伝説やいわれ、文献の「聖地巡礼」を登山で楽しむ
「あの山に行きたい!」と目的地を決めるとき、「景色がいいから」「山頂やふもとのグルメが魅力的」などの理由が多いのではないでしょうか。
しかし、日本の山には「レジャーの目的地」としてだけでなく、信仰の対象であったり、伝説やいわれのある場所がたくさん存在します。
今回は、アニメや漫画ファンがその舞台になった場所を訪れる「聖地巡礼」のように、古典の文献をもとに伝説の世界を旅するような登山をしてみます。
伝説となったヒントを見つける「探る登山」をやってみた
今回、登山の目的地として選んだ場所は茨城県笠間市の愛宕山と難台山。ここは、『天狗にさらわれた少年』(角川ソフィア文庫)とその原典である『仙境異聞(せんきょういぶん)』(岩波文庫)の舞台となった場所です。
著者の平田篤胤(ひらたあつたね)は江戸時代の国学者であり医者。江戸時代に、「天狗にさらわれて修行をした少年」に会い、その少年の記述を残しています。
少年の名は寅吉。歳は13歳で、9歳ぐらいから「師」である杉山僧正(天狗?)のもとで修行をした様子を詳しく篤胤に語っています。
その内容は壺に入って空を飛び、江戸から岩間山(茨城県笠間市の愛宕山、愛宕神社)に行くなど、現代の私たちからすると子どもの妄想では?と思うことばかり。
しかし、実際の地名が挙げられているというのが不思議です。そこで、その舞台に行って、本当に天狗はいたのか?を確かめる「探る登山」をしてみることにしました。