ペグが打てないテント場|石を活用しよう

撮影:筆者
ペグが打てない場面として最も多いのが森林限界より上にある岩場のテント場。こういった環境ではペグを打つことは困難ですが、豊富にある石を活用することができます。
ペグと石を使った固定

撮影:筆者
まずテントの四隅を固定するのに便利なのが、石とペグを使った方法。テントのループにペグを通し、ペグの両側を抑え込むような形で石を置きます。その後、ペグや石が動かずしっかり固定されているか確認しましょう。
ペグと石を使ったガイロープの固定

撮影:筆者
同様の方法で、ガイロープのアンカーとしても使えます。最初は中くらいの石を置き、最後に大きめの石を上に乗せると安定しやすいです。その後、テント側にある自在金具で調整し、石やペグが動くことなくしっかりとテンションがかかればOKです。
このとき、ガイロープが石に潰されていることが重要。これにより荷重が直接ペグにかかりにくくなり、安定性が増します。
石を使ったガイロープの固定

撮影:筆者
ペグを使用せず直接石に結び付ける方法も、岩場のテント場でよく使われる技です。エバンスノットの輪を大きめの石に結び付け、動かないように他の石で押さえつけます。その後、ガイロープを調節しテンションをかけます。
もし大きめの石がない場合は、スタッフバッグなどの袋に小石を詰めて土のう袋のようにし、ガイロープと結びつけて固定させる方法もあります。
地面がゆるいテント場|ペグが抜けない工夫を

撮影:筆者
河原のような地形やサラサラした砂利が多いテント場では、手でペグが押し込めるほど効きにくく、テンションをかけると抜けてしまうこともあります。また降雨後などは地面がゆるくなってペグがしっかり打ち込めないことも。
こういったシーンでは、大きな石があればそれを活用するのがいいですが、そうでない場合はペグが抜けないための工夫を施すことが大切です。
穴を掘ってペグダウン

撮影:筆者
表層がサラサラだったりやわらかい土質だったとしても、その下は硬くなっている場合が多くあります。木の枝や小石などを使って土を掘り、硬くなった土にペグダウン。その後、穴を埋めて足で踏み固めると、より強固に固定されます。
周囲にアンカーとして使える大きめの石がない場合は、この技を試してみると良いでしょう。
ペグに重しを被せて固定力アップ

撮影:筆者
周辺に石がある場合は、ペグを石で覆う方法も有効です。ペグの頭が隠れるくらいまでしっかり地面に打ち込み、その後、ペグを覆い被すように石をのせます。
このときもペグに荷重がかからないように、ガイロープを石で潰す(石の下にガイロープを通す)ことが大切です。
雪が残ったテント場|雪の下にアンカーを埋める

出典:PIXTA
アルプスなどの標高の高いテント場では、6月あたりまで雪が残っていることがあります。このような雪上では、ペグを打ち込んでもすぐに抜けてしまいます。
そのため、雪上でテントを設営する際は、雪の下にアンカーとなるモノを埋めて固定することが基本。雪用のスノーペグも販売されていますが、自作したものを使っている人も多いです。
割り箸や竹を十字にして雪に埋める

撮影:筆者
雪上のテント泊でよく使われているのが竹や割り箸を使った天然素材のペグです。その中でも筆者が比較的使うのは割り箸を使った方法。二膳の割り箸を重ねて中心をエバンスノットで絞り、十字に広げて、あとはガイロープをグルグルと何周か巻きつけるだけです。

撮影:筆者
ピッケル等で雪を堀り、十字のまま割り箸を埋め、雪を被せて踏み固めます。その後、テント側の自在を調節してしっかりテンションがかかればOK。残雪の湿った雪は強固になりやすいので、あまり深く埋めすぎなくても大丈夫です。
ペグでも代用できる!

撮影:筆者
割り箸と同様の方法で、ペグを使った応用もできます。ペグ二本を使って十字にした方が固定力が増しますが、ペグの本数があまりない場合などは、雪を深めに掘って一本で対応する方法もあります。
袋を雪に埋める

撮影:筆者
袋の中に雪を詰め、掘った雪に埋めてアンカーにする技もあります。100均のナイロン袋やトートバッグを使うのがおすすめですが、コンビニのレジ袋でも対応可能。ただし薄くて破れやすく、また雪と同化してわかりにくいので、残置しないように注意が必要です。
その他にも、自前のストックやピッケルにガイロープを結びつけ、雪に刺してアンカーにすることもできます。
これでペグが打てなくても心配なし!

撮影:筆者
テントを固定する道具といえば「ペグ」を連想しますが、実際の山のテント場ではペグを打たずにテントを張ることも多いものです。
とにかく大事なのはテントをしっかり固定すること。テント場の状況から“どの手段が有効か”を考え、シーンに応じた固定術を実践してみてください。
ペグは必ず持っていった方がいい?

撮影:筆者
ペグが打てないような岩場のテント場へ行く場合であっても、基本的にペグは持っていった方が良いでしょう。思わぬところでペグが活躍する場面もありますし、何らかの理由で予定が変わり、別のテント場を利用する可能性も考えられます。
予備のガイロープを備えておこう

撮影:筆者
また、念のため持っておきたいのがガイロープの予備。強風でテントの固定に不安があるときのバックアップにもなりますし、使用しているガイロープが切れた場合にも対処が可能です。
「残さない・元の形に」が基本!

撮影:筆者
雪上のテント泊では朝晩の冷え込みで雪がカチカチに凍り、アンカーの回収が難しいことがあります。
従来は「竹や割り箸は天然素材なので残置していい」という認識が一般的でしたが、テントユーザーが増加した近年では、竹や割り箸であっても回収するのが基本。当日の冷え込み具合などから、浅めのところにアンカーを埋めるなど、掘り起こしやすい工夫をしましょう。
またテント場で石を使った場合も、次の人が使いやすいように石は隅っこに置いておくなど、そのままにしない心がけも大事でしょう。
山と溪谷社 ヤマケイ新書 テント泊登山の基本テクニック 高橋 庄太郎 著
山と溪谷社 テント泊登山の基本(山登りABC) 高橋 庄太郎 著
アライテント クロスペグ
サイズ | 17.5cm |
---|---|
重量 | 12g |