遭難リスクを減らす方法

山岳保険に加入したからOK……は万全じゃないかも!?遭難リスクを減らすために登山者ができることって?

登山の際の万が一を補償してくれる山岳保険、今やお守り代わりとして必須ですね。けれども加入したから安心!と思っていませんか。山岳保険は、遭難してしまった後に補償してくれるためのものであり、行方不明のまま遺体が発見されないと大切な人に経済的な負担をかけてしまうことも!そのため、遭難してしまった場合に備えて、早く見つけてもらうための対策をしておく必要があるのです。今回はその2つの対策について紹介していきます。

目次

アイキャッチ出典:PIXTA

山岳保険に入ったから何が起きても大丈夫……!は正解?

山岳保険に入ったから大丈夫、と翌日登山へ出かける予定のA男さん。
早めに布団に入って寝付いたようですが、どうやら悪夢にうなされているようです。
悪夢くん
出典:いらすとや、編集:YAMA HACK編集部
聞きづてならないことを悪夢くんに言われたA男さん、不安になって夢の中でワケを聞いてみました。
山岳保険に入っていれば、山で事故や遭難してしまった時でも金額をカバーしてくれるんじゃないのかい?
A男さん
A男さん

悪夢くん
悪夢くん
事故による怪我をした時や遭難した時の捜索費用は保険でカバーできるかもしれないけど……

もしも行方不明のまま失踪者扱いになってしまうと、家族や大切な人に経済的な負担を与えてしまうことがあるよ。

そ、そんな!
A男さん
A男さん
悪夢くん
悪夢くん
なぜなら死亡が認定されるまでの7年間、
①生命保険が支払われない。
(支払いを続けないと7年後も保険金を受け取れない!)

②住宅ローンが免除されない
③退職金が支払われない
ことがあるんだ。
ということは、僕の場合、
生命保険代:1年間でおよそ38万円。7年間で266万円。
住宅ローン:1年間でおよそ120万円。7年間で840万円。

7年間の総額が約1,106万円!
これを残された家族が支払わなければならないということ!?

A男さん
A男さん

参考:ほけんの第一歩(35〜39歳の年間払込生命保険料の平均額)、ナビナビ住宅ローン(住宅ローンを借り入れた人の平均返済額)

大変だ

出典:いらすとや、編集:YAMA HACK編集部

「こんな負担を家族にかけられない」と思わずガバっと目覚めたA男さん。

悪夢くんに対策を聞かずに起きてしまいました。もしも遭難してしまった時、大切な人に負担をかけないために自分ができることはあるのでしょうか。

「登山」では、誰もが遭難する可能性を持っている

遭難者数

作成:YAMA HACK編集部(参考:令和2年における山岳遭難の概況

登山者であれば、誰もが遭難する可能性を持っています。もちろんそうならないように気をつけることも大切ですが、それでも起きてしまった時のために備えておくことも大事。

山岳保険の加入以外に私たちが備えておけることはなんなのでしょうか。ここではその対策法を紹介していきます。

そもそも山岳保険は何を補償してくれるの?

山岳保険の補償内容

イラストの出典:いらすとや(主な山岳保険の補償内容)※画像をクリックすると拡大します

山岳保険の種類により補償内容は変わりますが、主な内容としては画像の5つが挙げられます。
(※種類によって上記の補償内容に過不足があります)

・遭難した時に発生する費用
→入院や通院、死亡時のお金のほか、民間ヘリや民間救助隊による救助費用

・トラブルを起こしてしまった際に発生する費用
→損害賠償金、携行品の修理代
など。

(※保険によっては通院、賠償責任、携行品損害などが補償項目に含まれていない場合もあります)

ただすぐに発見・救助できなかった場合、その分捜索費用が膨らみ保険でカバーできる限度額を超えてしまうことも。とくに民間ヘリが出動した場合は1分1万円ほどかかるといわれています。そうなると捜索費用の補償金超過分は自己負担に。

さらに行方不明のまま遺体が発見されないと先ほど悪夢くんがいっていたように、死亡と認定される7年間の間、

・加入している生命保険も適用されない
(さらに支払いを続けないと7年後も保険金を受け取れない!)
・住宅ローンが免除されない
・退職金が出ない

ことがあるのです。

そこで遭難してしまった場合に備えて、早く見つけてもらうための対策をしておく必要があります。

山岳保険にプラスしたい!早く見つけてもらうための2つの対策

山岳保険は、遭難してしまった後に補償してくれるためのもの。遭難した時、早く見つけてもらうために用意しておきたいのは、こちらの2つです。

①登山届の提出
②ココヘリへの加入

保険と合わせて用意しておきたい、2つの詳細をそれぞれみていきましょう。

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