソックスを履いていても、トレッキングシューズでは足先が冷えませんか?

私は冷えます。冷えると、足指が使いにくくなるので、歩行のパフォーマンスが下がります。最悪は、転倒、ケガにつながりますし、動きづらい身体を動かし続けることはストレスです。

冬の低山
撮影:ポンチョ

だから少しでも「冷え」のリスクを回避するために、防寒性の高いウィンターハイキングシューズを着用しています。履いて歩いたことがない人が実際に履いてみると、その差、つまり冷えのない快適さに驚きます。

そして、冬の登山、それが高山ではなく、低山であっても登ることを躊躇していた理由が、足先の「冷え」が一因だったことに気が付きます。寒いのは、誰だってツラいですから。

だから声を大にして伝えたいと思います。

「冬の山で防寒着を着て登るのと同じように、シューズも暖かい防寒シューズに履き替えて登りましょう!」

ホカの新作防寒シューズは、ちょっとゴツめ

カハ 2 フロスト GTX
撮影:ポンチョ

今回私がオススメするウィンターハイキングシューズは、元祖厚底シューズのホカが手掛けた、「カハ 2 フロスト GTX」です。

商品名
ホカ/カハ 2 フロスト GTX
価格
¥46,200
サイズ展開
メンズ:25~30cm
レディース:22~25cm
重量
メンズ:575g
レディース:477g

カハ 2 フロスト GTX

見た目は3シーズン用の防水透湿トレッキングシューズよりも、少しゴツめです。また今回着用したカラーはハニー・ウィートというベージュだったので、ミリタリーブーツのような雰囲気もあります。

足を入れて動き出すと、しっかりとした温かさをすぐに感じます。

凍結した地面の上に立っていると、3シーズン用のトレッキングシューズだと足裏から冷えを感じることがあります。しかし、このカハ 2 フロスト GTXは、ソックライナー(シューズ内側をソックスのように包み込む防水透湿素材のパーツ)の底面に熱を反射させるアルミ素材が貼られているため、地面からの冷えを遮断します。

カハ 2 フロスト GTX

この効果は大きく、アッパーの内側に保温性の高い「プリマロフト® ゴールドインサレーション」が封入されていることと合わさって、冬の山の冷えをしっかりと抑えてくれます。

また履き口には上の画像のように起毛素材を採用。冷気や雪の侵入を抑えてくれます。こうした仕様は、防寒シューズらしいものです。

歩きやすいというレベルではなく、スイスイ進む

カハ 2 フロスト GTX
撮影:ポンチョ

カハ 2 フロスト GTXは、縦走登山向きで、長距離、長時間のハイクを得意とするホカのハイキングシューズ「カハ2」のボトムユニット=ソール機能に、防寒機能をプラスしたシューズです。

だから、上画像のようにヒール部分が大きめに張り出し、中足部から前足部は体重移動がしやすいようにカーブしたメタロッカーを採用。足裏を中足部からフラットめに着地させて歩くと、拡張されたヒール部分が機能して、少ないチカラでスイスイと足が前に出てきます。

カハ 2 フロスト GTX
撮影:ポンチョ

それは、後ろからやさしく押してもらっているような感覚です。

さらにホカならではの厚底はフワフワすることなく、安定して歩けます。背負う荷物が重くなるほど、歩行スピードを上げるほどクッション性のよさも感じられ、足に掛かる衝撃を確実に軽減してくれます。

下りは安心感が上がる!

カハ 2 フロスト GTX
撮影:ポンチョ

下りは、ヒールだけでなく、全体的に少しワイドに搭載されたデカ底のソールがグリップ力をアップしてくれます。接地面積が大きくなるので、グリップ力が上がるのは当然なんですが、なんだかとても安心です!

メガグリップ
撮影:ポンチョ

アウトソールには、あらゆる環境下ですぐれたトラクションを提供することで評判の、ヴィブラム社のメガグリップを採用しています。トレッキングシューズのみならず、よりしっかりとしたグリップ力が求められるトレイルランニングシューズでも使われ、高い評価を得ています。

カハ 2 フロスト GTXでは、さらにヴィブラム トラクションラグという、上の写真のようにラグ=凸部のサイドに付けられた細かな突起も装備。地面への食いつきのよさで、最上級のグリップ力を提供してくれます。

フィット感のよさもお知らせしておきます!

カハ 2 フロスト GTX
撮影:ポンチョ

ウィンターシューズのなかで、防寒性を重視したシューズには、街歩きには問題ないレベルでも、登山で使うには心許ないフィット感に欠けるモデルが多くありました。

対して、歩くことを重視したウィンターハイキングシューズのカハ 2 フロスト GTXのフィット感は、3シーズンのトレッキングシューズ同様です。保温材の層があるので、足首から足先にガッチリとフィットした履き心地です。

カハ 2 フロスト GTX
撮影:ポンチョ

シューレースは、フィット感を出したい甲部分では摩擦力があって緩みにくいループを採用。細かなフィット感を出したい足首周辺からは樹脂製のフックを装備しています。

最上部は2通りに使えるフックで、オープンになっている部分はストッパー機能かと思いましたが、そうではなく、寒さのなかで着脱をしやすくするためのフックのようです。

ヒールの出っ張りが気になる人、ココを読んで!

ホカ テンナインハイクGTX
提供:ホカ

ところで、ホカのハイキングシューズには、2020年に発売された「テンナインハイク GTX(上画像のシューズ)」という、ヒールが圧倒的に拡張されたモデルがありました。

ホカがデカ底を投入した最初のシューズで、少ないチカラで体重移動できるという機能に特化していました。ですが、登山道以外では、例えば階段では上り下りが難しかったり、クルマの運転ができなかったり、特長的な仕様ゆえのマイナス点もあったんです。

カハ 2 フロスト GTX
撮影:ポンチョ

このテンナインハイクGTXは見た目のインパクトも強かったので、その後に発売された同様のデカ底系ハイキングシューズも、「歩きづらいんじゃないの?」という声をよく耳にします。

でも現在のカハ2、そして今回取り上げているカハ 2 フロスト GTXのヒールは、通常歩行、クルマの運転に支障をきたさない範囲でヒールが拡張されているモデルです。

つまり、マイナス点はしっかりと解消されて、推進力というプラス点だけが体感できるモデルにアップデートされているんです。だから、歩きにくさはありません!

シューズに合わせた歩き方を!

カハ 2 フロスト GTXでガレ場を歩く
撮影:ポンチョ

ただし、街で歩くのと同じようにカカト着地で歩くと、大きめの石がゴロゴロとあるガレ場では、不安定さを感じます。普段履いているシューズの感覚では、シューズのヒールがない部分にヒールがあるので、やや引っ掛かることがあります。

それを解消するには、履き慣れることと、足裏をフラットに地面に置く歩き方に修正する必要があります。

なのですが、これってソールの硬いハイカットのトレッキングシューズでも同様の歩き方をする必要があるのと同じです。シューズの性能を体感するためにも、シューズに合わせた歩き方をぜひ身につけてください!

ヒールの拡張したシューズ、チェーンスパイクは装着できるのか?

カハ 2 フロスト GTX チェーンスパイク
撮影:ポンチョ

グリップ力の高いメガグリップを採用したカハ 2 フロスト GTXですが、ヒール、ワイドなデカ底ソールで、チェーンスパイクは装着できるのか?手持ちのものを装着してみたのが、上画像です。

シューズのサイズは27.5cmですが、アウトソールの実測値は33cm!もあります。でも、なんとかギリギリ入りました。チェーンスパイクによっては、さらに大きなサイズに対応するものに、買い替える必要があるかもしれません。

冬にしか見られない風景に包まれに行こう!

カハ 2 フロスト GTX
撮影:ポンチョ

冬山というと、多くの人は雪山を想像します。確かに標高1500m以上となれば、雪に包まれています。でも関東周辺の標高1000m以下の山、低山なら、例えば高尾山が雪に覆われる季節は、ごくわずかです。また積もったとしても数十cm。軽アイゼンやチェーンスパイクを万が一に備えて携帯しておけば、危険を感じることなく、山歩きを楽しめます。

そして気温が0度前後になった山には、その時だけしか見られない景色があります。

シモバシラ、霧氷、ドライフラワー、パリパリの落ち葉、透明な青い空、落葉した森の隙間から見える山並みと枝のウネウネ、シーンとした気配、小鳥たちのおしゃべり、やさしい陽だまり……。

カハ 2 フロスト GTX
撮影:ポンチョ

そんな低山がもっとも美しい景色を見るために、私がオススメする道具は、今回紹介したウィンターハイキングシューズ。そしてホカ/カハ 2 フロスト GTXです。機会があればスノーシューにももちろん使えます。

足元をこれらのシューズで暖かくして、ぜひ冬の低山に出掛けてみてください。

それでは皆さん、よい山旅を!