アイキャッチ撮影:筆者
寝袋は「アウトドア用の寝具」

撮影:筆者
寝袋は登山やキャンプでアウトドアで使う用の布団です。シュラフまたはスリーピングバッグとも呼ばれており、メーカーによって名前が異なりますが同じものをさしています。
ところがいざお店に行くと、たくさんの寝袋が並んでいて違いがわからない人も多いでしょう。そこでまずは寝袋の形や素材による違いを紹介します。基本をおさえてから選ぶと迷わずに済みますよ!
寝袋の形状は3タイプ|マミー型・封筒型・キルト型
寝袋の種類は、おもに3タイプ。正式な分け方は明確ではないため、今回は用途や特徴から、「マミー型・封筒型・キルト型」に分類しました!
マミー型

提供:ロストアロー
マミー型は人のような形で、下にいくにしたがって細くなっていく形状です。体にフィットし、すき間が少ないので保温性が高いのが特徴です。登山に最適なタイプといえるでしょう。
封筒型

提供:モンベル
長方形で自宅の布団と同じ感覚で寝られるのが封筒型。かけ布団のようにつかったり、2つの寝袋を連結できるタイプもあったりと、バリエーションが豊富です。ただし、ゆったりしている分、寒さを感じることも。また、マミー型より重さがあるため、キャンプや車中泊に適しています。
キルト型

提供:ロストアロー
マミー型のようなフードがなく、かけ布団のような形状で、体に巻いたり羽織ったりと汎用性が高いのがキルト型です。他のタイプとの大きな違いは、背面がくりぬかれているところ。一般的には、保温マットと連結して使います。
軽さを追求するUL(ウルトラライト)登山派に向いているタイプで、ハンモック泊をする人にも人気です。
中綿はダウン・化繊の2種類|撥水ダウンも見逃せない

撮影:筆者
中綿の素材はダウンと化繊の2種類です。それぞれのメリット・デメリットをご紹介します。
ダウン
ダウン素材は軽くて暖かく、寝心地がよいのが魅力。コンパクトに畳めるので持ち運びしやすい点もメリットといえます。ただし湿気に弱く、水に濡れると保温性をキープできない面も。また価格は化繊よりもやや高めです。
なお、水に対する弱さを改善させるため、撥水加工されたダウンもあります。吸水を防いで温かさとふわふわ感を保てるので、テント泊登山をする人は撥水ダウンの寝袋も選択肢となるでしょう。
化繊
比較的手に入れやすい価格で、水に濡れても保温性をキープできるのが化繊です。洗濯機で簡単に洗えるので、ダウン素材よりお手入れもラク。デメリットは、ダウンよりかさばり重たいところ。車中泊やキャンプなど、荷物が増えても気にならないシーンに向いています。
寝袋は4つのポイントで選ぼう

撮影:筆者
寝袋を選ぶポイントは次の4つです。メーカーによってさまざまなタイプがありますが、これらを覚えておけば用途にあうアイテムを選べるでしょう。
①使う季節|まずは3シーズン用があればOK
②対応温度|寝袋の使用温度も忘れずチェック
③保温性|空気をどれだけ含むかの値FP(フィルパワー)で決まる
④サイズ|体に合うサイズで冷気をシャットアウト
使う季節|まずは3シーズン用があればOK

撮影:筆者
初めて買うなら3シーズン対応の寝袋がおすすめです。ひとつあれば、春・夏・秋と長くつかえて重宝します。
また残雪が残る春先や、冬の一歩手前の冷え込む時期は、シュラフカバーやインナーシーツと重ねて温かさを調節するのがおすすめです。(厳冬期などさらに寒い時季に使う場合は、さらに暖かい4シーズン用も検討してくださいね)
対応温度|寝袋の使用温度も忘れずチェック

寝袋には保温性を評価する、「快適使用温度」と「最低使用温度」があります。
最低使用温度は、ギリギリなんとか眠れる温度のこと。選ぶときは快適温度プラス5℃を目安にしましょう。
なお体感温度は人によって異なるため、少し余裕をもたせて選ぶのがベスト。フィールドの天候や風の有無によっても感じ方が変わるので、普段も寒がりな人はその点を考慮してチョイスしましょう。
保温性|羽毛のかさ高性(空気をどれだけ含むか)の値「FP」

撮影:筆者
中綿がダウンの場合、FP(フィルパワー)の値が大きいほど空気を多く含み、保温性に優れています。ただしFP値が高い寝袋は価格も高めです。温かさと予算のバランスを見て選びましょう。
3シーズン用なら、650FP以上を目安にチェックしてみてください。
サイズ|体に合うサイズで冷気をシャットアウト

提供:モンベル
寝袋は大きいほうが温かいと思っていませんか?
実は大きすぎると、すき間が入って寒さを感じやすくなります。メーカーによってロング、ショートなどさまざまなタイプがあるので、自分の身長に近いサイズを選ぶのがおすすめです。
なお、女性向けモデルは足元にダウン量が多い、肩回りが小さめなど、より体にフィットしやすいつくりになっています。冷えが気になる方は、女性向けモデルの方が、より温かく眠れるでしょう。
寝袋を代表する人気メーカー『モンベル・NANGA・イスカ』

撮影:筆者
さまざまなアウトドアメーカーから寝袋が販売されていますが、その中でも特に人気の高いメーカーが「モンベル・NANGA・イスカ」の3つ。
幅広いラインナップや価格帯など、最初に手に取りやすい登山ショップでも多く見かけるメーカーです。
モンベル | NANGA(ナンガ) | ISUKA(イスカ) |
・日本発のアウトドアメーカー ・お手ごろから高品質まで種類が豊富 ・抜群の伸縮性 | ・羽毛の町から誕生した寝袋メーカー ・カラーを選べる ・永久保証でアフターケアが充実 | ・シュラフ専門メーカー ・ダウン、化繊と素材ごとに選べる ・3Dシルエットで圧迫感を軽減 |
寝袋おすすめ20モデル

撮影:筆者
ここからは、マミー型、封筒型、キルト型の3つのタイプに分けておすすめの寝袋をご紹介します。今回は、汎用性が高い3シーズンでの使用を想定して、重さが軽い順にピックアップしました。
<想定使用シーン>
時期:5月~9月の無雪期
環境:外気温5℃~を想定
※夏の北アルプスや、5月または10月の八ヶ岳
おおよその使用時期は次のとおりです。ただし、体感温度はその日の天候や人によって違うため、あくまでも目安としてください。
【マミー型】おすすめ10モデル
登山にぴったりのマミー型の寝袋を10点ご紹介します。
シートゥサミット スパークSpII
素材 | ダウン |
---|---|
重さ | 505g(レギュラー) |
収納時サイズ | 13×19cm |
使用温度(快適温度) | 4℃ |
使用温度(下限温度) | -2℃ |
軽量でコンパクトなダウン素材のシュラフです。撥水トリーメント加工により、湿気が多くてもダウンの性能が落ちにくいのが特徴。縦走登山の強い味方になるでしょう。
シートゥサミット フレームFmII
素材 | ダウン |
---|---|
重さ | 505g(レギュラー) |
収納時サイズ | 13×22cm |
使用温度(快適温度) | 2℃ |
使用温度(下限温度) | -4℃ |
男性用モデル「スパーク」をベースに女性向けに設計されたシュラフ。女性の体にあわせて腰回りが広めに設計されています。また男性モデルよりもダウンが多めに入っているため、保温性の高さも期待できます。
イスカ エアドライト 290
素材 | ダウン |
---|---|
重さ | 560g |
収納時サイズ | φ14×24cm |
使用温度(快適温度) | 5℃ |
使用温度(下限温度) | 2℃ |
3D構造により、保温効果が期待できます。冷えやすい足元にはダウンを多めに充填しているのがポイント。夏のアルプステント泊や春・秋の低山に最適です。
ナンガ AURORA LIGHT 350 DX
素材 | ダウン |
---|---|
重さ | 730g |
収納時サイズ | φ13×25cm |
使用温度(快適温度) | 5℃ |
使用温度(下限温度) | 0℃ |
4色のカラーと、ショート・レギュラー・ロングの3つのサイズから選べます。とても軽量で耐水性を備えているのが特徴。雨が降ったら寝袋がペタンコになっていた、というリスクを避けられます。3シーズン対応で長く愛用できるでしょう。
コールマン コンパクトコルネット/L0
素材 | 化繊(ポリエステル) |
---|---|
重さ | 約1.4kg |
収納時サイズ | φ20×35cm |
使用温度(快適温度) | 5℃ |
使用温度(下限温度) | 0℃ |
洗濯機で丸洗いできる化繊のシュラフです。寝袋に入ったまま椅子に座ったり、そのまま歩いたりできる珍しい機能が特徴です。センタージッパーにより着脱がしやすいところもGOOD!
CAPTAIN STAG フォルス スリーピングバッグ 1
素材 | ポリエステル繊維(ワンサーモファイバー) |
---|---|
重さ | 1.5kg |
収納時サイズ | 外径23×高さ39cm |
使用温度(快適温度) | 4℃ |
使用温度(下限温度) | -1℃ |
首元からの冷気の侵入を防げる保温性の高いシュラフ。内側には小物を入れるのに便利なポケットが付いています。ダブルファスナーやコンプレッションバッグなど、使いやすい機能が盛り込まれたアイテムです。
ロゴス 抗菌防臭 丸洗いアリーバ・-6
素材 | 化繊(ダイナコンプレスファイバー) |
---|---|
重さ | 約2.1kg |
収納時サイズ | φ27×長さ42cm |
使用温度(快適温度) | - |
使用温度(下限温度) | -6度 |
抗菌&防臭効果が期待できる、マミー型シュラフです。汚れたら洗濯機で洗える手軽さも魅力。収納時サイズはやや大きめですが、保温性が高く、清潔につかえます。
<あのワークマンの寝袋も!>
ワークマン エクストリームダウンシュラフ690
素材 | ダウン50%・フェザー15%・吸湿発熱わた35%の混合 |
---|---|
重さ | 1.4kg |
収納時サイズ | 円周65×高さ39cm |
使用温度(快適温度) | 2℃ |
使用温度(下限温度) | -3℃ |
コスパの高さで人気のワークマンの寝袋です。首回りにネックバッフルを取り付けることで、すき間風をシャットアウト。ダブルファスナー付きなので、暑いときは足を出すなど温度調節しやすいでしょう。
【封筒型】おすすめ7モデル
封筒型の寝袋は、キャンプや車中泊におすすめです。7つご紹介しますのでぜひ参考にしてください!
イスカ レクタ 500
素材 | ダウン |
---|---|
重さ | 1.06kg |
収納時サイズ | φ18×32cm |
使用温度(快適温度) | - |
使用温度(下限温度) | 5℃ |
ゆったりつかえる封筒型です。ダウンをたっぷり500g使用しているため、春や秋の肌寒いシーズンのキャンプに最適!同じシリーズの商品と連結すれば、親子で一緒に寝られます。
コールマン パフォーマーⅢ/C5(オレンジ)
素材 | ポリエステル |
---|---|
重さ | 約1.4kg |
収納時サイズ | 約φ24×41cm |
使用温度(快適温度) | 5℃ |
使用温度(下限温度) | - |
取り扱いがラクなポリエステル素材の封筒型です。万が一キャンプ中に汚してしまっても、丸洗いできるのがポイント。手軽さとコスパを重視したい人にイチオシです。
ナンガ RABAIMA BAG S 600
素材 | ダウン(※下面はポリエステル) |
---|---|
重さ | 1.6kg |
収納時サイズ | φ26×40cm |
使用温度(快適温度) | ー |
使用温度(下限温度) | ー |
フードが付いた封筒型のシュラフ。上部は軽くて暖かいダウンを使用し、寝ることでつぶれてしまう背面には化繊綿がつかわれています。またボックスキルト構造により、ダウンの片寄りを防げるのもGOOD!
ロゴス ロゴス 丸洗いスランバーシュラフ・0
素材 | ポリエステル |
---|---|
重さ | 2kg |
収納時サイズ | 直径29×長さ40cm |
使用温度(快適温度) | ー |
使用温度(下限温度) | 0℃まで |
キャンプにぴったりのデザインが魅力のシュラフです。同じモデルと連結すると、2人用のビッグサイズになります。こもりやすい熱気を外に排出してくれるため、気温の変化が激しいキャンプに最適です。
スノーピーク セパレートシュラフ オフトンワイド LX [下限温度3度]
素材 | 中綿(アモノフォロファイバー) |
---|---|
重さ | 3,600g |
収納時サイズ | φ34×56cm |
使用温度(快適温度) | ー |
使用温度(下限温度) | 3℃ |
家で寝ているような感覚を味わえる、セパレートタイプ。掛けたり敷いたりと、使い方のバリエーションを考えてつくられています。2つに分離すれば子どもとのお昼寝もOK!ひとつあると何かと重宝するモデルです。
キャプテンスタッグ エクスギア フリースラップシュラフ1200
素材 | ポリエステル |
---|---|
重さ | 2.4kg |
収納時サイズ | 外径30×高さ47cm |
使用温度(快適温度) | 5℃~ |
使用温度(下限温度) | - |
インナーにフリースブランケットが付属したモデルです。シュラフとフリースを別々に使えるので、季節や使用人数に応じて合わせやすいのが魅力。自宅で丸洗いできるので、清潔に使いたい人に向いています。
【キルト型】おすすめ3モデル
軽くて汎用性が高いキルト型のおすすめモデルを3つご紹介します。
シートゥサミット エンバーEbI
素材 | ダウン |
---|---|
重さ | 420g |
収納時サイズ | 収納寸法=13×25cm |
使用温度(快適温度) | 4~10℃ |
使用温度(下限温度) | - |
コンパクトながら保温性に優れたキルト型です。4か所の固定用のベルトによって、テントマットとのフィット感も調節可能。広げれば毛布のように羽織れる点も魅力です。
サーマレスト コーラス 0℃
素材 | ダウン |
---|---|
重さ | 561g |
収納時サイズ | 17 x 25 cm |
使用温度(快適温度) | 5℃ |
使用温度(下限温度) | 0℃ |
テントマットと組み合わせることで、保温性を確保しつつ軽量化も実現できます。夏場はこれひとつで使用し、寒いシーズンには他の寝袋と一緒に使ってもOK。持ち運び用のコンプレッションバック、保管用のバックと、2つが付属しているのもうれしいところです。
Jolmo Lander 800fp ダウンキルト Q-400G
素材 | ダウン |
---|---|
重さ | 635g |
収納時サイズ | - |
使用温度(快適温度) | 3℃ |
使用温度(下限温度) | - |
表地が撥水加工されており、800fpのグースダウンにより保温性も抜群。寒いときに羽織れば、ダウンジャケットような温かさを感じられます。テントマットの取り付け方法は2パターンあり、フィールドの環境にあわせて使えます。
よくある寝袋の疑問にお答えします
寝袋の疑問についてお答えします。予備知識としてぜひチェックしておきましょう。
ふかふかの寝袋があればマットはいらない?

出典:PIXTA
どれだけ温かい寝袋でもマットは欠かせません。なぜなら体の重さで背中側の中綿(ダウン)がつぶれてしまうから。マットを敷かないと、ゴツゴツした地面の硬さや冷気がダイレクトに体に伝わり安眠できないでしょう。
マットはいわばフローリングに敷くマットレスの役割。マットと寝袋を組み合わせることで、寝袋の保温性が活かせるのです。
▼マットについてはコチラをチェック
シュラフカバーって何?

影:筆者(夏用のシュラフ「シートゥサミットFlameⅠ」にSOLエスケープビビィを被せた様子)
シュラフカバーは汚れや水濡れを防ぐために使います。たとえばテントで寝ると、外気との温度差でテントの内側が結露することがあります。結露した水滴がシュラフに落ちるとダウンが水分を含み、しぼんで保温性が損なわれる場合も。とくにシングルウォールのテントは結露しやすいので、シュラフに防水性のあるカバーを被せて使うのがおすすめです。
また使用温度が不安な環境では、保温性を高める効果も期待できます。長く愛用したい人は、シュラフカバーとセットでつかうとよいでしょう。
▼シュラフカバーについてはコチラをチェック
重ねて使うのもおすすめ
撮影:筆者
シュラフカバーだけでなく、インナーシーツを重ねてつかうのもありです。たくさん歩いて汗をかいた日は、そのまま寝袋に入るのをためらう人も多いはず。薄手のサラッとしたシーツなら、寝ている間にベタつくこともありません。
また。シーツやカバーを重ねることで保温効果アップも見込めます。山小屋ではインナーシーツ持参を推奨しているところもあるので、寝袋・インナーシーツ・シュラフカバーをセットで揃えておくと重宝するでしょう。
▼インナーシーツについてはコチラをチェック
自宅でお手入れできる? メンテナンス方法

出典:PIXTA
化繊の寝袋は洗濯機で丸洗いOK。ダウンは手洗いでやさしくメンテナンスしましょう。なおモデルによって取り扱い方法が異なるため、洗濯表示を確認してからお手入れしてください。
▼洗濯方法についてはコチラをチェック
使うシーンにあわせて選べば失敗なし!ぐっすり眠れる寝袋を手に入れよう

撮影:筆者
登山やキャンプなど、アウトドアシーンでのお泊りに欠かせない寝袋。ひとつあれば車中泊や防災用に重宝します。素材や形、使用温度を知って選べば失敗なし!自分にぴったりの寝袋を手に入れて、外でも安眠を確保しましょう。
こちらの記事もおすすめ
▼厳冬期に活躍する寝袋についてはコチラ
▼夏山登山にぴったりの寝袋はコチラ