山の絶景を見せてあげたい!「高齢の親との山歩き」のヒント&秋のおすすめ紅葉コース

2021/10/04 更新

「親子登山」には小さな子連れだけでなく、高齢の親連れもあります。この記事では体力や運動能力の異なる世代で登山を楽しむうえの注意点やポイントを紹介。金銭的負担の大きなウェア・ギアの準備や運動能力の測り方、連れて行きやすい登山コースなど、親にも山の絶景を見せてあげるためのヒントやアイデアを紹介します!


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親にも見せてあげたい山の絶景!けれども引率が少し心配……

親と一緒に山の絶景を見られたら素敵ですよね
出典:PIXTA(親と一緒に山の絶景を見られたら素敵ですよね)
絶景を堪能した登山の余韻にひたりながら帰宅したあなた。その思い出話とともに写真や記念に買った山小屋グッズを親に見せていると、何やらとてもうらやましそうな表情。自分の足で歩いたからこそ目の当たりにできる山の絶景、せっかくなら親にも見せてあげたいですよね。

とはいえ登山経験も装備もなく、年齢的にも体力や身体能力が低下しつつある親を、果たして自分が安全に連れていけるのか。そんな不安から、親を積極的に登山へ誘うことを尻込みしてしまうこともあるのでは。

そんな心配を一気に解消すべくお届けするのがこの記事。親の年齢・体力・装備に視線を合わせた計画と行動で、秋の素敵な思い出とともに親孝行ができるかもしれませんよ。

今回は高齢の親と一緒に安心して登山を楽しむために注意すべき点や、おすすめのコースをご紹介します。

お金もかかる「親の装備」。どう揃えればいい?

一気に揃えるのはハードルが高い登山装備
出典:PIXTA(一気に揃えるのはハードルが高い登山装備)
何かと高額な登山装備、親の分を一気に揃えるのはお財布にも厳しいですよね。けれども手軽に用意できるアイテムを賢く活用することで、初期投資をおさえることは十分に可能。試しに一緒に登ってみようよのひと言が、ぐっとかけやすくなりますよ。

自分のアイテムを貸せば、初期投資ゼロ!

新作が出るとつい買ってしまう推しブランドのウェア、最近使っていないものはありませんか?
撮影:washio daisuke(新作が出るとつい買ってしまう推しブランドのウェア、最近使っていないものはありませんか?)
まずは親と登山に出かける時に、自分が「使わないアイテム」はありませんか?

お気に入りのブランドで揃えた多くのウェア類や、アタックザックとして購入した容量の小さいザックなど“シェア”できるアイテムを使ってもらうことは「初期投資ゼロ」の最大の近道です。

普段使いのアイテムもうまく取り入れよう

ポイントをおさえれば普段使いのアイテムも活用可能
イラストの出典:PIXTA(ポイントをおさえれば普段使いのアイテムも活用可能)
アウトドアブランドのアイテムと普段使いのアイテムの価格の大きな差。そこにはアウトドア向けに開発されたというスペックの差があります。ただし、それぞれのアイテムを選ぶ際の「ポイント」をクリアしてれば、普段のウェアでも活用可能ですよ。

高価なものはレンタルを賢く活用

機能性が大切なレインウェアなどはレンタルの利用もおすすめ
撮影:washio daisuke(機能性が大切なレインウェアなどはレンタルの利用もおすすめ)
防水透湿性を備えた上下セパレートのレインウェアなど、安全登山を考えるとスペックに妥協ができないアイテムはレンタルの利用もおすすめ。アイテム単品からシチュエーションに応じたフルセットまで、さまざまな組み合わせでのレンタルが可能。「お試し登山」の心強いサポートになるのではないでしょうか。

一緒に歩く際に注意すべきなのは「ペース」と「バランス」

親が快適&安全に登山を楽しむポイントは?
出典:PIXTA(親が快適&安全に登山を楽しむポイントは?)
体力や身体能力に差がある親と一緒に登山する際、どんな点に注意すれば良いでしょうか。
挙げればキリがありませんが、加齢を考慮した際に特に注意したいのがペースバランスです。

親の年齢に合わせたペースでの歩行を

無理なくおしゃべりしながら歩けるペースが快適
出典:PIXTA(無理なくおしゃべりしながら歩けるペースが快適)
一般的に、登山で「無理のない歩行ペース」は1分間の心拍数から算出した以下の数値が基準となります。

*最高心拍数=220-年齢
*適切なペース=最高心拍数の75%を超えない程度のペースでの歩行
【35歳の場合は139/分】220-35=185、185×75%=138.75
【70歳の場合は113/分】220-70=150、150×75%=112.5

この数値を見てもわかる通り、30〜40代と60〜70代では無理のない歩行ペースが違います

親の年齢に合わせた歩行ペースを意識しながら、歩きながら無理なく会話ができる」状態を維持してあげることが、疲労の防止につながります。

転倒は大ケガの原因!平衡感覚の低下に注意を

片足立ち、目を閉じた状態で何秒できますか
イラストの出典;いらすとや(片足立ち、目を閉じた状態で何秒できますか)
加齢にともなって特に衰えるのが平衡(バランス)感覚。目を閉じた状態で片足立ちの姿勢をどれくらい維持できるかで、ある程度の目安を知ることができます。

この「閉眼片足立ち」と呼ばれる状態で維持できる時間、中央労働災害防止協会の調査では下記の数値が年齢ごとの平均とされています。

*20歳:約38〜40秒
*30歳:約32秒
*40歳:約24〜25秒
*50歳:約16〜17秒
*60歳:約9〜10秒

つまり平衡感覚は60歳になると40歳の約半分以下、20歳の約4分の1程度まで低下してしまうのです。バランス感覚の低下によって引き起こされる転倒が原因になってケガをしてしまい、長期療養や寝たきりになってしまったら一大事。

足場が不安定なガレ場や雨などで足元が滑りやすい状況では、私たちが思っている以上に親はバランスを取りづらくなっているのです。なるべくゆっくり歩いたり、場合によっては平衡感覚をサポートするトレッキングポールを貸して、転倒事故を防ぐための配慮が大切です。

登山初心者の親にもおすすめ!秋を満喫するコース

那須岳・姥ヶ平の紅葉と茶臼岳
出典:PIXTA(那須岳・姥ヶ平の紅葉と茶臼岳)
それでは、登山初心者の親と一緒でも紅葉を満喫するおすすめコースをご紹介。ロープウェイや山岳道路などを利用して歩行時間を短縮したり、天候や体調次第でルート変更可能な登山コース、アップダウンの少ないハイキングコースまで、関東甲信エリアの紅葉名所をピックアップしました。

谷川岳(群馬県・1977m)

紅葉の谷川岳
出典:PIXTA(紅葉の谷川岳)
親の世代には「魔の山」という認識を持たれがちな谷川岳ですが、谷川岳ロープウェイと峠リフトを利用すれば標高1502mの天神峠駅までアクセス可能。ここからの天神尾根往復コースなら、初心者でも登頂できます。

天候次第ではピークハントにこだわらず、あまたのクライマーが伝説を残した一の倉沢へのハイキングもおすすめ。片道約1時間ほどの林道歩きで、迫力満点の岩壁を間近に望むことができますよ。

那須・茶臼岳(栃木県・1915m)

茶臼岳から望む朝日岳の紅葉
出典:PIXTA(茶臼岳から望む朝日岳の紅葉)
今なお噴煙を上げる那須連山の主峰・茶臼岳、那須ロープウェイを利用すれば9合目にあたる1690m地点から登山スタート可能です。北側にそびえる朝日岳の斜面や南側中腹の姥ヶ平に広がる錦模様のような紅葉はまさに絶景。

ロープウェイ山頂駅から歩いてすぐの牛ヶ首山頂分岐から山頂へのルートと分かれて姥ヶ平まで足を延ばし、茶臼岳を背景に広がる紅葉の中をハイキングするのも秋ならではのコースです。

筑波山(茨城県・877m)

関東平野を一望できる筑波山
出典:PIXTA(関東平野を一望できる筑波山)
関東エリアから交通至便な筑波山。南側山麓からはケーブルカーが、東側中腹からはロープウェイが架設されており、これらを上手に利用すれば体力的にも負担が少なく絶景登山を楽しむことができます。

山頂付近はもちろんのこと、山麓の筑波山神社も紅葉の名所。登山とあわせて参拝と紅葉狩りを楽しんでもらうのも良いでしょう。

奥秩父・金峰山(山梨県/長野県・2599m)

東側の国師ヶ岳中腹から望む金峰山への稜線/眼下に見える駐車場が大弛峠
出典:PIXTA(東側の国師ヶ岳中腹・夢の庭園から望む金峰山への稜線/眼下に見える駐車場が大弛峠)
奥秩父でも人気の日本百名山・金峰山。さまざまな登山ルートがありますが、日本最高所(2360m)の車道峠として知られる大弛峠までクルマやタクシーでアクセスしてから登るコースがおすすめ。

また大弛峠をはさんで反対側にそびえる国師ヶ岳(2592m)は、片道約1時間で登頂可能。中腹に夢の庭園と呼ばれる花崗岩群があり、山頂からは金峰山はもちろん富士山の展望もバッチリ。親の体力次第では、こちらに登っても良いでしょう。

北八ヶ岳・にゅう(長野県・2352m)

紅葉が水面に映る秋の白駒池
出典:PIXTA(紅葉が水面に映る秋の白駒池)
北八ヶ岳独特の苔むした原生林の中にひょっこりとそびえる岩峰・にゅう。標高2094mの白駒池駐車場から多彩な苔や白駒池の水面を楽しみながら歩くことができ、山頂からは富士山や南八ヶ岳の好展望が人気の山です。

登山道は滑りやすい箇所があるため、天候次第では白駒池を一周するハイキングに切り替えるプランを持っておくと安心。10月上旬には湖畔の木々がカラフルに色づき、水面に映る紅葉絶景を堪能することができます。

アップダウンも少なく渋滞も回避!紅葉の渓谷ハイキング

梅ヶ瀬渓谷・川面に映る紅葉
出典:PIXTA(梅ヶ瀬渓谷・川面に映る紅葉)
いきなり親と一緒に登山にチャレンジするのが不安な場合が、比較的アップダウンの少ないハイキングから始めるのも良いでしょう。秋には関東近郊の渓谷が紅葉に色づき、比較的手軽に絶景を楽しむことができます。

ただし晴天でも日照時間の短い渓谷という地形の特性上、足元が湿っていたりぬかるんでいたりする場合も。スリップや転倒を防ぐために、登山同様の気配りをしてサポートしましょう。

「登山」だけでなく「山旅」全体を楽しむゆとりが大切

親子での「旅」全体を楽しんでもらうために
出典:PIXTA(親子での「旅」全体を楽しんでもらうために)
ここまでは登山をするうえでの注意点でしたが、せっかくの親との登山、あわただしいスケジュールが高齢の親にとって負担になって「疲れた」という印象だけで終わってしまうのは残念ですよね。普段であればぎりぎり日帰り可能な山でも山麓に宿泊するなど、親との登山はゆとりを持ったスケジュールで計画しましょう。

登山だけでなく温泉・グルメ・観光なども一緒に楽しむことで、親にとっては大切な子どもとの山旅がより一層楽しく思い出深い時間になることでしょう。

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washio daisuke

登山の総合プロダクション・Allein Adler代表。 登山ガイド・登山教室講師・山岳ライターなど山の「何でも屋」です。 得意分野は読図(等高線フェチ)、チカラを入れているのは安全啓蒙(事故防止・ファーストエイド)。 山と人をつなぐ架け橋をめざしています。

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