「タテヤマリンドウ」はどんな花?
タテヤマリンドウは、リンドウ科リンドウ属の越年草。タテヤマと名が付いていますが、立山にしか見られないわけではなく、北海道から本州に広く分布しています。
立山に多く咲いていたことから、この名前が付けられたようです。
リンドウの花は晴れの日のみ!
リンドウ全般の特徴ですが、太陽が出ている時間しか花が開きません。
なので、タテヤマリンドウも咲く花を見られるのは晴れた日の日中のみ。
天気の変わりやすい高山では、咲く姿を見られるのは貴重な瞬間かもしれません。
タテヤマリンドウの花の特徴は?
貴重な姿なら見逃したくない!
では、咲いている花はどのような特徴があるのでしょうか。
タテヤマリンドウの花は上から見ると独立した花びらに見えますが、実は切れ込みが入った筒状で、根元はつながっています。
茎の先に上向きに全開するので咲いている様子は上から見やすく、そして花の内側には目立つ模様が。
特徴的なソバカス模様
タテヤマリンドウの花の特徴は、なんといってもこの筋のような斑点模様。
リンドウは花びらに斑点模様が入る種類が多くありますが、タテヤマリンドウの花はこの模様が特に濃く目立ちます。
この斑点が、ソバカス美人と紹介される所以です。
ソバカス美人はとても小柄
タテヤマリンドウの花の直径は2センチ程。茎の高さも10センチ程度と、全体的にかなり小ぶりな植物。
蕾は筆状に細く、咲いていないと見つけるのはさらに難しくなるでしょう。
タテヤマリンドウの花の色
タテヤマリンドウの花びらは薄い青紫色。内側に向かってグラデーションで白くなり、特徴の斑点模様は濃い紫色に浮かびます。
青空に映える鮮やかな色合いですね。
色白のソバカス美人も
タテヤマリンドウには白い個体もあり、「シロバナタテヤマリンドウ」と呼ばれタテヤマリンドウと分けられることも。
シロバナタテヤマリンドウにも斑点模様が見られます。可憐で清楚な雰囲気ですね。
タテヤマリンドウを見るには
タテヤマリンドウの花の特徴は分かりました。
では、タテヤマリンドウの花はどのような環境で咲いているのでしょうか。
花が咲く時期
平地では秋の花のイメージがあるリンドウですが、タテヤマリンドウの花の季節は6月~9月。
高山植物の多くの花が咲く時期に、彩りを添えています。
タテヤマリンドウの分布
名前にタテヤマと付いていますが、立山の固有種ではありません。
本州の中部以北から北海道の、高山や亜高山帯の湿地に広く自生しています。
タテヤマリンドウのそっくりさん
リンドウの種類は多く、それぞれ個性的な花を咲かせます。
中でもタテヤマリンドウに近い品種を見てみましょう。
ハルリンドウ
ハルリンドウは高山種ではなく、日本全国の低山帯に分布する小型のリンドウで、名前の通り花期は春。タテヤマリンドウは、このハルリンドウの高山型の変種です。
花の大きさが2~3センチ、茎の高さが10~15センチと、タテヤマリンドウと比べるとやや大きめ。
色はハルリンドウのほうがやや濃いですが、斑点模様は同じように入っています。
かなり似ている両者は、大きさや生えている標高で区別されているようです。
ミヤマリンドウ
ミヤマリンドウは、タテヤマリンドウと同じ高山種。同じ場所に分布します。
大きさも同じくらいで、こちらもかなり似ていますが、違いが分かれば見分けられます!
見分け方①花びらの模様
見分け方②花びらの形
葉の付き方にも違いがあり、タテヤマリンドウは茎を包むように葉が生えているのに対し、ミヤマリンドウの葉は茎から横に広がります。
タテヤマリンドウが見られる場所は?
タテヤマリンドウは高山の湿原や湿り気のある土地に自生しています。
主な観賞地は高山植物が多く咲く場所なので、植物を目的に歩いてみても楽しめそうです。
立山
尾瀬
八幡平
晴れた日はタテヤマリンドウを探してみよう!
登山中に花を見つけたとき、名前が分かるとなんだか嬉しく急に親近感が湧いてきませんか。
タテヤマリンドウはとても小さいですが、特徴的なので咲く花を見つけられたら自信を持って断定可能。晴れの日しか見られないのも特別感が!
晴れた日は、高山のソバカス美人・タテヤマリンドウを探してみてはいかがでしょうか。