セルフケアは、“火を使わないお灸”が便利

撮影:YAMA HACK編集部
鍼灸院に通う時間を頻繁には取れない!という人でも大丈夫。自宅でできる“セルフお灸”があります。
なかでも登山者におすすめなのが、火を使わないお灸「せんねん灸 太陽」です。
患部に貼るだけ!

撮影・作成:YAMA HACK編集部 参考:せんねん灸(皮膚面は和紙。余分な水分を取り除いて、低温やけどなどの肌トラブル防ぐ)
「せんねん灸 太陽」は、内蔵された発熱材が空気に触れると発熱する仕組み。発熱材の上部と皮膚面のシールをはがして患部に貼るだけと、使い方は超簡単です。

撮影:YAMA HACK編集部
自分でお灸がしづらい場所にもサッと貼れて、火を使うのが怖いひとや、はじめてお灸をするひとも手軽に使えます。衣服の下に貼って、そのまま外出することも可能。
携帯しやすく、煙やニオイも出ないため山小屋やテント内で使えるところも、登山者にぴったりのポイントです。
小泉さん
貼ったまま行動することもできますが、衣服や道具による圧迫で、低温やけどをしないように注意しましょう。
お灸は、熱ければ熱いほど効果があるというものではないんです。熱さを強く感じたら位置を変えるか、はがしてください。
1か所20~30分を目安に温める

撮影:YAMA HACK編集部
「せんねん灸 太陽」の温熱効果は約3時間持続。1つを複数か所に使えて、実はリーズナブル。
小泉さん
みなさん勘違いしがちなのですが、たくさん温めればいいというわけではないんです。
1か所につき20~30分で十分。同じ場所に3時間貼りっぱなしにせず、移動させましょう。
だんだん粘着力が弱くなるので、サージカルテープを用意しておくといいですよ。

撮影:YAMA HACK編集部
6つの温熱効果あり!
「せんねん灸 太陽」の効果
- 疲労回復
- 血行をよくする
- 筋肉の疲れをとる
- 筋肉のこりをほぐす
- 神経痛・筋肉痛の痛みの緩解
- 胃腸の働きを活発にする
お灸は毎日しても大丈夫。私は登山前後やランニングで足を酷使したとき、膝痛や腰痛が発症したときに使っています。疲労感が強いときの方が、上記の効果をより感じやすい印象です。
小泉さん
お灸をしても熱さを感じないときがあるのですが、それは効果を得られていないということではありません。血行不良などの不調箇所ほど、温かさを感じにくい場合が多いんです。
また、その日の気温や湿度によっても熱の感じ方が変わります。
基本は、自分が“気になるところに貼る”でOK!

出典:PIXTA
ちょっと疲れたなという箇所や押すと痛いところ、違和感のあるところに「せんねん灸 太陽」を貼りましょう。
小泉さん
ツボは、ヒトのカラダをめぐるエネルギーの通路といわれる経路上に、カラダの異常があらわれるポイントのこと。
「肌のはりがなく、へこんでいるところ」や「肌が乾燥してかさついているところ」もツボの目安です。
登山者におすすめの「ツボ」
登山のように足を酷使する場合は、膝周りや足首周りにある代表的なツボにお灸をするのが効果的。
小泉さん
疲れてくると、足が体の中心からどんどん外側に広がってくるんです。そうすると体感がブレて荷物が後ろに引っ張られてしまいます。
それを防ごうと肩甲骨が前に出て、背中や腰が曲がりやすくなり、呼吸もしにくくなってさらに疲れてしまう……なんてことがよくあるんです。
そうならないためにも、疲れが出てからではなく、こまめにケアをしておくことが大切。登山前、下山前、下山後の3回お灸するのがおすすめです。
膝周りのツボ

出典:PIXTA、編集:YAMA HACK編集部
- 足三里(あしさんり)
ひざのお皿のすぐ下、外側のくぼみに人さし指をおき、指幅4本そろえて小指があたっているところ。
カラダ全体の血行をよくする養生のツボ。ひざの疲労、痛みの緩和に。 - 陽陵泉(ようりょうせん)
ひざの外側下にある骨のでっぱりのすぐ下のへこみ。
足全体の疲れや痛みをとり、筋肉の引きつりを緩和するツボ。 - 血海(けっかい)
ひざのお皿の上、内側角にくすり指をおき、指幅3本そろえて人さし指があたっているところ。
血液の循環を高め、痛みを緩和するツボ。 - 梁丘(りょうきゅう)
ひざのお皿の外側角にくりす指をおき、指幅3本そろえて人さし指があたっているところ。
ひざの痛み、はれを緩和するツボ。
引用:せんねん灸 症状別ツボ図、せんねん灸 健康づくり ONLINE
松尾芭蕉『奥の細道』の序文に「三里に灸すゆるより」という一節があり、芭蕉も足三里に灸をすえて旅支度を整えていたことが伺えます。
足首周りのツボ

出典:PIXTA、編集:YAMA HACK編集部
- 三陰交(さんいんこう)
内くるぶしのいちばん高いところに小指をおき、指幅4本そろえて、人さし指があたっているとこと。
三つの経路が集まるツボ。冷え性、むくみ、月経痛、月経不順に。「女性のツボ」とも呼ばれる大切なツボ。 - 築賓(ちくひん)
内くるぶしのいちばん高いところに小指をおき、指幅4本+3本上がったアキレス腱のやや前の痛みを感じるところ。
坐骨神経痛、腰痛、寝違え、足裏のこわばりに。 - 然谷(ねんこく)
内くるぶしのななめ前にある骨のでっぱりのやや、かかとよりのところ。
下半身がむくみやすい、冷えやすい、動悸がする、腰が重い、耳鳴りがする、足の筋肉つるなどに。 - 崑崙(こんろん)
外くるぶしとアキレス腱の間のくぼみ。
頭痛がする、首・肩がこる、めまい、耳鳴り、冷え、ひざ痛、むくみ、痛みのひどい腰痛などに。 - 承山(しょうざん)
つま先立ちをしてアキレス腱をふくらはぎの方へなであげていくと、あるへこみ。
こむらがえりや足が疲れた時に使うツボ。
引用:せんねん灸 症状別ツボ図、せんねん灸 健康づくり ONLINE
小泉さん
これらのツボを温める習慣をつけることで、疲労回復を早め、次の登山に備えることができます。
登山と「お灸」は相性がいい!

撮影:YAMA HACK編集部
登山を長く楽しむためには、体を動かすだけでなく、日々のメンテナンスが欠かせません。
お灸は2000年以上前に古代中国で誕生した伝統的な東洋医学のケア方法。かつて松尾芭蕉が旅に備えてお灸を据えていたように、登山でも活用できます。
まずは手軽な“火を使わないお灸”から試してみては。より快適な登山ができるよう、サポートしてくれるはずです。
取材協力:セネファ
「せんねん灸」とは?
「お灸のすばらしさをひとりでも多くの人々に」をテーマとした滋賀県発のお灸メーカー・せんねん灸株式会社のお灸ブランド。滋賀、銀座、名古屋、大阪、京都、博多の6か所にショールームがあるほか、全国のドラッグストア、薬局、薬店で取り扱いがあります。