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その足冷えの原因、靴下かも!?冷え性持ち筆者が気付いた意外な注意ポイント

山小屋やテント場での夜、足が冷たい……!多くの登山者が一度は経験したことがあるであろう「足冷え問題」実は靴下に原因があるかもしれないことをご存知でしたか?単純に暖かそうな靴下を履くだけでは不十分だったんです。

今回は足を冷やす意外な原因を実験で明らかにしつつ、その対策をまとめてみました。

目次

アイキャッチ画像撮影:筆者

山での夜、小屋やテントは寒くてついつい靴下を2枚履きに……

足の冷えイメージ

出典:PIXTA

気温は高くなってきているものの、標高の高い山ではまだまだ気温が低い日があることも。そんな時に気になる、テント泊や山小屋でのツラい足の冷え。皆さんはどんな対策をしていますか?

多くの方が実践していると思われるのが、厚めの靴下を履くこと二枚重ねして山小屋で過ごすなんて人もいますよね。

ただ良かれと思ってのこの行為、もしかしたら逆に足を冷やしてしまっているかもしれないことをご存知でしたか?

足が締め付けられて、血行不良になっているかも!?

ソックスイメージ

撮影:筆者

登山向け靴下はヨレによる靴ずれの防止の為、比較的フィット感が高めのものが多め。しかし、その登山靴下の魅力が、逆に足冷えの原因になっている可能性があります。

足冷えの主な原因は、「血行不良」。フィット感が高い靴下を履くことで血の巡りが悪くなってしまうことも。さらには、寒さ対策として厚めの靴下を履いたり二枚重ねをすること、締め付けが強くなり、血行不良を引き起こしているかもしれません。

ただ本当に締め付けにより足が冷えやすくなるのかは気になるところ。そこで今回はフィット感の異なる靴下を履き比べて、その違いを検証してみます。

検証:締め付けでホントに足は冷えやすくなる?

今回はフィット感による冷えの違いを調べるために、2つの検証を行ってみます。

検証その1:ゆったりめ靴下vsタイトめ靴下

【検証方法】片足ずつ別の靴下を履いて30分後に足の裏の温度を計測

撮影:筆者 

右足(ゆったりめ):スマートウール マウンテニアクラシック マキシマムクッション クルー
左足(タイトめ)フィッツ エクスペディションヘビーラグドブーツ

まずは「ゆったりめ靴下」と「タイトめ靴下」を比べて検証。ゆったり代表として選んだのは「スマートウール マウンテニアクラシック マキシマムクッション クルー」タイトめ代表として選んだのは「フィッツ エクスペディションヘビーラグドブーツ」です。

今回は、より気温が低く足冷えを感じやすい「冬用」にのもので検証しました。それぞれ別々のメーカーではありますが、どちらも冬山用の極厚靴下として位置づけられている保温力が最も高いクラスの靴下です。

検証では片足づつ靴下を履き、30分後にそれぞれの足の温度を測ってみます。

検証その1結果:ゆったりめの方がわずかに温かい

実測値はもちろん、実感値としてもゆったりめ靴下のほうが空気の層ができている感覚があり暖かく感じました。

ただその差は僅か0.6℃しかなかったため、締め付けによって体温が下がったのか怪しいところ。さらに締め付け加減をあげて検証してみます。

検証その2:ゆったりめ靴下vsタイトめ靴下2重履き

みなさんもよく実施するであろう二重履きによって、締め付け度をあげてみました。「ゆったりめ靴下」「タイトめ靴下」は、検証1と同じものを使用します。

検証その2 結果:ゆったりめの方が温かい

撮影:筆者

検証1と同様に、ゆったりめ靴下の方が1.2℃温かい結果になりました!

二重にした方はかえって足が冷たくなる結果に。靴下を重ね履きすることは必ずしも足を暖めることにはならないようです。

検証結果:ゆったりめ靴下の方が足が温まりやすい!

検証1・2ともにゆったりめ靴下のほうが温かい結果となりました。

全く同じ性能の靴下ではないという前提はありますが、タイトな靴下を重ね履きしてしまうと血流が悪くなる感覚は確かにありました。

血行の流れを阻害せずに体温を保つには、ゆったりめ靴下のほうが良いと言えそうです。

※注意ポイント
タイトめ靴下が登山用靴下としてNGという訳ではもちろんありません。前述した通り、靴下がゆるいと靴擦れの原因になりかねないため、フィット感が高めの靴下が多くなっています。温かいという観点ではゆったりめが大事ということがわかりましたが、山行中の靴下としてはある程度のフィット感は欠かせません。山行時に着用するものよりゆったりめの靴下を就寝時用にもっておくなどの工夫も対策として有効といえそうです。

番外編:足を揉むとどれくらい暖かくなる?

足の冷えが「血行不良」ならば、足を揉むことでどれくらい温度が変わるのでしょうか。両足にゆったりめ靴下を履き、片足だけ5分ほど揉んでみて、もう一方は何もしないで計測してみます。

揉み込みイメージ

撮影:筆者(手の温度で温まらないよう、手袋をしてもみこみます)

結果:揉み込むほうが3.6℃温かい結果に!

撮影:筆者

揉み込んだほうが実感としても明らかに血の巡りが良くなったと感じました。5分揉み込んだだけでも大きく体温が変わりました。

今回はただ揉み込んだだけですが、運動生理学のスペシャリストがおすすめする“手足のほかほかストレッチ”も過去に紹介されているためぜひチェックしてみてください。

足冷え対策の1つとして、靴下を意識してみては?

履いているイメージ

以上、結果をまとめてみると下記が言えそうです。

・足を温めるには、締め付けが強くない靴下を履く十分に揉むことが良さそう
・タイトめな靴下を履いていて、なかなか暖かくならなかったら、一度脱いで十分に揉んだり、ストーブやカイロで温めたりすると良い
※山行中はある程度フィット感の高い靴下を履くのが良いため、ゆるすぎる靴下を履かないように注意

今回の検証は、テント泊や山小屋で靴を履いていない時を想定したもの。足冷えの原因は、「靴紐の締め過ぎで足が圧迫されている」「温めすぎて汗をかき、冷えてしまっている」などの他の可能性も考えられます。自分の靴下を確認しつつ、どんな時に足が冷えやすいのかを振り返ってみてはいかがでしょうか。