COCOHELI 山岳遭難対策制度(ココヘリ) 550万円までの捜索救助を実施 入会金1,100円OFFで申込む
慎ましく凛とした姿を堪能!晩夏〜初秋の花を楽しむスポットおすすめ8選

慎ましく凛とした姿を堪能!晩夏〜初秋の花を楽しむスポットおすすめ8選

夏山登山の魅力といえば、チングルマ(白)・ミヤマキンバイ(黄)・ハクサンコザクラ(ピンク)など色とりどりの高山植物です。日本アルプスや北海道・東北などの高山が様々な花々で彩られます。

これらが群落となってお花畑になるのは、山にもよりますが例年7月上旬〜8月中旬まで。晩夏〜初秋は中途半端な季節……次の見頃は山肌が紅葉で彩られる9月中旬以降だと思っていませんか。

実はこの季節にこそ見られる花も多数。今回は、暑さも盛りを過ぎた晩夏〜初秋に涼しく快適な花登山を楽しむことができる山やスポットを紹介します。

目次

アイキャッチ画像出典:PIXTA

初秋だからこそ楽しめる!慎ましくも凛とした花々

美しさと裏腹に毒性もあるオクトリカブト
出典:PIXTA(美しさと裏腹に毒性もあるオクトリカブト)

広大なお花畑に色とりどりの高山植物が咲き乱れる華やかさはありませんが、それぞれが慎ましく凛とした存在感を放つのが初秋の花々です。

山と花を愛した劇作家・田中澄江の随筆『花の百名山』にも、北海道・空沼岳(1251m)のオクトリカブト、奥多摩・高水山(759m)のツルリンドウ、北アルプス・槍ヶ岳(3180m)のトウヤクリンドウなど晩夏〜初秋の花々がいくつも登場します。

今回は『花の百名山』に選定されている山も含め、晩夏〜初秋の花々を鑑賞しながら涼しく快適な花登山を楽しむことができる山を紹介します。

①尾瀬ヶ原|日本有数の高層湿原へ静かな花旅(群馬)

尾瀬ヶ原のミヤマアキノキリンソウ
出典:PIXTA(尾瀬ヶ原のミヤマアキノキリンソウ)

春のミズバショウ、夏のニッコウキスゲなど、花の楽園として多くの登山者・ハイカーを惹きつけてやまない尾瀬ヶ原。西側に位置する尾瀬沼は、山菜として食すこともできるギョウジャニンニク(花期は7月上〜中旬)の群生地として『花の百名山』に紹介されていますが、晩夏〜初秋にも多くの花を鑑賞することができます。

特に8月中旬~9月下旬に見頃を迎えるミヤマアキノキリンソウは、この季節の花々の中でもひときわ鮮やか。ほかにもイワショウブやオヤマリンドウ・エゾリンドウなどが晩夏〜初秋にかけて見頃を迎えます。

尾瀬ヶ原の白虹
出典:PIXTA(尾瀬ヶ原の白虹)

この時期の尾瀬ヶ原は、ぜひ宿泊して堪能したいもの。特に龍宮・見晴など湿原の中の山小屋がおすすめです。至仏山・燧ヶ岳の美しい稜線と朝夕の空の色彩、夜には満天の星空を楽しむことができるでしょう。

また早朝の気温が低くなるこの時期は、朝もやが発生しやすくなるシーズンでもあります。ただでさえ幻想的な湿原に、条件次第ですがちょうどよい角度で太陽の光が差し込めば、白い虹を見ることができるかもしれませんよ。

おすすめコース

尾瀬MAP
地図の出典:YAMAP、加工:鷲尾 太輔

体力レベル:★★★☆☆

1泊2日|約4時間40分

参考:らくルート

技術的難易度:★★☆☆☆

・急な登下降がある
・案内標識が不十分な箇所が含まれる
・登山装備が必要
・登山経験、地図読み能力があることが望ましい

凡例:グレーディング表

コース概要

【1日目】鳩待峠(60分)→山ノ鼻(35分)→牛首分岐(30分)→龍宮小屋(泊)
【2日目】龍宮小屋(20分)→ヨッピ吊橋(35分)→牛首分岐(35分)→山ノ鼻(65分)→鳩待峠

②奥日光|幻想的な湿原から花咲く水辺へ(栃木)

奥日光のシロヨメナ
出典:PIXTA(奥日光のシロヨメナ)

尾瀬ヶ原と並ぶ日本を代表する高層湿原が、奥日光にある戦場ヶ原です。春のツツジ類にはじまり、初夏のアヤメ、盛夏のノアザミなど様々な花々が咲き競います。またその先にある中禅寺湖畔の千手ヶ浜は、初夏に咲く色とりどりのクリンソウの群生地として有名です。

そんな奥日光の初秋を彩るのが、例年9月上旬〜中旬に見頃を迎えるシロヨメナです。ひとつひとつは小さな花ですが、群落になるとまるで白いじゅうたん。戦場ヶ原や小田代ヶ原の白樺林、西の湖や千手ヶ浜の水辺など、様々な奥日光の絶景の足元を清楚に彩ります。

戦場ヶ原の朝もやと貴婦人
出典:PIXTA(戦場ヶ原の朝もやと貴婦人)

今回のおすすめコースの一部は歩きやすい舗装路ですがマイカー規制となっており、電気で走る低公害バスが運行されています。早朝の気温が下がる初秋頃から多く発生する朝もやを見るなら、バスの運行開始時刻よりも前に歩き始めるのがおすすめ。バスを利用する場合もなるべく早い便へ乗車するとよいでしょう。特に小田代ヶ原の貴婦人と呼ばれるひときわ高く美しい白樺の木は、朝もやに包まれるとさらに幻想的な雰囲気となります。

復路は徒歩か低公害バスを利用しても良いですが、千手ヶ浜から竜頭の滝近くの菖蒲ヶ浜まで遊覧船に乗って中禅寺湖をクルージングするのもおすすめです。湖上から眺める日光のシンボル・男体山(2486m)などの絶景を楽しむことができます。

おすすめコース

奥日光MAP
地図の出典:YAMAP、加工:鷲尾 太輔

体力レベル:★☆☆☆☆

日帰り|約2時間55分

参考:らくルート

技術的難易度:★☆☆☆☆

・概ね整備されている
・道迷いの心配が少ない
・歩きやすい靴と動きやすい服装が必要

凡例:グレーディング表

コース概要

赤沼駐車場(5分)→赤沼分岐(25分)→展望台分岐(20分)→小田代原(10分)→弓張峠(50分)→西ノ湖入口(15分)→吊橋(10分)→西ノ湖(10分)→吊橋(10分)→千手ヶ原(20分)→千手ヶ浜バス停

③根子岳・四阿山|花の百名山から日本百名山をめざす(長野・群馬)

可憐なウメバチソウ
出典:PIXTA(可憐なウメバチソウ)

学問の神様・菅原道真を祀る天満宮・天神社は全国に12,000社以上あるとされていますが、これらの神社の紋章とされることが多いのが、道真が愛した梅の花をかたどった「梅鉢紋(うめばちもん)」。ウメバチソウはこれによく似た花を咲かせることから、その名が付けられました。

根子岳(2207m)はこのウメバチソウの群生地として『花の百名山』に選定されており、例年8月中旬〜9月にかけて、マツムシソウなどとともに稜線を彩ります。禰固(ねこ)岳神社が祀られた山頂からは、浅間山や遠く北アルプスの山並を望むことができます。

四阿山への道
出典:PIXTA(四阿山への道)

根子岳の山名は、先ほどの禰固岳神社が由来という説もあれば、東に連なる日本百名山・四阿山(2354m)と並んで猫の耳のように見えることが由来という説も。せっかくなので2座をつなげて歩くのがおすすめです。

四阿山の山頂には山家神社奥宮が祀られており、山麓の上田市真田町にある山家神社里宮へ参拝して登頂した旨を報告すると、山家神社・禰固岳神社2つの御朱印を頂くことができます。禰固岳神社の御朱印には猫が描かれており、御朱印好きの心をくすぐることでしょう。

おすすめコース

根子岳MAP
地図の出典:YAMAP、加工:鷲尾 太輔

体力レベル:★★★☆☆

日帰り|6時間10分

参考:らくルート

技術的難易度:★★☆☆☆

・急な登下降がある
・案内標識が不十分な箇所が含まれる
・登山装備が必要
・登山経験、地図読み能力があることが望ましい

凡例:グレーディング表

コース概要

菅平牧場管理場駐車場(35分)→展望台(105分)→根子岳(75分)→分岐(20分)→四阿山(15分)→分岐(30分)→中四阿(10分)→里宮分岐(80分)→菅平牧場管理場駐車場

④池の平湿原|多様な植物が生育する雲上の楽園(長野)

ヤナギランやマツムシソウ咲く池の平湿原
出典:PIXTA(ヤナギランやマツムシソウ咲く池の平湿原)

池の平湿原は、南端にある三方ヶ峰(さんぽうがみね・2040m)の数万年前の火山活動によって生まれた火口原にできた高層湿原です。山麓との標高差・昼夜の気温差・年間の寒暖差が大きな気象条件によって、標高の低い里山から3000m級の高山に生育する植物が生育しています。

初夏にはイワカガミやハクサンシャクナゲ、盛夏にはレンゲツツジやアヤメ、三方ヶ峰周辺にはコマクサ群落もあります。そして例年8月~9月にはヤナギラン・マツムシソウ・リンドウなど、晩夏〜初秋の花々でも色鮮やかな花々が咲き競います

三方ヶ峰からの池の平湿原
出典:PIXTA(三方ヶ峰からの池の平湿原)

最高地点である三方ヶ峰からの眺望も見事です。池の平湿原はもちろん、火山活動で削られた急峻な斜面の眼下には東御市の街並がミニチュアのよう。また北アルプス・八ヶ岳連峰はもちろん、空気が澄んでいれば富士山を眺望することもできます。

池の平湿原自体は短時間で散策可能なので、周囲にある東篭ノ登山(2228m)や水ノ塔山(2202m)などの山々と組み合わせて登るのもおすすめ。また東側にある車坂峠からは、浅間山の大展望台・黒斑山(2404m)をはじめとする外輪山へもアプローチ可能です。

おすすめコース

池の平MAP
地図の出典:YAMAP、加工:鷲尾 太輔

体力レベル:★☆☆☆☆

日帰り|約1時間25分

参考:らくルート

技術的難易度:★☆☆☆☆

・概ね整備されている
・道迷いの心配が少ない
・歩きやすい靴と動きやすい服装が必要

凡例:グレーディング表

コース概要

池の平駐車場(30分)→三方見晴歩道分岐(15分)→三方ヶ峰(10分)→忠治の隠岩広場(10分)→放開口(20分)→池の平駐車場

1 / 2ページ