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“不快”や“危険”とおさらば! 悪天候時にテントを張るカシコイ方法【スリーブ式の設営方法】(2ページ目)

一般的なスリーブが付けられたテントは、インナーテントをポールで立体化させてからフライシートをかけていきます。しかし、大雨のときはそんなことをしているうちにインナーテントがずぶ濡れになってしまいます。

そこで、ポールで立体化する前に早々とフライシートをかけてしまうのもひとつの方法。ただ、慣れないとむしろ時間と手間はかかります。
雨で濡れても通常通りの方法ですばやく設営していくか、雨で濡れないようにしつつ、手間をかけて設営していくか、そのときの天候の状況に応じて考えましょう。

【5】ポールをすべて伸ばします。風が強いときは、このときも膝でテントを押さえたまま作業をしましょう。

【6】フライシートをまくり上げて、インナーテントのスリーブのなかにポールを差し込み、末端まで押し込んでいきます。
大雨のときは有効な方法ですが、小雨のときは面倒なだけかもしれませんので、これ以降は普通の順番でもよいでしょう。

ここが勝負時! 風が弱まったタイミングで一気に立体化!

どのようなテントでも、立体化したうえですべての個所をペグで固定したとき、最高の強度を発揮します。
反対に弱いのは、立体化しつつあるのに地面に固定されていない状況です。ポールやテントの生地に強い負担がかかっているのに形状が一定していないので、風の圧力がかかるとポールは折れ、生地は引き裂かれてしまいます。こんな時間が可能な限り短くなるように、次からの作業はスピーディに行わねばなりません。


【7】2本のポールを差し入れたら、ここからすばやく立体化していきます。
これまで風下側のペグを打っていなかったのは、四隅すべてのペグが打たれている状態では押し込んだポールが湾曲せず、テントが立体化しないからというのが大きな理由でした。

【8】テントが立体化したら、インナーテントのフロアの角にあるグロメット(ポールを指しこむ穴)にポールの末端を差し入れます。もう一方のポールも同様に。
このポールを湾曲させていく瞬間がもっとも風に弱い状態です。風圧がかかると不安定な状態のポールは簡単に折れてしまいます。できれば、テントからは絶対に手を放さなず、風が弱いタイミングを見て、一気に!

【9】居住空間が立体化したら、すぐさま風下側のペグを打ち、インナーテントとフライシートをバックルで連結します。これでテントが吹き飛ばされる可能性は格段に減少しました。

ガイラインなどを微調整し、強度をさらに高める

テントが立体化し、風下側のペグまで打ってしまえば一安心です。内部に荷物を入れてしまえば、その重みもテントの支えになります。
あとは細かい部分を調整していけば、よほどの悪天候でも耐えられるはずです。


【10】ここまでできたら、荷物を内部に入れてしまいましょう。これ以上、荷物が濡れる心配はありません。

【11】前室部分のペグを打ち、その後に風上側のガイラインもペグで打ち、テントの強度を高めます。
強風に打ち勝つためには、この”ポールに連動したガイライン”をペグで確実に固定すること! 非常に重要なポイントです。

【12】最後に、風下側のガイラインも固定。その後、バックルやガイラインを調整して、テントに張りを与えます。
どこか緩んだ場所があると、強風であおられているうちに、ますます緩んでくるので、ビシッとテンションを与えましょう。

これで完成です!

重要なのは、はじめに風上側を固定し、それから風下側を進めていくという作業の流れ。
風圧のかかる風上からテントを固定していけば、ペグによってテントが飛ばされる恐れが減るだけではなく、インナーテントやフライシートを広げるときに風の力を利用できます。

これが悪天候時のスリーブ式テントの設営方法ですが、あくまでもライペン/トレックライズ1を使った一例のため、自分のテントに合わせて応用してください。

 

安全に、快適に過ごすには、こんな部分も要注意

また、設営時には以下のような点も安全度や快適さを大きく変えるポイントになります。とくにガイラインの位置(方向)はとても重要です。覚えておくと、強風のときこそ効果を発揮しますよ。

ガイロープの張り方

ガイラインを張ったときに、もっともテントの強度が高まるのは、左のようにポールの延長線上で固定したとき。右のようにズレていると、効果は半減。

雨漏りしたときはチェックしたいベンチレーター

テントをしっかり張ったのに、雨漏りしてきた……という問題が起きたとき、チェックしてほしいのはベンチレーター。右は悪い例、左が正しい例です。

巾着式の丸いベンチレーターは、うっかりフライシートの内側に垂らしていると、漏斗のように雨水を流し込んでしまいます。左のようにしていたはずなのに、風によって右のようになってしまうこともあるので、テント内に水が入ってきたら再確認を。内側に垂れてきていたら、外側に押し出します。

大切なのは、状況に合わせた「臨機応変」

大切なのは、状況に合わせた「臨機応変

一口に悪天候といっても、風と雨どちらかならば、対応は比較的簡単ともいえます。しかし風と雨のダブルパンチは非常に厄介。
いずれにせよ、状況によって同じテントでも設営方法や手順は変わってきます。臨機応変に対応することが重要です。

そんなわけで、「悪天候時のスリーブ式テントの設営方法」の一例でした。次回は悪天候時の「吊り下げ式テント」の設営方法。
現代のテントではスリーブ式以上にメジャーな存在なので、きっと参考になると思いますよ。

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