ソロとは違った魅力のある「2人テント泊」
大自然を身近に感じられるテント泊。1人でゆったり過ごすのもいいですが、カップルや気の知れた友人と2人で過ごす山の時間は、何ものにも代え難い魅力があります。
気になるのは、2人で使うと“狭い”こと
そこで気になるのがテントのサイズ感。山岳用テントは必要最低限の大きさのため、2人用テントで大人2人が寝転がると、ザックや装備なども相まって室内がギュウギュウ状態なんてことも。
たとえ“2人用”であっても、入口がひとつしかなかったり天井に頭が当たったり……2人で使うには何かとストレスが多いんですよね。
このテント、2人で使うのに最適です
そこでおすすめしたいのが、ニーモ(NEMO)から2022年春にリリースされた「ダガーオズモ」。そのストレスを感じさせないくらい、「2人で使うのに快適なテント」なのです。
今回、2人用の「ダガーオズモ2P」を使用したので、そのレビューを紹介します。
バリエーション | 2人用、3人用の2パターン |
参考価格 | [2人用]¥58,300(税込),[3人用]¥66,000(税込) |
最小重量 | [2人用]約1,530g,[3人用]約1,750g |
タイプ | 自立式ダブルウォールテント |
対応シーズン | 春・夏・秋の3シーズン |
まさに2人で快適に使えるテント
使ってわかった最大のメリットは、2人で使用する場合でも驚くほど住み心地がよいこと。山に必要な軽さや耐久性を保持しながらも、限りなく居住性を高めた、長くゆっくり過ごせるテントだと感じました。
具体的に「いいな」と思ったポイントがこちら
詳しくみていきましょう。
前後に広い前室を配置
テントを設営してまず目に入ったのが、入口が2箇所あること。テント長辺面の前後に前室付きの入口が設けられています。
近年はこうした両入口の山岳用テントも増えてきましたが、ダガーオズモの注目すべき点はその広さと使い勝手の良さです。
富士山型の前室がとにかく広い!
その面積はおおよそ1.1㎡で、このスペースだけで大人が寝転がれそうなほど。大型ザックが楽々と置けてしまうほどの大空間が広がっています。
さらに、付属のシートを前室に取り付けることで、テント内に入れたくないギアを雨や泥から保護できる「ランディングゾーン™」を設けることも可能。
雨の登山後のザックやレインウェアなどを置いておくのに役立ちそうです。
フライシートの開閉は便利なダブルジッパー。上部のジッパーを開放して支柱ベントを立たせることで、ベンチレーションに早変わりします。
悪天候時などを中心に、2人でも効率よく作業を進めることができそうです。

ユニークなフレーム構造で室内空間も広い
続いて注目したのがフレーム構造。一般的な山岳用テントは横からみると三角形に近い形をしていますが、ダガーオズモは五角形のような形状になっているのが特徴です。
このユニークな構造の秘密が、テント上部のサブポールによるもの。長辺側の上部にテンションをかけることで、立体的な広い空間がつくり出されます。
これにより、高さは106cmと標準的ながらも、数値からは想像できないほどのゆとりある天井空間が広がります。
それに比べて、ダガーオズモはテント内のどの場所にいてもストレスのない体勢で過ごせます。これは感動ですね。

そしてスゴいと思ったのが、長辺側の床の長さ。
大人2人が横になっても、大型ザックを寝かせておけるほどのスペースが確保されており、室内がゴチャゴチャすることなく整理整頓がとてもしやすいと感じました。
超優秀な通気性で、涼しく結露知らず
既にお気づきの人もいるかと思いますが、インナーテントの上部はメッシュになっています。さらにフライシートの横側は高い位置に設計され、空気が流れやすい構造になっています。
これにより優れた通気性を生み出し、結露の発生を軽減します。
逆を言えば、気温の低い時期や風の強い状況では寒くなりやすいので注意。テントの防寒効果はあまり高くないでしょう。

また、インナーテントは大きく3層に分かれていて、後述する下層の「オズモ™️ファブリック」を使用した防水素材、中層の外から見えにくい薄いナイロン生地、上層の風通しのよいメッシュ素材で構成されています。
インナーテントだけでもある程度のプライベートが保たれる設計で、このままでも使用可能。天気の良い日に、星を眺めながらゆっくりとした夜を過ごすのもよさそうです。
コンパクト&軽量で無駄なし
ここまでみると、「快適な代わりに、けっこう重いんでしょ?」と思う方もいるでしょう。
ダガーオズモ 2Pのインナーテント+フライ+ポールを合わせた重量は1,530g。これだけの機能を搭載した自立式ダブルウォールテントとしては充分な軽さだと感じます。
また、ニーモ独自の収納袋「ディビーキューブスタッフサック」でコンパクトな持ち運びができます。ポールとテントを分けることができ、2人で装備を分担することも可能。
他にも“あると嬉しい”機能が盛りだくさん
最新技術の独自素材「オズモ™️ファブリック」を採用
名前にも使われている「オズモ」とは、ニーモが独自開発した最新素材『オズモ™️ファブリック』のこと。
この生地は従来の素材と比べて、
・撥水性が約4倍長持ちするので、ドライをキープしやすい
・濡れた状態での伸縮性を3分の1に抑え、風雨による弛みを軽減
という大きな2つの特徴があります。
また、100%リサイクルのブルーサイン及びGRS認証の繊維を採用。製造時にも有害な化学物質を使用することなく、優れた撥水性と難燃性基準を実現しています。
入口は豊富なパターンでクリップ可能
入口の前方2箇所を固定する設計により、入口のクリップ方法にいくつかのパターンがあるのも特徴。
例えば、夏の暑い時期は通気性を高めるために全開にしたり、風が強い場合は風の強い方向を閉めたりなど、使用環境に合わせた最適な使い方が選べます。
また、クリップには片手で開閉ができるほど簡単な、ニーモ独自の機能「ゲートキーパー™」が採用されています。
これだけで開閉の手間が大きく軽減しました。

室内にも使いやすい仕掛けが
室内にも生活空間を充実される仕掛けが施されていました。
簡単&シンプルで、一人でも素早く設営
ダガーオズモ2Pの基本セットは以下の通り。
ざっくりと設営手順をみてみましょう。
設営手順
ポールの取り付けは初心者にも扱いやすい「吊り下げ式」。一見複雑そうな構造にも見えますが至ってシンプルで、慣れれば10分もかからず設営ができそうです。
ポールには<DAC社>「フェザーライト NSL」を採用。ポールの接続部分の太さとポール自体の太さがほとんど均一で、軽量で非常に優れた強度を持っています。
ポールはインナーテントの四隅に備わっているグロメットに差し込みます。力をあまり必要とせず、女性が一人であっても無理なく設営できそうです。
フライシートはインナーテントのグロメットにフックすればOK。着脱も簡単でした。
同系統のニーモテントとの違いは?
ダガーオズモ2Pと同様に、両側にドアがあり機能が似ていると感じた「ドラゴンフライ バイクパック 2P」と「ホーネットエリートオズモ2P」の2種とスペックを比べてみました。
ダガーオズモ 2P | ドラゴンフライ バイクパック 2P | ホーネットエリートオズモ 2P | |
価格 | ¥58,300(税込) | ¥66,000(税込) | ¥67,100(税込) |
定員 | 2人 | 2人 | 2人 |
ドアの数 | 2 | 2 | 2 |
最小重量 | 1,530g | 1,300g | 779g |
フロア面積 | 2.9㎡ | 2.7㎡ | 2.5㎡ |
前室面積 | 1.1㎡×2 | 0.9㎡×2 | 0.6㎡×2 |
ここから読み取れるのが、ダガーオズモ2Pのフロアと前室の広さ。重量こそ他の2種に劣りますが、「居住性の高さ」という観点では同カテゴリーで最強クラスと言っても過言ではなさそうです。
ダガーオズモで、ソロもデュオもお任せあれ!
自然に溶けこんだデザインと、唯一無二の住み心地を与えてくれるダガーオズモ。インナーテントがメッシュなので使用シーンはある程度限定されますが、快適性が重視された楽しめるテントだと感じました。
また2人用と3人用は重量差が220gほどしかないので、「キャンプがメイン」「もっと広々使いたい」という人はダガーオズモ 3Pを選んでみるのもアリです。
ダガーオズモでのんびり快適に、山のとっておきな時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
NEMO ダガーオズモ 2P
最小重量 | 1.53kg ※最小重量:インナーテント+フライ+ポールの重量 |
---|---|
本体素材 | ナイロン/リップストップ/ No-See-Umメッシュ |
フライ/前室部素材 | OSMO™ リップストップ (ナイロン、ポリエステル) |
フロア素材 | OSMO™ リップストップ (ナイロン、ポリエステル) |
フロア面積 | 2.9㎡ |
前室面積 | 1.1㎡×2 |
NEMO ダガーオズモ 3P
最小重量 | 1.75kg ※最小重量:インナーテント+フライ+ポールの重量 |
---|---|
本体素材 | ナイロン/リップストップ/ No-See-Umメッシュ |
フライ/前室部素材 | OSMO™ リップストップ (ナイロン、ポリエステル) |
フロア素材 | OSMO™ リップストップ (ナイロン、ポリエステル) |
フロア面積 | 4.1㎡ |
前室面積 | 1.1㎡×2 |