アイキャッチ画像撮影:YAMA HACK編集部
マムートってどんなブランド?

スイスを代表するアウトドアブランドが、MAMMUT(マムート)です。スイスの公用語のひとつであるドイツ語で「マンモス」を表すブランド名は、同社のロゴマークとしてもおなじみ。
その創業は1862年、日本では生麦事件や薩英戦争が勃発した幕末の動乱機でした。お膝元のヨーロッパにおいても、マッターホルン(4478m)の初登頂は1865年であり、数多のアウトドアブランドの中でも、老舗といわれる存在です。
原点はクライミング用品

マムートが最初に製造したのが、それまでの農業用ロープの製造技術を応用してのクライミング用ロープでした。今もその根幹は変わることなく、ハーネス・カラビナ・スリングなどクライミング用品のラインナップも充実しています。
一般登山者にも身近なクライミング用品・ヘルメット

その中でも今回紹介したいのが、「ヘルメット」。
現在のマムートのアイテムのラインナップは7種類に分類され、登山者向けには以下の4種類がラインナップされています。
・FAST HIKING:トレイル(登山道)を早い歩調で走破する
・HIKING:自然に無理なく歩調を合わせて満喫する
・MOUNTAINEERING:比較的難易度の高い山に挑む
・CLIMBING:ロープなどのクライミング用品で登攀に挑む
このうち、CLIMBING(クライミング)カテゴリであっても一般登山者にも必要なアイテムがヘルメットです。
ヘルメットは岩稜登山の必携アイテム

日本アルプスなどの岩稜では、近年は一般登山道でもヘルメットを着用する登山者が増えています。稜線からの落差が100m近い転落事故でも、ヘルメットを着用していたおかげで頭部に致命傷を負わず、生還した事例もあるのです。
逆にちょっとした不注意による転倒でも、ヘルメットを着用していなかったために、岩角に頭をぶつけて脳挫傷や頭蓋骨の陥没骨折など生命に関わるケガを負う事例も発生しています。
ヘルメット着用推奨山域も

ヘルメットの着用が一気に浸透したのは、日本一の山岳県である長野県が2013年に指定した「山岳ヘルメット推奨山域」がきっかけです。
山岳遭難者のうち4人に1人が頭部を負傷していたこともあり、険しい岩稜が続く日本アルプスや、活火山である御嶽山・浅間山などが指定されています。
他の山域でも着用したいヘルメット

「山岳ヘルメット推奨山域」に指定されていない山やルートであっても、ヘルメットが不要という訳ではありません。落石や転倒・滑落の危険性がある岩稜が連続する南八ヶ岳は、その代表的な存在です。
中腹の山小屋・赤岳鉱泉と行者小屋ではヘルメットのレンタルを実施している他、SNSなど様々なメディアを通じて、ヘルメットの着用を呼びかけています。
ヘルメットを選ぶポイントは?

スキーや自転車などでも着用されるヘルメットですが、登山用のヘルメットではどんなポイントで選べばよいのでしょうか。生命を守る大切なアイテム、しっかりチェックしておきましょう。
登山用のヘルメット 選ぶ時のポイント
- ①安全性
- ②頭位に合わせたサイズ選択
- ③フィット感の調整しやすさ
- ④通気性
- ⑤重量
①安全性

登山用ヘルメットの安全性を示すものには、CEN(欧州標準化委員会)が定める欧州の統一規格である「EN規格」と、UIAA(国際山岳連盟)が定める登山用品の統一規格である「UIAA規格」があります。
マムートのヘルメットは、CENが登山用ヘルメットの技術的要件を定めた規格「EN 12492」に適合しており、EU加盟国の安全規格を満たしている製品につけられるマーク「CE」もつけられています。
同社の徹底した安全性テストによって、あらゆる方向からの衝撃から頭部を保護する工夫が凝らされているのです。
②頭位に合わせたサイズ選択
撮影:YAMA HACK編集部(S/Mサイズを着用した女性編集部員と男性編集部員)
登山用ヘルメットは自分の頭にしっかりフィットすることが重要です。
マムートの場合は、頭位がS/MサイズとM/Lサイズの2種類がラインナップされているモデルもあります。頭位は後頭部の突起から額の中央を水平に一周すると計測可能。自分の頭位に合ったサイズをチョイスしてください。

写真は頭位59cmの男性編集部員がS/Mサイズ(頭位52~57cm)を着用したもの。アジャスターのベルトをかなり下にずらさないと装着できませんでした。
こうした状態では安定したフィットは得られません。
③フィット感の調整しやすさ
撮影:鷲尾 太輔(ダイヤル調整モデルとベルト調整モデル)
さらに自分の頭にフィットさせるためには、ヘルメット内部のアジャスターベルトを調整する必要があります。
マムートの場合は「ダイヤルで調整するモデル」と「ベルトで調整するモデル」がありますが、初心者は前者の「ダイヤルで調整するモデル」方が扱いやすいのでおすすめ。
④通気性

真夏の岩稜帯では、ヘルメット内部が頭部からの熱と発汗で蒸れる場合も。この状態はストレスになるばかりでなく、頭部からの熱放出ができず熱中症の原因になることもあります。
マムートのヘルメットでは各モデルとも大きなベンチレーションを備えており、ヘルメット内部の空気を循環させつつ熱を放出してくれます。
⑤重量

いかに堅牢性が高いヘルメットでも、長時間の着用を想定した場合には重さがストレスになることもあります。マムートでは、発泡ポリプロピレンを使用して軽量化を追求したモデルもラインナップされています。
こうした工夫で、高い安全性と同時に快適さも実現しているのが、マムートのヘルメットなのです。
マムートのヘルメット おすすめ4選

それではマムートのヘルメットラインナップから、おすすめの4モデルを紹介します。あなたにぴったりのモデルを見つけてください。
Crag Sender Helmet(クラッグセンダーヘルメット)
撮影:YAMA HACK編集部(Crag Sender Helmet)
堅牢なハードシェルと内側のEPS(発泡ポリスチレン)に加え、重要な部分には防弾ヘルメットにも使用される繊維・Kevlar(ケブラー)素材で補強を施した軽量モデルが、Crag Sender Helmetです。
頭位を調整するダイヤルは小ぶりですが、薄型で被りやすく自由に調整可能な顎ひもが使いやすいと好評でした。
MAMMUT Crag Sender Helmet
サイズ | 高さ約15.0cm(S/Mサイズ)、 高さ約16.0cm(M/Lサイズ) |
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頭囲 | 52cm〜57cm(S/Mサイズ)、 56cm〜61cm(M/Lサイズ) |
重量 | 199g(S/Mサイズ)、 219g(M/Lサイズ) |
軽量化と堅牢性を両立したモデル
Skywalker 3.0 Helmet(スカイウォーカー3.0ヘルメット)
撮影:YAMA HACK編集部(Skywalker 3.0 Helmet)
頑強な表面のハードシェルの内側に、EPP(発泡ポリプロピレン)・EPS(発泡ポリスチレン)を組み込んだ、最先端のハイブリッド構造を採用したモデルがSkywalker 3.0 Helmetです。
他のモデルと比べると重量はありますが、頭位を調節するアジャスターのダイヤルが大きめで、操作しやすいと好評でした。
MAMMUT Skywalker 3.0 Helmet
サイズ | 高さ約15.0cm |
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頭囲 | 53cm〜61cm |
重量 | 334g |
初めてのヘルメットにも最適のオーソドックスなモデル
Wall Rider(ウォールライダー)
撮影:YAMA HACK編集部(Wall Rider)
頭頂部には丈夫なハードシェル素材を使用しつつ、EPP(ビーズ法発泡ポリプロピレン)シェルと組み合わせることで、最大限の軽量化を図ったモデルがWall Riderです。
頭位の調整はベルトで行うため少し手間がかかりますが、こちらも軽量化に貢献。頭の形に合わせて調整ができるため、高いフィット感が好評でした。
MAMMUT Wall Rider
サイズ | 高さ約14.5cm(S/Mサイズ)、 高さ約15.0cm(M/Lサイズ) |
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頭囲 | 52cm〜57cm(S/Mサイズ)、 56cm〜61cm(M/Lサイズ) |
重量 | 195g |
徹底した軽量化を実現したモデル
Wall Rider MIPS(ウォールライダーミップス)
撮影:YAMA HACK編集部(Wall Rider MIPS)
外見はWall Riderと同じですが、高速走行時の転倒に備えて自転車用ヘルメットにも採用されている特許技術MIPSを、同社で初めて装備したクライミング用ヘルメットがWall Rider MIPSです。
ヘルメット内側の摩擦が低いため、衝撃を受けた場合に脳の周りをスライドして動く構造で、ねじれ衝撃と回転エネルギーの一部が脳に伝わらずに吸収され、脳損傷のリスクを軽減してくれるのです。
MAMMUT Wall Rider MIPS
サイズ | 高さ約15.0cm(S/Mサイズ)、 高さ約16.0cm(M/Lサイズ) |
---|---|
頭囲 | 52cm〜57cm(S/Mサイズ)、 56cm〜61cm(M/Lサイズ) |
重量 | 225g |
特許技術の衝撃吸収構造を採用したモデル
大切なヘルメットを長く愛用するために

使用頻度や保管状態によって異なりますが、マムートのヘルメットは最適な保管条件でも耐用年数は10年とされています。
もちろん、過酷な環境で使用したり、落石などのダメージを負った際には、さらに早めの交換が必要です。
手入れとメンテナンス

マムートのヘルメットには、必ず取扱説明書が付属しています。これは廃棄せず、ぜひ保管しておいてください。保管方法やメンテナンスの手引きが詳細に記されています。これに沿った保管・メンテナンスが大切なヘルメットを長く使用するためには欠かせません。
【製品が汚れた場合】
中性石鹸、または少量の中性洗剤を使用し、ぬるま湯で洗ってください。洗剤が残らないように、よくすすいでください。
直射日光の当たらない場所で乾かしてください。(ラジエーターの付近に置いたり、乾燥機は使用しないでください)
ステッカーも要注意!?

個性を演出するために、ヘルメットにステッカーを貼ってデコレーションする人も多いのではないでしょうか。ただし、こちらも注意が必要です。
ステッカーの接着剤には化学溶剤が使用されている場合もあり、これがヘルメットの堅牢性に影響することもあります。ヘルメットに貼り付けてOKな接着剤のステッカーか、確認してください。
ヘルメットホルダーもおすすめ

ヘルメットを着用しないシーンで、ザックの容量の関係などで収納に悩む場合もあります。ザックのベルト類にそのまま外付けしてしまうと、大切なヘルメットに傷がついてしまうことも。
マムートではそんな場面に備えて、軽量・コンパクトなシート状と、ヘルメットを完全に収納できる袋状の2種類のヘルメットホルダーをラインナップしています。
MAMMUT ヘルメットホルダー
MAMMUT ヘルメットホルダー PRO
着用は確実に!

せっかくヘルメットを着用していても、転滑落した際に脱落してしまい頭部を負傷するという事例も発生しています。
自分の頭位にフィットしたサイズのセレクトはもちろん、アジャスターでの調整や顎ひもをしっかりと絞めるなど「どんな状況でも脱げない」フィッティングは、登山者本人でしか不可能です。
アイテム選択はもちろんですが、着用方法もしっかりマスターして、安全な登山を楽しんでください。