実践!足首の柔軟性を高めるストレッチ

登山において重要な足首の動きは以下のふたつです。
- 背屈(つま先を上げる動き=写真ではピンク色)
登り・下りともにフラットフッティングを維持しつつ上半身を安定させたり、傾斜の急な岩場を登る際に踏ん張りを効かせる
- 底屈(つま先を下げる動き=写真では赤色)
つま先しか乗せられないような狭い足場で身体を持ち上げたり、次の一歩を踏み出すためにつま先を蹴り出す
背屈の柔軟性が低い原因としてはふくらはぎ・アキレス腱・足底が硬いこと、底屈の柔軟性が低い原因としてはすね(前脛骨筋)が硬いことが挙げられます。
それでは、それぞれの部位のストレッチを紹介します。
ふくらはぎ・アキレス腱のストレッチ

登山前の準備運動でもおなじみの方法です。片足ずつ足首を背屈させつつ、かかとが浮かないようにしながら後方へ押し出す(前方へ体重移動する)イメージでふくらはぎとアキレス腱をストレッチします。
足底のほぐし
撮影:鷲尾 太輔(足底のストレッチ)
足底には片足で28個(両足で合計56個)の骨があり、全身の骨(約206個)の約4分の1にあたります。足の甲に浮き上がった骨の間を押したり足指を一本ずつ動かして、骨同士をバラすようなイメージで足底をストレッチします。
すね(前脛骨筋)のストレッチ

つま先を立てて、足の甲とすねが平らになるようなイメージで膝を前に出していきます。これを両足で行います。
登山後のケアも重要

登山後や山小屋に到着してからのケアも重要です。まずは椅子などに腰かけてトレッキングポールを足首後部に押し付け、そのままひかがみ(膝裏のくぼんでいるところ)まで持ち上げてまた下げる動作を繰り返します。これによってふくらはぎをマッサージすることができます。

また自宅ならゴルフボールやテニスボール、山小屋なら水筒などを踏んで、体重をかけながら前後に足を動かしてグリグリさせてみましょう。これによって足底(特に土踏まず)をマッサージすることができます。
柔軟な足首で快適な登山を楽しもう!

例えばクルマにとって登山靴がタイヤなら、足首は路面の凸凹などによるショックを吸収するサスペンションの役割といえるでしょう。サスペンションの性能がクルマの乗り心地を大きく左右するように、柔軟な足首は快適な登山にとって重要な部位です。
またローカットの靴で行なうウォーキングやランニングでのケガ防止にも、足首の柔軟性は大切です。きちんと「曲がる」足首で、これらの歩くスポーツを安全・快適に楽しんでください。
登山の運動生理学とトレーニング学 山本正嘉 (著)
登山と身体の科学 運動生理学から見た合理的な登山術 山本 正嘉 (著)










