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これは気になる……! 超軽量なのに高耐荷重を誇るトレッキングポールが爆誕<arata>ATP-125フィールドテスト(2ページ目)

北アルプスや北海道の大雪山などでフィールドテスト

北アルプス 朝日岳 雪倉岳
テストで訪れた北アルプス三国境付近の様子

それでは肝心のフィールドインプレッションをお伝えします。発売されたばかりのATP-125を携えて、さまざまなルートで使い心地を試してきました。

ひとつは北アルプスの蓮華温泉を起点にした朝日岳〜雪倉岳〜小蓮華山〜白馬大池の周遊。ひとつは群馬県と長野県境に位置する湯の丸山と、近くに立つ東篭ノ登山〜西篭ノ登山、その麓に広がる池の平湿原ハイキング。ひとつは北海道の大雪山を歩く旭岳温泉〜旭岳〜白雲岳〜ヒサゴ沼〜化雲岳〜天人峡温泉の縦走。テストには十分すぎるほど使い倒したといえるでしょう。

スペックどおりの軽さと強さを実感

arata ATP-125 トレッキングポール

感想を先に述べるとATP-125は、とても軽いけど安心して使えるトレッキングポールといえます。

軽さを重視したトレッキングポールにありがちな、地面に突いたときに見られる頼りなさを覚えるしなりやガタツキがなく、使用中の感覚は強固な一本の杖のよう。ガシガシ使っても大丈夫と思わせてくれる剛性感がありました。

使う前は各シャフトをねじで連結する作業が手間に感じると思っていたのですが、いざ試してみるとそんなことはなく、ひと捻り半回すだけでしっかり固定されるので、面倒くさいと感じることは一度もありませんでした。

気になったのは相対的な使い心地

ATP-125はトレッキングポールとしての機能を十分に備えています。軽さ、強さ、扱いやすさに満足する人は多いことでしょう。

ただ、いろいろなトレッキングポールを知っている立場から相対的に評価すると、使い心地はちょっとイマイチ……。軽さを無視すればATP-125より扱いやすいトレッキングポールはあるからです。

arata ATP-125 トレッキングポール グリップ

まず気になったのはグリップの細さです。これは山行に同行した女性の山仲間も同じ感想でした。形は立体的ではあるのですが、細いゆえに持ち味が不自然になり、余分に握り込む必要がある点がややストレスに感じられました。

全体の形状も気になる点で、人差し指をひっかけるためと思われる突起部分は位置が高く、ここに人差し指をかけると手の平の下部が浮くので逆に疲れてしまいます。

グリップの頂上部分はフラットな作りなので、下り斜面で手のひらを上から覆いかぶせる持ち方をすると角が当たってストレスを感じました。

arata ATP-125 トレッキングポール ストラップ

そして、いちばん気になったのはストラップです。汗をかくと手にまとわりつき、肌触りがよろしくない。長さを調整するパーツの固定力が甘く、ループから手を抜くとストラップが肌にまとわり付きズルズル伸びてしまいます。薄さゆえにねじれやすくもあり、いちいち直すのが面倒に感じ、初日以降はストラップに手を通すことをやめてしまいました。

arata ATP-125 トレッキングポール

最後に言及しておきたいのが、各シャフトをねじで連結する仕組みについて。グリップの弱いグローブを装着した状態では手がシャフトの表面で滑ってしまい、ねじを回すことができませんでした。本革や人工皮革、ゴム手袋など雪山で使うグローブでは問題なく扱えることを確認できたのですが、雪が付着した状態や濡れている状態、接合部分が凍った場合はどでしょうか? 杞憂で済めばいいのですが、緩めづらくなる心配が拭えません。

評価のポイントは、トレッキングポールになにを求めるか

テストの様子。北海道の大雪山にて

マイナスな印象が多くなってしまった理由には、筆者がトレッキングポールに求める性能が関わっています。筆者にとってトレッキングポールは、行動中は常に手に持って積極的に使うもの。そのため、グリップの握り心地や扱いやすさが最重要で、軽さは二の次の要素になります。

一方で、トレッキングポールをとりあえず持っていたいという人やシェルターの設営用に携行する人、スピーディーな行動を望む人もいて、その場合の優先順位は使い心地より軽さのほうが上にくるはずです。

筆者と同じ感覚の人に、ATP-125はおすすめしにくい印象です。多少重さが増してもグリップが握りやすくストラップに手を通しやすいトレッキングポールをすすめます。ちなみに、重量が重くなると腕が疲れると思う方がいるかもしれませんが、そのような経験は一度もなく、ATP-125を使ったことで腕の疲労が軽減されたという感覚もありませんでした。

それとは別に、トレッキングポールはなるべく軽いものがいいという人にとって、ATP-125はいい選択肢になるでしょう。軽さと共に安心の強度を備えている点はかなり魅力的です。

arata ATP-125 握り方

提供:arata

arata

~開発者からのアドバイス~

ATP-125はグリップが細いため、既存の一般的なポールと同じ感覚で扱うと使いにくさを感じます。そのため、ストラップをしっかりと握って使用する必要があります。

握り方のポイントは、

①ストラップに下から手を通し、ストラップと一緒にグリップを握る
②その際に、ストラップが親指の付け根と手のひらの生命線あたりを通るようにする
③下方向に垂れる側のストラップは、グリップに沿って真っすぐ下に向くようにする

この持ち方に慣れると、使いにくさは克服できると考えています。

ATP-125を評価する上でなによりも重要なことは、トレッキングポールになにを求めるのかを知ることです。自分にとって重視すべき要素が具体的になったとき、ATP-125は理想に近いトレッキングポールといえるのか、自然と判断できるようになると思います。

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