まるでニョロニョロ!一度見たら忘れない、ちょっと不思議なギンリョウソウ

森の中で見かける、ちょっと不思議な「ギンリョウソウ」。まるでムーミンのキャラクター「ニョロニョロ」のようです。別名「ユウレイタケ」とも呼ばれ、一度見たら忘れられない個性的な姿ですが、ユニークなのは見た目だけではありません。

今回はギンリョウソウのちょっと変わった特徴や意外な生態、自生地を紹介します。

目次

アイキャッチ画像出典:PIXTA

奇妙な植物「ギンリョウソウ」の特徴は?

まるでニョトニョロな姿

出典:PIXTA
ギンリョウソウ(銀竜草、学名:Monotropastrum humile)は、ツツジ科ギンリョウソウ属の多年草。日本全土をはじめ、世界各地に分布し、ちょっと湿ったような山地の森の中でよく見かけます。花期は4月~8月、地下で生育し花を咲かせるときだけ地上に現れます。

キノコなの?実は光合成をしない腐生植物

光合成しないギンリョウソウ

出典:PIXTA

ギンリョウソウは光合成をしないので葉緑素が無く、透明感がある真っ白な姿です。この姿で、よく勘違いされますがキノコ(菌類)ではありません。もっとも、昔は学者の間でも「植物なのか、菌類なのか」と論争があったそうなので無理もありません。

花と果実

出典:PIXTA

ギンリョウソウは、腐葉土の養分を分解する菌と共生して成長する腐生植物で、花が咲き果実とタネも作ります。広葉樹や針葉樹の葉や、枝などが地面に落ち、バクテリアやミミズによって分解されたのが腐葉土なので、ギンリョウソウを探すときは落葉が多い森の中を探しましょう。

イチヤクソウ

出典:PIXTA

現在の科目はツツジ科。“現在は”としたのは、昔は花の付き方が似ていることから「イチヤクソウ科」、その後「ツツジ科」となりました。今でも時々ギンリョウソウの紹介で「イチヤクソウ科」となっているのそのせいです。

いまだに解明されてない事が多い植物なので、何かの発見でまた科目が変わる可能性もあるそうです。

ギョリンソウ?ギンリョウソウ?

タツノオトシゴとの比較

出典:PIXTA

ギンリョウソウ(銀竜草)の名前の由来は白く光りまっすぐに伸び、首をかしげたような姿が銀の竜のように見えるから。確かに形はタツノオトシゴ(竜の落とし子)とよく似ています。名前が混乱して「ギョリンソウ」と呼ぶ人も一定数いるようですが、漢字名を知れば混乱しません。

うっそうとした薄暗い林の中に白く立つ姿がちょっと不気味さを感じる事から別名は「ユウレイタケ」とも呼ばれます。

うつむくギンリョウソウ

出典:PIXTA

花言葉は「はにかみ、そっと見守る」。たしかに、森の中にうつむく姿はたしかに、はにかんでいるようにも見えます。

なんとパートナーは“G”

出典:PIXTA

多くの人の嫌われ者「G=ゴキブリ」。そのゴキブリはギンリョウソウにとって、子孫を増やす大切なパートナーなのです。

植物は生育範囲を広げるため、タネを遠くに運ぼうとします。例えばタンポポは綿毛のタネを風で飛ばす、樹木はタネを含む果実をエサに、鳥に運んでもらうこともあります。ギンリョウソウはモリチャバネゴキブリ。果実を食べてもらい、タネを含む糞を遠くに落としてもらう仕組みです。

ギンリョウソウの果実

出典:PIXTA(果実ができたギンリョウソウ)

モリチャバネゴキブリは、遠くへ飛ぶことができること、そして、繁殖力が高いことなどにより、たくさん遠くへ運んでくれるので、「相利共生(※)」のよきパートナーとなっているのではと考えられています。ゴキブリはこんなところで役に立っているんですね。

※相利共生・・・異なる種の共生者が生活上、互いに利益を得る関係

見分け困難!ギンリョウソウモドキ、新種も発見された!?

ギンリョウソウモドキ

出典:PIXTA

ギンリョウソウとそっくりな、ギンリョウソウモドキという近種があります。違いは以下の4点ですが、重複する部分もあり、にわかには見分けがつきません。

1.ギンリョウソウの花期は4-8月、ギンリョウソウモドキは8-10月、アキノギンリョソウとも呼ばれる

2.ギンリョウソウモドキのほうがより透明感が高い
3.ギンリョウソウは高さ8~12㎝に対しギンリョウソウモドキは10~30㎝
4.ギンリョウソウの果実は水分が多い液果、ギンリョウソウモドキは乾燥した蒴果(さくか)

個体差はありますが、春であればギンリョウソウ、秋であればギンリョウソウモドキと判断して間違いないでしょう。

赤いギンリョウソウ

出典:PIXTA

そのほか、薄赤色のベニバナギンリョウソウもありますが、なんと2022年11月ギンリョウソウに新種が発見されました。その名は「キリシマギンリョウソウ」。

長くベニバナギンリョウソウと思われていたものが、別種であることが判明し、最初に発見された霧島連山(鹿児島県・宮崎県)から命名。相違点は、ベニバナギンリョウソウは花の内部がほんのり赤く透けて見える程度ですが、キリシマギンリョウソウは花の全体が赤いこと。

霧島山のほか、岐阜県、静岡県、和歌山県、大阪府でも見ることができるそうです。

ギンリョウソウはこんなところに自生

森の中のギンリョウソウ

出典:PIXTA

ギンリョウソウは腐葉土を養分とする菌と共生しているので、落葉が多い山や森に自生しています。意外と身近な場所に自生しているので割と簡単にみつかるかも。筆者も山歩きで割とよく発見します。

ここからは、全国各地の自生地の中から比較的手軽に行けるスポットを、いくつかピックアップして紹介します。

手稲山(北海道)

手稲山

出典:PIXTA(手稲山に広がる森と札幌市遠望)
手稲山(標高1023.1m)は、札幌市内からよく見え、山頂にたくさんアンテナが立っている山として有名です。落葉樹の森が広がり、季節になると足元にひっそりとギンリョウソウが顔を出しています。

筑波山(茨城県)

筑波山の自然研究路

出典:PIXTA(筑波山の自然研究路)

ケーブルカーやロープウェイが整備され、観光地としても人気の筑波山ですが、自然豊かなことから登山者にも人気。ギンリョウソウは、男体山西側の自然研究路など、うっそうとした森でよく見ることができます。

国営武蔵丘陵森林公園(埼玉県)

国営武蔵丘陵森林公園

出典:PIXTA(国営武蔵丘陵森林公園の森)
埼玉県の比企北丘陵にある国営武蔵丘陵森林公園は、雑木林が広がる自然豊かな公園です。広大な公園の中、湿った沼辺にギンリョウソウを見ることができます。特に、「泥沼」や「あざみくぼ沼」では100輪ほど群生しています。
国営武蔵丘陵森林公園公式サイト

高尾山(東京都)

高尾山4号路

出典:PIXTA(高尾山4号路)

1600を超える種類の植物が自生する高尾山。その中でも、暗く湿った、落ち葉が積もる落葉広葉樹林の中でギンリョウソウを見ることができます。特に、3、4号路や奥高尾エリアで多く見ることができます。

和泉葛城山(大阪府)

和泉葛城山のブナ林

出典:PIXTA(和泉葛城山のブナ林)

豊かなブナ林が広がる和泉葛城山は、落葉広葉樹が多いことからギンリョウソウも多く自生しています。特に希少なベニバナギンリョウソウを見る事ができ人気です。

きしわだSIDE|和泉葛城山

四王寺山(福岡県)

四王寺山の石垣と森

出典:PIXTA(四王寺山の石垣と森)

福岡都市圏、大宰府政庁跡の後方にそびえる四王寺山は自然林が多い低山です。落葉による腐葉土もたくさん蓄えられているためギンリョウソウも多く、一帯は歴史と自然の公園になっており、土塁や石垣などの遺跡とともにギンリョウソウ鑑賞ができます。

福岡県立四王寺県民の森

霧島連山・大浪池(鹿児島県)

大浪池

出典:PIXTA(大浪池)

霧島連山一帯では、珍しいベニバナギンリョウソウを多く見ることができます。特に火口湖の大浪池では新種の「キリシマギンリョウソウ」が発見された場所として有名。大浪池は周回できるのでキリシマギンリョウソウを探しながら歩いてみましょう。

不思議なギンリョウソウを探そう

ギンリョウソウ

出典:PIXTA

ここで紹介したギンリョウソウの自生地はほんの一部。ギンリョウソウが見られるところは、全国各地にたくさんあります。住んでいるエリアをもとにWEBで検索してみると、割と簡単に見つかるかもしれませんよ。あなたも、とっても不思議なギンリョウソウを探してみませんか?