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安全テント泊は“しっかり固定”が肝心!

撮影:筆者
天候の急変が多い山のテント泊を安全に過ごすには、テントの固定が必須です。テントが地面にしっかりと固定されていない場合、風で飛ばされたり破損する可能性があり、重大な事故につながる恐れもあります。

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そこで使われるのが「ペグ」。テントを固定するための最も基本的な道具です。地面に打ちつけることで支点(アンカー)となり、ガイロープやループに通すことで、テントを地面に固定することができます。
ペ・・・ペグが打てないっ!

撮影:筆者
しかしペグは、どんなシーンでも地面に打ち込めるとは限りません。
岩石地帯のテント場
アルプスなどの森林限界より上のテント場に多くみられます。地面が岩や石で覆われていて、ペグを打ち込んでも弾かれてしまいます。
硬い地面のテント場
気温が氷点下になるような季節は地面が凍結し、ペグが刺さりにくいことがあります。
柔らかい地面のテント場
砂利混じりの土や、ぬかるんだ地面など、土質によってはペグを打ち込んでもゆるく、十分に固定できない場合があります。
雪上のテント場
残雪期の標高の高い山では、テント場が雪に覆われている場合があります。
このように山のテント場は、標高や場所、季節によって地面の環境もさまざま。ペグが刺さらなかったり、刺さってもしっかり固定されないケースも多く存在します。
とはいえ、ペグが打てなくてもご安心を。テントを固定する術はペグだけではありません。環境に応じたさまざまな工夫を施すことで、しっかり固定できるんです!
事前にやっておくべき「情報収集」と「セッティング」

撮影:筆者
まずはじめに覚えておきたいのが、テント場の情報収集とテントのセッティングです。いざテント場に到着してから、ペグが打てずに右往左往していると、あっという間に山の天候は変化していってしまいます。
そのため、事前に情報を仕入れたり、スムーズに対応できるよう準備しておくことが大切です。
①テント場の情報を調べておこう

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「YAMAP」や「ヤマレコ」などの登山アプリで山行記録を検索すれば、泊まる予定のテント場のここ最近の様子を調べることができます。
例えば、残雪期であれば雪は残っているのか、土質はどんな感じかなど、イメージをつけておくことで、いざという時にも早い判断が可能となります。
②自在金具は”テント側”に取り付けると調整しやすい!

撮影:筆者 テント側に自在金具があると、ループが擦れやすいのがデメリット。小型のカラビナをループと自在金具との間につけることで、ループの損傷を防ぐ小技もあります
ペグが打てない環境でテントを固定する場合、ガイロープの自在金具をテント側に取り付けておくことで、調整が格段にしやすくなります。メリットは、テント側でテンションを調整できること。
基本的にテント購入時はペグ側に自在金具がついていますが、この場合、自在金具が石の下敷きになったり、地面や雪に埋まることもあるため、調整が困難になってしまいます。ペグ側にあることが間違いではありませんが、状況に応じた使い分けができると良いでしょう。
③末端は「エバンスノット」を作っておこう

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ペグが打てない場面で活躍するのが、「エバンスノット」と呼ばれるロープワーク。
結び目をスライドするだけで、末端をキュッと締め付けられるのが特徴。ガイロープとモノとを簡単に結びつけられます。緩めるのも容易なので、撤収時も結びを解くような煩わしい手間はありません。
②のように自在金具をテント側に取り付けた上で、末端にエバンスノットを結んでおきましょう。
「エバンスノット」の結び方をチェック!
ここからは「ペグが打てないテント場」 「地面がゆるいテント場」 「雪上のテント場」の3ケースに分けて、テントの固定術を紹介します。