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GENTOS閃

壊れない必要十分な明かり『ジェントス/閃 SG-325』|定番道具のモノ語り#13

質実剛健、丈夫さが必要な機能である山道具。だからこそ発売から10年以上も変わらない道具や、10年以上問題なく使い続けられる定番の山道具があります。そんな山道具の中から、ライター・ポンチョが愛用してきたモノを紹介。

今回は第13回、軽量・コンパクトで、明るいハンディライトの銘品『ジェントス/閃 SG-325』を携帯することになったきっかけのエピソードです。

目次

アイキャッチ画像撮影:ポンチョ

まさかのヘッドライトの故障。心もとない明りの中で下山した夜の富士山

GENTOS閃

撮影:ポンチョ

10年ほど前、須走ルートで閉山直前の富士山を登ったときのこと。
それは麓に生まれ育ったのに富士山に登ったことがないという、妻をガイドする登山でもありました。

朝9時頃に登山開始。想定より下山が遅れても2~3時間のナイトハイクで登山口に戻れるだろうと、普段は必ず2つ携帯するライトを、ひとつしか持って行きませんでした。

霧の山

撮影:ポンチョ

それまでに、ナイトランがマストなトレイルランニングのレースに何度も参加。その経験から、登山時にはヘッドライトのバッテリー切れに備えて、必ずサブのハンディライトを装備するようにしていたのに……この時は妻の分のライトもあるし、「まぁ、大丈夫だろう」と、メインのヘッドライトひとつだけしか装備しなかったのです。

「まぁ、大丈夫だろう」、そういうふうに根拠もなく油断したときに限って、ピンチはやってくるものです。

もう、それは、本当に、間違いなく、必ず!

ピンチを回避するのは想定と経験

ナイトハイク

撮影:ポンチョ

いつもなら必ず電池交換と点灯チェックを前夜に行なうのですが、その1週間前の登山時に点灯を確認していたため、この日はノーチェック。

結果、山頂でヘッドライトを点灯させると、光らない……。

「あれ?」

電池交換をしてもダメ……。

「まさか!?」

故障でした……。

仕方なく、妻のヘッドライトをメインの明かりにして下山することに。私が前を歩き、妻のヘッドライトで私の前方を照らしてもらい、時折、自分のスマホのライトを点灯させ、コースを確認しながら下山しました。

こんなことに遭遇したときのために、スマホのライトだけでの低山ナイトハイクを何度か経験していたので、慌てることはありません。

低山ハイク等で、起きそうなリスクに対する方法を試しておくことは、かなり大切です。例えば、あえて水や行動食を補給せず、どれだけ動けるのか?なんてことも試しています。

富士山登山道

撮影:ポンチョ

さて、夜の暗さが濃くなるのと比例するように、今度は霧が出てきて濃くなり、視界は2mもない状況に。とはいえ岩場等の危険な場所はなく、転倒しないようにだけ気をつければよい状況。

しかもこのルートには道迷いや滑落を防ぐため、登山道の谷側にはロープが張られています。ところどころでロープがなくなる場所もありますが、それでも慌てず、ロープを探しながら前進すれば問題なし。何度も通っているルートなので、視界が悪くても私はなんの不安もなかったのですが……。

ライトがひとつ、閉山直前で他のハイカーがいない山、さらにナイトハイクは初めて。そんな状況に、妻は不安を隠せません。

「大丈夫だよ」「あともう少し」「道は間違ってないよ」と励ましながら下山しましたが、かなり心配させ、怖い思いをさせてしまったことを深く反省しました。

サブライトがあれば

GENTOS閃

撮影:ポンチョ

現在ならスマホの登山アプリで現在地を確認してもらい、妻の不安を軽減することもできるでしょう。そしていつも通りサブライトを持っていれば、明かりがない心細さを払拭できました。

もしソロハイクでヘッドライトが故障して点灯せず、スマホのライトだけで濃霧の中の下山だったら?
モバイルバッテリーは持っているので、慌てずに下山すれば問題ありません。

もし、モバイルバッテリーの残量がなくなってしまったら?
エマージェンシーシートに包まって、山小屋の陰で風を避けて、明るくなるのを待てばいいのです。
少し心細いかもしれませんが、問題ありません。

ライトひとつなくたって、安全に行動できる。そういう想定をしていますが、同行者を案内する際には、ミスを可能な限りゼロにする注意深さが必要でした。

壊れないライトを探して選んだアルミ製ハンディライト

GENTOS閃

撮影:PONCHO(ジェントス/閃 SG-325)

ミスをゼロにする。ライトであれば、壊れないライトを装備すること。

そこでサブライトとして携帯するようになったのが、2011年に発売されたGENTOS(ジェントス)の「閃(セン)/SG-325」というハンディライトです。

バッテリーは単4アルカリ電池×3本。明るさ150ルーメン。実用点灯時間10時間。防滴仕様。

なにより本体がアルミ製なので、劣化の心配がありません。お尻部分の点灯・消灯ボタンはラバー製のため、その部分の劣化の可能性はありましたが、現在まで10年以上使えているということは、十分な耐久性があるといえるでしょう。

GENTOS閃

撮影:PONCHO

重さは102g、大きさはΦ29×104mmで手のひらに収まるサイズ。最近ではもっと軽くて、コンパクトな同様のライトもありますが、それらは明るさが強くなった反面、点灯時間が短いものも多いんです。その点で、明るさは最新モデルに劣りますが、耐久性、重量、点灯時間のバランスのよさは、発売から10年を経ってもかなり高いレベルです。

この「閃/SG-325」には落下防止のハンドループが付属していますが、手を通す輪の大きさを調節することはできません。そこでコードロックを追加して、ライト本体から手を離しても手首から落ちないようにしました。ちょっとしたことですが、自分なりに工夫して使い勝手を上げることも案外大切です。

ヘッドライトとハンディライトで使い分け

GENTOS閃

撮影:PONCHO

ところで通常、私が使用しているメインのライトはヘッドライトです。両手をフリーにでき、トレッキングポールを両手に持つこともできます。また顔を向けた方向を照らしてくれるので、テント場等で荷物の出し入れや調理をするのにも便利。登山の基本ライトは、間違いなくヘッドライトです。

一方で、サブライトに選んだジェントス「閃」は、ハンディライトです。

ライト

撮影:ポンチョ

軽さやコンパクトさを重視すれば、例えば定番のペツル「イーライト」のような極小ヘッドライトも使えます。実際に装備をできるだけ軽くしたハイクの時には、イーライトをサブライトに装備することもあります。

上の画像の右上がメインのヘッドライトのマイルストーン「MS-E1」、右下がスマホライト、左上がジェントス「閃」、左下がペツル「イーライト」です。

私の場合、メインとサブのどちらもヘッドライトという選択はしていません。メインがヘッドライト、サブがハンディライト、または登る山によってはその逆でメインをハンディ(ジェントス「閃」)、サブをヘッドライト(ペツル「イーライト」)という組合わせにしています。その組み合わせだと、行動時に同時点灯も容易です。また短時間なら、すぐに取り出せるジェントス「閃」、ある程度長い時間明かりが必要な場合はヘッドライトを点灯という使い方をしています。

GENTOS閃

撮影:PONCHO

そうした使い分けが明確にできるのも、ハンディライトのジェントス「閃」のよさです。

サコッシュやバックパックのポケットに収納できるサイズなのに、ナイトハイクを問題なくこなせる明るさを装備。150ルーメンというスペックは現在でこそ、それほど明るいとは言えないライトですが、ライト本体のヘッド部分を回して照射範囲を調節できる機能を使いスポット光にすれば、メーカー公表値で138m、長時間使用していて光量が落ちても50mくらい先まで確実に照らしてくれるので、メインライトとしても使えます。

そのため、灯りのある登山口まであと少しだけれど暗くなってきたという時に、サッと取り出して登山道を照らすのによく使っています。バックパックの雨蓋内に収納したヘッドライトをゴソゴソと探すより、圧倒的にストレスがありません。メインに使うヘッドライトは、サコッシュなどの中に収納するには結構大きいので、ジェントス「閃」のコンパクトさは、かなり有効です。

多くのヘッドライトは4年程で劣化……しかし

GENTOS閃

撮影:PONCHO

これまで、ジェントス「閃」を10年ちょっと使っていますが、前述の通りにまったく劣化していません。落としたり、ぶつけたりして傷が多少つきましたが、機能的な問題はありません。

ちなみにメインで使っているヘッドライトは、この10年で3つめです。いずれもトレイルランニング用の軽量で明るく、フィット性の高い、本体が樹脂製のライトです。軽くつくられているため樹脂が薄いからか、本体が破損したり、バンド部分が伸びて劣化したりしてしまいました。

GENTOS閃

撮影:PONCHO

先の富士登山の経験でもそうですが、アウトドア、そして登山の道具で一番困るのは、肝心な時、使いたい時に、壊れて使えないということです。

一昔前、アウトドア道具といえば「ヘビーデューティー=質実剛健」なものでした。しかし現在では軽さを優先することで、劣化しやすいものが増えているのも事実です。

だから劣化の気配を感じたら、早めに買い替えることが安全を担保するためにも必要に思えます。

GENTOS閃

撮影:PONCHO

ちなみに、ジェントス「閃」をサブライト、時にメインライトとして山行では常に2つのライトを忘れずに携帯するようになって10年余り。山でライトの故障に遭遇したことは一度もありません。

慎重さは、ミスを遠ざけてくれるようです。

それでは皆さん、よい山旅を!

ジェントス「閃」シリーズ

今回紹介した「SG-325」は販売を終了しています。現行品で同様のハンディライトは、以下の3モデルです。


大きさ、重さに大きな差はありませんが、「SG-325」の明るさが150ルーメン、電池寿命が約10時間だったのが、いずれも350ルーメンとかなり明るくなった分、電池寿命が約6時間と短くなっています。

よって、デイハイクではメインライトとして使えますが、数日を要する縦走登山ではサブライトとして使う性格が強くなっています。また「SG-55B」は、自転車のハンドルやタープ等のポールに取り付けるマウントを標準装備しているので、登山以外に自転車やキャンプを趣味とする人には役立つハンディライトです。

ジェントス 閃シリーズ SG-555B

本体サイズ(約)φ29.8×107.5mm
本体質量(約)107g(電池含む)
明るさ(約)350ルーメン(最大時)
使用電池単4形アルカリ電池×3本
点灯時間(約)6時間(点灯時)/ 29時間(点滅時)
照射特性フォーカスコントロール
照射距離(約)141m(最大時)
その他耐塵・防滴仕様(IP64準拠)、2m落下耐久

ジェントス 閃シリーズ FLP-2306

本体サイズ(約)φ29.8×107.5mm
本体質量(約)110g(電池含む)
明るさ(約)350ルーメン(最大時)
使用電池単4形アルカリ電池×3本
点灯時間(約)6時間
照射特性フォーカスコントロール
照射距離(約)132m(最大時)
その他耐塵・防滴仕様(IP64準拠)、2m落下耐久

ジェントス 閃シリーズ SG-505

本体サイズ(約)φ29.8×107.5mm
本体質量(約)110g(電池含む)
明るさ(約)350ルーメン(最大時)
使用電池単4形アルカリ電池×3本
点灯時間(約)6時間
照射特性フォーカスコントロー
照射距離(約)132m(最大時)
その他耐塵・防滴仕様(IP64準拠)、落下耐久:2m落下耐久