歩きやすい登山道ながら、ご褒美パノラマが待っている
南アルプス北部の日本百名山・甲斐駒ヶ岳から北東に派生する尾根上のピークのひとつが日向山。山容そのものはおだやかで目立ちませんが、山頂西側に広がる雁ヶ原(がんがはら ・ かりがはら)と呼ばれるザレ場が最大の特徴です。
甲斐駒ヶ岳や鳳凰三山でも見られる花崗岩の奇岩がニョキニョキと林立し、その花崗岩が風化した真っ白な砂が敷き詰められた景観は「天空のビーチ」とも称され登山者に人気。さらにそこに至る登山道は樹林帯の尾根をたどる一本道で迷いやすいポイントや危険箇所も少なく、初心者でも比較的歩きやすいルートです。
メインの登山口は尾白川渓谷駐車場。中央自動車道・長坂ICから国道20号線へ出て、道の駅はくしゅうから西へ進んだ場所にあります(所要約20分)。公共交通機関利用の場合は、JR中央線・小淵沢駅からタクシーを利用しましょう(所要約30分)。
【尾白渓谷駐車場】
・駐車可能台数:約100台
・料金:無料
・トイレ:あり(冬季閉鎖)
白砂が広がる頂上を目指して登ります
本日しょーまさんと一緒に日向山を目指す仲間は、ACTIBASEのメンバー・らんかさんとたくろーさん。3人とも「ROGER EGGER」の色違いのお揃いTシャツと帽子でコーディネートしてもらいました。
尾白川渓谷の登山口からスタート
トイレ・売店のある尾白川渓谷駐車場からキャンプ場を横目に林道を進むこと約5分、竹宇駒ヶ岳神社の手前に日向山登山口があります。いざ、クライムオン!
登山口から矢立石駐車場までが、今回のコースで一番キツイ区間。樹林帯の中の急斜面をジグザグに登っていきます。いきなりペースを上げすぎず、ウォーミングアップのつもりで進みましょう。いったん舗装された林道に合流し再び登山道に入ると、ほどなく矢立石登山口に到着します。
実は林道経由でここまでクルマで行くこともでき、実際に駐車しているマイカーも多数。しかし駐車スペースが路肩しかなく、転回が困難になることもあるため地元・北杜市では駐車自粛を呼びかけています。時間や体力の関係でどうしてもこの登山口を利用したい場合は、タクシーを利用しましょう(ただし冬季は林道も閉鎖)。
矢立石駐車場からなだらかな尾根へ
矢立石登山口からジグザグに登ると、日向山から東に伸びる比較的なだらかな尾根に出ます。矢立石から山頂までを10の区間に分けた標識もあり、自分がどこまで進んでいるかを把握するのにも好適。
周囲の森はカエデやツツジ類も多く、まぶしい新緑に包まれながら順調に高度を稼ぐ3人。秋の紅葉シーズンにはこれらの木々が赤く色づき、また違った装いを見せてくれます。
初対面同士でも弾む会話
歩きながらも3人の間では先日行った登山の様子や、たくろーさんが持参したカメラ(ACTIBASEのメンバーは写真好きが多く、一眼レフを持参して登山するメンバーも多いそう)についてなど、会話が絶えることがありません。

高度が上がるにつれて、周囲の植生は笹原とカラマツの原生林に変わります。このカラマツも秋には黄金色に染まり、山頂の白い砂とのコントラストが見事です。
小さなピークを巻きながらいったん下り、日向山雨量観測所がある鞍部からなだらかに登り返すと、登山道から少し外れた森の中に日向山三角点が。
登山をモチベーションに仕事している!?
ここまでの道のり、3人のペースはまったく乱れることはありません。若者世代ということは働き盛りでもあり、平日はそれぞれの職場で忙しく過ごしているACTIBASEのメンバー。週末も早起き(時には前夜発)しての登山はキツくないのでしょうか。


晴天の頂上は右に八ヶ岳、左に甲斐駒ヶ岳!
三角点から5分も歩けば、天空のビーチ・雁ヶ原のある山頂に到着!ここまでずっと樹林帯の登山道が続いてきた分、一気に視界が開けて砂浜のような光景が広がる様子はより印象深く、特に初めて訪れた人の心には深く刻まれるでしょう。
北東方向には最高峰・赤岳を筆頭に大きく裾野を広げる八ヶ岳連峰を一望、北横岳・蓼科山や霧ヶ峰までを見渡すことができます。
南西方向に目を向けると、堂々とそびえる甲斐駒ヶ岳の勇姿が。単に「甲斐駒ヶ岳が見える」だけでなく、残雪の岩肌・新緑の山肌・白い砂と遠景から近景までのコントラストを楽しむことができるのは、しょーまさんもおすすめする日向山だからこその絶景です。
西に伸びた稜線を進んでいくと、甲斐駒ヶ岳の奥に鳳凰三山や富士山を望むことも可能。ただしこの付近は痩せ尾根になっているため、転落や落とし物には注意が必要です。
グループだから分け合って持っていける
山頂近くの木陰でお待ちかねのランチタイム。今回しょーまさんはホットサンドメーカーを持参してくれました。

甘みもあって、美味しいですよ!
具材のスパムにかけたら美味しそうだな〜と思って。

こうして食材をそれぞれ持ち寄ることで、分け合って山頂まで持っていくことができるのもグループ登山ならではの魅力ですね。
持参したナイフではパンが綺麗に切れなかったり、火加減が難しくて表面が焦げてしまったり、ソースが飛び散ったり……ちょっとしたアクシデントも頻発したホットサンドづくり。けれども3人からは笑顔が絶えることはありません。
仲間と一緒に試行錯誤したりワイワイ言いながら作って食べる山ごはん、少しくらい失敗しても良い思い出になりますよね。
温泉に入るまでが登山です!
復路は同じルートを下り、尾白川渓谷駐車場に無事下山。そのまま帰路に就くのではなく、しょーまさんのクルマで近くにある日帰り温泉・尾白の湯へ移動し、さっぱりと汗を流して登山を締めくくります。
阿曽原温泉(北アルプス)・法華院温泉(久住連山)など山のいで湯も大好きで、そもそも旅を愛するしょーまさん。単に山に登るだけでなく、山旅全体を楽しんで欲しいというこだわりが垣間見えた瞬間でした。